キプロス
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
1 キプロスは、1974年、トルコ軍による侵攻後、南北に分断されています。北部地域「北キプロス・トルコ共和国(以下「北キプロス」)」、はトルコ系住民が支配しており、キプロス政府の実効支配が及んでいません。現在は、一定の制限をつけた上で、観光客を含む全ての人々の「北キプロス」への入域が認められています。しかし、トルコ以外の各国は「北キプロス」の独立を承認していないため、同地域内で公的活動を行うことはできません。したがって、この地域で日本人がトラブルに巻き込まれた場合、保護活動が非常に困難ですので、同地域への渡航には十分な注意が必要です。
首都ニコシア市をはじめ、キプロスの各都市の治安は比較的良好です。ただし、都市部では、置き引きや空き巣等の窃盗事件や強盗事件、飲食店(バー)において法外な料金を請求される、いわゆる「ぼったくり」の被害事例も散見されますので、以下の基本的な防犯対策をとるよう心掛けてください。
2 キプロスにおける基本的な防犯対策
* 不測の事態に備え、緊張感を維持しつつ周囲の状況に気を配るよう心掛ける。
* 危険と思われる地域に立ち入らない。
* 多額の現金を持ち歩かない。
* 貴重品は分散し、必ず身につける。
* 周囲の雰囲気や環境に配慮した服装、行動を心掛ける。
* 暴力的な言動をとらず、いさかいを避ける。
* パターン化した行動(散歩時間や経路のパターン化等)を避ける。
* 最寄りの警察署の所在地を確認し、緊急の際にはただちに足を運べるようにしておく。
* 盗難保険等各種保険に加入し、安心して渡航・滞在できる状況を作っておく。
3 テロ・誘拐
テロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_193.html )をご確認ください。
※ 在留邦人向け安全の手引き
在キプロス日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.cy.emb-japan.go.jp/files/100467941.pdf )もご参照ください。- 査証、出入国審査等
(手続や規則に関する最新の情報・より詳細な情報は、駐日キプロス大使館(電話番号は03-6432-5040/1/2)までお問い合わせください。)
1 査証
日本とキプロスの間には、査証免除取極が結ばれていますので、3か月以内の観光や商用等の短期滞在の場合には、入国の際に査証を取得する必要はありません。3か月以上の長期滞在をする場合はあらかじめ査証を取得する必要があります。
2 出入国審査
旅券(パスポート)を入国係官に提示すると、入国印が押されます。出国の際も同様にパスポートを提示して出国手続を行いますが、その際、係官は必ず入国印の有無を確認しますので、入国の時に入国印が押されたことを確認してください。なお、空港使用料は航空券の料金に含まれているため、空港で別途支払う必要はありません。
3 現金等の持込み・持出し申告
1万ユーロ相当額以上の現金やそれに準ずるもの(有価証券等)を持ち込んだり、持ち出したりする場合は、税関への申告が必要です。無申告で同相当額以上の現金等が発見された場合、差押えや没収、また、処罰の対象となる可能性があります。
4 通関
(1)税関検査
通関は自己申告制ですが、時々抜き打ち検査があります。電気製品、精密機械類を持ち込む場合、税金を支払って持ち込む方法と、出国時に持ち出すことを条件に入国の際、パスポートに機種名等の記載を受けて無税で持ち込む方法があります。なお、農産物の持込みは禁止されています。
(2)商用品・職業用具の持込み
全ての商用品および職業用具については、課税申告手続きを行う必要があります。展示会出品貨物・商品サンプル・職業用具(取材用カメラ、パソコン、楽器等の高額機材)については、日本出国前にATAカルネ(※)を取得するなど必要な手続きを行った上で入国する必要がありますが、詳細については、駐日キプロス大使館(電話番号は03-6432-5040/1/2)等にお問い合わせください。
※ATAカルネとは、世界の主要国の間で結ばれている「物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)」に基づく国際的制度による通関用書類のことです。詳しくは日本国税関ホームページをご確認ください。
http://www.customs.go.jp/kaigairyoko/atacarnet.htm
(3)医薬品の持込み、持出し
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省の次のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html- 滞在時の留意事項
1 在留届
キプロスに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡等に必要ですので、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )を通じて、在キプロス日本国大使館に「在留届」を提出してください。日本から転居する場合には、住所が決まっていなくても、日本出発の3か月前からオンライン提出が可能です。
この他、住所その他届出事項に変更が生じたときは「変更届」を、日本への帰国や他国に転居する際には「帰国・転出届」を、在留届電子届出システムを通じて必ず提出してください。
2 たびレジ
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外の在留地から第三国への渡航も含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報等を日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、キプロスで事件や事故、自然災害等が発生し、在キプロス日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。
3 旅行者の入域制限
国連キプロス平和維持部隊(UNFICYP)駐屯地および英国軍基地以外、原則として立入りが制限される場所はありません。
4 「北キプロス」への入域
(1)キプロス政府は、国連が管理する緩衝地帯を挟んで北側に位置する北キプロス地域に、外国人が国内数か所のチェックポイントを通過して訪問することを認めています。チェックポイントを通過する際には旅券の提示が求められます。
