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イラクの危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)

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更新日 2021年03月17日
危険情報
地図
凡例:黄色箇所「レベル1:十分に注意してください。」・その国・地域への渡航、滞在にあたって危険を避けていただくため特別な注意が必要です。薄橙色箇所「レベル2:不要不急の外出は止めてください。」その国・地域への不要不急の渡航は止めてください。渡航する場合は特別な注意を払うとともに、十分な安全対策をとってください。橙色箇所「レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)」その国地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。(場合によっては、現地に滞在している日本人の方々に対して退避の可能性や準備を促すメッセージを含むことがあります。)赤色箇所「レベル4:退避してください。渡航はやめてください。(退避勧告)」その国・地域に滞在している方は滞在地から、安全な国地域へ退避してください。この状況では、当然のことながら、どのような目的であれ新たな渡航は止めてください。
凡例表示

危険レベル・ポイント

【危険度】
●ニナワ県(以下に規定するニナワ平原経由幹線道路を除く。)、キルクーク県、サラーハッディーン県、アンバール県、バグダッド県(以下に規定するルート・アイリッシュ、バグダッド国際空港敷地内及びインターナショナル・ゾーン(以下「IZ」という。)を除く。)、ディヤーラ県、バービル県、ワーシト県、並びにクルディスタン地域(エルビル県、スレイマーニーヤ県及びドホーク県)のニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近(以下に規定するニナワ平原経由幹線道路を除く。)
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)

●エルビル県エルビル市とドホーク県ドホーク市間を移動する場合に通過するニナワ県のカラク、バーダラシュ、ルビア及びバーダラを経由する幹線道路並びにこれ以北のニナワ平原を通過する幹線道路(以下「ニナワ平原経由幹線道路」という。)、バグダッド国際空港とIZを結ぶ空港道路(以下「ルート・アイリッシュ」という。)並びにIZ
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
(真にやむを得ない事情でこれらの道路を通過、またはIZに渡航・滞在する場合は、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)

●エルビル県(エルビル市並びにニナワ県、キルクーク県及びサラーハッディーン県との県境を除く。)並びにスレイマーニーヤ県及びドホーク県のトルコ、イラン及びシリアとの国境付近
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

●中南部・南部7県(カルバラー県、ナジャフ県、ディワーニーヤ県、バスラ県(バスラ国際空港敷地内を除く。)、ムサンナー県、ズィーカール県及びミーサーン県)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
(やむを得ない事情で現地に渡航・滞在する場合には、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)

●バグダッド国際空港敷地内(バグダッド国際空港敷地内のホテル及びイラク航空国際ビジネスセンターを含む。)並びにバスラ国際空港敷地内
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
(やむを得ない理由からこれら施設敷地内に立ち入る、または滞在する方は、専門家のアドバイスを受け、空港敷地内での滞在期間を必要最小限にするなど、十分な安全対策を取ってください。)

●エルビル県エルビル市、並びにスレイマーニーヤ県並びにドホーク県のうちトルコ、イラン及びシリアとの国境付近並びにニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近を除く地域
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)

【ポイント】
●イラクでは、2017年12月に政府によりイスラム過激派組織ISIL(イラクとレバントのイスラム国)からの全土解放宣言が宣言されましたが、多数の死傷者が発生する自爆テロを含め、ISIL分子によるテロが引き続き発生していること等を踏まえ、レベル3以上の地域には、原則、どのような目的であれ渡航は止めてください。

●2019年10月初旬にバグダッド県や中南部・南部諸県を中心に発生した、公共サービスや高い失業率の改善、汚職の撲滅等を求める抗議デモが現在も継続しています。今後の情勢次第で抗議デモが再び激化する可能性もあるため、注意が必要です。

