危険情報
バングラデシュの危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)
更新日 2023年03月01日
危険レベル・ポイント
【危険度】
●チッタゴン(チョットグラム)丘陵地帯(カグラチャリ県、ランガマティ県、バンドルボン県)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●上記を除くバングラデシュ全土
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●バングラデシュでは、2017年にダッカ国際空港及びその近辺で自爆テロが発生し、2017年及び2019年にも治安当局を標的とする爆弾テロが散発的に発生しており、依然としてテロの脅威は完全には排除されていません。
●また、政権与党に対するデモ・抗議活動も多く確認され、2022年12月7日にはダッカ市内で警察と最大野党であるバングラデシュ民族主義党(BNP)の活動家らが衝突し複数の死傷者が発生しました。2024年初旬に開催される総選挙に向けて、デモ・抗議活動が激しさを増していくことが予想されますので、治安情勢には十分注意してください。
●チッタゴン(チョットグラム)丘陵地帯では、仏教系少数民族が多数居住していますが、民族対立等が依然として未解決のままであり、現地の治安情勢は依然不透明な状況です。このほか、ミャンマー側の国境地帯において、ミャンマー軍と反政府武装組織が抗争状態にあり、ミャンマー側からの砲弾が国境を越えてバングラデシュ国内に着弾している模様です。また、現在、バングラデシュ治安部隊によるチッタゴン丘陵地帯でのテロ掃討作戦のため、ミャンマー国境の一部で渡航制限が継続されるなど、治安情勢が不安な状態が続いています。引き続き警戒する必要がありますので、同地帯への不要不急の渡航は止めてください。
●チッタゴン(チョットグラム)丘陵地帯(カグラチャリ県、ランガマティ県、バンドルボン県)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●上記を除くバングラデシュ全土
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●バングラデシュでは、2017年にダッカ国際空港及びその近辺で自爆テロが発生し、2017年及び2019年にも治安当局を標的とする爆弾テロが散発的に発生しており、依然としてテロの脅威は完全には排除されていません。
●また、政権与党に対するデモ・抗議活動も多く確認され、2022年12月7日にはダッカ市内で警察と最大野党であるバングラデシュ民族主義党(BNP)の活動家らが衝突し複数の死傷者が発生しました。2024年初旬に開催される総選挙に向けて、デモ・抗議活動が激しさを増していくことが予想されますので、治安情勢には十分注意してください。
●チッタゴン(チョットグラム)丘陵地帯では、仏教系少数民族が多数居住していますが、民族対立等が依然として未解決のままであり、現地の治安情勢は依然不透明な状況です。このほか、ミャンマー側の国境地帯において、ミャンマー軍と反政府武装組織が抗争状態にあり、ミャンマー側からの砲弾が国境を越えてバングラデシュ国内に着弾している模様です。また、現在、バングラデシュ治安部隊によるチッタゴン丘陵地帯でのテロ掃討作戦のため、ミャンマー国境の一部で渡航制限が継続されるなど、治安情勢が不安な状態が続いています。引き続き警戒する必要がありますので、同地帯への不要不急の渡航は止めてください。
詳細
1 概況
(1)政治情勢
ア 2014年1月に行われたバングラデシュの第10回総選挙では、選挙前から野党関係者による政権与党への反対運動(ハルタル)やそれに伴う抗議活動が全国各地で実施され、選挙運動参加者の一部と治安部隊との衝突が発生したほか、爆弾事件や公共交通機関への放火などに発展し多数の死傷者を伴う事態となりました。しかし、2018年12月の第11回総選挙では、敗北した政党などによる抗議活動はほとんど見られず、総選挙後の政治情勢は全般的に平穏裏に推移しました。
イ 2021年3月にはインドのモディ首相訪問に対し、イスラム主義団体「ヘファジャテ・イスラム」が全国規模の抗議活動及びハルタルを実施し、同活動参加者と治安部隊の間で衝突が発生し、双方に複数の負傷者が出ました。
ウ 2022年6月にはインド与党であるインド人民党(BJP)幹部による預言者ムハンマドに対する発言をめぐり、ダッカ市内で抗議集会が行われました。このほか、2022年12月7日、ダッカ市内で警察と最大野党であるBNPの活動家らが衝突し、男性1名が死亡、ジャーナリスト4名を含む50名以上が負傷しました。