(2)キプロス政府は、同国に入国する旅行者が「北キプロス」の空港・港を経由して入国することを違法としており、旅行者は合法的な入国施設経由で旅行することが求められます。キプロス政府が合法と認める入国ポイントは、ラルナカおよびパフォスの空港ならびにラルナカ、リマソール、ラチおよびパフォスの港です。
※「北キプロス」への入国に関する一般情報
https://www.mof.gov.cy/mof/customs/customs.nsf/All/CE196C8D52E696D4C22582DC0022F7D6/$file/8662004_EN.pdf?OpenElement
(3)キプロス政府は、到着時の入国審査の段階で、「北キプロス」の宿泊施設に滞在することが判明した場合および「北キプロス」で開催される公的行事に出席することが判明した場合、入国を拒否することがあります。また、「北キプロス」で不法に占有されたギリシャ系地主の土地に建設された宿泊施設に滞在することは、所有者によって法的措置が取られる可能性があることを注意喚起しています。
※キプロス政府が示す「北キプロス」で違法に建築されている宿泊施設
https://www.cy.emb-japan.go.jp/files/100133499.pdf
(4)日本政府は「北キプロス・トルコ共和国」の独立を承認しておらず、ニコシアの在キプロス日本国大使館は、同地域で保護活動を行うことは非常に困難ですので、「北キプロス」への入域および滞在に関しては十分注意してください。
5 写真、ビデオ撮影
空港、港湾、軍事施設等がある特定の地区では、写真やビデオの撮影は厳に禁止されています。撮影した場合は、当局に逮捕、拘束されますので注意が必要です。その他の地区では、特に撮影が禁止されているところはありませんが、特定の区域や施設では許可制になっていることもありますので、判断に迷う場合はあらかじめ係員等に確認してください(撮影が許可されている場合でも、フラッシュ禁止の場合が多くありますので注意してください)。
6 違法薬物
麻薬を取り締まる法律は厳しく、罰則の最高は終身刑となっています。麻薬(大麻、大麻樹脂等)やこれに類似したものの持込みは禁止されています。キプロス滞在中に好奇心等から、勧められるままに不用意に麻薬を入手したり、使用したりすると厳しく罰せられます。
7 就労許可
キプロスで外国人が就労許可を取得することは困難です。既に就労許可を得ている外国人の場合でも、許可更新の際には厳しい審査が行われます。不法就労していることが発覚した場合は、罰金または禁固刑が科されます。
8 骨董品等の国外への持出し
骨董品、模造品等を購入するときは、国外持出し、日本国内への輸入が可能か事前に確認しておく必要があります。特に、100年以上前の古美術品もしくは考古学品を海外に持ち出す際は、通信・公共事業省古美術局(Department of Antiquities, Ministry of Communication and Work)の許可が必要です。
9 子の連れ去り
キプロスにおいては、親権を持つ親であっても、他の親権者の同意を得ずに子の居所を移動させること(親が日本へ帰国する際に子を同行する場合を含む)は、子を誘拐する行為として重大な犯罪となる可能性があります。他の国においては、外国人配偶者の意に反して、子とともに日本に帰国した日本人が子を誘拐した犯罪被疑者として海外で逮捕された事案もあるなど、犯罪者として国際手配される可能性もありますのでご注意ください。
10 ハーグ条約
キプロスは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去りまたは留置した場合は、原則的に子が常居所地国に返還されることとなります。ハーグ条約についての詳細はこちらのページをご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html- 風俗、習慣、健康等
1 宗教、風俗、習慣
地方では、今でもキプロスの古い風俗や習慣を守っているところが多くあります。特にギリシャ正教に対する信仰は厚く、宗教にまつわる風俗、習慣、諸行事に対しては十分敬意を払う必要があります。
2 衛生
キプロスの衛生状態は概ね良好であり、医療機関も一定のレベルにあります。
3 医療事情
「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/europe/cyprus.html )において、キプロス国内の衛生・医療事情等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。
その他、必要な予防接種等については、次の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。
https://www.forth.go.jp/
4 海外旅行保険への加入
海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが多くあります。
旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。- 緊急時の連絡先
◎警察、救急車、消防:電話199または112
《主な警察署》
・ニコシア警察署:電話22-802020
・ラルナカ警察署:電話24-804040
・リマソール警察署:電話25-805050
・パフォス警察署:電話26-806060
・ラルナカ空港警察署:電話24-804672
◎深夜営業の薬局案内:電話ニコシア90901412、ラルナカ90901414、リマソール90901415、パフォス90901416- 問い合わせ先
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)2853
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○領事局政策課(感染症関連)(内線)4919
○領事局ハーグ条約室(一般案内窓口)03-5501-8466
○外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地公館連絡先)
○在キプロス日本国大使館
住所:5 Esperidon, Strovolos, 2001, Nicosia, Cyprus
電話:22-394800
国外からは(国番号357)22-394800
FAX:22-319077
国外からは(国番号357)22-319077
ホームページ:https://www.cy.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。