●2020年1月3日、イランのソレイマニ革命ガード・コッヅ部隊司令官及びイラクのムハンディス人民動員部隊(PMU)副司令官が米国の空爆により殺害されたことを受け、同8日にイラン側がイラク国内の米軍駐留基地に対して弾道ミサイル攻撃を行うなど、イラク国内の治安情勢が著しく緊迫しました。イラク国内の治安情勢は周辺諸国の動向等の影響を受けやすいため、今後も中東情勢がイラクに与える影響に十分な注意が必要です。

詳細

1 概況
(1)2014年6月以降、 ISILがイラク北部及び西部を中心に勢力を拡大させていましたが、有志連合の支援を受けたイラク軍による掃討作戦を経て、2017年12月9日、イラク政府はISILからのイラク全土解放を宣言しました。しかしながら、イラクにはいまだ3,000人を超すISILの残党が存在しているとの見方もあり、ニナワ県、アンバール県、サラーハッディーン県、キルクーク県等の一部地域ではテロ事案や治安当局による掃討作戦による衝突が頻発しています。

(2)2019年10月初旬から、バグダッド県や中南部・南部諸県を中心に、公共サービスや高い失業率の改善、汚職の撲滅等を求める抗議デモが発生しており、現在も継続しています。一連の抗議デモにより、イラク全土で数百名が死亡し、数万人の負傷者が発生したと報道されています。また、デモ参加者の誘拐・殺害事案も相次いでおり、2020年2月12日のイラク人権委員会の発表によれば、これまでに72件の誘拐事案(うち解放されたのは22件。)及び49件の暗殺事案(うち22件が被害者の死亡に至り、13件が負傷、14件が未遂。)の発生が確認されています。2019年12月1日にデモ隊が求めるアブドルマハディー首相の辞任が国民議会で正式に承認されたことなどを受け、デモは一時的に沈静化しましたが、2020年1月中旬以降、治安部隊とデモ隊との激しい衝突が再度発生し、多数の死傷者が出ました。2020年5月7日にムスタファ・アル・カーズィミー国家諜報庁長官が首相に就任し、組閣を経て新政権が発足しましたが、引き続き汚職対策、雇用対策や給料未払いなどの改善を求めてデモが行われており、今後の情勢次第で抗議デモが再び激化する可能性もあるため、注意が必要です。また、2020年12月20日にイラクディナールの対米ドルレートが大幅に切り下げられ、これに対するデモも多数発生しています。

(3)2019年12月27日、キルクーク県の米軍を含む対ISIL有志連合軍が駐留するK1基地にロケット弾が着弾し、米民間軍事会社の米国人職員1名が死亡、米軍兵士及びイラク軍兵士複数名が負傷しました。これを受け、同29日に米軍がアンバール県カーイム郡のカターエブ・ヒズボッラーの拠点3か所に対する空爆を実施し(シリア領内の拠点2か所も空爆)、19名が死亡、35名が負傷すると、同日、バグダッド市内から北に30kmに所在し米軍も駐留していたタージ基地に4発のロケット弾が着弾しました。また、同31日には、バグダッド市内において米軍の空爆による死者の葬儀が行われ、参列者がデモ隊となってIZ内に侵入し、米国大使館前で抗議活動を行いました。その際、一部の暴徒化したデモ隊が、米国大使館の施設の一部の占拠、外壁への放火等過激な行為を行いました。

(4)2020年1月3日、イランのソレイマニ革命ガード・コッヅ部隊司令官及びイラクのムハンディスPMU副司令官が米国の空爆によりイラクのバグダッド空港付近で殺害されたことを受け、同8日、イラン革命ガードがイラク国内の米軍駐留基地であるアンバール県のアイン・アサド基地及びエルビル国際空港近くの基地に対してミサイル攻撃を行いました。こうした一連の事態を受け、イラク国内の治安情勢は著しく緊迫しました。イラク国内の治安情勢は周辺諸国の動向等の影響を受けやすいため、今後も中東情勢がイラクに与える影響に十分な注意が必要です。