エ バングラデシュにおいては選挙時以外にも政権与党や政府に対する抗議活動等が断続的に発生していますが、2024年初旬頃には第12回総選挙が控えていますので、政党事務所やダッカ大学周辺など、これまでに選挙運動や大規模集会が行われた場所等には極力近づかないようにしてください。また、外国人が多数居住する地域においても上記のような事態が発生したことがありますので、そのような地域においても十分注意が必要です。
(2)テロ情勢
ア 過去、国内各地で外国人、イスラム教スンニ派以外の宗教信者、治安当局関係者等が標的となるテロ事件が相次いで発生しており、2015年10月には、ロングプール県における邦人殺害事件、2016年7月にはダッカ襲撃テロ事件が発生しました。邦人が被害となった両事件に関しては、「ISILバングラデシュ」を名乗る犯行声明が発出され、2019年に発生した警察官を狙った爆弾事件に関しても、同様の犯行声明が発出されました。2022年11月には、ダッカ市内において、アルカイダ系過激派組織「アンサール・アル・イスラム」(AAI)構成員の死刑囚2人が裁判所敷地内から脱走し、現在も行方が分かっていません。
イ 2016年以降、バングラデシュ政府は、ISILの思想に感化されたイスラム過激派組織「ジャマトゥル・ムジャディン・バングラデシュ(JMB)」の分派組織であるネオJMB構成員を中心に、テロ計画を有するイスラム過激主義者らの摘発を継続的に推進し、テロを未然に阻止しています。近年は外国人を標的としたテロ事件は発生していませんが、過激派組織の拠点からは爆弾及び爆弾の原材料等が大量に押収され続けており、摘発時に構成員が自爆する事件も発生しています。過激主義者は、ダッカ襲撃テロ事件を称揚し、さらなる攻撃を行うよう呼びかけるメッセージを映像や雑誌等のメディアを通じて発出しており、こうしたメッセージは組織的なテロの脅威が完全に排除されていないことを示しており、引き続き注意、警戒が必要です。
具体的には以下の点に留意してください。
[行動]
●予定を多くの人に知られないようにし、目立たないように行動する。
●通勤や買い物等を同じ経路や時間帯で行わず、日常の行動パターンをできるだけ固定しないようにする。
●外出時の移動は車両を利用する。
●早朝・夜間の外出、移動は控え、日中の時間帯に用事を済ませる。
●車両駐車時、特に車両昇降時には、車両に不審者や不審車両(バイク等を含む)が近づいていないか慎重に周囲の状況を確認する。
[訪問場所]
●最新の治安情勢について情報収集に努め、滞在先や個別の訪問先の治安状況や警備体制を常に確認する。
●テロの標的となりやすい場所(外国人が多く集まるレストラン、欧米関連施設、政府施設、公共交通機関、観光施設、宗教施設、警察署、ショッピングモール、公立学校や市場など)への訪問を控える。これらの場所を訪問する必要がある場合には、滞在時間を短くする、避難経路を確認しておく等の安全対策を必ず講じる。また、周囲の状況には常に注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場を離れる。
[時期等]
●宗教行事、季節的な行事や大規模イベントの際は、不要不急の外出は控える。
●イスラム教では、金曜日が集団礼拝の日とされており、その機会を利用してテロや襲撃が行われることがあるので、モスク等の宗教施設などテロの標的となりやすい場所には極力近づかない。
(3)一般犯罪
全土において、犯罪発生件数は年々増加しており、特に、ここ数年で薬物事案が急激に増加しています。一方、2016年以降、警察の検挙率も急速に伸びており、治安当局の取組は成果を上げていますが、依然として、誘拐、殺人、強盗等の凶悪犯罪が多発しており、邦人旅行者や出張者などの短期滞在者が人的被害を受ける例も確認されています。
2 地域別情勢
(1)チッタゴン(チョットグラム)丘陵地帯(カグラチャリ県、ランガマティ県、バンドルボン県)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア 南東部のインド及びミャンマーと国境を接するチッタゴン丘陵地帯には、仏教系少数民族が100万人以上居住しています。自治権要求等の背景から反政府組織が結成され、多くの死傷者を出す抗争が度々発生しましたが、1997年に「チッタゴン丘陸地帯和平協定」が締結されて以降、同抗争は沈静化しました。一方、民族対立等は依然として未解決のままであり、現地の治安情勢は依然不透明な状況が続いていますので、引き続き警戒する必要があります。
イ 2019年3月18日、ランガマティ地区で待ち伏せしていた武装集団が、投票所から投票箱を運んでいた乗用車2台に発砲し、少なくとも7名が死亡、15名が負傷する事案が発生しました。このほか、2022年7月頃には、ミャンマー側の国境地帯において、ミャンマー軍と反政府武装組織であるアラカン軍(AA)との戦闘が激化し、ミャンマー側から砲弾が国境を越えてバングラデシュ国内に着弾している模様です。また、現在、バングラデシュ治安部隊によるチッタゴン丘陵地帯でのテロ掃討作戦により、ミャンマーとの国境の一部で渡航制限が継続されるなど、不安定な治安情勢が続いていますので、引き続き、治安を注視し警戒する必要があります。
