スリナム
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
(1)スリナムにおいては、違法薬物や銃器密売に関連した犯罪が多く発生しています。特に隣接諸国(ブラジル、仏領ギアナ、ガイアナ)との国境付近では、違法薬物の密売を巡って犯罪組織同士の抗争が発生しており、警察の発表によると、犯罪件数は年々増加傾向にあります。
(2)首都パラマリボでは、人混みにおけるスリやひったくり、強盗、暴行事件が度々発生しているほか、駐車中の車両を狙った窃盗(車上荒し)事件も発生しています。最近では、けん銃や刃物を所持した犯罪グループがスーパーや小売店を襲う強盗事件や、バイクに乗った犯人が通行人の鞄や貴金属、携帯電話などを強奪する事件が多発しています。
2 犯罪危険地域
(1)内陸部や国境地帯には、治安機関など政府の統治力が充分に行き届かない地域が多くあります。報道等によると、こうした地域では、武装した住民が不法に道路を封鎖して通行料を要求したり、民族同士の対立や地域住民と鉱物採掘会社の間で採掘権を巡って数百人規模の衝突が発生したりしており、治安の悪化が懸念されています。
また、犯罪組織による銃器の取引や運搬、違法薬物の栽培・取引などが行われている地域も多く、近隣国からの犯罪者も多く侵入・潜伏していることから、警察と軍が強力な取締りを行っています。
(2)首都パラマリボから仏領ギアナ側国境のアルビナ地区にかけての東西道路(通称「イースト・ウエスト・ハイウェイ」)の仏領ギアナとの国境地帯およびガイアナとの国境付近では、通行する車両を襲う強盗が頻発したり、かつてのゲリラが道路を不法に封鎖したりするなどの事件が発生したこともあり、警察は検問等を強化した上で不法入国者や違法薬物、銃器の取締りを強化しています。また、金の採掘目的で密入国する外国人も多く、それら外国人を狙った強盗事件が増加しています。
(3)首都パラマリボ中心部では、夜間に強盗や傷害事件が頻発し、中央市場付近では、昼間でもスリが多発しています。また、主要ホテルや大統領官邸に近接する観光地「パームガーデン」及びその周辺では、白昼にもかかわらず観光客が度々強盗の被害に遭っています。
3 防犯対策
犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動をとることが重要です。
近年では、日本人旅行者が仏領ギアナにおいて、スリナムまでの渡し船に乗らないかと声をかけられ、他に乗船客がいない船に一人で乗り込み、強盗被害に遭ったケースも報告されています。
滞在に際しては、以下の事項に留意して安全対策に細心の注意を払ってください。
(1)置き引き、ひったくり、侵入窃盗(ホテルの客室荒らし)等
○持ち物への注意を怠らない。
○貴重品は安全な場所に保管する。
○多額の現金や貴重品を持ち歩かない。
○外出時には、高級腕時計や宝石類、カメラを所持せず、目立たないように行動する。
○スマートフォンは、人目に付く場所で取り出したり、歩きながら使用したりしない。
○ホテルでは、在室中であっても押し込み強盗等の被害に遭わないよう施錠を徹底する。
○夜間の外出やひと気のない場所への立ち入りは極力避け、肌を著しく露出する服装は避ける。
(2)強盗
近年は、銃器や刃物を使用した強盗が発生しています。万一強盗に遭った場合には、抵抗したり大声を上げたりせず、落ち着いて対応するよう努めてください。慌ててポケットやカバンに手を入れると犯人を刺激することにもなりかねず、武器を取り出すものと誤解され、生命に関わる事態に発展する危険もありますので、身の安全を第一に考えて、冷静に行動してください。
(3)観光ツアーの選定
野生の動植物などの自然が豊かな内陸部や国境の河川地帯を旅行する際には、現地に詳しい専門の業者による観光ツアーを利用することをおすすめします。
(4)滞在先の選定
スリナムに長期間滞在する場合は、警備員が配置されているアパートを選び、窓に格子を張る等の防犯対策が必要です。ホテルに滞在する場合でも、防犯警備体制が整っているホテルを選ぶなど、安全への配慮が必要です。
4 テロ・誘拐
テロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢については以下の海外安全ホームページをご覧ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_250.html- 査証、出入国審査等
1 査証
(1)観光・商用等を目的とした短期滞在