(5)その後も武装グループが在イラク米国大使館等の米国権益に対して、ロケット弾で攻撃を行う事案が継続しております。2020年3月11日にタージ基地に対するロケット攻撃が発生し、米軍兵士1名、米請負業者1名、英軍兵士1名が死亡したことを受け、同月13日に米国はバービル県及びカルバラー県のカターイブ・ヒズボッラーの拠点5カ所に空爆を実施し、イラク軍によれば6名が死亡(治安関係者5名、カルバラ空港職員1名)、13名が負傷しました。その翌14日には、再びタージ基地に対して33発のロケットが着弾し、イラク軍兵士2名及び有志連合軍隊員3名が負傷する等の被害が発生しました。その後も、米軍が駐留する基地やそれに隣接するバグダッド国際空港やエルビル国際空港、米国大使館へのロケットによる攻撃が継続しています。直近では、2021年2月15日にエルビル国際空港近くの米軍駐留施設を狙ったロケット攻撃により、米軍兵士1名の負傷を含む複数の死傷者が発生し、これに対して、2月25日、米軍は、シリア東部(イラク国境地域)にあるカターイブ・ヒズボッラー及びカターイブ・サイイド・シュハダーの11箇所の拠点に空爆を行い、シリア人権監視団発表によれば、PMU要員22名が死亡したと報じられました。

(6)また、米国軍や有志連合軍への物資運搬車列が走行中に簡易爆弾による攻撃を受ける事案も頻繁に発生しています。2020年8月26日にはイラク北部のニナワ県で国連世界食糧計画の車両が簡易爆弾による攻撃を受け、同年9月15日にはバグダッド国際空港とIZを結ぶ空港道路(ルート・アイリッシュ)で英国大使館の車両が簡易爆弾による攻撃に巻き込まれる事案が発生、同年9月30日には同じ道路上でEU代表部の車両後方を走っていた車両が簡易爆弾による爆発に巻き込まれました。

(7)バグダッドを中心に、アルコール類を販売している商店に対し、簡易爆弾による攻撃を加える事件も頻発しています。一般的に、その地域を取り仕切っている組織による、いわゆる「みかじめ料」の支払いがない商店に対する嫌がらせが目的とされていますが、死亡事案に発展した事案も発生しています。

(8)2021年1月21日に、バグダッド市街中心部のバブ・アルシャルキ地区にあるタヤラン広場にて、2件の自爆テロ事件が発生し、32名の死者及び110名の負傷者が出ました。この事件に対し翌22日にはISILが犯行声明を出しました。これは、2019年5月9日にサドルシティーで発生した事件(同様にISILが犯行声明を出したもの。)以来の自爆テロによる死傷事件となります。
イラク治安当局や有志連合軍は上記1月21日の自爆テロ事件を受け、ISILの掃討作戦を強固に実施し、イラク首相が1月28日にイラクISIL副指導者(naaib alkhaliifa)とされるアブー・ヤーセル・アルイーサウィーを治安部隊の作戦により殺害したと発表しました。また、治安当局は、バグダッドにおいて更なる自爆テロを企てていたISILの工作員を拘束し、これを未然に阻止したと発表するなど、ISILとの攻防を繰り広げています。この他、イラク北・西部においてISILによる送電施設に対する攻撃が多数発生しており、ISILの活動が活発化しています。

2 地域別情勢
(1)ニナワ県(ニナワ平原経由幹線道路を除く。)、キルクーク県、サラーハッディーン県、アンバール県、バグダッド県(ルート・アイリッシュ、バグダッド国際空港敷地内及びIZを除く。)、ディヤーラ県、バービル県、ワーシト県並びにクルディスタン地域(エルビル県、スレイマーニーヤ県及びドホーク県)のニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近(ニナワ平原経由幹線道路を除く。) 
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)

ア 2017年12月にISILからのイラク全土の解放宣言がなされたものの、イラク北部及び西部のニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県、ディヤーラ県及びアンバール県では、米軍の支援を受けたイラク治安部隊等によるISIL残党の掃討作戦が継続しており、2019年7月7日からは、「勝利の意志作戦」と呼ばれる大規模な掃討作戦が実施されました。一部地域では、イラク軍などによる空爆も行われていますが、ISIL分子による治安部隊や一般市民に対するテロ等が続いており、多数の死傷者が発生しています。これらの地域では、幹線道路や市街地等のみならず、あらゆる場所で爆破、放火、銃撃といった事件が多数報告されています。

