危険情報
エチオピアの危険情報【一部地域の危険レベル引き上げ】
更新日 2023年08月08日
危険レベル・ポイント
【危険度】
●エリトリア、ソマリア、スーダン、南スーダンとの国境地帯、ティグライ州、アムハラ州及びアファール州とティグライ州との州境地帯、オロミア州東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、ホログドゥル・ウェレガ地区及び東西グジ地区、ベニシャングル・グムズ州カマシ地区及びメテケル地区
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
●アムハラ州全域(ティグライ州との州境地帯及びスーダンとの国境地帯を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
●アファール州キルバティ地区、オロミア州イルバボール地区、ガンベラ州(ガンベラ市、南スーダンとの国境地帯を除く)、ベニシャングル・グムズ州アソサ地区
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●アファール州の上記以外の地域、オロミア州ボレナ地区、東西ハラルゲ地区、バレ地区、北シェワ地区、西シェワ地区、東シェワ地区、ガンベラ州ガンベラ市、ソマリ州(ソマリアとの国境地帯を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●首都アディスアベバを含む上記以外の地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●2023年8月4日、連邦政府は、アムハラ州において、武装勢力と治安部隊の衝突により治安状況が悪化したことを受け、同州全域に非常事態宣言を発出しました。同宣言発出を受け、スーダンとの国境地帯及びティグライ州との州境地帯(いずれもレベル4)を除くアムハラ州全域をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げます。
●エリトリア、ソマリア、スーダン、南スーダンとの国境地帯、ティグライ州、アムハラ州及びアファール州とティグライ州との州境地帯、オロミア州東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、ホログドゥル・ウェレガ地区及び東西グジ地区、ベニシャングル・グムズ州カマシ地区及びメテケル地区
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
●アムハラ州全域(ティグライ州との州境地帯及びスーダンとの国境地帯を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
●アファール州キルバティ地区、オロミア州イルバボール地区、ガンベラ州(ガンベラ市、南スーダンとの国境地帯を除く)、ベニシャングル・グムズ州アソサ地区
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●アファール州の上記以外の地域、オロミア州ボレナ地区、東西ハラルゲ地区、バレ地区、北シェワ地区、西シェワ地区、東シェワ地区、ガンベラ州ガンベラ市、ソマリ州(ソマリアとの国境地帯を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●首都アディスアベバを含む上記以外の地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●2023年8月4日、連邦政府は、アムハラ州において、武装勢力と治安部隊の衝突により治安状況が悪化したことを受け、同州全域に非常事態宣言を発出しました。同宣言発出を受け、スーダンとの国境地帯及びティグライ州との州境地帯(いずれもレベル4)を除くアムハラ州全域をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げます。
詳細
1 概況
(1)2020年11月にティグライ州において発生したティグライ人民解放戦線(TPLF)と連邦政府との間の武力衝突は、2021年7月以降周辺州へ拡大しましたが、アフリカ連合(AU)主導の和平交渉を通じて、2022年11月2日、TPLFと連邦政府との間で「恒久的敵対行為停止による持続的和平合意」(プレトリア和平合意)に至りました。さらに、11月12日、ケニアにおいて行われていた両当事者の上級司令官会合において、「恒久的敵対行為停止による持続的和平合意」の履行に関する上級司令官宣言(ナイロビ共同宣言)が発表されました。
しかし、現時点でこうした合意の実施状況は不透明であり、引き続き不安定な状態にある点に留意する必要があり、TPLFとエリトリア軍との間で偶発的な武力衝突が発生する可能性は否定できません。2020年11月の国防軍とTPLFの武力衝突を契機にエリトリア軍はティグライ州に侵攻しており、現在もティグライ州及びアファール州内の国境付近ではエリトリア軍とTPLF勢力が対峙している可能性があります。
(2)アムハラ州では、2023年4月の連邦政府による州特別部隊の解体及び警察・国防軍への統合決定以降、同決定に対抗して武装勢力が治安部隊と衝突する事案等が各地で発生し、治安状況が悪化しています。同年8月4日、連邦政府は、アムハラ州全域に非常事態宣言を発出しました。
(3)民族間の緊張状態は依然解消されておらず、現在も各州の境界地帯では、武器等を使用する過激な民族間衝突が断続的に発生しています。また、主にオロミア州においてアムハラ系民族に対する襲撃事件が頻繁に発生しているほか、エチオピア正教会及びイスラム教モスクへの襲撃事件も断続的に発生しています。
(4)ソマリアのイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」(AS)は、過去にアディスアベバ市内で爆弾テロ事件を引き起こし、犯行声明を出したことがあるものの、エチオピア政府による国境警備等の強化もあり、ここ数年、同組織によるエチオピア国内での大規模なテロ事件の発生は確認されていません。しかし、2022年7月には、ソマリ州アフダール県に越境してきたAS構成員とソマリ州特別部隊との間で戦闘が発生し、民間人を含む多くの死傷者が発生しました。ASはエチオピアを攻撃対象国としており、常時、国内に潜入しテロ活動を行う可能性や越境襲撃を行う可能性があることに留意する必要があります。
(5)南北スーダンとの国境地帯には、反政府武装組織が潜伏している可能性があります。同地域で2012年に発生したバス襲撃事件及び大規模農場襲撃事件は反政府武装組織の犯行であり、同組織は連邦政府軍の掃討作戦により壊滅したと発表されていますが、今後も同様の事件が発生するおそれがあり、情勢次第では暴動の火種になる可能性もあります。また、主にガンベラ州において、南スーダンから越境したムルレ族による襲撃事件、拉致事件などが頻繁に発生しています。
