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テロ・誘拐情勢

2016年02月08日

1.概況
(1)アルジェリアにおいては、1990年代にイスラム過激派によるテロが多発し、これに対し政府が掃討作戦を実施したことによって内戦状態に陥り、約10万人の犠牲者が出ました。現在は、政府のテロ掃討作戦及び国民和解にも進展がみられています。しかし、北東部山岳地帯などにおいては、引き続き、複数のイスラム過激派組織によるテロ・誘拐事件が発生しています。
(2)2013年1月に南東部イリジ県イナメナスで発生した天然ガスプラント襲撃事件を受け(日本人10人を含む外国人39人、アルジェリア人1人の計40人が死亡)、政府によって、国内の石油・天然ガスプラント施設及び国境の警備強化が図られていますが、その一方で、現在、リビア及びマリ北部情勢の流動化に伴い、テロ組織の活動がサヘル地域一帯において活発化しています。アルジェリア南部国境付近においても、越境するテロ組織と治安部隊の衝突や武器の押収事案が度々発生しています。

2.各組織の活動状況及び各地域の治安情勢
(1)イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ組織(AQIM)は、マグレブ地域を中心にイスラム国家を建設することを目指し、アルジェリア政府並びにアルジェリア国内の外国人・外国権益(特にフランス人をはじめとする欧米諸国の国民や権益)を標的として、テロ・誘拐を敢行するイスラム過激派組織です。現在AQIMは、同組織の首領であるドゥルクデルが依然として潜伏しているとみられる北東部山岳地帯及び南部国境地帯(サヘル地域)を主たる活動地域としています。
(2)上述のイナメナス事件の実行犯である「覆面部隊」を率いていたムフタール・ベルムフタールは、2013年8月、同部隊と「西アフリカの一神教と聖戦集団(MUJAO)」を統合し、新組織「ムラービトゥーン」を結成しました。同組織は、北アフリカ及びサヘル地域において活動している模様であり,マリやブルキナファソの首都でのテロ事件にも関与しているとみられ、今後の動向については引き続き注意を要します。また2015年12月初頭、AQIMの首領は、かつてAQIMを離反したベルムフタールを首領とするムラービトゥーンがAQIMに再加入した旨の声明を発出したと報じられました。
(3)北東部のカビリー地方では、2014年、AQIMを離反した分子が、イスラム過激派組織ISILへの忠誠を表明する新たな組織「ジュンド・アル・ヒラーファ(カリフの兵士)(JEK)」を結成しました(その後ISILは、アルジェリアを「ISILの支部(州)とした」旨の声明を発出)。そして、同年9月、ティジ・ウズ県南部の山岳地帯において、フランス人登山家を誘拐して、動画にてISILに対する空爆を中止するよう脅迫し、その後、同フランス人を殺害しました。これを受け、アルジェリアの治安部隊は大規模な掃討作戦を行い、同年12月には、JEKの首領と目されるアブデルマレク・グーリを殺害しました。また、2015年4月には、首領格を含むJEKのメンバー4人が国軍により掃討され、グーリの後継者とされるヘルザ・バシールも、5月にブイラ県北西部で行われた大規模掃討作戦(テロリスト22人殺害)で死亡したと報じられました。他方、2015年には主に北部・東部でAQIMから離反し、ISILに忠誠表明を行った組織が複数出現した旨報じられており、軍は追跡を継続しています。
(4)報道によれば、2015年のテロ発生件数は38件(掃討作戦関連での事件を含むと43件、前年比2件減)、テロによる死亡者は27人(掃討作戦中の犠牲者を含む)でした。報道されていないテロ事件や死亡者もあることから、実際のテロ発生件数・犠牲者数はこれらの数字を上回っている可能性があります。
 テロは、カビリー地方のティジ・ウズ県、ブイラ県及びブーメルデス県東部、西部のアイン・デフラ県とメデア県の山岳森林地帯で主に発生しています。

3.誘拐事件の発生状況
(1)アルジェリア国内では、特にティジ・ウズ県などのアルジェリア北東部の山岳地帯で、アルジェリア人の富裕層を狙った誘拐事件が発生しています。こうした誘拐事件の主な目的は、身代金であるとみられており、報道によれば、2015年に3件発生しています(いずれも人質は解放され、犯人は逮捕)。
(2)一方、南部砂漠地帯(ウアルグラ県、イリジ県、アドラール県、タマンラセット県及びティンドゥーフ県)では、2011年中に2件の外国人誘拐事件が発生しています。また、イリジ県南部のアリデナ(イリジ県ジャネット地区の南250キロの地域)では、及びティンドゥーフ県では、2011年にそれぞれAQIM,MUJAOが関与する外国人誘拐事件が1件発生しています(いずれも翌年解放)。

4.日本人・日本権益に対する脅威
(1)アルジェリアでは、日本人10名が犠牲となったイナメナス事件のような国家権益への攻撃及びイスラム教以外の外国人を無差別に殺害や人質の対象とする事件や、観光目的の外国人が誘拐・殺害される事件が過去に発生しており、今後も日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。
(2)アルジェリア国民がISILに外国人戦闘員として参加し、その後帰還して自国内でテロを起こすとの潜在的な脅威も存在しています。このような情勢を十分に認識し、誘拐、脅迫、テロ等の不測の事態に巻き込まれることがないよう、渡航情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。