イ バグダッド県では、イラク政府による首都治安対策の強化により、テロ事案件数は大幅に減少していますが、いわゆるバグダッド・ベルト地域(バグダッド県周辺部)では、テロ・犯罪事案が依然として多発しています。2020年11月8日にバグダッド近郊のラドワーニーヤ地区でスンニー派部族の拠点がISIL分子と思われる武装勢力の襲撃を受け、一般市民を含む11名が死傷する事案が発生しました。また、2021年1月21日にバグダッド市街中心部のバブ・アルシャルキ地区にあるタヤラン広場にて、2件の自爆テロ事件が発生し、32名の死者及び110名の負傷者が出ました。この事件に対し翌22日にはISILが犯行声明を出しました。イラク治安当局や有志連合軍は当該自爆テロ事件を受け、ISILの掃討作戦を強固に実施し、イラク首相が1月28日イラクISIL副指導者(naaib alkhaliifa)とされるアブー・ヤーセル・アルイーサウィーを治安部隊の作戦により殺害したと発表しました。また、治安当局は、バグダッドにおいて更なる自爆テロを企てていたISILの工作員を拘束し、これを未然に阻止したと発表するなど、ISILとの攻防を繰り広げています。
また、2019年10月初旬から、公共サービスや高い失業率の改善、汚職の撲滅等を求める抗議デモが発生し、多数の死傷者が生じています。同デモは、規模は縮小したものの、依然として継続しています。また、2020年12月20日にイラクディナールの対米ドルレートが大幅に切り下げられ、これに対するデモも発生しています。

ウ バービル県やワーシト県では、バグダッド・ベルトに近い地域において、ISILなどの反政府組織による活動・拘束事案が引き続き報告されています。また、2020年8月以降、米国軍や有志連合軍への物資運搬車列が走行中に簡易爆弾による攻撃を受ける事案も頻繁に発生しています。

エ 2020年1月8日、アンバール県の米軍が駐留するアイン・アサド空軍基地にイラン革命ガードが発射した弾道ミサイルが着弾し、死者は発生しなかったものの、2月10日時点の米国防省発表によれば、米軍兵士109名が軽度の外傷性脳損傷と診断されました。その後も、米軍が駐留する基地(タージ基地、バラド基地、アイン・アサド基地、バスマーヤ基地)へのロケット攻撃が発生しました。

オ これらの地域への渡航は、いかなる目的であれ止めてください。また、既に同地域に滞在されている方々は、直ちに退避してください。

(2)エルビル県エルビル市とドホーク県ドホーク市間を移動する場合に通過する、ニナワ県のカラク、バーダラシュ、ルビア及びバーダラを経由する幹線道路並びにこれより以北のニナワ平原を通過する幹線道路(ニナワ平原経由幹線道路)、バグダッド国際空港とIZを結ぶ空港道路(ルート・アイリッシュ)並びにIZ 
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
(真にやむを得ない事情でこれらの道路を通過、またはIZに渡航・滞在する場合は、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)

ア バグダッド国際空港とIZを結ぶ空港道路(ルート・アイリッシュ)上には、イラク治安当局による検問所が設けられているものの、2020年9月15日には英国大使館の車両が簡易爆弾による攻撃に巻き込まれる事案が発生、同年9月30日には同じ道路上でEU代表部の車両後方を走っていた車両が簡易爆弾による爆発に巻き込まれる事案が発生するなど、引き続き警戒が必要です。また、一部政府機関及び外国公館が所在するIZ内は、イラク治安当局による厳重な安全対策により治安は安定していますが、IZ内の米国大使館を狙ったと思われるロケット攻撃が頻発しています。加えて、バグダッド国際空港周辺へのロケット攻撃も頻発しています。
なお、2019年6月以降、IZ内の一部幹線道路が恒常的に一般市民に開放されていましたが、同年10月初旬から発生している抗議デモの影響により検問所が再び設けられ、IZ内に入るためには特別な許可証が必要な状況となっていました。2020年1月19日からIZ内の一部幹線道路は時限的に一般市民に再度開放されることになりましたが、デモ隊がIZ内への侵入を試みたり、異常事態が発生したりする場合には、IZへの通行が予告なく規制されることとなっています。