(6)エチオピアでは、2019年3月に車両襲撃事件により日本人1名を含む計5名が死亡するなど、外国人を標的とした襲撃事件や誘拐事件が散発的に発生しています。
このような状況を十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
2 地域別情勢
(1)エリトリア、ソマリア、スーダン、南スーダンとの国境地帯、ティグライ州、アムハラ州及びアファール州とティグライ州との州境地帯、オロミア州東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、ホログドゥル・ウェレガ地区及び東西グジ地区、ベニシャングル・グムズ州カマシ地区及びメテケル地区
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
ア エリトリアとの国境地帯
ティグライ州での武力衝突発生後、ティグライ州及びアファール州に侵攻したエリトリア軍が撤退を完了せず、TPLF勢力と対峙している可能性があります。また、武装勢力や盗賊といった集団が存在している可能性があります。2017年12月には、外国人旅行者を含む一般人が銃撃により殺害される事件も発生しています。
イ ソマリアとの国境地帯
軍、警察及び地元自警団の大規模な警戒や取締りにより、ASの攻撃や侵入が防がれている状態ですが、引き続きASやその他の反政府武装勢力等によるテロや誘拐事件の発生が強く懸念されます。7月には国境付近において、ソマリ州警察とASとの大規模な戦闘が発生し、それ以降も国境地帯においては、同様の武力衝突及び越境を試みたAS構成員の摘発が相次いでいます。なお、2008年には、ソマリア国内の犯罪集団がエチオピア側へ越境し、日本人を含む援助団体関係者をソマリア領内へ拉致する事件が発生しています(3か月間以上拘束された後、ソマリアで解放。)。
ウ スーダンとの国境地帯
スーダンとの国境地帯では、国境問題を巡り、武力衝突が散発的に発生しています。2022年6月及び9月には、アムハラ民兵とスーダン軍との武力衝突が発生しています。
エ ティグライ州、アムハラ州及びアファール州とティグライ州との州境地帯
2020年11月、連邦政府とTPLFとの間で発生した軍事衝突は、2022年3月に連邦政府が停戦を宣言するも、8月下旬に戦闘が再開し、主にティグライ州内と隣接州境地帯において戦闘や空爆が行われました。10月24日に南アフリカにおいて開始されたAU主導の和平交渉の結果、11月2日、「恒久的敵対行為停止による持続的和平合意」(プレトリア和平合意)に達しました。さらに、11月12日、ケニアにおいて行われていた両当事者の上級司令官会合において、「恒久的敵対行為停止による持続的和平合意」履行に関する上級司令官宣言(ナイロビ共同宣言)が発表されました。12月29日には、ティグライ州のメケレにおいて和平合意の履行監視のための監視・検証チームの立ち上げ式が行われ、またTPLFから重器の引き渡しも行われましたが、TPLFとティグライ州内及びアファール州の一部に残存しているとみられるエリトリア軍との間で偶発的な武力衝突が発生する可能性は完全には否定できません。
ティグライ州では、一部でインターネットや電話などの通信手段が再開されたものの、いまだ広範囲で遮断されています。また、エチオピア航空はメケレ空港発着の商用便の運行再開を発表したものの、再開時期は未定です。
オ 南スーダンとの国境地帯
2016年4月、南スーダンから越境したムルレ族の襲撃により200名以上が殺害、145名の子どもが拉致される事件が発生したほか、ムルレ族とみられる武装集団による同様の襲撃・拉致事件が複数の村で発生しています。同月には、同地難民キャンプにおいて、NGO職員が起こした交通事故が原因で、暴徒化した難民によりNGO職員が殺害される事件や、国連施設が襲撃される事件が発生するなど、依然として殺人、強盗、子どもの誘拐などの重大犯罪の発生が頻繁に報告されており、生命に関わる重大な事件に巻き込まれるおそれがあります。
ガンベラ州北部の国境地帯においては、2022年3月以降、武装集団とエチオピア治安部隊との武力衝突の発生が増加しています。ガンベラ州南部の国境地帯においては、南スーダンから越境したムルレ族武装集団による車両や集落を対象とした襲撃事件、拉致事件などが頻繁に発生しています。
カ オロミア州東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、ホログドゥル・ウェレガ地区及び東西グジ地区
これら地域では、オロモ解放戦線(OLF)等武装勢力の活動が活発であり、2022年4月、オロミア州政府は、連邦政府と共同で武装勢力の壊滅を目指した掃討作戦の開始を発表しました。2023年4月末には連邦政府とOLAとの初めての交渉が行われましたが和平合意に達せず、交渉終了後には再び治安部隊とOLA等との武力衝突が発生しています。
(ア)西ウェレガ地区
2019年3月、走行中の車両に対する襲撃事件が発生し、乗車していた日本人1名を含む計5名が死亡しました。2022年6月、武装集団による襲撃で民間人300名以上が殺害される事件が発生しています。この地域では、連邦政府による無人機を用いた空爆が確認されています。
(イ)東ウェレガ地区及びケレム・ウェレガ地区
オロミア州西ウェレガ地区に近接する東ウェレガ地区及びケレム・ウェレガ地区では、襲撃事件や武装集団と治安部隊との間で多数の死傷者を伴う衝突が頻繁に発生しています。2022年10月及び12月、東ウェレガ地区において武装集団による襲撃事件が発生し、それぞれ民間人数十名が犠牲となっています。当地区では、10月から11月にかけて、連邦政府による無人機を用いた空爆が確認されています。ケレム・ウェレガ地区では、2022年7月、武装集団の襲撃により、民間人約150名が死亡する事件が発生しているほか、地方政府関係者が武装集団に殺害される事件が発生するなど、治安の悪化が続いています。
(ウ)ホログドゥル・ウェレガ地区
東西ウェレガ地区に近接するホログドゥル・ウェレガ地区では、襲撃事件や武装集団と治安部隊との衝突が頻繁に発生しており、2022年8月、武装集団による襲撃で民間人60名以上が死亡し、70名以上が負傷する事件が発生しています。
(エ)東西グジ地区
東西グジ地区では、武装集団の活動が活発であり、多数の死傷者を伴う治安部隊との武力衝突が日常的に発生しています。2022年4月以降、オロミア州政府と連邦政府による掃討作戦により、武力衝突の発生件数は増加しています。
キ ベニシャングル・グムズ州カマシ地区、メテケル地区
2020年8月からメテケル地区などにおいて武装集団と治安部隊との衝突が頻繁に発生しています。同年10月、アソサ地区からメテケル地区に移動中の車両が襲撃され、外国人1名を含む14名が殺害されました。
2022年4月から6月にかけて、カマシ地区において治安部隊と武装集団との武力衝突が多発しました。また、同年3月、同州メテケル地区において、作業員を乗せた車両が武装集団の襲撃を受け治安部隊との衝突に発展し、治安部隊員20名、民間人3名、武装集団の30名が死亡する事件が発生しています。
