危険情報
イランの危険情報【危険レベル引き上げ】
更新日 2025年06月13日
危険レベル・ポイント
【危険レベル】
●パキスタンとの国境地帯
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
●ケルマンシャー州及びイーラーム州のイラクとの国境地帯
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
●イラク(上記を除く)及びアフガニスタンとの国境地帯
●シスタン・バルチスタン州(チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域並びにアフガニスタン及びパキスタンとの国境地帯を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●首都テヘラン含む、上記地域を除く全地域
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
【ポイント】
●6月13日(現地時間)、イスラエルによるイランに対する攻撃が行われ、首都テヘラン含む国内の複数箇所で爆発がありました。イスラエル政府関係者は脅威が取り除かれるまでイランへの攻撃を継続すると述べた旨報じられている他、今回の攻撃を受けてイランがイスラエルに対する攻撃を実施したと報じられている等、事態は緊迫しています。
●このような状況を受け、首都テヘラン、シスタン・バルチスタン州チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、及びケルマーン州他の地域の危険レベルを3(渡航中止勧告)に引き上げます。これにより、イラン全土の危険情報がレベル3(渡航中止勧告)またはレベル4(退避勧告)となりますので、イランへの渡航は止めてください。既に滞在中の方は、自らの安全確保に努めつつ、商用便の運航状況を確認の上、出国することを検討してください。やむを得ず滞在する場合には、複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、十分な安全対策を講じてください。
●パキスタンとの国境地帯
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
●ケルマンシャー州及びイーラーム州のイラクとの国境地帯
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
●イラク(上記を除く)及びアフガニスタンとの国境地帯
●シスタン・バルチスタン州(チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域並びにアフガニスタン及びパキスタンとの国境地帯を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●首都テヘラン含む、上記地域を除く全地域
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
【ポイント】
●6月13日(現地時間)、イスラエルによるイランに対する攻撃が行われ、首都テヘラン含む国内の複数箇所で爆発がありました。イスラエル政府関係者は脅威が取り除かれるまでイランへの攻撃を継続すると述べた旨報じられている他、今回の攻撃を受けてイランがイスラエルに対する攻撃を実施したと報じられている等、事態は緊迫しています。
●このような状況を受け、首都テヘラン、シスタン・バルチスタン州チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、及びケルマーン州他の地域の危険レベルを3(渡航中止勧告)に引き上げます。これにより、イラン全土の危険情報がレベル3(渡航中止勧告)またはレベル4(退避勧告)となりますので、イランへの渡航は止めてください。既に滞在中の方は、自らの安全確保に努めつつ、商用便の運航状況を確認の上、出国することを検討してください。やむを得ず滞在する場合には、複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、十分な安全対策を講じてください。
詳細
【詳細】
1 概況
(1)6月13日(現地時間)、イスラエルによるイランに対する攻撃が行われ、首都テヘラン含む国内の複数箇所で爆発がありました。イスラエル政府関係者は脅威が取り除かれるまでイランへの攻撃を継続すると述べた旨報じられている他、今回の攻撃を受けてイランがイスラエルに対する攻撃を実施したと報じられている等、事態は緊迫しています。
このような状況を受け、首都テヘラン、シスタン・バルチスタン州チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、及びケルマーン州他の地域の危険レベルを3(渡航中止勧告)に引き上げます。これにより、イラン全土の危険情報がレベル3(渡航中止勧告)またはレベル4(退避勧告)となりますので、イランへの渡航は止めてください。既に滞在中の方は、自らの安全確保に努めつつ、商用便の運航状況を確認の上、出国することを検討してください。やむを得ず滞在する場合には、複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、十分な安全対策を講じてください。