つきましては、これら地域への不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず渡航する場合には特別な注意を払うとともに十分な安全対策をとってください。
(2)上記を除くバングラデシュ全土
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア ダッカ管区
(ア) 2020年2月1日に南北ダッカ市長・市議選挙が実施され、開票後、敗北したBNPがハルタルを実施したものの、死傷者が発生するなどの大きな混乱はありませんでしたが、2022年12月7日には、ダッカ市内で警察とBNP活動家が衝突し、男性1名が死亡、50名以上が負傷しました。
(イ) 2020年11月には、預言者ムハンマドの風刺画問題を巡って、イスラム教保守派団体が主導して大規模な抗議活動が行われました。2021年3月にはインドのモディ首相訪問に対し、イスラム主義団体「ヘファジャテ・イスラム」が全国規模の抗議活動及びハルタルを実施し、抗議活動参加者と治安部隊の間で衝突が発生し、双方に複数の負傷者が出ました。この数日後には同団体幹部の多数が逮捕され、中央委員会も解散となりました。また、2022年6月にはインド与党であるインド人民党(BJP)幹部による預言者ムハンマドに対する発言をめぐり、ダッカ市内で抗議集会が行われました。
(ウ) 2016年7月、ダッカ市グルシャン地区のレストラン「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」において、武装グループが人質を取って籠城し、日本人7名を含む20名以上を殺害、多数を負傷させるダッカ襲撃テロ事件が発生しました。2016年以降、治安当局は過激派に対する取締り及びダッカ市内における警備体制を強化し、特に、在バングラデシュ日本国大使館が所在するダッカ市の外交団地区内(バリダラ地区)では多くの検問所、警察官詰め所が増設されました。2017年にダッカ国際空港付近及び独立記念博物館周辺で自爆テロが発生したものの、その後ダッカ管区において邦人が被害となるテロ関連事件は発生していません。
(エ) 首都圏を中心とするダッカ管区においては、治安当局による過激主義者に対する摘発が強力に推進されており、こうした状況に不満を募らせた過激主義者が、2019年中、ダッカ市内において警察官を狙った爆弾事件を複数件実行しましたが、いずれも粗悪な手製爆弾による犯行であったため、死者を伴う被害は出ていません(各事件についてISILが犯行声明を発出しました)。治安当局は、ダッカ近郊にある過激派組織の拠点に対する掃討作戦を実施し、その後、全ての関係者を逮捕しました。今後も類似事件が発生する可能性が否定できないため、市内を移動する際、警察官詰所、検問所付近を通過する際には十分な注意が必要です。
また、2022年11月には、ダッカ市内において、アルカイダ系過激派組織「アンサール・アル・イスラム」(AAI)構成員の死刑囚2人が裁判所敷地内から脱走し、現在も行方が分かっていません。
イ ダッカ管区を除く地域
(ア)バングラデシュでは2018年12月30日に第11回総選挙が実施され、与党アワミ連盟が勝利を収めました。選挙期間中も与野党の小競り合いは発生したものの、全体としてはこれまでに実施された総選挙と比べて、大規模な混乱もなく平穏裏に終了しました。特に、BNP党首の立候補が認められず、選挙前後には激しい抗議活動が予想されていましたが、選挙結果に対する野党側の抗議活動等はあったものの、ハルタルや激しい抗議活動もほとんど確認されませんでした。ただし、二大政党間の根強い対立関係は続いており、2024年初旬には第12回総選挙も控えていることから、今後も野党関係者による政権与党や政府に対する抗議活動等は断続的に発生するものとみられます。
(イ)テロ関連では、2018年に世俗化に影響力を有する著名人が殺害される事件が2件発生しましたが、これ以降、死者を伴うテロ事件は発生していませんが、2019年から2020年2月末まで、警察官を狙った爆弾事件が散発的に全土で発生し、警察官及び市民数名に負傷者が出ています。
つきましては、これらの地域へ渡航・滞在に当たっては、現地事情に関する最新の情報を入手するなどし、危険を避けるよう十分注意してください。
3 渡航・滞在に当たっての注意
(1)渡航者全般向けの注意事項