つきましては、これら地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。また、既に滞在されている方は、直ちに退避してください。
(3)アムハラ州全域(スーダンとの国境地帯及びティグライ州との州境地帯を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
アムハラ州では、2023年4月の連邦政府による州特別部隊の解体及び警察・国防軍への統合の決定以降、同決定に対抗して不満を持つ州特別部隊構成員を加えた武装勢力が治安部隊と衝突する事案等が各地で発生し、治安状況が悪化しています。このような状況を受け、同年8月4日、連邦政府は、アムハラ州全域に非常事態宣言を発出したため、スーダンとの国境地帯及びティグライ州との州境地帯を除くアムハラ州全域をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げます。
(4)アファール州キルバティ地区、オロミア州イルバボール地区、ガンベラ州(ガンベラ市を除く)、ベニシャングル・グムズ州アソサ地区
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
ア アファール州キルバティ地区
2020年11月、連邦政府とTPLFとの武力衝突が発生して以降、戦闘地域はアファール州にも拡大し、国防軍とTPLFとの間で戦闘が継続しました。2021年12月、連邦政府はアファール州内のTPLF勢力を全て排除したことを発表し、同月、TPLFはアファール州からの撤退完了を発表しました。
2022年8月の戦闘再開以降、同地域では、再び国防軍及びエリトリア軍とTPLFとの武力衝突が発生し、両軍が対峙する状況が継続しましたが、同地域での戦闘及び空爆は減少し、11月2日に和平合意が成立して以降、敵対行為の停止は守られています。
しかし、ティグライ州での武力衝突発生後、ティグライ州及びアファール州に侵攻したエリトリア軍が撤退を完了せず、TPLF勢力と対峙している可能性があります。
イ オロミア州イルバボール地区
イルバボール地区は、武装勢力の活動が依然として活発です。
ウェレガ地域に隣接するイルバボール地区では、武装勢力と治安部隊との武力衝突が散発的に発生しています。
ウ ガンベラ州(ガンベラ市、南スーダンとの国境地帯を除く)
2016年1月以降、ヌエル族とアニュアク族との間の部族間衝突が度々報告され、同州における緊張状態が高まっているほか、殺人、強盗、誘拐などの犯罪が多発しています。2016年12月には、ガンベラ市からメタルに向かうバスが武装集団に襲撃され、乗客5名が死亡、9名が負傷する事件も発生しています。また、2021年11月以降、アニュアク県の難民キャンプにおいて、殺人・傷害事件が複数件発生しているほか、警察官、政府・民間車両を標的とした襲撃事件が日常的に発生しています。
エ ベニシャングル・グムズ州アソサ地区
2021年11月以降、アソサ地区においては、武装勢力による難民キャンプへの襲撃事件や拉致事件、治安部隊との武力衝突、治安部隊の車列に対する攻撃が発生しています。
2022年11月、オロミア州西ウェレガ地区との州境地帯に位置するアソサ地区南東部のバンバシにおいて、オロミア州を拠点とする武装集団と治安部隊との武力衝突が発生しました。この影響で、アソサ空港発着の商用便が一時的に停止したほか、アソサ地区からオロミア州西部に通じる幹線道路が封鎖され、アソサ市と周辺地域のインターネットが一時遮断されました。
つきましては、これら地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。
(5)オロミア州北シェワ地区、西シェワ地区、東シェワ地区
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
アディスアベバに隣接するこれら地域は、これまで比較的安定した治安状態が保たれていましたが、2022年4月以降、同州西部に拠点を置く武装集団の活動範囲が東部に拡大し、警察官や民間人を対象とした襲撃事件や拉致事件、治安部隊との銃撃戦が増加しています。
2022年10月以降、連邦政府はこれら地域の武装勢力を標的として、無人機による空爆を複数回実行しており、今後も継続される可能性があります。
北シェワ地区では、2022年9月、武装集団による民間人死者100名を超える襲撃事件が発生し、11月には、礼拝中の教会、集落に対する襲撃事件が相次いで発生しています。
西シェワ地区では、武装勢力による活動が活発化しており、2022年10月及び11月、連邦政府による空爆が複数回行われ、多数の死傷者が出ています。11月30日、鉱山作業員を乗せたバスが襲撃に遭い、従業員約30名が身代金目的で拉致される事件が発生しています。
東シェワ地区では、2022年4月以降、治安部隊と武装集団との銃撃戦が増加しており、特に、アダマ・メテハラ間、及び、アダマ・メキ間で頻発しています。同地区北部のフェンタレにおいても、10月及び11月に、連邦政府による空爆が複数回確認されています。
(6)アファール州の上記以外の地域、オロミア州ボレナ地区、東西ハラルゲ地区、バレ地区、北シェワ地区、西シェワ地区及び東シェワ地区、ガンベラ州ガンベラ市、ソマリ州(ソマリアとの国境地帯を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア アファール州の上記以外の地域
ゲビ地区のソマリ州との州境地帯では、かねてからアファール族とイサ・ソマリ族との対立がみられ、2021年7月には同民族間の対立が激化し、数日間にわたる衝突で数百名の死者が出ています。この対立は現在も継続し、民族間の衝突が多発しています。
ハリ地区のオロミア州との州境地帯では、アファール族とオロモ族との間で、民族間の衝突が発生しています。
イ オロミア州ボレナ地区、東西ハラルゲ地区、バレ地区、北シェワ地区、西シェワ地区、東シェワ地区
同地域では、武装勢力の活動が散発的に認められます。
バレ地区のソマリ州との州境地帯では、オロモ族とソマリ族の衝突が発生しています。
アディスアベバに隣接する北シェワ地区、西シェワ地区、東シェワ地区は、これまで比較的安定した治安状態が保たれていましたが、2022年4月以降、同州西部に拠点を置く武装集団の活動範囲が東部に拡大し、警察官や民間人を対象とした襲撃事件や拉致事件、治安部隊との銃撃戦が増加しています。2022年10月以降、連邦政府はこれら地域の武装勢力を標的として、無人機による空爆を複数回実行しており、今後も継続される可能性があります。
ウ ガンベラ州ガンベラ市
2022年6月、武装勢力がガンベラ市内に侵入し、治安部隊との銃撃戦が発生しました。数時間続いた衝突は治安部隊が収拾しましたが、民間人を含め約80名の死傷者が出ました。
