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キルギス
テロ・誘拐情勢

更新日 2025年03月11日

1 概況
(1)キルギスは、2016年8月30日に中国大使館に対する車両を使用した自爆テロ、2017年8月29日にビシュケク市郊外にて警察官の検問を突破した武装テロリストと治安機関の銃撃戦が発生しましたが、これ以降、死傷者を伴うテロ事件は発生していません。
(2)2024年中のテロ情勢は、テロ準備及びプロパガンダ行為等を行う者の摘発事案が19件発生し、特に活動が確認された過激主義組織は、「ヒズブ・タフリール・アル・イスラム」でした。同年中、当地治安機関によるテロ関連摘発19件数のうち、8件が同組織構成員によるもので、リクルート活動及びSNS等を利用したプロパガンダ行為が確認されていることから、同組織が勢力拡大に注力していることが窺えます。
(3)シリア等で活動を行っていたテロ組織グループのメンバーや外国人戦闘員(FTF)が、タジキスタン、あるいはウズベキスタン国境の警備が手薄なポイントからキルギスへ流入し、それらの者が将来的に当地でテロを敢行する可能性が指摘されています。2024年中も、シリアにて軍事訓練を受けた6名の逮捕が報じられており、依然としてその流入は続いているものとみられます。
(4)山岳地帯や国境周辺地域(特にバトケン州)における国境警備は、国境線フェンスの未設置等により困難となっており、国際テロ組織構成員のみならず、麻薬密売グループによる麻薬運搬ルートに利用されているとみられています。
(5)キルギスは、国内裁判所の決定によって、21団体・組織・活動グループがテロ組織などの非合法組織として認定されており、国内での活動が禁止されています。

2 各組織の活動状況又は各地域の治安情勢
(1)2024年中における国家保安委員会発表より活動が確認されている組織
ア 「ヒズブ・タフリール・アル・イスラム」
 「ヒズブ・タフリール・アル・イスラム」活動家の逮捕が年間を通じて最も多く報じられています。逮捕容疑の大半は、SNS等を利用した積極的なプロパガンダ活動です。2024年は32名のメンバー、支持者及びその関係者等が逮捕されています。
イ 「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」
 報道によると、キルギス国内ではSNSを利用したプロパガンダ及びリクルート活動を主に行っており、特に中央アジア諸国でのリクルート活動を活発化させているとみられています。現在においても同組織メンバー及びその支持者とみられる人物の逮捕が定期的に報じられているほか、2023年に12月には、同組織に忠誠を誓った少年2名が、ジャララバード市中心部のクリスマスツリーへの爆発物の設置及びロシア正教の教会への武力襲撃を計画したとして逮捕されています。
エ 「アル・カーイダ(AQ)」
 キルギスにおける活動は、リクルート活動が中心となっています。2022年中には外国籍者がシリアから不法入国し、首都ビシュケク内でイスラム教信者に対しリクルート活動を行っていたことが判明しています。なお、2024年中における同組織の活動等に関する報道は認められませんでした。
オ ヤクン・インカル
 2016年キルギス北部イシク・クル及びナリン地域で活動が開始されました。民主主義国家の存在や、現代の科学・医療を否定し、予言者ムハンマドの時代のような生活をすることを掲げている組織です。国家保安委員会及び内務省は、2024年中、SNSを活用したプロパガンダ、あるいは秘密裏に宗教活動を行っていたとして同組織メンバー及びその支持者ら22名を逮捕しています。また現在、同委員会は当該過激主義組織からの構成員脱退支援を継続的に実施しています。
(2)テロ組織及び過激派組織の活動地域は、活動家らが逮捕された場所を参考にすると、主にキルギス中心部のビシュケク特別市及びチュイ州となっています。当地治安機関による広報によると、その主たる活動内容は、新たな支持者獲得のためのリクルート活動及びSNSを活用した過激思想のプロパガンダであると考えられます。現政権による政治、あるいは貧富の格差等に不満を持つ人物が、それらプロパガンダ活動により過激化し、突発的にテロを敢行する(ローンオフェンダー)可能性は、当地においても排除できません。事実、2024年中もテロ未遂等に係る報道は2件確認されていることから、引き続き警戒が必要です。

3 誘拐事件の発生状況
 2024年中、日本人を対象とした誘拐事件は発生していません。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 当地では、1999年に日本人4名の誘拐事件が発生しています。またISIL等の国際テロ組織は、日本や邦人をテロの標的として繰り返し名指し、インターネットを通じて全世界に発信しています。よって今後もキルギスにおける邦人及び日本権益を標的としたテロや誘拐事件が発生する可能性は排除できず、十分な注意が必要です。
 近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。


テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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