(2) 対米関係に関する情勢として、2020年1月3日、イランのソレイマニ革命ガード・コッヅ部隊司令官が米国の空爆によりイラクのバグダッド空港付近で殺害され、2024年1月3日には同司令官の殺害から4周年を迎えたものの、大規模な反米抗議活動は発生していません。
一方で、2023年10月7日にハマスによるイスラエルに対する大規模攻撃が実施されて以降、米・イラン双方がガザ情勢への介入を強くけん制しています。こうした状況下において、シリア・イラク・ヨルダン所在の米軍基地等が親イランとみられる勢力に相次いで攻撃を受け、ヨルダンでは米兵3名が死亡するなど両国間の緊張の高まりが懸念されます。
また、紅海上では同海域を航行する船舶に対し、イランの支援が指摘される武装勢力(ホーシー派)による攻撃が継続していることを受け、米国や英国等がイエメンに対する空爆を実施するなど、イランを取り巻く地域情勢も予断を許さない状況です。
(3)デモに関する情勢として、当地では長らく続く米国による経済制裁により、極めて厳しい経済状況が先行きの見えない状況下で継続しており、平素から食料価格の高騰、賃上げ等の待遇改善等を訴える抗議活動が全国で散発的に発生しています。
こうした中、2022年9月以降、イランにおいて、ヘジャブの着用が不適切だとして拘束された女性の死亡を発端として、長期間にわたってテヘラン他イラン各都市の主要道路・広場・大学において抗議活動が散発的に発生し、複数の死傷者や拘束者が発生しました。
同抗議活動については、抗議が発生した9月16日について、2023年、2024年に大きな抗議活動は見られず、沈静化していますが、イラン国内でのヘジャブ未着用者等に対する摘発強化は現在も継続しているため、引き続き十分な注意が必要です。
(4) テロに関する情勢として、イランは、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」からこれまで複数回テロの標的になっています。
2017年6月7日、首都テヘランの国会事務所建物及びイマーム・ホメイニ廟周辺において、18人が死亡、約50人が負傷するテロ事件が発生し、ISILが犯行声明を発出しました。また、2022から2023年には、南部のファールス州シーラーズの霊廟で2件の銃撃事案があり、ISILが犯行声明を出しました。さらに、2024年1月3日、イラン南東部ケルマーン州ケルマーン市にある殉教者墓地(2020年1月に米軍によって殺害されたソレイマニ革命ガード司令官の墓地が存在)付近で2名のテロリストが自爆し、同司令官の命日の追悼で集まっていた参列者を中心に84名が死亡、数百名が負傷する事案があり、ISILが犯行声明を出しました。イスラム革命後のイランにおけるテロとしては最多の死傷者数であったとされます。
ISIL以外のテロ情勢では、イラン南東部(シスタン・バルチスタン州)や西部・北西部のイラク・トルコ国境付近において、分離主義組織がイラン治安当局と交戦する事案が発生しています。特に、シスタン・バルチスタン州では、2024年4月3日に同州チャーバハール市及びラースク市において、警察や軍事施設が襲撃されるテロ事件が発生し、バルーチ系スンニ派反政府組織武装組織「ジェイシュ・アルアドル」が犯行声明を発出しました。イラン国内では、イランの治安関係者ら3名が死亡したと報じられていますが、「ジェイシュ・アルアドル」側は200人以上の軍関係者を殺傷したと犯行声明で主張しています。
(5)これまでに、イランにおいてテロ事件による日本人の被害は確認されていませんが、日本人・日本権益がテロ等の標的となる可能性は否定できません。イランではISIL等のテロ組織が活動している状況を十分に認識し、テロ等に巻き込まれることがないよう、常に注意が必要です。また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
(6)イランでは、犯罪件数等に関する統計が公表されていませんが、国内の広い範囲での殺人、強盗、窃盗、性犯罪等の発生が多数報じられており、一般犯罪にも十分な注意が必要です。
2 地域情勢
各地域の情勢は上記1に加え、以下のとおりです。
(1)パキスタンとの国境地帯
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
パキスタンとの国境地帯においては、イラン治安当局と麻薬密輸組織・テロ組織との衝突・交戦が頻繁に発生しており、治安情勢が極めて不安定です。
ついては、同地域への渡航は、どのような目的であっても止めてください。既に同地域に滞在している方は、在イラン大使館と緊密に連絡を取りつつ、直ちに安全な地域へ退避してください。
(2)ケルマンシャー州及びイーラーム州のイラクとの国境地帯