滞在中は以下の情報及び注意事項に留意の上、危険を避けるようにしてください。また、バングラデシュの「安全対策基礎データ」( https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_012.html )もご一読の上、日本国外務省、在バングラデシュ日本国大使館、現地関係機関、テレビなど各種報道等から最新の情報を入手するよう努めてください。
万一、事件・事故に巻き込まれた、緊急事態が発生した、又は発生しそうな場合には、安否確認、緊急時の連絡などに必要ですので、以下(2)のとおり、在留届の提出または「たびレジ」への登録をお願いします。
ア 抗議活動に対する注意
抗議活動参加者が、時には道路を封鎖したり、投石したりすることがあります。抗議活動には近づかず、またデモが行われる場所が事前に分かる場合は同場所への立ち入りを控えてください。不自然な渋滞に遭遇した場合には迂回する等の措置を講じ、巻き込まれてしまった場合は、警察や家族、所属組織関係者と密に連絡をとるとともに、身の安全を最優先に行動してください。
イ テロ等に対する注意
テロに対する警戒が必要であることを認識し、外務省が発出する海外安全情報及び報道等により、治安情勢等、渡航・滞在先について最新の関連情報の入手に努めるとともに、改めて危機管理意識を持つよう努めてください。テロ、誘拐等の不測の事態に巻き込まれることのないよう、特にイスラム過激派の標的となりやすい場所(上記「1(2)テロ情勢」で指摘した場所)を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等、安全対策を講じてください。また、以下も併せご参照ください。
・パンフレット「海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策Q&A」
(https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_03.html)
・パンフレット「海外旅行のテロ・誘拐対策」
(https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_10.html)
・ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル
(https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html)
(2)在留届・「たびレジ」登録
海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在される方は、在バングラデシュ日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時に在バングラデシュ日本国大使館の連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html )
4 近隣国のインド及びミャンマーにもそれぞれ危険情報が発出されていますので、ご留意ください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311 (内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く) (内線9926)
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連) (内線3047)
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (モバイル版)
(現地公館連絡先)
○在バングラデシュ日本国大使館
住所:Plot No.5 & 7、 Dutabash Road、 Baridhara、 Dhaka、 Bangladesh
電話:(市外局番02) 222260010
国外からは(国番号880)-2-222260010
ファックス:(市外局番02)222261591
国外からは(国番号880)-2-222261591
ホームページ:http://www.bd.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
メールアドレス:consular@dc.mofa.go.jp
(1)政治情勢
ア 2014年1月に行われたバングラデシュの第10回総選挙では、選挙前から野党関係者による政権与党への反対運動(ハルタル)やそれに伴う抗議活動が全国各地で実施され、選挙運動参加者の一部と治安部隊との衝突が発生したほか、爆弾事件や公共交通機関への放火などに発展し多数の死傷者を伴う事態となりました。しかし、2018年12月の第11回総選挙では、敗北した政党などによる抗議活動はほとんど見られず、総選挙後の政治情勢は全般的に平穏裏に推移しました。
