ミャンマー
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
1 治安概況
(1)ミャンマーは比較的治安の良い国であると認識されてきましたが、2021年の軍事クーデター以降、政治・治安情勢が大きく変化したため、十分な注意が必要です。
ヤンゴン市内において、クーデター直後に見られたような抗議デモは、その後の国軍の厳しい取締りによって、ほとんど見られなくなっています。一方で、ヤンゴン市内であっても、民主派勢力による、国軍や警察等を狙った攻撃や爆発事案が散発しています。
日本人を含む外国人は、こうした攻撃の標的になってはいませんが、不測の事態に巻き込まれないよう、軍施設や警察署のほか、政府関連施設へは近づかない等、身の回りの安全確保に留意が必要です。
(2)ミャンマーは独立以来、国内紛争を抱えている国でもあります。かつては国境地帯の地方部での少数民族武装組織と国軍との戦闘に限定されていましたが、クーデター後は、民主派武装勢力も加わった形で、反体制の戦闘が全国的に拡大しています。
特に、2023年10月末以降は反体制側の攻勢が増しており、これに対して国軍は2024年4月に徴兵制の導入に踏み切るなど、治安情勢は極めて流動的です。したがって、地方への不要不急の旅行は控えるとともに、戒厳令の対象地区(ヤンゴンを除く)への渡航は、どのような目的であれ中止してください。
(3)こうした国内の治安情勢を踏まえ、外務省はミャンマー全土に対して危険情報「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」または「レベル2:不要不急の渡航は止めてください。」を発出しています。ミャンマーへの渡航の是非を慎重に検討するとともに、渡航する場合には十分な安全対策を講じてください。
○海外安全ホームページ(危険情報:ミャンマー)
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2024T026.html#ad-image-0
2 日本人の被害例
近年、以下のような日本人が巻き込まれる事件が報告されています。
(1)2019年10月の夜間帯、ヤンゴン市において、在留邦人の男性がヤンゴン市内ダウンタウン地区を観光中に自動車に乗った男に突然殴られ、現金や貴重品の入ったバッグをひったくられた。
(2)2020年11月、夕方、在留邦人がマンダレー市内を自転車で移動中、バイクに乗車した若者にバッグを強奪された。
(3)2021年4月の昼間帯、ヤンゴン市において、在留邦人の男性がダウンタウン地区ダゴン付近を徒歩で買い物中に、後をつけてきた複数の男性から「あなたから受け取ったお金が破れていたので、交換して欲しい。」と言われ、財布を取り出したところ、財布を奪われた(他にも、同様の手口2件発生)。
(4)2021年6月の昼間帯、ヤンゴン市において、在留邦人の男性がバハン地区を徒歩で買い物中に、後をつけてきた複数の男に囲まれ、現金を奪取された。
(5)2023年1月、午後9時頃、ヤンゴン市内ダウンタウン地区において、日本人男性2人が飲食店で飲酒後に徒歩で移動中、男4人に刃物で襲われ、携帯電話等を強奪された。
3 防犯対策
一般的な防犯対策は以下のとおりです。また、常に最新の治安状況の情報収集に努めるとともに、十分な安全対策を行い、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
(1)一般防犯対策
ア 移動はできる限り車両を使用し、やむを得ず徒歩移動をする場合は、二人以上で行動するよう心掛ける。特に、夜間や早朝の単独行動、女性一人でのタクシー利用や一人歩きは避ける。
イ ミャンマーのタクシーは料金交渉制。料金トラブルを避けるため、流しのタクシーの利用は極力避け、なるべく配車アプリを利用(配車アプリではタクシーを呼ぶ際に事前に料金が表示され、車両番号や運転手氏名や連絡先の情報も表示されるので、流しのタクシーを利用するよりも安心)。
ウ 長距離を移動する際には、陸路は避け、可能な限り空路を利用する。
エ ポケットからはみ出る長財布等の貴重品はかばんの奥に入れる。バッグやリュックは正面に抱えるなど手前側にして使う。
オ 所持品から目を離さない。
カ 見知らぬ人に話しかけられても、むやみに信用しない。
キ 外出の際は必要以上の金銭を持ち歩かない。
ク 爆発事案等の発生現場になりやすいため、国軍、警察、行政施設には決して近寄らず、また、これらの施設の写真撮影はしない。
ケ 抗議デモなどに遭遇した際には、拘束に巻き込まれる可能性があるため、その場から速やかに立ち去る。絶対に撮影をしない。
コ 飲酒時等、不用意な発言でミャンマー人と口論にならないよう気をつける。特に政治、宗教および民族に関する発言には注意が必要する。
(2)被害に遭った場合
ア 万一被害に遭った場合、犯人は凶器を所持していることもあるため、抵抗しない。
イ 仮に付近で爆発事案が発生した場合、同じエリア内で複数の爆発物が時間差で爆発する可能性があることから、現場には絶対に近づかず、ホテルなど速やかに安全な場所に移動する。
4 テロ・誘拐対策
テロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢
( https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_018.html )をご確認ください。
※ 在留邦人向け安全の手引き
在ミャンマー日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」
( https://www.mm.emb-japan.go.jp/itpr_ja/SafetyGuide.html )もご参照ください。- 査証、出入国審査等
査証申請手続や法令・規則に関する最新の情報については、駐日ミャンマー大使館(電話:03-3441-9291、FAX:03-3447-7394、ホームページ:http://www.myanmar-embassy-tokyo.net/ )にご確認ください。