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
ケルマンシャー州及びイーラーム州のイラクとの国境地帯においては、イラン治安部隊とクルド系分離主義組織「クルド自由生活党」(PJAK)等との間で衝突が発生しているほか、ISIL関係者の摘発も複数報じられています。また、両州と国境を接するイラク側にも危険レベル4(退避勧告)が発出されています。イラク国内の不安定な治安情勢がイラン側の治安にも悪影響を及ぼす可能性があることから、イラク情勢についても十分に警戒する必要があります。
ついては、同地域への渡航は、どのような目的であっても止めてください。既に同地域に滞在している方は、在イラン日本国大使館と緊密に連絡を取りつつ、直ちに安全な地域へ退避してください。
(3)イラク及びアフガニスタンとの国境地帯(上記を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
イラク及びアフガニスタンの不安定な治安情勢の影響を受けて、イラク及びアフガニスタンとの国境地帯においては、不測の事態が発生するおそれがあります。ISIL等のイスラム過激派の動向等、治安情勢は予断を許さない状況にあります。
ついては、同地域への渡航は、どのような目的であっても止めてください。既に同地域に滞在している方は、今後の情勢によっては退避が必要となる場合もあり得ますので、在イラン日本国大使館と緊密に連絡を取るようにしてください。
(4)シスタン・バルチスタン州(チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、並びにアフガニスタン及びパキスタンとの国境地帯を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
シスタン・バルチスタン州(チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、並びにアフガニスタン及びパキスタンとの国境地帯を除く)では、国境警備隊の増員等の治安対策がとられていますが、治安当局と麻薬密輸組織との衝突が発生するなど、治安情勢は予断を許さない状況が続いています。また、同州では、「ジェイシュ・アルアドル」と称するスンニ派反政府組織等が政府関係者・治安関係者を標的とするテロを実行しており、特に最近では2023年12月に発生した同州ラースク市所在の警察署への襲撃や2024年4月3日にシスタン・バルチスタン州ラースク市及びチャーバハール市の警察や軍事施設に対して大規模な攻撃xを実施するなど、これまでのところ外国人が被害に巻き込まれた事案は確認されていないものの、引き続き警戒が必要です。
つきましては、同地域への渡航は、どのような目的であっても止めてください。既に同地域に滞在している方は、今後の情勢によっては退避が必要となる場合もあり得ますので、在イラン日本国大使館と緊密に連絡を取るようにしてください。
(5)首都テヘラン他、上記地域を除く全地域
レベル3:渡航は止めてください。(引き上げ)
上記1(1)のとおり、同地域への渡航は止めてください。既に滞在中の方は、自らの安全確保に努めつつ、商用便の運航状況を確認の上、出国することを検討してください。やむを得ず滞在する場合には、複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、十分な安全対策を講じてください。
3 安全確保のための注意事項
(1)イラン・イスラエル間の緊張に伴う不測の事態
やむを得ず渡航・滞在する場合には、渡航期間に応じ在留届またはたびレジの登録を行い、かつ出入国について在イラン日本国大使館と緊密に連絡を取るようにしてください。また、複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、十分な安全対策を講じてください。また、状況によっては早期の出国を検討するなど自らの安全確保に努めてください。
(2)デモ
2022年9月以降、イランにおいて、ヘジャブの着用が不適切だとして拘束された女性の死亡を発端とする抗議活動がテヘラン他イラン各都市で発生し、複数の死傷者や拘束者が発生しました。同抗議活動については、抗議発生1周年となる2023年9月16日に大きな抗議活動は見られず、その後も沈静化していますが、イラン国内でのヘジャブ未着用者等に対する摘発強化は現在も継続しているため、引き続き十分な注意が必要です。万が一デモに遭遇した場合には、以下の点に留意し、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
ア 治安当局にデモ参加者と間違えられる可能性があるため、速やかに現場から離れてください。また、デモの様子等を写真や動画で撮影する行為は、治安当局にあらぬ嫌疑をかけられる可能性があるので、絶対に行わないでください。治安当局に拘束され、政治犯等の疑いをかけられた場合、拘束が長期間に及ぶ可能性があります。
