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リビア
テロ・誘拐情勢

更新日 2024年12月31日

1 概況
(1)リビアでは、政治情勢の混迷を背景に、2015年以降、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」を始めとしたイスラム過激派テロ組織が台頭しました。リビア各地で武装民兵組織による掃討作戦が行われ、イスラム過激派によるテロは減少に転じました。しかし、2024年11月24日、シルテ(Sirte)市において活動していたISIL構成員が拘束された他、国連報告書では、リビア国内にはイスラム過激派テロ組織構成員が最大で約540人活動していると指摘されており、現在においても一般市民に紛れて過激派のメンバーが潜伏しているとされ、特にリビア東部及び南部で掃討作戦が継続しています。
(2)また、欧米・近隣諸国による政治プロセスへの介入や外国軍の駐留に対する不満の高まりを背景に、外国権益も攻撃を受けるようになっています。2023年11月3日には、トルコ海軍基地に対して武装勢力がRPG(ロケットランチャーの一種)及び自動小銃を発射する事案が発生しました。また、同6日には、イタリア系石油会社関連施設に対して武装勢力がRPGを発射する事案が発生しました。
(3)上記の情勢に加え、リビア全土に包括的な実行力を有する統治機構・治安機関は未だ存在していません。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)ISILは、2018年には、首都トリポリにおいて、高等選挙委員会、国営石油公社本部、外務国際協力省を標的としたテロ攻撃を実行したほか、2019年8月には、東部ベンガジのショッピングモール前にて国連の車列を標的にした自動車爆弾テロを実行し、このテロにより、国連職員3名が犠牲となりました。その後は、米軍による空爆及び武装民兵組織「リビア国軍(LNA)」による南部へのテロ掃討作戦を受け、ISILの組織としての勢力は大幅に減退しました。
(2)他方、近年でも、ISILによるテロの脅威は根絶されていません。ISILは、2021年6月に南部セブハ、8月に中部ズィラーフにおいてLNAを標的とする自爆テロについて、犯行声明を発出しています。また、2022年1月には、南部セブハにおいてLNAを標的とする連続テロについて、犯行声明を発出しています。こうした中で、LNAはISILに対する大規模な掃討作戦を継続しています。

3 誘拐事件の発生状況
 リビアでは、誘拐が多発しています。誘拐事件の統計が存在せず詳細な発生件数は不明ですが、政治的動機に基づいた、政府職員等の誘拐や、民兵組織・部族間の対立に基づく構成員の誘拐、身代金目的の外国人及び企業関係者の誘拐等が頻発しています。また、ISILや「アル・カーイダ」系組織については、外国人や異教徒・異宗派を標的とした誘拐を主要活動の1つとする傾向が見られます。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 上記のとおり、リビアでは、全土において統治機構が機能せず、民兵組織やISIL等の過激派が活発に活動しているため、日本人・日本権益に深刻な危険が及ぶ可能性が極めて高い状況が続いています。
 リビアに限らず、近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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