アルゼンチン
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
かつてアルゼンチンは、他の中南米諸国と比べ、教育・生活水準が高く、治安の良い国と言われていましたが、近年の経済・財政的苦境によって、貧困層および極貧層が増加しており、人口が集中する首都ブエノスアイレス市および同市の南から西にかけて隣接するブエノスアイレス州内の都市を中心に、強盗、窃盗等の犯罪が日常的に発生しています。
また、アルゼンチンでは銃器類が大量に出回っているため、銃器を使用した強盗や殺人、誘拐などの凶悪犯罪も日常的に発生しており、十分な注意が必要です。
一例として、アルゼンチン治安省統計に基づく2022年のブエノスアイレス市での犯罪発生率を東京都と比較すると、殺人は約4倍、傷害は約8倍、窃盗は約5倍、強盗は約1,300倍に達します(人口10万人当たりの発生件数の比較)。
(1)一般犯罪の傾向
報道等によると、多発している一般犯罪の形態は以下のとおりです。なお、これらの事件には未成年者や麻薬中毒者が関わることも多く、ほとんどの場合、犯人は拳銃等の武器を所持しています。
ア スリ・置き引き
イ ひったくり
ウ 「ケチャップ」強盗(相手に気付かれないように汚臭のする液体をかけ、手助けを装って所持品を盗み取る手口)
エ 「モトチョロス」と呼ばれるバイクを使用したひったくり強盗
オ 路上強盗(銀行から現金を引き出した直後の人物に対する強盗)
カ 「ピラニア」強盗(路上強盗の一種で、集団で襲い金品を強奪する手口)
キ 家主の外出時や帰宅時の隙を突いて行う待ち伏せ強盗
ク 武装した複数犯による侵入強盗
ケ 車両強盗(武装した犯人が走行中の車両を強引に停止させて行う強盗)
コ 車両窃盗
サ 誘拐(短時間誘拐)
シ バーチャル誘拐(誘拐を装い自宅に電話をかけ、身代金を騙し取る手口)
ス 強姦(夜間、早朝の時間帯)
セ マリファナ、コカイン等の大量密輸および不法所持
(2)銃器等を使用した犯罪
ア 銃器事情
アルゼンチンでは、定められた手続きを経れば、銃の保有は合法です。アルゼンチン国内で正規に登録されている銃(治安機関除く)は約200万丁で、これ以外にも違法な銃が約200万丁流通していると見られており、銃を使用した犯罪が日常的に発生しています。
イ 銃器を使用した手口
銃器を使用した強盗の手口としては、自宅玄関からの出入りや車庫での車の出し入れ時を狙った待ち伏せ強盗が多くあるので、周囲に注意を払うことが肝要です。また、信号待ちで停止中の車のみならず走行中の車に対しても、沿道や歩道橋等から石等を投げ落として停止させ、搭乗者を銃で脅して金品を奪う強盗が発生しています。
ウ 犯罪に遭遇した場合の対処
夜間より昼間の方が安全とは言えますが、昼間でも強盗事件は発生しており、いわゆる「安全な時間帯」というものはありません。街中を通行中に、万一銃声などが聞こえた場合には、姿勢を低くして、事態が落ち着くのを待つか、速やかにその場を離れるのが最善です。また、運悪く店内で強盗に遭遇した場合には、抵抗せず、大声を上げず、落ち着いて犯人の指示に従うことが、身体に危害を加えられないために重要です。
(3)ブエノスアイレス市の犯罪被害多発区域の例
犯罪が比較的多発している地域における各種犯罪等の主な特徴は、以下のとおりです。
ア ボカ地区(BOCA)
タンゴ発祥の地といわれる有名観光地ですが、低所得者層の居住地区でもあり、大通り以外は日中でも注意が必要です。近くに大きなサッカー場があり、特に、サッカーの試合日には犯罪が多発する傾向にあります。また、トラブル防止のため、対戦相手チームのユニフォームや同系統の配色の衣服等は着用しない方が無難です。
イ フロリダ通り(FLORIDA)
観光客等で非常に賑わう歩行者通りです。スリやひったくり等の犯罪がよく起きていますので、リュック等の荷物は身体の前に抱える等、十分注意が必要です。同通りで多く見られる路上でのヤミ両替については、以下2(4)イを参照ください。
ウ サンテルモ地区(SAN TELMO)
首都で最も古い地区の1つです。週末にはドレーゴ広場においてフェリア(のみの市)が開催され、観光客を含む大勢の人で賑わいますが、スリ、ひったくり等の犯罪も多く報告されていますので注意が必要です。
エ モンセラート地区(MONSERRAT)およびサンニコラス地区(SAN NICOLAS)
市内金融街で銀行が多数あり、強盗やひったくり等の犯罪が発生しています。
オ レティーロ駅周辺およびサンマルティン広場
すぐ近くに巨大なビジャ(スラム街)が存在しており、犯罪グループによるひったくりや置き引きが多発し、日本人を含め被害が恒常的に多い地域です。過去には外国人観光客の殺人事件も発生しています。特に駅前のバスターミナルでは、窃盗団による組織的な置き引きやスリ、ケチャップ強盗が日常的に発生しています。
