オーストリア
テロ・誘拐情勢
更新日 2024年07月25日
1 概況
(1)2020年11月2日、ウィーン市旧市街の路上において単独犯による銃撃テロ事件が発生し、4人が死亡し、23人が負傷しました。実行犯は警察により現場で射殺されました。
(2)従来、オーストリアにおけるイスラム過激派の活動は、勧誘、宣伝、資金獲得等が主たる目的であって、直接的なテロの脅威は低いと考えられてきました。しかしながら、過去には上記のような事件が発生していること、オーストリアに所在する国際機関がテロの標的となった例もあること、また、当局によれば、シリア、イラクにおけるイスラムテロ組織に参加するいわゆる「外国人戦闘員」の帰還者や上記実行犯のような渡航を阻止された者が国内に百数十名いること、インターネット等を通じて自己過激化した者によるローンウルフ型のテロに対する脅威も現実のものとなっていること等を踏まえれば、今後も、オーストリアで更なるテロ事件が発生する可能性も否定できません。
(3)2023年10月には、中東情勢等を踏まえ、国内のテロ警戒レベルが5段階中、上から2番目である「レベル4(危険度“高”)」に引き上げられました。当局は「具体的なテロ計画、情報等は認知されていない。」としていますが、テロに対する警戒を強めています。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
「1 概況」のとおり。
3 誘拐事件の発生状況
近年、誘拐事件は、年間10件程度発生していますが、日本人を標的とした誘拐事件の発生は確認されていません。
4 日本人・日本権益に対する脅威
テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが世界各地で頻発しています。これらは組織性が低い単独犯によるテロが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続することが懸念されます。
特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。