日本国籍者は、就労目的を除き、90日以内の短期滞在については、査証の取得は免除され、滞在期間に応じた滞在許可が与えられます。有効な旅券、出国の為の航空券、十分な滞在費を所持するとともに、滞在先(ホテルなど)が明確に確保されている必要があります。また、入国時には旅券の残存有効期間が6か月以上必要です。
なお、渡航前に入国料として50米ドルまたは50ユーロの支払いが必要です。
入国料の支払いは、以下のホームページからオンラインによる電子申請を行ってください(申請用アカウント作成のためにメールアドレスが必要です。スリナム当局によると「ホームページには、観光目的の場合は入国料の支払いが必要と記載されているが、観光、商用など査証取得免除による入国の場合には、渡航前の入国料の支払いが必要」とのことです。)。
https://suriname.vfsevisa.com/suriname/online/home/entry-fee
(2)就労等を目的とした中・長期滞在
就労等を目的とした中・長期滞在にあたっては、査証の取得が義務付けられています。査証を取得するためには、以下のホームページからオンラインによる電子申請を行ってください(申請用アカウント作成のためにメールアドレスが必要です)。
https://suriname.vfsevisa.com/suriname/online/home/index
2 検疫
黄熱の流行地域から入国する場合は、イエローカード(黄熱予防接種証明書)の提示が求められます。
(参考)WHOによる黄熱感染リスク国及び黄熱病ワクチン接種必要国一覧
https://cdn.who.int/media/docs/default-source/travel-and-health/countries-with-risk-of-yellow-fever-transmission.pdf?sfvrsn=bf42ac59_4&download=true
3 入国審査
航空機による入国はもとより、陸続きのガイアナあるいは仏領ギアナから陸路で出入国する場合でも、必ず出入国審査を受ける必要があります。個人営業の渡し船を使うと入管事務所を通らないこともあるので、注意が必要です(出入国手続きは入管事務所で行う必要があります。)。
2024年11月1日から、スリナムを出入国するすべての渡航者に対し、出入国審査及び税関申告に関する手続を出入国のそれぞれ3日前から以下のホームページから行うことが義務づけられました。
https://icf.sr/
4 通関
(1)税関申告
出入国のそれぞれ3日前から上記3「入国審査」に記載のホームページから行うことが義務づけられました。
(2)外貨申告
10,000米ドル相当額を超える外貨の持込みおよび持出しは税関に申告する必要があります。
(3)免税範囲
免税範囲は以下のとおりです。
○蒸留酒 /ワイン合計で1リットル(18 歳以上)
○タバコ125グラム、またはタバコ200本、または葉巻25本、またはシガリオ50本(17 歳以上)
(4)持込み禁止品等
違法薬物、わいせつ物、花火、銃器、弾薬は持込みが禁止されています。- 滞在時の留意事項
スリナムにおいて、パスポートを紛失した場合、同国には日本大使館等がないため手続きに時間を要し、予定通り出国できない可能性がありますので、パスポートの盗難や紛失等には十分ご注意ください。
1 写真撮影の制限
軍事施設の撮影は禁止されています。また、地元の人を撮影するときは、事前に了解を得るなどの配慮が必要です。
2 各種取締法規
(1)違法薬物
警察は薬物犯罪の取締りを強化しており、違法薬物の所持や密輸などの摘発者数は急増し、押収される薬物の量も膨大となっています。出入国に際しての検査も厳しく、空港や旅客機内で大量の違法薬物が摘発されるケースも珍しくありません。滞在中に見知らぬ人の荷物を預かったり、また他人に荷物を預けたりした際に、知らぬ間に違法薬物の運び屋に仕立てられることがありますので、十分注意してください。
(2)両替
両替は、銀行および両替所(カンビオ(Cambio))で行ってください。ブラック・マーケットと呼ばれる取引人を通じた闇両替は処罰の対象となります。
3 交通事情
(1)運転免許証
スリナムでは国際運転免許証をそのまま使用することはできません。スリナムの運転免許証は、日本の有効な運転免許証、国際運転免許証、旅券を提示するとともに銀行で支払った手数料の支払証明書を提示することにより、運転免許局で取得することができます(1年間有効)。しかしながら、必要書類が揃っていても運転免許証の交付が受けられなかったとの報告もありますので、当局への事前の確認をおすすめします。
(2)公共交通機関
○タクシー
タクシーを利用する場合には、ホテルを通じて、信頼できるタクシーの時間借り上げを手配することをおすすめします。