イ 大規模なデモが発生した場合には、逐次関連情報を在イラン日本国大使館のホームページに掲載し、領事メール(在留届、たびレジ登録者対象)を配信しますので、参照してください。また、インターネットが遮断される可能性に備え、携帯電話等の代替通信手段を確保してください。
(3)テロ・誘拐
2017年6月7日、首都テヘランの国会事務所建物及びイマーム・ホメイニ廟周辺において、18人が死亡、約50人が負傷するテロ事件が発生し、ISILが犯行声明を発出しました。また、2024年1月にケルマーン州州都であるケルマーン市所在の殉教者墓地においてISILによる自爆テロ事件が発生し、多数の死傷者が発生しました。ISILは、シーア派国家であるイランに敵対しており、イラン治安当局によりISIL関係者の摘発が行われているものの、イラン国内ではISIL関連のテロ事件が2022年以降3件発生しており、引き続き同様のテロの発生に注意する必要があります。詳細は、「テロ・誘拐情勢」もあわせてご確認ください。(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_046.html)
上記のような状況を十分に認識し、テロ等に巻き込まれることがないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛がけるとともに、下記事項に十分留意してください。
ア 以下の場所がテロの標的となりやすいことを十分認識してください。
観光施設、観光地周辺の道路、記念日・祝祭日等のイベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、映画館等人が多く集まる施設、教会・モスク等宗教関係施設、公共交通機関、政府関連施設(特に軍、警察、治安関係施設)等。
イ 上記に記載した場所を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる、できるだけ滞在時間を短くする等の注意に加え、その場の状況に応じた安全確保に十分注意を払ってください。
ウ 現地当局の指示があればそれに従ってください。特にテロに遭遇した場合には、警察官等の指示をよく聞き冷静に行動するように努めてください。
エ 車両突入の場合
ガードレールや街灯などの遮へい物がない歩道などでは危険が増すので、特に注意してください。
オ コンサート会場、スポーツの競技場等の閉鎖空間
(ア)会場には早めに入る、終了後はある程度時間を置いてから退出するなど、人混みを極力避けるよう努めてください。
(イ)セキュリティの確保されていない会場の出入口付近は危険ですので、こうした場所での人だまりや行列は避け、あらかじめ非常口、避難経路等を確認しておいてください。
(ウ)パニック状態となった群衆の中で負傷するおそれがあることから、周囲がパニック状態になっても冷静さを保つよう努めてください。
カ 爆弾、銃器を用いたテロに遭遇した場合
(ア)事態を感知次第、速やかに頑丈なものの陰に隠れてください。
(イ)周囲を確認し、爆発音、銃声等から離れてください。速やかに低い姿勢を保ちつつ、安全なところに退避してください。
(ウ)閉鎖された空間の場合、群衆が出口に殺到し将棋倒しなどの二次的被害に遭う可能性にも留意してください。
キ 誘拐
外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず注意が必要です。
4 その他
隣国のイラク、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、アフガニスタン及びパキスタンにも「危険情報」が発出されていますので、併せて参照してください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住 所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電 話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)5139
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (フィーチャーフォン版)
(現地大使館連絡先)
○在イラン日本国大使館
住 所:NO.162, Moghadas Ardebili Street, Tehran, Iran
電 話: +98-21-2266-0710
F A X : +98-21-2266-0747
Email :consular@th.mofa.go.jp
ホームページ: http://www.ir.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
1 概況
(1)6月13日(現地時間)、イスラエルによるイランに対する攻撃が行われ、首都テヘラン含む国内の複数箇所で爆発がありました。イスラエル政府関係者は脅威が取り除かれるまでイランへの攻撃を継続すると述べた旨報じられている他、今回の攻撃を受けてイランがイスラエルに対する攻撃を実施したと報じられている等、事態は緊迫しています。