カ 首都の三大ターミナル(CONSTITUCION駅、RETIRO駅およびONCE DE SEPTIEMBRE駅)
駅構内の犯罪が主ですが、周辺でも強盗事件が発生しています。また、過去には電車運行の遅延により乗客が暴徒化し、破壊行為が発生したことがあります。
キ レコレータ地区(RECOLETA)
エビータの墓があるレコレータ墓地の周辺は、昼夜の別なく多くの観光客で賑わっていますが、ひったくりやスリ等の犯罪が発生していますので注意が必要です。
ク リーベルプレート(RIVER PLATE)サッカー場周辺
試合の日に犯罪や騒動が発生することがあるため、観戦に訪れる場合は極力、貴重品等を持ち込まないようにしてください。また、トラブル予防のため、対戦相手チームのユニフォームや同系統の配色の衣服等は着用しない方が無難です。
2 防犯対策
犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動をとることが重要です。以下に留意しつつ、必要な防犯対策を講じてください。
(1) 全般
ア (警察官等の制服着用者を含め、)安易に他人を信用しない。
イ 外出時は、隙をつくらず、常に周囲を警戒する。
ウ 華美な服装や人前で大金を見せる等、犯罪者のターゲットになるような行動は避ける。
エ カードで支払いをする場合、サイン前に金額をしっかりと確認する。
オ 両替等でお金を受け取る際は、確実にその場で金額を確認する。
カ 犯罪に巻き込まれた場合、身体の安全を最優先として落ち着いて行動し、犯人に対しては抵抗しない。
(2)車両運行時の注意事項
ア 深夜や早朝の運転を避ける。
イ ルートの選定に注意し、なるべく交通量が多く明るい道を使用する。
ウ 帰宅時は特に注意し、ガレージの扉の開閉時に隙が生じないよう注意する。
エ 初めて訪れる場所は、できれば明るいうちに一度経路を確認しておく。
オ 突然路上で車が停まってしまうことがないよう、小まめに整備を行う。
(3)公共交通機関利用時の注意事項
ア タクシー
(ア)タクシーを利用する際は、車体が老朽化している車両や身なりの悪いドライバーが運転するタクシーの利用は避けてください。「無線タクシー」(ラジオタクシー、「RADIO TAXIの看板やフロントガラスに(IRA)と表示されている」)の利用をおすすめします。なお、コロナ禍以降、換気のためタクシーの窓が開放されており、モトチョロス(バイクに乗車した強盗)が通りすがりに、窓越しに車内に手を突っ込んできて携帯をひったくる事案もよく発生していますので、注意してください。
(イ)料金とは別にチップを請求されることがありますが、アルゼンチンではタクシー運転手にチップを払う習慣はありません。また、精算時に偽札にすり替えられる被害も発生しているため、支払いや現金を受け取る際は、慌てずに必ず相手の目の前で金額を確認するようにしましょう。
イ レミース
タクシーに代わる安全な交通手段として、レミースと呼ばれるハイヤーがあります。運転手の身なりもきちんとしており、料金はタクシーより高いものの、安心して利用することができます。ただし、一般の車両と区別がつかないため、予約の際には必ず車種、色、車番および運転手名を確認するようにしてください。
ウ バス
(ア)一般に「コレクティーボ」と呼ばれ、ブエノスアイレス市内では24時間運行されていて、慣れれば便利な交通手段です。しかし、混雑時期は車内でのスリ、下車直前のひったくり等が多く発生しています。いずれも犯人は複数であることが多く、手荒な行動をとる場合もあります。また、コロナ禍以降、換気のためバスの窓が開放されており、窓越しに携帯をひったくられる被害も発生しています。
(イ)バスの運転自体も乱暴で、バス停に接近すると停車前からドアを開け、完全に客が乗り込んでいなくても、ドアを開けたままで発進することも珍しくありません。走行中は、空いている車線に頻繁に車線変更するので、自家用車でバスの脇を併走する場合は注意が必要です。
エ 地下鉄
(ア)ブエノスアイレス市内には、多数の地下鉄の路線があり、運賃が安く便利です。しかし、混雑時には車内およびホーム等でスリやひったくり等が発生していますので、利用の際は、リュックや手荷物、携帯電話等の携行品に注意し、周囲にも気を配ることをおすすめします。
(イ)特に最近では、電車のドアが閉まる瞬間に携帯電話をひったくる手口も増えており、乗降口付近では携帯電話を使用しない等の対策が必要です。また、コロナ禍以降、換気のため電車の窓が開放されていることが多く、窓越しに携帯電話をひったくられる被害も発生しています。
(ウ)車内では物売りをしている光景も見受けられますが、売り子が乗客の膝上等に無理矢理置く商品は、彼等が回収に来ますので、そのままにしておくか、商品を置かれる前に明確に断ることでトラブルを避けることができます。