ガンベラ市では、2021年11月以降、凶器を使用した殺人・傷害・強盗事件が増加しています。
エ ソマリ州(ソマリアとの国境地帯を除く)
同州内では、2021年11月以降、主にアファール州との州境地帯及び南部の地区において複数の死傷者を伴う民族間の衝突が散発的に発生していますが、他地域への波及や大規模な暴動への発展等は認められません。
(ア)ジジガ市及びゴデ市
ソマリ州における反政府活動や民族間衝突の起点となっており、これらの間隙を突かれASの標的となる可能性もあります。両市は軍や警察等の治安部隊により治安が保たれていますが、民族間衝突やテロ等、様々な原因によって治安が急激に悪化する可能性があります。また、過去にテロ未遂や外国人誘拐事件等が発生しており、ASの侵入による重大事件が発生する可能性があります。2019年9月には、AS及び「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)がアディスアベバでの爆弾テロを企図したとして、ソマリ州からの入国者が多数逮捕されたほか、複数の住居がテロの拠点として摘発されました。
(イ)ソマリ州ジジガ市及びゴデ市を除く地域
過去にテロ未遂や外国人誘拐事件等が発生しており、ASの侵入による重大事件が発生する可能性があります。2019年9月には、AS及びISILがアディスアベバでの爆弾テロを企図したとして、ソマリ州からの入国者が多数逮捕されたほか、複数の住居がテロの拠点として摘発されました。ソマリアとの国境を接する地区では、州内に侵入したAS構成員と治安部隊との衝突が発生しています。
ソマリ族とオロモ族との衝突は鎮静化する様子が見られず、武器による攻撃や焼き討ちに巻き込まれる可能性があります。また、州東部においても、民族間の衝突が頻繁に発生しています。ケニア及びソマリアと国境を接するリベン地区では、治安部隊と反政府勢力との衝突が頻発しています。
つきましては、これら地域への不要不急の渡航は止めてください。
(7)首都アディスアベバを含む上記以外の地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア オロミア州東部
オロミア州東部では2017年9月、オロモ族とソマリ族との衝突が激化し、数百人の死者、60万人以上の国内避難民が発生したと報じられました。また、2019年から2020年にかけ、教会襲撃事件や学生誘拐事件が発生したほか、オロミア州西部におけるインターネット遮断などの際は、東西ハラルゲ地区及びバレ地区、ディレダワ市、ハラリ州などで、政府に対する大規模な抗議デモが発生しました。
イ 南部諸民族州(南スーダンとの国境地帯を除く)
2019年、南部諸民族州の州都ハワサが位置しているシダマ県において州への格上げ運動が発生し、住民投票の結果、州への格上げが決定されましたが、ワライタ県等が格上げに不満を示しており、抗議活動参加者と治安部隊の衝突が発生するなど、緊張状態が続いています。また、2021年9月30日の住民投票により、5県1特別郡が南西州として格上げとなることが決定し、同年11月1日、南部諸民族州から州としての権限が引き渡されました。
2022年11月、グラゲ県ウォルカイトにおいて、州への格上げを求める住民らによる大規模な抗議活動が行われ、同12月、州政府は同地域に無期限でコマンドポストを設置することを発表しました。
南部のコンソ及び周辺地域においては、民族間の衝突がたびたび発生しています。
ウ アディスアベバ近辺の都市
近年のオロモ民族主義の高まりにより、大規模なデモや暴動が発生しています。また、アディスアベバとオロミア州をつなぐ幹線道路は、その都度治安部隊または抗議活動参加者によって州境で封鎖される傾向があります。
エ アンボ
2020年6月には、オロモ系歌手の殺害をきっかけに、同歌手の故郷であるアンボにおいて遺体をめぐる衝突が発生し、約80名が死亡しました。また、断続的に治安部隊と群衆との衝突が発生しています。
オ ビショフトゥ(デブラゼイト)
オロモ系民族の祭典「イレチャ祭」が開催され、2016年にはイレチャ祭をきっかけに衝突が発生し、500名が死亡したとされています。2019年もイレチャ祭後の10月にオロミア州各地で暴動が発生し、80名以上が死亡したとされています。
カ アダマ
2019年に外国人のプラントが襲撃され、1名が死亡、6名が負傷する事件が発生しています。
キ アディスアベバ市
(ア)2018年4月にアビィ首相が就任して以降、同年6月に爆弾による首相暗殺未遂事件、同年7月にルネサンス・ダムの工事責任者の射殺事件、2019年6月に国防軍参謀総長暗殺事件、同年10月に活動家のジャワール・モハメッドによるオロモ系民族扇動事件、2020年6月にオロモ系民族による騒擾事件等、政治色の強い重大事件が発生しています。また、2021年5月以降、ルネサンス・ダムの貯水や第6回総選挙に関連して、欧米諸外国のエチオピア内政への干渉に反対する大規模なデモや政治集会が行われました。さらに8月以降、TPLFと国防軍勢力との武力衝突が激化したことを受け、市内では政府主導による国防軍支持を目的とした大規模なデモや集会が行われているほか、非常事態宣言が発令された11月以降、「#No More」と呼ばれる欧米諸国の内政干渉に反発する気運が高まりを見せ、国内外の複数都市及びアディスアベバ市内の複数の大使館前においてデモが行われました。2022年8月に戦闘が再開し、諸外国による和平交渉への呼びかけが行われる中、アディスアベバ市内のマスカルスクエアにおいては、これに反発する連邦政府支持者による大規模なデモが開催されています。多く人が集まる場所はテロの標的となるだけでなく、興奮した群衆が暴徒化するおそれがありますので、デモが行われている場所には絶対に近付かないでください。
(イ)アディスアベバ市内では、外国人の一般犯罪被害が増加しています。背後から首を絞められ、意識を失っている間に貴重品を盗む「首絞め強盗」が頻繁に発生しています。また、歩行中に唾を吐きかけたり、物売りなどを装ったりして気を引き、携帯電話などの貴重品を盗むスリ被害も増加していますので、外出の際は十分な注意が必要です。
つきましては、これら地域に渡航する場合には十分注意してください。できるだけ単独行動や夜間の外出を避け、犯罪に巻き込まれることがないよう、適切かつ十分な安全対策をとるよう心掛けてください。
3 渡航・滞在にあたっての注意
エチオピア滞在中は下記の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください。また、日本国外務省、在エチオピア日本国大使館、現地関係機関及び報道等より最新情報を入手するよう努めてください。
(1)海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
エチオピアに3か月以上滞在される方は、在エチオピア日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時に在エチオピア日本国大使館の連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html )