イ 2021年3月にはインドのモディ首相訪問に対し、イスラム主義団体「ヘファジャテ・イスラム」が全国規模の抗議活動及びハルタルを実施し、同活動参加者と治安部隊の間で衝突が発生し、双方に複数の負傷者が出ました。
ウ 2022年6月にはインド与党であるインド人民党(BJP)幹部による預言者ムハンマドに対する発言をめぐり、ダッカ市内で抗議集会が行われました。このほか、2022年12月7日、ダッカ市内で警察と最大野党であるBNPの活動家らが衝突し、男性1名が死亡、ジャーナリスト4名を含む50名以上が負傷しました。
エ バングラデシュにおいては選挙時以外にも政権与党や政府に対する抗議活動等が断続的に発生していますが、2024年初旬頃には第12回総選挙が控えていますので、政党事務所やダッカ大学周辺など、これまでに選挙運動や大規模集会が行われた場所等には極力近づかないようにしてください。また、外国人が多数居住する地域においても上記のような事態が発生したことがありますので、そのような地域においても十分注意が必要です。
(2)テロ情勢
ア 過去、国内各地で外国人、イスラム教スンニ派以外の宗教信者、治安当局関係者等が標的となるテロ事件が相次いで発生しており、2015年10月には、ロングプール県における邦人殺害事件、2016年7月にはダッカ襲撃テロ事件が発生しました。邦人が被害となった両事件に関しては、「ISILバングラデシュ」を名乗る犯行声明が発出され、2019年に発生した警察官を狙った爆弾事件に関しても、同様の犯行声明が発出されました。2022年11月には、ダッカ市内において、アルカイダ系過激派組織「アンサール・アル・イスラム」(AAI)構成員の死刑囚2人が裁判所敷地内から脱走し、現在も行方が分かっていません。
イ 2016年以降、バングラデシュ政府は、ISILの思想に感化されたイスラム過激派組織「ジャマトゥル・ムジャディン・バングラデシュ(JMB)」の分派組織であるネオJMB構成員を中心に、テロ計画を有するイスラム過激主義者らの摘発を継続的に推進し、テロを未然に阻止しています。近年は外国人を標的としたテロ事件は発生していませんが、過激派組織の拠点からは爆弾及び爆弾の原材料等が大量に押収され続けており、摘発時に構成員が自爆する事件も発生しています。過激主義者は、ダッカ襲撃テロ事件を称揚し、さらなる攻撃を行うよう呼びかけるメッセージを映像や雑誌等のメディアを通じて発出しており、こうしたメッセージは組織的なテロの脅威が完全に排除されていないことを示しており、引き続き注意、警戒が必要です。
具体的には以下の点に留意してください。
[行動]
●予定を多くの人に知られないようにし、目立たないように行動する。
●通勤や買い物等を同じ経路や時間帯で行わず、日常の行動パターンをできるだけ固定しないようにする。
●外出時の移動は車両を利用する。
●早朝・夜間の外出、移動は控え、日中の時間帯に用事を済ませる。
●車両駐車時、特に車両昇降時には、車両に不審者や不審車両(バイク等を含む)が近づいていないか慎重に周囲の状況を確認する。
[訪問場所]
●最新の治安情勢について情報収集に努め、滞在先や個別の訪問先の治安状況や警備体制を常に確認する。
●テロの標的となりやすい場所(外国人が多く集まるレストラン、欧米関連施設、政府施設、公共交通機関、観光施設、宗教施設、警察署、ショッピングモール、公立学校や市場など)への訪問を控える。これらの場所を訪問する必要がある場合には、滞在時間を短くする、避難経路を確認しておく等の安全対策を必ず講じる。また、周囲の状況には常に注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場を離れる。
[時期等]
●宗教行事、季節的な行事や大規模イベントの際は、不要不急の外出は控える。
●イスラム教では、金曜日が集団礼拝の日とされており、その機会を利用してテロや襲撃が行われることがあるので、モスク等の宗教施設などテロの標的となりやすい場所には極力近づかない。
(3)一般犯罪
全土において、犯罪発生件数は年々増加しており、特に、ここ数年で薬物事案が急激に増加しています。一方、2016年以降、警察の検挙率も急速に伸びており、治安当局の取組は成果を上げていますが、依然として、誘拐、殺人、強盗等の凶悪犯罪が多発しており、邦人旅行者や出張者などの短期滞在者が人的被害を受ける例も確認されています。
2 地域別情勢
(1)チッタゴン(チョットグラム)丘陵地帯(カグラチャリ県、ランガマティ県、バンドルボン県)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア 南東部のインド及びミャンマーと国境を接するチッタゴン丘陵地帯には、仏教系少数民族が100万人以上居住しています。自治権要求等の背景から反政府組織が結成され、多くの死傷者を出す抗争が度々発生しましたが、1997年に「チッタゴン丘陸地帯和平協定」が締結されて以降、同抗争は沈静化しました。一方、民族対立等は依然として未解決のままであり、現地の治安情勢は依然不透明な状況が続いていますので、引き続き警戒する必要があります。