一般のタクシーは、個人営業で無許可のものが多く、公用語のオランダ語や現地語しか話せない運転手とは意思の疎通がスムーズにできないことがあります。日本人旅行者が見知らぬ人からタクシー料金のシェアを持ちかけられて同乗したところ、目的地とは別の場所に連れて行かれ強盗被害に遭う事案など、外国人が犯罪の標的となるケースも発生しており、十分な注意が必要です。
○乗合バス
乗合バスは運行ルートが勝手に変更されるほか、運転手が英語を充分に解さない場合が多く、車内でのスリや強盗被害なども発生しているため、利用はおすすめできません。
(3)車の運転にあたっての留意事項
首都パラマリボ中心部から延びる幹線道路などでは日常的に交通渋滞が発生しています。また、パラマリボ以外の道路の保守整備は行き届いていません。交通マナーも良いとは言えず、特に郊外などでは充分な道幅がないにもかかわらず、高速で走行する車両も多く見受けられます。交通事故は年々増加傾向にありますので、自動車を運転する場合には、万一に備えて損害保険に加入しておくことをおすすめします。なお、都市部では免許を取得することなく運転できるミニバイクの利用者が多く、一時停止義務などの重要な交通法規が遵守されていないことから、ミニバイクによる交通事故が死亡者の相当の割合を占めていますので、注意が必要です。
4 自然災害
スリナムは、自然災害に対するインフラ整備が脆弱です。災害発生時には、経済・社会インフラが甚大な被害を受ける傾向にあり、2022年にも3月から6月まで続いた大雨及びそれに伴う洪水により、複数の地域において甚大な被害が発生しました。長期の滞在が見込まれる場合には、万が一の災害やインフラが機能しなくなった時に備えて、水や非常食を備蓄しておくなどの対策を講じてください。
5 在留届
スリナムに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡等に必要ですので、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )を通じて、在トリニダード・トバゴ日本国大使館(スリナムを兼轄)に「在留届」を提出してください。日本から転居する場合には、住所が決まっていなくても、日本出発の3か月前からオンライン提出が可能です。
この他、住所その他届出事項に変更が生じたときは「変更届」を、日本への帰国や他国に転居する際には「帰国・転出届」を、在留届電子届出システムを通じて必ず提出してください。
6 たびレジ
(1)在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外の在留地から第三国への短期渡航も含む)は、外務省海外旅行登録「たびレジ」への登録をお願いします。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html
(2)「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報等を日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、スリナムで事件や事故、自然災害等が発生し、在トリニダード・トバゴ日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。- 風俗、習慣、健康等
1 風俗、習慣
(1)スリナムは、約16万平方キロ(日本の43%)の国土に約62万人の人々が暮らしており、北部の海岸沿いの2割の面積に人口の8割が集中しています。
(2)スリナムには、アフリカ系やインド系をはじめ、インドネシア人や中国人など様々な人種、民族が混在していることから、特定の人種や民族、宗教などの信条に関する不用意な発言や行動は控えてください。
(3)周辺国と比べるとアジア系移民も比較的多く、人種差別は比較的少ないと言われています。しかしながら、一部にはアジア人に対して偏見や無知による差別的な言動をとる人もいますので、感情的にならないようにしてください。
2 衛生事情
衛生状態は決して良いとは言えませんので、食料品の購入にあたっては、衛生や管理状況を十分確認の上購入してください。また、飲料水についても水道水は避け、市販のミネラルウォーターを利用することをおすすめします。
3 病気(感染症)
(1)スリナムでは、マラリアやデング熱、ジカウイルス感染症、黄熱など熱帯地域特有の感染症が発生しています。首都パラマリボにおいては、マラリア感染の危険は少ないと言われていますが、デング熱が流行することがあります。
いずれも蚊を媒介として感染するケースがほとんどですので、特に河川や湖沼、森林地帯に出かける際には、防虫剤を活用し、暑くとも長袖長ズボン、靴下を着用するなどの対策が必要です。