(2)エチオピアは内陸国であり、周辺各国の影響を受けやすいため、注意が必要です。特に、ソマリア国内のASが周辺国でもテロ・襲撃などを行っており、エチオピアを含む東アフリカ地域では、テロの脅威に十分注意する必要があります。エチオピア政府は、アディスアベバ市内やソマリ州周辺地域を中心に警備を強化していますが、エチオピア国内でテロやこれに関連する不測の事態が発生する可能性は排除できません。
(3)テロの対象となる可能性のある治安機関、宗教施設等には近づかず、ショッピングセンター等人の多く集まる場所を利用する際には周囲に十分注意を払ってください。テロに関する注意事項については、「テロ・誘拐情勢」も確認してください。(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_095.html)
隣国のソマリア、ケニア、スーダン、南スーダン、エリトリア及びジブチに対しても、別途それぞれ危険情報が発出されているので、留意してください。国境を陸路で越境することは、決して安全ではありません。場所によっては、極めて危険なところもあります。陸路移動はできるだけ避け、空路を選んでください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く。)(内線)9850
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地大使館連絡先)
○在エチオピア日本国大使館
(所在地)Bole Sub-city Woreda 6, House No.431, Addis Ababa, Ethiopia(P.O.BOX 5650)
電話:(市外局番11)667-1166
(国外からは251-11)667-1166
FAX:(市外局番11)667-1177
(国外からは251-11)667-1177
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(1)2020年11月にティグライ州において発生したティグライ人民解放戦線(TPLF)と連邦政府との間の武力衝突は、2021年7月以降周辺州へ拡大しましたが、アフリカ連合(AU)主導の和平交渉を通じて、2022年11月2日、TPLFと連邦政府との間で「恒久的敵対行為停止による持続的和平合意」(プレトリア和平合意)に至りました。さらに、11月12日、ケニアにおいて行われていた両当事者の上級司令官会合において、「恒久的敵対行為停止による持続的和平合意」の履行に関する上級司令官宣言(ナイロビ共同宣言)が発表されました。
しかし、現時点でこうした合意の実施状況は不透明であり、引き続き不安定な状態にある点に留意する必要があり、TPLFとエリトリア軍との間で偶発的な武力衝突が発生する可能性は否定できません。2020年11月の国防軍とTPLFの武力衝突を契機にエリトリア軍はティグライ州に侵攻しており、現在もティグライ州及びアファール州内の国境付近ではエリトリア軍とTPLF勢力が対峙している可能性があります。
(2)アムハラ州では、2023年4月の連邦政府による州特別部隊の解体及び警察・国防軍への統合決定以降、同決定に対抗して武装勢力が治安部隊と衝突する事案等が各地で発生し、治安状況が悪化しています。同年8月4日、連邦政府は、アムハラ州全域に非常事態宣言を発出しました。
(3)民族間の緊張状態は依然解消されておらず、現在も各州の境界地帯では、武器等を使用する過激な民族間衝突が断続的に発生しています。また、主にオロミア州においてアムハラ系民族に対する襲撃事件が頻繁に発生しているほか、エチオピア正教会及びイスラム教モスクへの襲撃事件も断続的に発生しています。
(4)ソマリアのイスラム過激派組織「アル・シャバーブ」(AS)は、過去にアディスアベバ市内で爆弾テロ事件を引き起こし、犯行声明を出したことがあるものの、エチオピア政府による国境警備等の強化もあり、ここ数年、同組織によるエチオピア国内での大規模なテロ事件の発生は確認されていません。しかし、2022年7月には、ソマリ州アフダール県に越境してきたAS構成員とソマリ州特別部隊との間で戦闘が発生し、民間人を含む多くの死傷者が発生しました。ASはエチオピアを攻撃対象国としており、常時、国内に潜入しテロ活動を行う可能性や越境襲撃を行う可能性があることに留意する必要があります。
(5)南北スーダンとの国境地帯には、反政府武装組織が潜伏している可能性があります。同地域で2012年に発生したバス襲撃事件及び大規模農場襲撃事件は反政府武装組織の犯行であり、同組織は連邦政府軍の掃討作戦により壊滅したと発表されていますが、今後も同様の事件が発生するおそれがあり、情勢次第では暴動の火種になる可能性もあります。また、主にガンベラ州において、南スーダンから越境したムルレ族による襲撃事件、拉致事件などが頻繁に発生しています。
(6)エチオピアでは、2019年3月に車両襲撃事件により日本人1名を含む計5名が死亡するなど、外国人を標的とした襲撃事件や誘拐事件が散発的に発生しています。
このような状況を十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
2 地域別情勢
(1)エリトリア、ソマリア、スーダン、南スーダンとの国境地帯、ティグライ州、アムハラ州及びアファール州とティグライ州との州境地帯、オロミア州東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、ホログドゥル・ウェレガ地区及び東西グジ地区、ベニシャングル・グムズ州カマシ地区及びメテケル地区
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
ア エリトリアとの国境地帯
ティグライ州での武力衝突発生後、ティグライ州及びアファール州に侵攻したエリトリア軍が撤退を完了せず、TPLF勢力と対峙している可能性があります。また、武装勢力や盗賊といった集団が存在している可能性があります。2017年12月には、外国人旅行者を含む一般人が銃撃により殺害される事件も発生しています。
イ ソマリアとの国境地帯
軍、警察及び地元自警団の大規模な警戒や取締りにより、ASの攻撃や侵入が防がれている状態ですが、引き続きASやその他の反政府武装勢力等によるテロや誘拐事件の発生が強く懸念されます。7月には国境付近において、ソマリ州警察とASとの大規模な戦闘が発生し、それ以降も国境地帯においては、同様の武力衝突及び越境を試みたAS構成員の摘発が相次いでいます。なお、2008年には、ソマリア国内の犯罪集団がエチオピア側へ越境し、日本人を含む援助団体関係者をソマリア領内へ拉致する事件が発生しています(3か月間以上拘束された後、ソマリアで解放。)。
ウ スーダンとの国境地帯