イ 2020年8月26日、エルビル市からモスル市に向けて走行中の国連世界食糧計画の車両がニナワ県内で簡易爆弾による攻撃を受ける事案が発生しました。同事案では、乗車していた職員が負傷しています。

ウ 真にやむを得ない事情でこれらの道路を通過またはIZに渡航・滞在する場合は、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。具体的には、実際の渡航・滞在に先立って、現地事情に詳しい民間警備会社等の安全・治安対策の専門家と相談を行い、移動には防弾車両の使用を含む必要な身辺警護措置や防護措置を講じ、厳重な警備体制が敷かれている宿泊施設を利用するなどの十分な安全対策をとってください。また、夜間はテロ及び一般犯罪の脅威が高まるため、日没後の移動は厳に避けてください。

(3)エルビル県(エルビル市並びにニナワ県、サラーハッディーン県及びキルクーク県との県境を除く。)並びにスレイマーニーヤ県及びドホーク県のトルコ、イラン及びシリアとの国境付近
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
ア クルディスタン地域の治安情勢は比較的安定していますが、ISIL分子の活動が引き続き活発であるキルクーク県、サラーハッディーン県、ディヤーラ県及びニナワ県と接しており、特にエルビル県南部やスレイマーニーヤ県内では、ISIL分子の逮捕や隠れ家の摘発が散発的に報じられています。

イ クルディスタン地域とトルコ及びイランとの各国境付近では、トルコ及びイランから、反政府武装組織とみなす勢力のイラクでの活動を阻止する目的であるとして、度々、越境攻撃が行われています。ドホーク県では、同県に潜伏する反トルコ武装組織クルド労働者党(PKK)へのトルコ軍による空爆や砲撃が行われ、周辺住民の死傷や建物等への被害も発生しています。特に2020年6月以降、トルコは陸上作戦も開始し、対PKK軍事作戦を更に強化させました。トルコとPKKの軍事衝突はこれまで以上に広範囲に及び、2020年8月13日の空爆では、ドホーク市内から十数キロ北東地点を走行するPKK車両が空爆の標的となる事案が発生しています。また、2020年8月11日には、エルビル県北東部の国境付近で、PKK要員を狙ったトルコ軍の空爆により、居合わせたイラク国境警備隊将校2名が死亡する事案が発生し、イラク政府はトルコを非難する声明を出しました。2021年2月10日から14日にかけてトルコ軍がイラク北部ガラ地方で行った軍事作戦に際しては、人質となっていた民間人13名(トルコ人12名、外国人1名)が殺害される事案も発生しています。

ウ クルディスタン地域では、過去に周辺国から陸路で越境した日本人が相次いで拘束される事案が発生しました。シリアとの国境付近から、多数のシリア難民がクルディスタン地域に流入しており、治安情勢は流動的です。

エ これらの地域への渡航は、いかなる目的であれ止めてください。

(4)中南部・南部7県(カルバラー県、ナジャフ県及びディワーニーヤ県、バスラ県(バスラ国際空港敷地内を除く。)、ムサンナー県、ズィーカール県及びミーサーン県)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
(やむを得ない事情で現地に渡航・滞在する場合には、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。)

ア 中南部・南部諸県では、上述のように、2019年10月初旬から公共サービスや高い失業率の改善、汚職の撲滅等を求める抗議デモが発生し、多数の死傷者が生じています。2020年8月には、複数のデモを率いる活動家が治安当局に殺害される事件が発生し、これに反発した民衆が過激化しました。政府関連施設が放火される事態に発展し、現在もデモが継続しています。