(4)犯罪手口に応じた注意事項
ア 置き引きおよびスリ
空港、ホテルロビー、レストラン、バス、地下鉄等において、ちょっとした隙を狙われ、バッグ等を置き引きされたり、金品をすられたりしています。窃盗団は、時間や電車・バスの行先を尋ねる等話しかけて注意を引き付ける役と、スリや置き引きを行う実行犯等に役割分担し、組織的に犯行に及んでいます。常に適度な緊張感を保つとともに、混雑した場所等においては特に油断しない等の注意が必要です。
イ 両替詐欺
両替所にてアルゼンチン通貨に換金する際に、高額紙幣を低額紙幣にすり替えられる被害が発生しています。また、市内のいわゆるヤミ両替屋を利用した際に、偽札に替えられた等の被害報告もあるので、ヤミ両替は利用せず、銀行等を利用し、現金を受け取る際には、慌てずに相手の目の前で金額を確認する等の注意が必要です。
ウ ひったくり
(ア)グループによる犯行が多く、被害者に狙いをつけて組織的に犯行に及んでいると思われます。華美な服装や人前で大金を見せる等の行動は慎んでください。特に、モトチョロスと呼ばれるバイクを使ったひったくりが多いため、歩道を歩く場合は車やバイクの動きを確認しやすいよう、これらと対面する方向に歩くよう努めてください。万一、低速で接近する不審なバイク(二人乗りのことが多い)を発見した場合は、速やかに人込みに紛れるか商店の中に入り、危険を避けることをおすすめします。銀行周辺においては現金を引き出した人が狙われるケースも後を絶たないため、周囲の状況を確認するなど十分な注意が必要です。
(イ)路上において、携帯電話で写真撮影など操作している最中、背後から急に近付いてきた犯人に携帯電話をひったくられる被害が多発しています。現地人が外で携帯電話を使用しているからといって、安心することなく周囲に注意を払うことが必要です。また、物売りが車に投げ入れた商品を回収する際に、複数人でひったくりに及ぶ事例も発生しており、注意が必要です。
エ ケチャップ強盗
市内の観光スポット、公園等で多発しています。数人のグループによる犯行が多く、手口は、ケチャップ、廃油、塗料等の液状物質を被害者の衣服につけた後、汚れていることを指摘すると同時に拭き取るのを手伝う素振りをして近づき、被害者が足を止めて汚れを拭き取る間に財布や地面に置いたバッグ等を奪って、逃げ去るケースが多いようです。ケチャップ等を掛けられた場合、親切そうな人が近寄ってきても相手にせず、速やかにその場を立ち去ることをおすすめします。
(5)場所に応じた注意事項
ア レストラン、インターネット・カフェ等
椅子に掛けたりテーブルの下に置いたりしたバッグ等が盗まれる置き引き被害が多発しています。携行している荷物への注意を怠らないよう、置く場合は常に目の届くところに置いてください。また、念のために貴重品類は常に身につけておいてください。
イ 観光地区
観光スポットから一本裏道に入ると、途端に人通りや街頭の監視カメラが少なくなり、犯罪被害に遭い易くなります。くれぐれも道に迷って、裏通りなどには入らないよう注意してください。また、タンゴ・ショーは深夜まで行われることが多く、終了後の移動には十分な注意が必要です。
ウ バー
(ア)ブエノスアイレスでは、店舗の正面に料金表を提示することが、飲食店に義務付けられています。バーに入る時は、料金表を見て金額を確認することが必要です。料金表が見当たらない場合は、不正な高額料金を請求される可能性もあります。
(イ)若年層が集まる繁華街のクラブ等では、違法薬物が流通しているとされており、興味本位で手を出すと薬物不法所持等の罪で、警察に逮捕・拘禁される恐れもあります。
3 テロ・誘拐
アルゼンチンにおけるテロ・誘拐については、「テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_241.html )」をご確認ください。
※在留邦人向け安全の手引き
在アルゼンチン日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.ar.emb-japan.go.jp/files/100158215.pdf )もご参照ください。- 査証、出入国審査等
(手続や規則に関する最新の情報については、駐日アルゼンチン大使館(電話:03-5420-7107)にお問い合わせください。)
1 査証
(1)短期滞在
日本とアルゼンチンとの間には査証免除取極があり、通過、観光、商用等の90日以内の滞在には査証が免除されています。
(2)中・長期滞在
90日を超える場合には、日本、または第三国にあるアルゼンチン大使館、または領事館で申請して、一時滞在査証、または永住査証を取得する必要があります。
(3)ワーキング・ホリデー制度