このような状況を受け、首都テヘラン、シスタン・バルチスタン州チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、及びケルマーン州他の地域の危険レベルを3(渡航中止勧告)に引き上げます。これにより、イラン全土の危険情報がレベル3(渡航中止勧告)またはレベル4(退避勧告)となりますので、イランへの渡航は止めてください。既に滞在中の方は、自らの安全確保に努めつつ、商用便の運航状況を確認の上、出国することを検討してください。やむを得ず滞在する場合には、複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、十分な安全対策を講じてください。
(2) 対米関係に関する情勢として、2020年1月3日、イランのソレイマニ革命ガード・コッヅ部隊司令官が米国の空爆によりイラクのバグダッド空港付近で殺害され、2024年1月3日には同司令官の殺害から4周年を迎えたものの、大規模な反米抗議活動は発生していません。
一方で、2023年10月7日にハマスによるイスラエルに対する大規模攻撃が実施されて以降、米・イラン双方がガザ情勢への介入を強くけん制しています。こうした状況下において、シリア・イラク・ヨルダン所在の米軍基地等が親イランとみられる勢力に相次いで攻撃を受け、ヨルダンでは米兵3名が死亡するなど両国間の緊張の高まりが懸念されます。
また、紅海上では同海域を航行する船舶に対し、イランの支援が指摘される武装勢力(ホーシー派)による攻撃が継続していることを受け、米国や英国等がイエメンに対する空爆を実施するなど、イランを取り巻く地域情勢も予断を許さない状況です。
(3)デモに関する情勢として、当地では長らく続く米国による経済制裁により、極めて厳しい経済状況が先行きの見えない状況下で継続しており、平素から食料価格の高騰、賃上げ等の待遇改善等を訴える抗議活動が全国で散発的に発生しています。
こうした中、2022年9月以降、イランにおいて、ヘジャブの着用が不適切だとして拘束された女性の死亡を発端として、長期間にわたってテヘラン他イラン各都市の主要道路・広場・大学において抗議活動が散発的に発生し、複数の死傷者や拘束者が発生しました。
同抗議活動については、抗議が発生した9月16日について、2023年、2024年に大きな抗議活動は見られず、沈静化していますが、イラン国内でのヘジャブ未着用者等に対する摘発強化は現在も継続しているため、引き続き十分な注意が必要です。
(4) テロに関する情勢として、イランは、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」からこれまで複数回テロの標的になっています。
2017年6月7日、首都テヘランの国会事務所建物及びイマーム・ホメイニ廟周辺において、18人が死亡、約50人が負傷するテロ事件が発生し、ISILが犯行声明を発出しました。また、2022から2023年には、南部のファールス州シーラーズの霊廟で2件の銃撃事案があり、ISILが犯行声明を出しました。さらに、2024年1月3日、イラン南東部ケルマーン州ケルマーン市にある殉教者墓地(2020年1月に米軍によって殺害されたソレイマニ革命ガード司令官の墓地が存在)付近で2名のテロリストが自爆し、同司令官の命日の追悼で集まっていた参列者を中心に84名が死亡、数百名が負傷する事案があり、ISILが犯行声明を出しました。イスラム革命後のイランにおけるテロとしては最多の死傷者数であったとされます。
ISIL以外のテロ情勢では、イラン南東部(シスタン・バルチスタン州)や西部・北西部のイラク・トルコ国境付近において、分離主義組織がイラン治安当局と交戦する事案が発生しています。特に、シスタン・バルチスタン州では、2024年4月3日に同州チャーバハール市及びラースク市において、警察や軍事施設が襲撃されるテロ事件が発生し、バルーチ系スンニ派反政府組織武装組織「ジェイシュ・アルアドル」が犯行声明を発出しました。イラン国内では、イランの治安関係者ら3名が死亡したと報じられていますが、「ジェイシュ・アルアドル」側は200人以上の軍関係者を殺傷したと犯行声明で主張しています。
(5)これまでに、イランにおいてテロ事件による日本人の被害は確認されていませんが、日本人・日本権益がテロ等の標的となる可能性は否定できません。イランではISIL等のテロ組織が活動している状況を十分に認識し、テロ等に巻き込まれることがないよう、常に注意が必要です。また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
(6)イランでは、犯罪件数等に関する統計が公表されていませんが、国内の広い範囲での殺人、強盗、窃盗、性犯罪等の発生が多数報じられており、一般犯罪にも十分な注意が必要です。
2 地域情勢
各地域の情勢は上記1に加え、以下のとおりです。
(1)パキスタンとの国境地帯
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