スーダンとの国境地帯では、国境問題を巡り、武力衝突が散発的に発生しています。2022年6月及び9月には、アムハラ民兵とスーダン軍との武力衝突が発生しています。
エ ティグライ州、アムハラ州及びアファール州とティグライ州との州境地帯
2020年11月、連邦政府とTPLFとの間で発生した軍事衝突は、2022年3月に連邦政府が停戦を宣言するも、8月下旬に戦闘が再開し、主にティグライ州内と隣接州境地帯において戦闘や空爆が行われました。10月24日に南アフリカにおいて開始されたAU主導の和平交渉の結果、11月2日、「恒久的敵対行為停止による持続的和平合意」(プレトリア和平合意)に達しました。さらに、11月12日、ケニアにおいて行われていた両当事者の上級司令官会合において、「恒久的敵対行為停止による持続的和平合意」履行に関する上級司令官宣言(ナイロビ共同宣言)が発表されました。12月29日には、ティグライ州のメケレにおいて和平合意の履行監視のための監視・検証チームの立ち上げ式が行われ、またTPLFから重器の引き渡しも行われましたが、TPLFとティグライ州内及びアファール州の一部に残存しているとみられるエリトリア軍との間で偶発的な武力衝突が発生する可能性は完全には否定できません。
ティグライ州では、一部でインターネットや電話などの通信手段が再開されたものの、いまだ広範囲で遮断されています。また、エチオピア航空はメケレ空港発着の商用便の運行再開を発表したものの、再開時期は未定です。
オ 南スーダンとの国境地帯
2016年4月、南スーダンから越境したムルレ族の襲撃により200名以上が殺害、145名の子どもが拉致される事件が発生したほか、ムルレ族とみられる武装集団による同様の襲撃・拉致事件が複数の村で発生しています。同月には、同地難民キャンプにおいて、NGO職員が起こした交通事故が原因で、暴徒化した難民によりNGO職員が殺害される事件や、国連施設が襲撃される事件が発生するなど、依然として殺人、強盗、子どもの誘拐などの重大犯罪の発生が頻繁に報告されており、生命に関わる重大な事件に巻き込まれるおそれがあります。
ガンベラ州北部の国境地帯においては、2022年3月以降、武装集団とエチオピア治安部隊との武力衝突の発生が増加しています。ガンベラ州南部の国境地帯においては、南スーダンから越境したムルレ族武装集団による車両や集落を対象とした襲撃事件、拉致事件などが頻繁に発生しています。
カ オロミア州東西ウェレガ地区、ケレム・ウェレガ地区、ホログドゥル・ウェレガ地区及び東西グジ地区
これら地域では、オロモ解放戦線(OLF)等武装勢力の活動が活発であり、2022年4月、オロミア州政府は、連邦政府と共同で武装勢力の壊滅を目指した掃討作戦の開始を発表しました。2023年4月末には連邦政府とOLAとの初めての交渉が行われましたが和平合意に達せず、交渉終了後には再び治安部隊とOLA等との武力衝突が発生しています。
(ア)西ウェレガ地区
2019年3月、走行中の車両に対する襲撃事件が発生し、乗車していた日本人1名を含む計5名が死亡しました。2022年6月、武装集団による襲撃で民間人300名以上が殺害される事件が発生しています。この地域では、連邦政府による無人機を用いた空爆が確認されています。
(イ)東ウェレガ地区及びケレム・ウェレガ地区
オロミア州西ウェレガ地区に近接する東ウェレガ地区及びケレム・ウェレガ地区では、襲撃事件や武装集団と治安部隊との間で多数の死傷者を伴う衝突が頻繁に発生しています。2022年10月及び12月、東ウェレガ地区において武装集団による襲撃事件が発生し、それぞれ民間人数十名が犠牲となっています。当地区では、10月から11月にかけて、連邦政府による無人機を用いた空爆が確認されています。ケレム・ウェレガ地区では、2022年7月、武装集団の襲撃により、民間人約150名が死亡する事件が発生しているほか、地方政府関係者が武装集団に殺害される事件が発生するなど、治安の悪化が続いています。
(ウ)ホログドゥル・ウェレガ地区
東西ウェレガ地区に近接するホログドゥル・ウェレガ地区では、襲撃事件や武装集団と治安部隊との衝突が頻繁に発生しており、2022年8月、武装集団による襲撃で民間人60名以上が死亡し、70名以上が負傷する事件が発生しています。
(エ)東西グジ地区
東西グジ地区では、武装集団の活動が活発であり、多数の死傷者を伴う治安部隊との武力衝突が日常的に発生しています。2022年4月以降、オロミア州政府と連邦政府による掃討作戦により、武力衝突の発生件数は増加しています。
キ ベニシャングル・グムズ州カマシ地区、メテケル地区
2020年8月からメテケル地区などにおいて武装集団と治安部隊との衝突が頻繁に発生しています。同年10月、アソサ地区からメテケル地区に移動中の車両が襲撃され、外国人1名を含む14名が殺害されました。
2022年4月から6月にかけて、カマシ地区において治安部隊と武装集団との武力衝突が多発しました。また、同年3月、同州メテケル地区において、作業員を乗せた車両が武装集団の襲撃を受け治安部隊との衝突に発展し、治安部隊員20名、民間人3名、武装集団の30名が死亡する事件が発生しています。
つきましては、これら地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。また、既に滞在されている方は、直ちに退避してください。
(3)アムハラ州全域(スーダンとの国境地帯及びティグライ州との州境地帯を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
アムハラ州では、2023年4月の連邦政府による州特別部隊の解体及び警察・国防軍への統合の決定以降、同決定に対抗して不満を持つ州特別部隊構成員を加えた武装勢力が治安部隊と衝突する事案等が各地で発生し、治安状況が悪化しています。このような状況を受け、同年8月4日、連邦政府は、アムハラ州全域に非常事態宣言を発出したため、スーダンとの国境地帯及びティグライ州との州境地帯を除くアムハラ州全域をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げます。
(4)アファール州キルバティ地区、オロミア州イルバボール地区、ガンベラ州(ガンベラ市を除く)、ベニシャングル・グムズ州アソサ地区
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
ア アファール州キルバティ地区
2020年11月、連邦政府とTPLFとの武力衝突が発生して以降、戦闘地域はアファール州にも拡大し、国防軍とTPLFとの間で戦闘が継続しました。2021年12月、連邦政府はアファール州内のTPLF勢力を全て排除したことを発表し、同月、TPLFはアファール州からの撤退完了を発表しました。
2022年8月の戦闘再開以降、同地域では、再び国防軍及びエリトリア軍とTPLFとの武力衝突が発生し、両軍が対峙する状況が継続しましたが、同地域での戦闘及び空爆は減少し、11月2日に和平合意が成立して以降、敵対行為の停止は守られています。