イ バスラ県北部のハルサ地区及びバスラ市内等においては、部族間での衝突が引き続き多発しており、死傷者が発生しています。また、バスラ市においては、犯罪集団による身代金目的の誘拐、強盗、殺人事件が多発しています。

ウ 2020年4月6日に、バスラ県の国際エネルギーシティー付近に迫撃砲3発が着弾する事案が発生しました。

エ やむを得ない事情でこれらの地域に渡航・滞在する場合は、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策をとってください。具体的には、実際の渡航・滞在に先立って、現地事情に詳しい民間警備会社等の安全・治安対策の専門家と相談を行い、移動には防弾車両の使用を含む必要な身辺警護措置や防護措置を講じ、厳重な警備体制が敷かれている宿泊施設を利用するなどの十分な安全対策をとってください。また、夜間はテロ及び一般犯罪の脅威が高まるため、日没後の移動は厳に避けてください。

(5)バグダッド国際空港敷地内(バグダッド国際空港敷地内のホテル及びイラク航空国際ビジネスセンターを含む。)並びにバスラ国際空港敷地内
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
(やむを得ない理由からこれら施設敷地内に立ち入る、または滞在する方は、専門家のアドバイスを受け、空港敷地内での滞在期間を必要最小限にするなど、十分な安全対策を取ってください。)

ア バグダッド国際空港敷地内(バグダッド国際空港敷地内のホテル及びイラク航空国際ビジネスセンターを含む。)は、イラク治安当局により厳重な警戒・警備がなされています。具体的には、空港と空港敷地内施設(敷地内にあるホテル及びイラク航空国際ビジネスセンター)の外周はコンクリート壁で隔離され、また、空港敷地内に至る道路には複数の検問所が設置されています。基本的に高いレベルでの安全確保がなされていますが、2020年9月6には空港敷地内・外にロケット弾4発が着弾する事案が発生しています。また、同月28日に空港近くにロケット弾が着弾した事案においては、イラク人5名が死亡しました。

イ バスラ国際空港敷地内も、厳重な警戒・警備がなされています。具体的には、空港敷地の外周はコンクリート壁またはフェンスで隔離され、また、空港敷地内に至る道路に検問所が設置され、事前許可がない一般車両はアクセスできないようになっています。基本的に高いレベルでの安全確保がなされていますが、2018年にバスラ市内でのデモが激しくなった際には、空港敷地近くにロケット弾が着弾する事案が発生しています。

ウ やむを得ない理由からこれら施設敷地内に立ち入る、または滞在する方は、専門家のアドバイスを受け、空港内での滞在期間を必要最小限にするなど、十分な安全対策を取ってください。

(6)エルビル県エルビル市、並びにスレイマーニーヤ県並びにドホーク県のうちトルコ、イラン及びシリアとの国境付近並びにニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近を除く地域
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)

ア クルディスタン地域では、2017年9月に実施されたクルディスタン地域の独立を問う住民投票をめぐるクルディスタン地域政府(KRG)と連邦政府との対立により、治安情勢が不安定化しましたが、その後、諸懸案(国境管理、税関、空港、石油収入、公務員給与や予算配分の問題等)の解決に向けた両者間の協議が断続的に継続しています。両者間協議は依然として完全合意に至っておらず、クルディスタン地域各所では、給与未払い等に対する抗議デモが発生しています。

イ 2020年1月8日、エルビル国際空港近郊にイラン革命ガードが発射した弾道ミサイルが着弾しました。また、2020年9月30日、エルビルの有志連合軍基地を狙ったとみられるロケットによる攻撃が発生しました。2021年2月15日、エルビル国際空港付近及びエルビル市内に複数のロケットが着弾する事案が発生し、この攻撃により、2名死亡、米軍兵士1名を含む複数名が負傷しました。