日本とアルゼンチンとの間で、2017年10月1日からワーキング・ホリデー制度が開始されています。ワーキング・ホリデー制度は、日本とアルゼンチンの青年がそれぞれの国で最長1年間にわたり生活し、それぞれの国の政治、経済、文化、日常生活を体験して日亜相互理解と友好関係の促進を図ることを目的としています。一定の要件のもとで1年間を限度にワーキング・ホリデーのための滞在許可が発給されるものです。この滞在許可を取得した場合は、アルゼンチンでの滞在費用を補うために、労働許可取得義務を免除され、働くことができます。なお、ワーキング・ホリデー制度は1回に限り申請が可能です。
詳細は駐日アルゼンチン共和国大使館ホームページのワーキングホリデー・ビザのページでご確認ください。
駐日アルゼンチン共和国大使館(ワーキングホリデー・ビザ)
https://ejapo.cancilleria.gob.ar/ja/node/1498
2 出入国審査
(1)出入国時の手続き
出入国の際、有効な旅券(パスポート)の提示を求められるとともに、指紋採取と顔写真の撮影がなされます。永住者および長期滞在者の方は併せてアルゼンチン身分証明書(DNI)の提示を求められます。
(2)出入国時の注意事項
アルゼンチン政府は、2022年4月25日以降、出入国時の旅券への押印を廃止する旨発表しておりますが、実際には押印される場合も散見されており、窓口係員によって対応が異なるのが実態のようです。押印を省略された方で、出入国の証明が必要な場合は、下記の移民局ホームページを通じて申請すれば、証明を取得することが可能です。
https://www.migraciones.gov.ar/transitos/
詳しくはアルゼンチン共和国移民局(Dirección Nacional De Migraciones)に直接お問い合わせください。
https://www.argentina.gob.ar/interior/migraciones
ア 移民局本部
電話 / Fax:(011)4317-0234
受付時間:月曜~金曜:7時30分~18時
Email:info@migraciones.gov.ar
イ エセイサ(ミニストロ・ピスタリーニ)国際空港:(011)5480-4549
アエロパルケ(ホルヘ・ニューベリー)空港内移民局事務所(24時間対応):(011)4773-1660
ウ 移民局オンラインサイト
https://www.argentina.gob.ar/interior/migraciones
(3)未成年子女の出国等
ア 永住者、長期滞在者の未成年子女(18歳未満)、またはアルゼンチン国内に続けて1年以上滞在している未成年者(18歳未満)が単独、または片方の親とアルゼンチンから出国する場合は、公証人役場で作成された両親双方、または同行しない親の旅行承諾書を空港等の入国管理係官に提示する必要があります。また、同じく両親と出国する際も家族関係を出生証明書等で証明しなければなりません。
イ アルゼンチンにおいては、親権を持つ親であっても、他の親権者の同意を得ずに子の居所を移動させること(親が日本に帰国する際に子を同伴する場合を含む)は、犯罪として処罰されることもあり得ます。他国では、結婚生活を営んでいた国への再入国や当該国と刑事司法上の共助関係を有する第三国への入国の際に、子を誘拐した犯罪容疑者として日本人が逮捕される事案も発生していますので十分注意してください。
(4)外貨申告等
ア 入国にあたって、貴金属、有価証券等を含め、一人あたり1万米ドル相当額未満(16歳未満は5千米ドル相当額未満)であれば申告は不要です。右相当額以上を持ち込む場合は、所定の申告書によって申告する必要があります。
イ 出国にあたっても、一人あたり1万米ドル相当額未満(16歳未満は5千米ドル相当額未満)であれば申告は不要ですが、1万米ドル相当額(16歳未満は5千米ドル相当額)を超える分については、銀行送金する必要があります。
ウ 外貨からアルゼンチンペソへの両替は、空港内の銀行出張所および市内の両替店等で可能です。フロリダ通り等の観光スポットにおいては、有利なレートを路上で提示する、いわゆるヤミ両替を持ちかけられることがありますが、こうした換金行為は違法行為であるとともにニセ札を掴まされる可能性があるだけでなく、人目のない奥まった場所につれて行かれ危険ですので、そのような誘いには乗らないよう注意してください。
(5)通関・検疫
ア 免税範囲
(ア)免税で持込みが可能な物品は、出国時に申告した物品、携帯電話一台、ノートブック型パソコンもしくはタブレット一台、商用目的でない個人の衣服や身の回り品となります。
(イ)個人の身の回り品であっても、新品を持ち込む場合、空路・海路の場合、米貨500ドル(16歳未満は米貨250ドル)相当までは非課税ですが、それを超えると規定の税金(原則、超えた金額の50%)がかかります。なお、陸路・川経由で入国する場合は米貨300ドル(16歳未満は米貨150ドル)相当の品物までが非課税となります。併せて、アルゼンチン到着時に免税ショップで購入した品物は、空路・海路の場合、合計米貨500ドル(16歳未満は米貨250ドル)相当まで非課税となりますが、陸路・川経由の場合はプエルトイグアス(米貨500ドルまで)を除き購入不可となります。