しかし、ティグライ州での武力衝突発生後、ティグライ州及びアファール州に侵攻したエリトリア軍が撤退を完了せず、TPLF勢力と対峙している可能性があります。
イ オロミア州イルバボール地区
イルバボール地区は、武装勢力の活動が依然として活発です。
ウェレガ地域に隣接するイルバボール地区では、武装勢力と治安部隊との武力衝突が散発的に発生しています。
ウ ガンベラ州(ガンベラ市、南スーダンとの国境地帯を除く)
2016年1月以降、ヌエル族とアニュアク族との間の部族間衝突が度々報告され、同州における緊張状態が高まっているほか、殺人、強盗、誘拐などの犯罪が多発しています。2016年12月には、ガンベラ市からメタルに向かうバスが武装集団に襲撃され、乗客5名が死亡、9名が負傷する事件も発生しています。また、2021年11月以降、アニュアク県の難民キャンプにおいて、殺人・傷害事件が複数件発生しているほか、警察官、政府・民間車両を標的とした襲撃事件が日常的に発生しています。
エ ベニシャングル・グムズ州アソサ地区
2021年11月以降、アソサ地区においては、武装勢力による難民キャンプへの襲撃事件や拉致事件、治安部隊との武力衝突、治安部隊の車列に対する攻撃が発生しています。
2022年11月、オロミア州西ウェレガ地区との州境地帯に位置するアソサ地区南東部のバンバシにおいて、オロミア州を拠点とする武装集団と治安部隊との武力衝突が発生しました。この影響で、アソサ空港発着の商用便が一時的に停止したほか、アソサ地区からオロミア州西部に通じる幹線道路が封鎖され、アソサ市と周辺地域のインターネットが一時遮断されました。
つきましては、これら地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。
(5)オロミア州北シェワ地区、西シェワ地区、東シェワ地区
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
アディスアベバに隣接するこれら地域は、これまで比較的安定した治安状態が保たれていましたが、2022年4月以降、同州西部に拠点を置く武装集団の活動範囲が東部に拡大し、警察官や民間人を対象とした襲撃事件や拉致事件、治安部隊との銃撃戦が増加しています。
2022年10月以降、連邦政府はこれら地域の武装勢力を標的として、無人機による空爆を複数回実行しており、今後も継続される可能性があります。
北シェワ地区では、2022年9月、武装集団による民間人死者100名を超える襲撃事件が発生し、11月には、礼拝中の教会、集落に対する襲撃事件が相次いで発生しています。
西シェワ地区では、武装勢力による活動が活発化しており、2022年10月及び11月、連邦政府による空爆が複数回行われ、多数の死傷者が出ています。11月30日、鉱山作業員を乗せたバスが襲撃に遭い、従業員約30名が身代金目的で拉致される事件が発生しています。
東シェワ地区では、2022年4月以降、治安部隊と武装集団との銃撃戦が増加しており、特に、アダマ・メテハラ間、及び、アダマ・メキ間で頻発しています。同地区北部のフェンタレにおいても、10月及び11月に、連邦政府による空爆が複数回確認されています。
(6)アファール州の上記以外の地域、オロミア州ボレナ地区、東西ハラルゲ地区、バレ地区、北シェワ地区、西シェワ地区及び東シェワ地区、ガンベラ州ガンベラ市、ソマリ州(ソマリアとの国境地帯を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア アファール州の上記以外の地域
ゲビ地区のソマリ州との州境地帯では、かねてからアファール族とイサ・ソマリ族との対立がみられ、2021年7月には同民族間の対立が激化し、数日間にわたる衝突で数百名の死者が出ています。この対立は現在も継続し、民族間の衝突が多発しています。
ハリ地区のオロミア州との州境地帯では、アファール族とオロモ族との間で、民族間の衝突が発生しています。
イ オロミア州ボレナ地区、東西ハラルゲ地区、バレ地区、北シェワ地区、西シェワ地区、東シェワ地区
同地域では、武装勢力の活動が散発的に認められます。
バレ地区のソマリ州との州境地帯では、オロモ族とソマリ族の衝突が発生しています。
アディスアベバに隣接する北シェワ地区、西シェワ地区、東シェワ地区は、これまで比較的安定した治安状態が保たれていましたが、2022年4月以降、同州西部に拠点を置く武装集団の活動範囲が東部に拡大し、警察官や民間人を対象とした襲撃事件や拉致事件、治安部隊との銃撃戦が増加しています。2022年10月以降、連邦政府はこれら地域の武装勢力を標的として、無人機による空爆を複数回実行しており、今後も継続される可能性があります。
ウ ガンベラ州ガンベラ市
2022年6月、武装勢力がガンベラ市内に侵入し、治安部隊との銃撃戦が発生しました。数時間続いた衝突は治安部隊が収拾しましたが、民間人を含め約80名の死傷者が出ました。
ガンベラ市では、2021年11月以降、凶器を使用した殺人・傷害・強盗事件が増加しています。
エ ソマリ州(ソマリアとの国境地帯を除く)
同州内では、2021年11月以降、主にアファール州との州境地帯及び南部の地区において複数の死傷者を伴う民族間の衝突が散発的に発生していますが、他地域への波及や大規模な暴動への発展等は認められません。
(ア)ジジガ市及びゴデ市
ソマリ州における反政府活動や民族間衝突の起点となっており、これらの間隙を突かれASの標的となる可能性もあります。両市は軍や警察等の治安部隊により治安が保たれていますが、民族間衝突やテロ等、様々な原因によって治安が急激に悪化する可能性があります。また、過去にテロ未遂や外国人誘拐事件等が発生しており、ASの侵入による重大事件が発生する可能性があります。2019年9月には、AS及び「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)がアディスアベバでの爆弾テロを企図したとして、ソマリ州からの入国者が多数逮捕されたほか、複数の住居がテロの拠点として摘発されました。
(イ)ソマリ州ジジガ市及びゴデ市を除く地域
過去にテロ未遂や外国人誘拐事件等が発生しており、ASの侵入による重大事件が発生する可能性があります。2019年9月には、AS及びISILがアディスアベバでの爆弾テロを企図したとして、ソマリ州からの入国者が多数逮捕されたほか、複数の住居がテロの拠点として摘発されました。ソマリアとの国境を接する地区では、州内に侵入したAS構成員と治安部隊との衝突が発生しています。
ソマリ族とオロモ族との衝突は鎮静化する様子が見られず、武器による攻撃や焼き討ちに巻き込まれる可能性があります。また、州東部においても、民族間の衝突が頻繁に発生しています。ケニア及びソマリアと国境を接するリベン地区では、治安部隊と反政府勢力との衝突が頻発しています。
つきましては、これら地域への不要不急の渡航は止めてください。