パキスタンとの国境地帯においては、イラン治安当局と麻薬密輸組織・テロ組織との衝突・交戦が頻繁に発生しており、治安情勢が極めて不安定です。
ついては、同地域への渡航は、どのような目的であっても止めてください。既に同地域に滞在している方は、在イラン大使館と緊密に連絡を取りつつ、直ちに安全な地域へ退避してください。
(2)ケルマンシャー州及びイーラーム州のイラクとの国境地帯
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
ケルマンシャー州及びイーラーム州のイラクとの国境地帯においては、イラン治安部隊とクルド系分離主義組織「クルド自由生活党」(PJAK)等との間で衝突が発生しているほか、ISIL関係者の摘発も複数報じられています。また、両州と国境を接するイラク側にも危険レベル4(退避勧告)が発出されています。イラク国内の不安定な治安情勢がイラン側の治安にも悪影響を及ぼす可能性があることから、イラク情勢についても十分に警戒する必要があります。
ついては、同地域への渡航は、どのような目的であっても止めてください。既に同地域に滞在している方は、在イラン日本国大使館と緊密に連絡を取りつつ、直ちに安全な地域へ退避してください。
(3)イラク及びアフガニスタンとの国境地帯(上記を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
イラク及びアフガニスタンの不安定な治安情勢の影響を受けて、イラク及びアフガニスタンとの国境地帯においては、不測の事態が発生するおそれがあります。ISIL等のイスラム過激派の動向等、治安情勢は予断を許さない状況にあります。
ついては、同地域への渡航は、どのような目的であっても止めてください。既に同地域に滞在している方は、今後の情勢によっては退避が必要となる場合もあり得ますので、在イラン日本国大使館と緊密に連絡を取るようにしてください。
(4)シスタン・バルチスタン州(チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、並びにアフガニスタン及びパキスタンとの国境地帯を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
シスタン・バルチスタン州(チャーバハール市及び同市周辺の自由貿易地域、並びにアフガニスタン及びパキスタンとの国境地帯を除く)では、国境警備隊の増員等の治安対策がとられていますが、治安当局と麻薬密輸組織との衝突が発生するなど、治安情勢は予断を許さない状況が続いています。また、同州では、「ジェイシュ・アルアドル」と称するスンニ派反政府組織等が政府関係者・治安関係者を標的とするテロを実行しており、特に最近では2023年12月に発生した同州ラースク市所在の警察署への襲撃や2024年4月3日にシスタン・バルチスタン州ラースク市及びチャーバハール市の警察や軍事施設に対して大規模な攻撃xを実施するなど、これまでのところ外国人が被害に巻き込まれた事案は確認されていないものの、引き続き警戒が必要です。
つきましては、同地域への渡航は、どのような目的であっても止めてください。既に同地域に滞在している方は、今後の情勢によっては退避が必要となる場合もあり得ますので、在イラン日本国大使館と緊密に連絡を取るようにしてください。
(5)首都テヘラン他、上記地域を除く全地域
レベル3:渡航は止めてください。(引き上げ)
上記1(1)のとおり、同地域への渡航は止めてください。既に滞在中の方は、自らの安全確保に努めつつ、商用便の運航状況を確認の上、出国することを検討してください。やむを得ず滞在する場合には、複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、十分な安全対策を講じてください。
3 安全確保のための注意事項
(1)イラン・イスラエル間の緊張に伴う不測の事態
やむを得ず渡航・滞在する場合には、渡航期間に応じ在留届またはたびレジの登録を行い、かつ出入国について在イラン日本国大使館と緊密に連絡を取るようにしてください。また、複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、十分な安全対策を講じてください。また、状況によっては早期の出国を検討するなど自らの安全確保に努めてください。
(2)デモ
2022年9月以降、イランにおいて、ヘジャブの着用が不適切だとして拘束された女性の死亡を発端とする抗議活動がテヘラン他イラン各都市で発生し、複数の死傷者や拘束者が発生しました。同抗議活動については、抗議発生1周年となる2023年9月16日に大きな抗議活動は見られず、その後も沈静化していますが、イラン国内でのヘジャブ未着用者等に対する摘発強化は現在も継続しているため、引き続き十分な注意が必要です。万が一デモに遭遇した場合には、以下の点に留意し、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