イ 持込み、持出し制限品等
考古学的・文化的価値のある物品、麻薬、武器、爆発物、商用目的の商品の持込み、持出しは禁止されています。
動物(ペット)、植物等を持ち込む場合は、検疫証明の提示が求められます。その他、肉、魚、チーズ等、生ものの持込みも規制されています。- 滞在時の留意事項
1 滞在届
一時滞在査証、または永住査証を取得して入国した場合は、原則として90日以内に、旅券(パスポート)、写真等を提示または提出して移民局に申告し、身分証明書を取得する必要があります。滞在期間の延長は移民局で受け付けています。必要書類についてはアルゼンチン移民局(Dirección Nacional de Migraciones)に直接お問い合わせください。
2 旅行制限
外国人の旅行については特に制限されていません。
3 写真撮影の制限
軍事施設関係等、写真撮影を制限される場所には、「写真撮影禁止」の表示があります。また、教会内での撮影も制限される場合があるので、撮影の可否について現地の担当者に確認する必要があります。
4 違法薬物
違法薬物の所持および使用は規制されています。特別の許可なしに不正に所持、売買、使用した場合には、処罰の対象となり然るべき刑罰が科されます。麻薬等の違法薬物には絶対に関与しないでください。
5 就労許可
外国人が業務等で就労する場合は、就労査証(一時滞在または永住)の取得が必要です。観光目的の無査証で入国した旅行者が許可なく就労した場合は、処罰の対象となり、罰金その他の刑に処される可能性があります。
6 外国人の政治活動
外国人の政治活動(デモ参加等)は、アルゼンチン国民と同様に認められていますが、旅行者が各種のデモに参加すると、無用のトラブルに巻き込まれる可能性もありますので、十分注意してください。
7 デモ等抗議活動
(1)労働組合等による道路封鎖を伴う抗議活動が各地で発生しており、これら抗議活動は、ブエノスアイレス市内の大統領府前の五月広場、オベリスコ周辺、労働省前等において多数発生しています。これらの活動は一般的には平和裡に行われますが、タイヤを燃やす、大型の爆竹や花火を爆発させて大音響を鳴らす、道路封鎖をして交通を止める他、投石等の暴力を伴う示威活動に発展する場合もあり、抗議活動側および治安当局側の双方が些細なことをきっかけとして衝突し、死傷者や逮捕者が出る事態も発生しています。
(2)警察は、過激化したデモ隊に対して、催涙弾や放水銃のほか、銃器によるゴム弾射撃等により鎮圧を試みます。身体の安全を確保するためにも、上記の抗議活動が行われている場所の周辺には、くれぐれも興味本位で近付かないでください。
外出の際は、テレビやラジオ等報道からデモ開催に伴う渋滞情報を収集して回避に努めるとともに、予期せずデモ等が行われている現場に遭遇した場合は、トラブル予防のため、周囲の状況に注意し速やかにその場を離れてください。
8 銃器所持
銃器の取扱いについては、「国家武器爆発物法」およびその政令により細かい規定があり、銃器等登録管理局(RENAR)に登録し許可を得る必要があります。
9 交通事情
(1)一般事情、交通マナー
首都圏内の自動車の運転は非常に乱暴で事故が後を絶ちません。アルゼンチンでは車が優先なので、「歩行者優先」という日本の常識は通用しません。横断歩道の信号が青でも、右折・左折の車が歩行者に構わず突っ込んできます。ブエノスアイレスの道路は広く、状況によっては横断歩道を1回で渡りきれないことがありますが、この場合は無理に横断することなく、道路中の分離帯で待機してください。特に、バスやタクシーのような公共交通機関の運転手が自分勝手で危険な運転をすることが多いため、これらの急な方向転換や信号無視などには注意が必要です。
(2)公共交通機関
バスの運転は非常に乱暴で、車線を無視し、猛スピードで走行中に降車ドアが突然開いたり、乗客が乗車し終わらないうちに発車したりすることがよくありますので、振り落とされないよう注意が必要です。高齢者や障害のある方はバスの乗車は避け、レミースかラジオタクシーを利用することをおすすめします。
(3)運転免許証等
アルゼンチンでは、日本で取得した国際運転免許証で運転することが可能です。実際に運転する際は、歩行者のマナーが悪いため、十分注意してください。ブエノスアイレスの歩行者は車の行き交う中、平気で車道を横断します。また、交差点近くでは「窓ふき人」や「物売り」、「大道芸人」が車道に出てきて小銭を要求してきますので、事故に遭わないよう注意してください。
10 賭博・売買春等