(7)首都アディスアベバを含む上記以外の地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア オロミア州東部
オロミア州東部では2017年9月、オロモ族とソマリ族との衝突が激化し、数百人の死者、60万人以上の国内避難民が発生したと報じられました。また、2019年から2020年にかけ、教会襲撃事件や学生誘拐事件が発生したほか、オロミア州西部におけるインターネット遮断などの際は、東西ハラルゲ地区及びバレ地区、ディレダワ市、ハラリ州などで、政府に対する大規模な抗議デモが発生しました。
イ 南部諸民族州(南スーダンとの国境地帯を除く)
2019年、南部諸民族州の州都ハワサが位置しているシダマ県において州への格上げ運動が発生し、住民投票の結果、州への格上げが決定されましたが、ワライタ県等が格上げに不満を示しており、抗議活動参加者と治安部隊の衝突が発生するなど、緊張状態が続いています。また、2021年9月30日の住民投票により、5県1特別郡が南西州として格上げとなることが決定し、同年11月1日、南部諸民族州から州としての権限が引き渡されました。
2022年11月、グラゲ県ウォルカイトにおいて、州への格上げを求める住民らによる大規模な抗議活動が行われ、同12月、州政府は同地域に無期限でコマンドポストを設置することを発表しました。
南部のコンソ及び周辺地域においては、民族間の衝突がたびたび発生しています。
ウ アディスアベバ近辺の都市
近年のオロモ民族主義の高まりにより、大規模なデモや暴動が発生しています。また、アディスアベバとオロミア州をつなぐ幹線道路は、その都度治安部隊または抗議活動参加者によって州境で封鎖される傾向があります。
エ アンボ
2020年6月には、オロモ系歌手の殺害をきっかけに、同歌手の故郷であるアンボにおいて遺体をめぐる衝突が発生し、約80名が死亡しました。また、断続的に治安部隊と群衆との衝突が発生しています。
オ ビショフトゥ(デブラゼイト)
オロモ系民族の祭典「イレチャ祭」が開催され、2016年にはイレチャ祭をきっかけに衝突が発生し、500名が死亡したとされています。2019年もイレチャ祭後の10月にオロミア州各地で暴動が発生し、80名以上が死亡したとされています。
カ アダマ
2019年に外国人のプラントが襲撃され、1名が死亡、6名が負傷する事件が発生しています。
キ アディスアベバ市
(ア)2018年4月にアビィ首相が就任して以降、同年6月に爆弾による首相暗殺未遂事件、同年7月にルネサンス・ダムの工事責任者の射殺事件、2019年6月に国防軍参謀総長暗殺事件、同年10月に活動家のジャワール・モハメッドによるオロモ系民族扇動事件、2020年6月にオロモ系民族による騒擾事件等、政治色の強い重大事件が発生しています。また、2021年5月以降、ルネサンス・ダムの貯水や第6回総選挙に関連して、欧米諸外国のエチオピア内政への干渉に反対する大規模なデモや政治集会が行われました。さらに8月以降、TPLFと国防軍勢力との武力衝突が激化したことを受け、市内では政府主導による国防軍支持を目的とした大規模なデモや集会が行われているほか、非常事態宣言が発令された11月以降、「#No More」と呼ばれる欧米諸国の内政干渉に反発する気運が高まりを見せ、国内外の複数都市及びアディスアベバ市内の複数の大使館前においてデモが行われました。2022年8月に戦闘が再開し、諸外国による和平交渉への呼びかけが行われる中、アディスアベバ市内のマスカルスクエアにおいては、これに反発する連邦政府支持者による大規模なデモが開催されています。多く人が集まる場所はテロの標的となるだけでなく、興奮した群衆が暴徒化するおそれがありますので、デモが行われている場所には絶対に近付かないでください。
(イ)アディスアベバ市内では、外国人の一般犯罪被害が増加しています。背後から首を絞められ、意識を失っている間に貴重品を盗む「首絞め強盗」が頻繁に発生しています。また、歩行中に唾を吐きかけたり、物売りなどを装ったりして気を引き、携帯電話などの貴重品を盗むスリ被害も増加していますので、外出の際は十分な注意が必要です。
つきましては、これら地域に渡航する場合には十分注意してください。できるだけ単独行動や夜間の外出を避け、犯罪に巻き込まれることがないよう、適切かつ十分な安全対策をとるよう心掛けてください。
3 渡航・滞在にあたっての注意
エチオピア滞在中は下記の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください。また、日本国外務省、在エチオピア日本国大使館、現地関係機関及び報道等より最新情報を入手するよう努めてください。
(1)海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
エチオピアに3か月以上滞在される方は、在エチオピア日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時に在エチオピア日本国大使館の連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html )
(2)エチオピアは内陸国であり、周辺各国の影響を受けやすいため、注意が必要です。特に、ソマリア国内のASが周辺国でもテロ・襲撃などを行っており、エチオピアを含む東アフリカ地域では、テロの脅威に十分注意する必要があります。エチオピア政府は、アディスアベバ市内やソマリ州周辺地域を中心に警備を強化していますが、エチオピア国内でテロやこれに関連する不測の事態が発生する可能性は排除できません。
(3)テロの対象となる可能性のある治安機関、宗教施設等には近づかず、ショッピングセンター等人の多く集まる場所を利用する際には周囲に十分注意を払ってください。テロに関する注意事項については、「テロ・誘拐情勢」も確認してください。(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_095.html)
隣国のソマリア、ケニア、スーダン、南スーダン、エリトリア及びジブチに対しても、別途それぞれ危険情報が発出されているので、留意してください。国境を陸路で越境することは、決して安全ではありません。場所によっては、極めて危険なところもあります。陸路移動はできるだけ避け、空路を選んでください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く。)(内線)9850
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地大使館連絡先)
○在エチオピア日本国大使館
(所在地)Bole Sub-city Woreda 6, House No.431, Addis Ababa, Ethiopia(P.O.BOX 5650)
電話:(市外局番11)667-1166
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