イ 2019年3月18日、ランガマティ地区で待ち伏せしていた武装集団が、投票所から投票箱を運んでいた乗用車2台に発砲し、少なくとも7名が死亡、15名が負傷する事案が発生しました。このほか、2022年7月頃には、ミャンマー側の国境地帯において、ミャンマー軍と反政府武装組織であるアラカン軍(AA)との戦闘が激化し、ミャンマー側から砲弾が国境を越えてバングラデシュ国内に着弾している模様です。また、現在、バングラデシュ治安部隊によるチッタゴン丘陵地帯でのテロ掃討作戦により、ミャンマーとの国境の一部で渡航制限が継続されるなど、不安定な治安情勢が続いていますので、引き続き、治安を注視し警戒する必要があります。
つきましては、これら地域への不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず渡航する場合には特別な注意を払うとともに十分な安全対策をとってください。
(2)上記を除くバングラデシュ全土
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア ダッカ管区
(ア) 2020年2月1日に南北ダッカ市長・市議選挙が実施され、開票後、敗北したBNPがハルタルを実施したものの、死傷者が発生するなどの大きな混乱はありませんでしたが、2022年12月7日には、ダッカ市内で警察とBNP活動家が衝突し、男性1名が死亡、50名以上が負傷しました。
(イ) 2020年11月には、預言者ムハンマドの風刺画問題を巡って、イスラム教保守派団体が主導して大規模な抗議活動が行われました。2021年3月にはインドのモディ首相訪問に対し、イスラム主義団体「ヘファジャテ・イスラム」が全国規模の抗議活動及びハルタルを実施し、抗議活動参加者と治安部隊の間で衝突が発生し、双方に複数の負傷者が出ました。この数日後には同団体幹部の多数が逮捕され、中央委員会も解散となりました。また、2022年6月にはインド与党であるインド人民党(BJP)幹部による預言者ムハンマドに対する発言をめぐり、ダッカ市内で抗議集会が行われました。
(ウ) 2016年7月、ダッカ市グルシャン地区のレストラン「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」において、武装グループが人質を取って籠城し、日本人7名を含む20名以上を殺害、多数を負傷させるダッカ襲撃テロ事件が発生しました。2016年以降、治安当局は過激派に対する取締り及びダッカ市内における警備体制を強化し、特に、在バングラデシュ日本国大使館が所在するダッカ市の外交団地区内(バリダラ地区)では多くの検問所、警察官詰め所が増設されました。2017年にダッカ国際空港付近及び独立記念博物館周辺で自爆テロが発生したものの、その後ダッカ管区において邦人が被害となるテロ関連事件は発生していません。
(エ) 首都圏を中心とするダッカ管区においては、治安当局による過激主義者に対する摘発が強力に推進されており、こうした状況に不満を募らせた過激主義者が、2019年中、ダッカ市内において警察官を狙った爆弾事件を複数件実行しましたが、いずれも粗悪な手製爆弾による犯行であったため、死者を伴う被害は出ていません(各事件についてISILが犯行声明を発出しました)。治安当局は、ダッカ近郊にある過激派組織の拠点に対する掃討作戦を実施し、その後、全ての関係者を逮捕しました。今後も類似事件が発生する可能性が否定できないため、市内を移動する際、警察官詰所、検問所付近を通過する際には十分な注意が必要です。
また、2022年11月には、ダッカ市内において、アルカイダ系過激派組織「アンサール・アル・イスラム」(AAI)構成員の死刑囚2人が裁判所敷地内から脱走し、現在も行方が分かっていません。
イ ダッカ管区を除く地域
(ア)バングラデシュでは2018年12月30日に第11回総選挙が実施され、与党アワミ連盟が勝利を収めました。選挙期間中も与野党の小競り合いは発生したものの、全体としてはこれまでに実施された総選挙と比べて、大規模な混乱もなく平穏裏に終了しました。特に、BNP党首の立候補が認められず、選挙前後には激しい抗議活動が予想されていましたが、選挙結果に対する野党側の抗議活動等はあったものの、ハルタルや激しい抗議活動もほとんど確認されませんでした。ただし、二大政党間の根強い対立関係は続いており、2024年初旬には第12回総選挙も控えていることから、今後も野党関係者による政権与党や政府に対する抗議活動等は断続的に発生するものとみられます。