(2)ジカウイルス感染症が、スリナム国内でも発生しています。ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染するほか、母胎から胎児への感染、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。ジカウイルス感染症は感染しても症状がない場合(不顕性感染)もあり、また、症状が軽いため感染に気づきにくいことがあります。しかしながら、妊娠中にジカウイルスに感染すると、胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあることから、特に妊娠中または妊娠を予定している方は、流行地域への渡航を可能な限り控えるなど、十分な注意が必要です。
4 医療事情
(1)一般事情
首都パラマリボにおける救急医療は、アカデミー・シッケン・ハウス(アカデミック病院)が、そのほとんどを扱っており、救急車もこの病院に配備されています。ただし、交通事故などの場合には、国の制度として警察が救急車を要請することになっており、警察官が事故現場に到着してから必要に応じて救急車の手配をするので、時間がかかります。また、医療水準は低く、救急医療機関でも常駐している医師は限られ、専門の医師が病院にいない場合があります。入院や手術を要するようなケガや病気の場合には、早めに米国や日本の病院に移送する必要があります。
(2)海外旅行保険
海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません。
旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、緊急移送費を含む十分な補償内容の海外旅行保険への加入を強くおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。
(3)医薬品の持込み、持出し等
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省のホームページをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html
また、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページ( )を参考にしてください。
https://www.forth.go.jp/- 緊急時の連絡先
◎警察:115(緊急)、46-2136、47-1111、47-7777
◎消防:49-1111、47-3333
◎警察移民局:40-3609、40-2787(日曜、祝祭日を除く)
◎アカデミック病院(パラマリボ):115(緊急、警察と同じ)、44-2222、44-2288
◎在スリナム日本国名誉総領事(Mr. Jayant Anilkumar Padarath)
電話:597 530 311
◎在トリニダード・トバゴ大使館(スリナムを兼轄)
電話:(国番号1-868)628-5991
ホームページ:https://www.tt.emb-japan.go.jp/itpr_ja/ryouji.html
E-mail: ryouji@po.mofa.go.jp
※スリナムには日本の在外公館はなく、在トリニダード・トバゴ日本国大使館が兼轄しています。- 問い合わせ先
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連除く) (内線) 5145
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連) (内線) 3047
○領事局政策課(感染症関連) (内線) 4919
○外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地公館連絡先)
○在トリニダード・トバゴ大使館(スリナムを兼轄)
住所:5 Hayes Street、St. Clair、 Port of Spain、 Trinidad and Tobago、 W. I. (P.O.Box1039)
電話:(国番号1-868)628-5991
FAX:(国番号1-868)622-0858
ホームページ:https://www.tt.emb-japan.go.jp/jointad/sr/ja/index.html
○在スリナム日本国名誉総領事(Mr. Jayant Anilkumar Padarath)
電話:597 530 311
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。