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南アフリカ共和国
テロ・誘拐情勢

更新日 2025年02月03日

1 概況
(1)近年、南アフリカ共和国(以下「南アフリカ」という。)では、民間人を無差別に攻撃したり、爆弾が用いられたりするような重大なテロ事案は発生していません。
(2)一方、2016年から2020年にかけ、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」との関連が見込まれる事案が5件発生しています。一つ目は、2016年7月の在南アフリカ米国大使館やユダヤ権益を狙ったテロを企図した兄弟の逮捕です。二つ目は、2016年7月のISILリクルート活動に関与した若者の逮捕です。逮捕現場からは手榴弾等の武器が発見されています。三つ目は、2018年2月の園芸家夫妻誘拐殺害事件です。これは、裕福な園芸家を誘拐して銀行口座からお金を引き出しISILへの資金提供を目的としたものでした。四つ目は、2018年5月に発生したモスク襲撃事件です。これはISILを信奉するグループがシーア派のモスクを襲撃した事件で、被害者の喉を切る残忍な手口が用いられています。この事件に関しては、2018年10月に複数の被疑者が逮捕されています。五つ目は、2020年7月にヨハネスブルグ近郊で発生した実業家の身代金目的誘拐事件です。犯人のアジトからISILの旗などが発見されています。
(3)南アフリカ国内にはISIL等支援者のネットワークが存在し、これまでに外国人戦闘員としてシリアやモザンビークへ渡航した南アフリカ人も複数確認されています。また、南アフリカは、資金・機材の調達や人員の移動・潜伏等のためにイスラム過激派組織に利用されているとされ、過去には「白い未亡人」として知られる国際テロ容疑者サマンサ・ルースウェイトがヨハネスブルグに潜伏していたことが確認されています。テロ対策専門家によれば、お金さえ支払えば南アフリカの真正旅券を入手できる現状にあり、南アフリカはイスラム過激派にとって都合の良いロジスティクス上の拠点であると言われています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 「1 概況」のとおり。

3 誘拐事件の発生状況
 南アフリカでは、誘拐が頻発しています。南アフリカ国家警察による2023年度(2023年4月~2024年3月)の犯罪統計によれば、誘拐の発生件数は、年間17,061件に上ります。その要因としては、カージャック関連、強盗関連、性犯罪関連が挙げられ、身代金目的の割合は約2.1%となっています。
 身代金目的の誘拐としては、パキスタン人やモザンビーク人犯罪組織による、南西アジア出身の会社経営者を狙ったもの、ナイジェリア人組織(主としていわゆる「419詐欺」【注】を敢行する組織)によるものがあります。2018年と2020年は、これに加えてイスラム過激派信奉者による外国人の誘拐事件(1(2)の園芸家夫妻誘拐殺害事件及び実業家身代金目的誘拐事件)が発生しており、以前は見られなかった形態の事件であることから、注意が必要です。
 行方不明者の情報提供を求める報道やSNSが数多くあり、誘拐事件は犯罪統計以上に相当数発生しているものとみられます。

【注】いわゆる「419詐欺事件」は、架空の商談等を持ちかけて前渡し金や商品を詐取する国際詐欺事件の典型であり、詐欺罪を規定しているナイジェリア刑法第419条に抵触する犯罪のため、このように呼ばれています。犯人側から被害者への働きかけは、最近はEメールの利用が主流となっていますが、偽りの商談等を持ちかけて被害者をおびき寄せ、誘拐・監禁の上、身代金を要求する事例も出てきています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 これまでに、南アフリカにおいてテロ・誘拐による日本人の被害は確認されていません。
 他方、近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。2022年10月には、当地米国大使館が、ヨハネスブルグのサントン地区(邦人を始め外国企業が多く進出し、高級商業施設が存在する地域)においてテロ行為が行われる可能性があるとして警告を発しました。治安部隊が多く配置され、何事もなく終わりましたが、潜在的な脅威がなくなったわけではありません。
 また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

 「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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