国が指定する賭博場以外での賭博行為や、売買春行為、泥酔状態での歩行と飲酒運転等は処罰の対象となります。
11 在留届
アルゼンチンに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡等に必要ですので、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )を通じて、在アルゼンチン日本国大使館に「在留届」を提出してください。日本から転居する場合には、住所が決まっていなくても、日本出発の3か月前からオンライン提出が可能です。この他、住所その他届出事項に変更が生じたときは「変更届」を、日本への帰国や他国に転居する際には「帰国・転出届」を、在留届電子届出システムを通じて必ず提出してください。
12 たびレジ
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(外の在留地から第三国への短期渡航も含 む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、アルゼンチンで事件や事故、自然災害等が発生し、在アルゼンチン日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。
13 ハーグ条約
アルゼンチンは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去り、または留置した場合は、原則的に子が元の常居所地国に返還されることとなります。ハーグ条約についての詳細はこちらのページをご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html- 風俗、習慣、健康等
1 世界の医療事情
外務省ホームページ「世界の医療事情」において、アルゼンチン国内の衛生・医療事情等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/cs_ame/argentin.html
その他、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。
◎感染症情報(https://www.forth.go.jp/ )
2 医薬品の持込み、持出し
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省以下のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html
3 海外旅行保険
海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません。
旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、緊急移送費を含む十分な補償内容の海外旅行保険への加入を強くおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。- 緊急時の連絡先
1 警察
(1)「911」および「101」を使用できる地域
首都ブエノスアイレス市を含むブエノスアイレス州全域、サンタフェ州およびサンルイス州。
(2)「911」のみ使用できる地域
メンドーサ州、サルタ州およびサンファン州
(3)「101」のみ使用できる地域
上記(1)および(2)に該当しない各州
※911:警察・救急・消防の区別なく通話可能な緊急事態連絡番号
※101:地域を管轄する警察と通話するための番号
2 救急:107
3 消防:100
4 在アルゼンチン日本国大使館:+54(市外局番11)4318-8200
(閉館時は、緊急事態に対応する番号を案内)- 問い合わせ先
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)5145
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○領事局政策課(感染症関連)(内線)4919
○領事局ハーグ条約室(一般案内窓口)03-5501-8466
○外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地大使館連絡先)
○在アルゼンチン日本国大使館
住所:Bouchard 547 Piso-17、 Buenos Aires、 Argentina
電話:(市外局番011)4318-8200
国外からは(国番号54)-11-4318-8200
FAX:(市外局番011)4318-8210
国外からは(国番号54)-11-4318-8210
ホームページ:https://www.ar.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。