ア 治安当局にデモ参加者と間違えられる可能性があるため、速やかに現場から離れてください。また、デモの様子等を写真や動画で撮影する行為は、治安当局にあらぬ嫌疑をかけられる可能性があるので、絶対に行わないでください。治安当局に拘束され、政治犯等の疑いをかけられた場合、拘束が長期間に及ぶ可能性があります。
イ 大規模なデモが発生した場合には、逐次関連情報を在イラン日本国大使館のホームページに掲載し、領事メール(在留届、たびレジ登録者対象)を配信しますので、参照してください。また、インターネットが遮断される可能性に備え、携帯電話等の代替通信手段を確保してください。
(3)テロ・誘拐
2017年6月7日、首都テヘランの国会事務所建物及びイマーム・ホメイニ廟周辺において、18人が死亡、約50人が負傷するテロ事件が発生し、ISILが犯行声明を発出しました。また、2024年1月にケルマーン州州都であるケルマーン市所在の殉教者墓地においてISILによる自爆テロ事件が発生し、多数の死傷者が発生しました。ISILは、シーア派国家であるイランに敵対しており、イラン治安当局によりISIL関係者の摘発が行われているものの、イラン国内ではISIL関連のテロ事件が2022年以降3件発生しており、引き続き同様のテロの発生に注意する必要があります。詳細は、「テロ・誘拐情勢」もあわせてご確認ください。(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_046.html)
上記のような状況を十分に認識し、テロ等に巻き込まれることがないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛がけるとともに、下記事項に十分留意してください。
ア 以下の場所がテロの標的となりやすいことを十分認識してください。
観光施設、観光地周辺の道路、記念日・祝祭日等のイベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、映画館等人が多く集まる施設、教会・モスク等宗教関係施設、公共交通機関、政府関連施設(特に軍、警察、治安関係施設)等。
イ 上記に記載した場所を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる、できるだけ滞在時間を短くする等の注意に加え、その場の状況に応じた安全確保に十分注意を払ってください。
ウ 現地当局の指示があればそれに従ってください。特にテロに遭遇した場合には、警察官等の指示をよく聞き冷静に行動するように努めてください。
エ 車両突入の場合
ガードレールや街灯などの遮へい物がない歩道などでは危険が増すので、特に注意してください。
オ コンサート会場、スポーツの競技場等の閉鎖空間
(ア)会場には早めに入る、終了後はある程度時間を置いてから退出するなど、人混みを極力避けるよう努めてください。
(イ)セキュリティの確保されていない会場の出入口付近は危険ですので、こうした場所での人だまりや行列は避け、あらかじめ非常口、避難経路等を確認しておいてください。
(ウ)パニック状態となった群衆の中で負傷するおそれがあることから、周囲がパニック状態になっても冷静さを保つよう努めてください。
カ 爆弾、銃器を用いたテロに遭遇した場合
(ア)事態を感知次第、速やかに頑丈なものの陰に隠れてください。
(イ)周囲を確認し、爆発音、銃声等から離れてください。速やかに低い姿勢を保ちつつ、安全なところに退避してください。
(ウ)閉鎖された空間の場合、群衆が出口に殺到し将棋倒しなどの二次的被害に遭う可能性にも留意してください。
キ 誘拐
外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず注意が必要です。
4 その他
隣国のイラク、トルコ、アルメニア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、アフガニスタン及びパキスタンにも「危険情報」が発出されていますので、併せて参照してください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住 所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電 話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)5139
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (フィーチャーフォン版)
(現地大使館連絡先)
○在イラン日本国大使館
住 所:NO.162, Moghadas Ardebili Street, Tehran, Iran
電 話: +98-21-2266-0710
F A X : +98-21-2266-0747
Email :consular@th.mofa.go.jp
ホームページ: http://www.ir.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html