ウ 2020年10月25日、クルディスタン地域治安当局は、PKKにつながる組織による、KRG要人やクルディスタン地域駐在外交官に対する襲撃及び当該外交官の出身国の企業等への攻撃計画を阻止したと発表しました。発表によると、PKKがこれらの計画に関与していたとされています。

エ エルビル市、スレイマーニーヤ市及びドホーク市の都市部では、経済状況の悪化やトルコ軍の軍事作戦に対する抗議デモが断続的に発生しています。治安部隊による取締り等を受け、現在は大規模なデモは沈静化していますが、2020年12月にはスレイマーニーヤ県において、公務員の給与未払いに対するデモ活動が活性化し、治安部隊との衝突により複数の死傷者が出る事案が発生しています。デモが発生している場所等へ近付かないなど、注意が必要です。

オ これらの地域への不要不急の渡航は止めてください。

3 渡航・滞在にあたっての注意
(1)イラクにおいては、邦人がテロや誘拐等の不測の事態に巻き込まれた場合であっても、治安情勢、通信、移動制限の問題等から、在イラク日本国大使館及び在エルビル領事事務所(クルディスタン地域における場合)による邦人保護業務が制約を受けざるを得ない状況にあります。よって、レベル3(渡航中止勧告)及びレベル4(退避勧告)地域への渡航・滞在は止めてください。また、レベル2の地域への不要不急の渡航・滞在は止めてください。

(2)真にやむを得ない理由によりイラクに渡航・滞在する場合には、政府機関、所属団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策並びに新型コロナウイルスの感染症対策をとってください。また、緊急時の連絡のため、短期の滞在であっても必ず在イラク日本国大使館(embjp.ryoji.iraq@bd.mofa.go.jp)(クルディスタン地域に滞在する場合は在エルビル領事事務所(conjp.erbil@bd.mofa.go.jp))に渡航・滞在する方の氏名等人定事項、渡航・滞在日程、宿泊・滞在先、連絡可能な電話番号、Eメールアドレス、警備会社名等を届け出るとともに、現地においては在イラク日本国大使館または在エルビル領事事務所(クルディスタン地域に滞在の場合)と緊密に連絡をとってください。金曜日、土曜日及び夜間はテロ及び一般犯罪の脅威が高まるため、金曜日、土曜日及び日没後の移動は厳に避けてください。また、常に最新の情報の入手に努めるなど、最大限の注意をしてください。

(3)入国手続は、事前の通告なく変更されることがあります。査証の取得及び入国後の査証種類別の手続に係る最新の情報については、駐日イラク大使館(03-5790-5311)に確認してください。
イラク北部のクルディスタン地域においては、同地域政府が発行する独自の査証にて滞在が認められているとの情報もありますが、同査証はイラク政府からの正式なイラク入国査証と認められておらず、同査証をもってクルディスタン地域以外のイラク国内を移動すると不法滞在となりますので、注意してください。
 
(4)3か月以上滞在する方は、在イラク日本国大使館または在エルビル領事事務所が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。3か月未満の渡航の際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時の在イラク日本国大使館または在エルビル領事事務所からの連絡を受け取ることができるよう、上記3(2)の届けとは別に、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903

(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く。)(内線)5139
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047 
○海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (モバイル版)

(現地公館連絡先) 
○在イラク日本国大使館
住所:International Zone, Baghdad, Iraq
電話:(870-722)-582-564(衛星電話)、077-0494-2018(夜間等緊急を要する場合)
    国外からは(国番号964)-77-0494-2018(夜間等緊急を要する場合)
FAX:(870-782)-502-564(衛星電話)
ホームページ:https://www.iraq.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
メールアドレス:embjp.ryoji.iraq@bd.mofa.go.jp

○在エルビル領事事務所
住所:Erbil Rotana Hotel, 8F, Gulan Street, Erbil, Kurdistan, Iraq
電話:+964-(0)66-210-5555(内線819、827)
電話(緊急を要する場合):+964-(0)750-080-4116、+964-(0)751-740-6716、
+964-(0)751-740-6711
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