(イ)テロ関連では、2018年に世俗化に影響力を有する著名人が殺害される事件が2件発生しましたが、これ以降、死者を伴うテロ事件は発生していませんが、2019年から2020年2月末まで、警察官を狙った爆弾事件が散発的に全土で発生し、警察官及び市民数名に負傷者が出ています。
つきましては、これらの地域へ渡航・滞在に当たっては、現地事情に関する最新の情報を入手するなどし、危険を避けるよう十分注意してください。
3 渡航・滞在に当たっての注意
(1)渡航者全般向けの注意事項
滞在中は以下の情報及び注意事項に留意の上、危険を避けるようにしてください。また、バングラデシュの「安全対策基礎データ」( https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_012.html )もご一読の上、日本国外務省、在バングラデシュ日本国大使館、現地関係機関、テレビなど各種報道等から最新の情報を入手するよう努めてください。
万一、事件・事故に巻き込まれた、緊急事態が発生した、又は発生しそうな場合には、安否確認、緊急時の連絡などに必要ですので、以下(2)のとおり、在留届の提出または「たびレジ」への登録をお願いします。
ア 抗議活動に対する注意
抗議活動参加者が、時には道路を封鎖したり、投石したりすることがあります。抗議活動には近づかず、またデモが行われる場所が事前に分かる場合は同場所への立ち入りを控えてください。不自然な渋滞に遭遇した場合には迂回する等の措置を講じ、巻き込まれてしまった場合は、警察や家族、所属組織関係者と密に連絡をとるとともに、身の安全を最優先に行動してください。
イ テロ等に対する注意
テロに対する警戒が必要であることを認識し、外務省が発出する海外安全情報及び報道等により、治安情勢等、渡航・滞在先について最新の関連情報の入手に努めるとともに、改めて危機管理意識を持つよう努めてください。テロ、誘拐等の不測の事態に巻き込まれることのないよう、特にイスラム過激派の標的となりやすい場所(上記「1(2)テロ情勢」で指摘した場所)を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等、安全対策を講じてください。また、以下も併せご参照ください。
・パンフレット「海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策Q&A」
(https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_03.html)
・パンフレット「海外旅行のテロ・誘拐対策」
(https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_10.html)
・ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル
(https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html)
(2)在留届・「たびレジ」登録
海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在される方は、在バングラデシュ日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時に在バングラデシュ日本国大使館の連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html )
4 近隣国のインド及びミャンマーにもそれぞれ危険情報が発出されていますので、ご留意ください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311 (内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く) (内線9926)
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連) (内線3047)
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (モバイル版)
(現地公館連絡先)
○在バングラデシュ日本国大使館
住所:Plot No.5 & 7、 Dutabash Road、 Baridhara、 Dhaka、 Bangladesh
電話:(市外局番02) 222260010
国外からは(国番号880)-2-222260010
ファックス:(市外局番02)222261591
国外からは(国番号880)-2-222261591
ホームページ:http://www.bd.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
メールアドレス:consular@dc.mofa.go.jp