1 査証
ミャンマーに入国するには、事前に査証を取得する必要があります。ミャンマーの査証には、観光査証(最長28日間)、商用査証(70日)等があります。
観光および商用目的で入国する場合、駐日ミャンマー大使館で査証申請をする、または事前にインターネットで査証申請・承認を受け、同空港到着時に査証発給を受けることができるオンラインビザ(e-VISA)システムの利用が可能です。詳細は駐日ミャンマー大使館ホームページ等でご確認ください。
なお、いずれの申請についても、ミャンマー入国時に旅券の有効期間が6か月以上残っていることおよび査証頁が2ページ以上残っていることが条件となっていますので、注意してください。
2 外貨申告
ミャンマーでは為替管理が厳しく、10,000米ドル相当額以上の外貨を持ち込む場合には、入国の際に「税関申告書(CUSTOMS DEPARTMENT PASSENGER DECLARATION FORM)」による申告が義務付けられており、近年税関職員による厳しい取り締まりが行われています。
3 通関
(1)携行品申告
入国の際には、手荷物は原則としてX線検査を受け、必要に応じ開披検査が行われます。入国時に申告が必要な物品は、「税関申告書(CUSTOMS DEPARTMENT PASSENGER DECLARATION FORM)」には具体的に記載されていませんが、400本を超えるたばこ、2Lを越える酒類、香水150ml、宝石、貴金属類の他、カメラ、パソコン等の電化製品やゴルフセットを2セット以上携行している場合、32インチ以上のテレビを携行している場合、その他500 ドルを越える携行品がある場合は申告が義務付けられています。
(2)持込み禁止品
武器・弾薬類、麻薬をはじめとする違法薬物類は日本と同様に禁制品であり、偽造通貨やポルノ関係の品物、トランプ、模倣品の持込みは禁止されています。
(3)持出し禁止品等
国営店または政府公認店以外で買った宝石類を国外に持ち出すことはできません。宝石類を購入した場合は、必ず販売店が発行する証明書を入手し、空港で提示できるようにしてください。無断で持ち出そうとした場合には、没収の上、処罰(6か月以上の懲役)されることがあります。また、入国時に申告した物品は、出国の際に税関において税関申告書との照合を受けてから持ち出す必要があります。
4 両替等
現地通貨への両替は空港内両替所、市内の銀行や政府公認両替所および主要ホテル等で可能です。米ドル札は、汚れや折り目がついているものは、受け取りを拒否されますので、新札と同様の綺麗な紙幣を準備する必要があります。また紙幣番号がCBで始まる米ドル紙幣も受け取りを拒否されます。
日本円から現地通貨への両替は一般的ではないため、ミャンマーにおいて両替可能な通貨(米ドル等)をあらかじめ準備の上、持参することをおすすめします。 ミャンマー国内の規制により現地で外貨を入手することは困難です。
なお、ミャンマーでは、クレジットカードで支払い可能な店舗は限定されています。主要ホテルや日系、高級レストラン等の一部店舗では使用することができますが、通常高い手数料を徴収されます。
5 違法薬物及び処方薬の携行
(1)違法薬物
違法薬物に対する取締りについては、厳しい罰則規定があります。麻薬を外国から持ち込んだ場合や所持していた場合で、重大・悪質と判断されると、死刑を宣告されることもあります。
(2)処方薬の携行にあたっての留意事項
日本で合法的に処方された薬であっても、薬に含まれる成分、含有量などにより、所持しているだけで、ミャンマーの法令上、違法と判断され、重罪に問われる場合があります。処方薬を持ち込む際は、事前に厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html )や在京ミャンマー大使館に確認してください。
主な制限薬の例:(Alprazolam(アルプラゾラム)、Bromazepam(ブロマゼパム)、Clonazepam(クロナゼパム)、Clobazam(クロバザム)、Chlordizzepoxide(クロルジアゼポキシド)、Diazepam(ジアゼパム)、Ketamine(ケタミン)、Loradiazepoxide(ロラゼパム)、Midazolam(ミダゾラム)、Nitrazepam(ニトラゼパム)、Phenobarbital(フェノバルビタール)、Zolpidem(ゾルピデム)など(2018年12月現在)。- 滞在時の留意事項
1 外国人登録
ミャンマーに90日以上滞在する外国人は、入国管理・人口省での外国人登録が必要です。
2 旅行制限区域
ミャンマー政府は、安全上の理由等から、国境と接している州を中心に一部地域を外国人の立ち入りを禁止する「旅行制限区域」に指定しています。
仕事などでこれら制限区域への渡航を検討する場合には、事前に旅行代理店等を通じ、ミャンマー政府の許可を取得する必要があります。また、仮に旅行許可を取得できた場合でも、出発前には再度目的地周辺の治安情報を確認するとともに、渡航にあたっては信頼のできる現地事情に詳しい人を同行させるなど、十分な安全対策を講じてください。
ミャンマーについての危険情報は、外務省の海外安全ホームページ(http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_018.html#ad-image-0 )をご覧ください。
3 写真撮影禁止施設等
軍および警察関係施設、港湾や橋梁等は原則として写真撮影禁止とされています。また、軍人や警察官などを撮影することやカメラを向けることも控えてください。
4 交通事情
交通マナー、道路整備状況、自動車整備状況など、日本と比較して良いとは言えません。信号のない交差点では四方向から車が進入し身動きがとれなくなったり、幹線道路の反対車線を走行したり、センターラインを越えて走行することも日常茶飯事です。
