放射性物質の種類や使用方法及び人体への影響はどのようなものですか?
     
ウラン、ラジウム等の放射性物質から発生する放射線の人体に対する影響は、被曝量、被曝時間、放射性物質の種類等に左右されますが、強い放射線に被曝した場合、急性放射線症という深刻な症状が現れます。被曝後数分から数週間以内に嘔吐、下痢等の兆候が現れ、その後一時的に体調は回復しますが、再び食欲減退、疲労感、熱、吐き気等の症状に陥り、この状態は数時間から数ヶ月に亘って続きます。同時に皮膚はやけどをしたような状態となり、毛が抜け落ちることもあります。被曝の量にもよりますが、皮膚の障害は数週間から数年に亘って続きます。
放射性物質を用いたテロの手段としては、直接飲食物に混入するテロの可能性も指摘されていますが、放射性物質を広範囲に拡散させるテロの手段として最も懸念されているのが、爆弾の爆発やミサイル等を利用するものです。これはダーティーボムと呼ばれ、核分裂によって高熱と放射線を発生する核爆弾とは異なり、爆薬によって爆弾の内部や周囲に詰めた放射性物質を拡散させます。
     
 放射性物質を用いたテロが行われたことはどうやって分かりますか?
     
実際にダーティーボムが爆発した場合、爆発による被害確認は明白ですが、見ることも臭うことも感じることもできない放射性物質が付近に拡散しているかどうかを確認することは非常に困難です。一般的に、原子力施設にあるような強力な放射性物質に対する警備体制が非常に厳重であることから、テロリストが入手し得る放射性物質は効果の弱いものであると考えられています。そのような効果の弱い放射性物質を使用したダーティーボムが爆発した場合、人体が受ける被害の大部分は爆発による被害であると考えられています。核爆発と比較すると、ダーティーボムを使用した際の爆発の被害と放射性物質の汚染は限定的なものとなりますが、テロリストが放射性物質を散布する最大の目的は、その地域を放射線で汚染させて長期間機能不全状態とすることにあると言われています。
     
 放射性物質が散布された際はどうするべきですか?
     
化学テロの兆候があった際と同様に、呼吸を妨げない程度の厚い布で口と鼻を覆い、不審物からすぐに離れ、建物の中で待機するか、外へ避難するかの判断をしましょう。
     
 ダーティーボム爆発のすぐ近くにいた際はどうするべきですか?
     
放射線の人体への影響を軽減するためには、爆発地点から距離をとり、被曝の時間を短くし、厚い壁などで放射線を遮断することが大切です。爆発に放射性物質が含まれていた場合には、バスや地下鉄や車などは放射性物質で汚染されている可能性があります。パニックにならず、即座に爆発地点から(可能な限り風上方向に)離れましょう。移動が困難な場合は、付近の建物に入り、避難することで放射性物質が減少するのを待ちましょう。
また、汚染された衣服はできるだけ早く脱ぎ、ビニール袋に入れて封をしましょう。汚染物を身体から取り除くことになると同時に、後ほど汚染した放射性物質の特定にもつながります。その後、石けんでよく身体を洗って汚染物質を取り除きましょう。