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テロ・誘拐情勢

2018年03月09日

1.概況
(1)アフガニスタンでは,主要な反政府武装勢力であるタリバーンやISIL(イラク・レバントのイスラム国)ホラサーン州等が,首都カブールを含む各地で,治安部隊,政府関係者,外国人・外国権益及び民間人等を標的としたテロ,誘拐等を多数行っています。
(2)2014年末,国際治安支援部隊(ISAF)の任務が終了し,アフガニスタン治安部隊に治安権限が移譲されました。2015年からは,米国を含む北大西洋条約機構(NATO)加盟国等の部隊は「確固たる支援任務(RSM)」として,アフガニスタンに駐留し,アフガニスタン治安部隊に対する訓練,助言等の任務に従事していますが,タリバーンは駐留外国軍が完全に撤退するまで戦闘を継続するとしています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)タリバーン
 1996年から2001年までの間,アフガニスタンを実効支配し,現在は国内の反政府武装勢力として最大の勢力を有するタリバーンは,アフガニスタンからの駐留外国軍の撤退及びイスラム統治を標榜し,駐留外国軍やアフガニスタン治安部隊,政府関係者等を対象に,襲撃,自爆攻撃,簡易爆弾(IED)等による攻撃を繰り返しています。特に,副指導者の一人であるハッカーニを中心とする「ハッカーニ・ネットワーク」が,首都カブールでの大規模なテロ攻撃を実行しているとされています。
 2018年2月28日に開催されたカブール・プロセス第2回会合において,ガーニ大統領はタリバーンに和平の提案を行いました。今後の動向が注目されます。

(2)ISILホラサーン州
 2015年1月,ISILは,アフガニスタン及びパキスタンの国境付近に「ホラサーン州」の設立を宣言しました。「ISILホラサーン州」を称する勢力は,アフガニスタン・パキスタン国境付近,特にナンガルハール県の山岳地域を中心に活動しており,政府関係者や治安部隊,宗教施設,外国関係施設,民間人等に対するテロ・誘拐等を行っています。タリバーンの元戦闘員や,パキスタンやウズベキスタンなどの近隣諸国出身者も参加していると見られています。構成員数ではタリバーンよりも劣勢であると見られていますが,2016年7月に,首都カブールにおいて大規模な自爆テロを行って以降,首都で種々の事件を起こしており,最近は,北部のジョウズジャーン県,サリプル県及び西部のヘラート県,ゴール県でも同勢力の名前で襲撃等が行われており,徐々にその活動範囲を拡大させています。背景として,ISILがシリア及びイラクにおける領域を喪失するのに伴い,新たな活動地域の一つとして,外国人戦闘員が徐々にアフガニスタンに移動していると見られています。

(3)アル・カーイダ
 イスラム諸国から「異教徒」の影響を排除することを目的として,国際的なテロ活動を行ってきた組織であり,2001年9月11日にアメリカ同時多発テロを引き起こしたとされています。最高指導者であるザワヒリはアフガニスタンあるいはパキスタンに潜伏しつつ,タリバーン等と連携して活動する等,引き続き米国及びその同盟国等に対する攻撃に関与しているものとみられています。しかし,近年,アフガニスタンにおいてアル・カーイダが単独で実施したテロ事件は確認されていません。

(4)その他
 アフガニスタン国内各地では,上記以外にも様々な反政府勢力がいるとされています。治安部隊が取締りや掃討作戦を展開し,激しい衝突に発展することもしばしばあるため,一見平穏な場所でも,いつでも急に情勢が変わり得ます。

3.誘拐事件の発生状況
 誘拐事件の年間の発生件数は数百件に上ります。反政府武装勢力が政治目的のために実行する場合もありますが,多くは犯罪者集団による身代金目的の犯行と見られています。一部地域では,高い失業率と貧困から,誘拐がビジネス化しています。主要なターゲットは,外国人,政府関係者,治安部隊関係者,裕福なビジネスマン,ジャーナリスト,援助関係者,建設作業員等です。僅か2,000アフガニー(日本円で約3,100円)の身代金目的で,一般の子どもが誘拐されるケースもあります。
 警察当局は,特に被害に遭いやすいとして外国人が所属するNGO事務所等に対して,誘拐の防止に向け,事務所や住居への監視カメラや警備員の配置,移動の経路や時間帯の頻繁な変更,身辺警護員の同行,可能な限りの防弾車の利用等を勧告しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威
 反政府武装勢力は,外国政府からアフガニスタン政府への援助を内政干渉及び「敵」(アフガニスタン政府)への支援とみなしており,このことから外国人はテロや誘拐の標的となりやすく,日本人に対しても同様にその脅威は高いと言えます。2008年には,ナンガルハール県(東部)において,日本人のNGO関係者が武装集団に誘拐・殺害されたほか,2010年には日本人ジャーナリストが武装集団に誘拐される事件が発生しています。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。