また、歩行者優先が徹底されていないため、自動車が歩行者の横断を妨害することが常態化しており、さらには歩行者も所構わず車の流れをぬって横断するため、交通事故が起こりやすい状況です。
車利用の際は、シートベルトを着用し、スピードを出しすぎないよう注意するとともに、街中を徒歩で移動する際には周囲の車の動きに細心の注意を払う必要があります。
5 在留届
ミャンマーに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡等に必要ですので、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )を通じて、在ミャンマー日本国大使館に「在留届」を提出してください。日本から転居する場合には、住所が決まっていなくても、日本出発の3か月前からオンライン提出が可能です。
この他、住所その他届出事項に変更が生じたときは「変更届」を、日本への帰国や他国に転居する際には「帰国・転出届」を、在留届電子届出システムを通じて必ず提出してください。
6 たびレジ
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外の在留地から第三国への短期渡航も含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、ミャンマーで事件や事故、自然災害が発生し、在ミャンマー日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。- 風俗、習慣、健康等
1 風俗・習慣
ミャンマー国民の多くは仏教への信仰心が厚いため、反仏教的な言動は避ける必要があります。パゴダ(寺院)の境内に入る際は、必ず裸足にならなければならず、露出の多い服装で入ることはできません。これを無視することは、仏教に対する不敬とされています。また、左手は不浄とされているので、握手や物品の授受には左手を使用しないこと、人の頭に手を置くことは嫌われるので、安易に子供の頭を撫でたりしないこと等にも注意が必要です。
2 医療事情
(1)一般事情
一般的にミャンマーの医療水準は低く衛生状態も良いとは言えません。最近では、設備の整った外国人専用窓口のある私立病院も開設されていますが、日本では容易に受けられる手術でさえ対応できないなど、ミャンマーの医療設備は先進諸国と比べて遅れています。
ミャンマーにおける衛生・医療情報については、次の「世界の医療事情」で詳しく案内していますので、渡航までには必ずご覧ください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/myanmar.html
(2)海外旅行保険等
こうしたミャンマーの医療事情により、手術や集中治療を要する病気やケガの場合は、日本等へ緊急搬送されることが多いため、国外への緊急移送を含めた十分な保証内容の海外旅行保険に加入することをおすすめします。海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )もご確認ください。
なお、保険証券番号とパスポート番号は常に控えるとともに、原本の保管場所を同行者や家族等が把握しておくなど、緊急時に備えておいてください。
(3)予防接種等
必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。
◎感染症情報 http://www.forth.go.jp- 緊急時の連絡先
(ヤンゴンの市外局番は01)
○ 警 察 電話 199
警察署 バハン警察署 電話 554630
カマユ警察署 電話 534304
マヤンゴン警察署 電話 660352
サンジャウン警察署 電話 535184
ヤンゴン観光警察(Tourist Police)電話 379991
交通事故 ヤンゴン地域警察本部 電話 199
交通警察本部 電話 298651
交通警察本部分署(無料救急車付) 電話 500005
ネーピードー交通警察 電話 067-413854
○ 消 防 電話 191
○ 救 急 電話 192 (繋がらないことが多い)
Yangon Rescue Organization (YRO) 電話 09-421166787、09-260614464
Myanmar Ambulance Network 電話 09-5401677
※ その他、基本的に受診先の病院に救急車を依頼します(有料)。病院の連絡先等は、「世界の医療事情」(http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/myanmar.html )をご参照ください。- 問い合わせ先
○ 外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902、2903
(外務省関連課室連絡先)
○ 領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)2853
○ 領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○ 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地大使館連絡先)
○ 在ミャンマー日本国大使館
住 所:No.100 Natmauk Road, Bahan Township, Yangon, The Republic of the Union of Myanmar
電 話:(市外局番01)549644~549648
国外からは(国番号95)-1-549644~549648
FAX :(市外局番01)549643
国外からは(国番号95)-1-549643
ホームページ:https://www.mm.emb-japan.go.jp/itprtop_en/index.html
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。