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アフガニスタン
テロ・誘拐情勢

更新日 2026年07月24日

1 概況
(1)アフガニスタンでは、米軍の撤退に伴い、反政府武装勢力であったタリバーンが2021年7月下旬から地方都市部への進攻を開始し、8月15日に首都カブールを制圧、9月6日にアフガニスタン・イスラム共和国側の抵抗勢力の最後の拠点となっていたパンジシール県を制圧し、翌9月7日、タリバーン「暫定政権」の閣僚代行等を発表しました。その後、アフガニスタン全土において、「暫定政権」による事実上の統治が継続しています。
(2)「暫定政権」成立後も引き続き、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)ホラサーン州(ISKP)」によるシーア派民間人や「暫定政権」メンバー、外国機関関係者、観光客等を標的としたテロが継続して発生しています。一方、「暫定政権」は、ISKPの掃討活動を継続的に実施するとともに、国内の治安対策を強化しました。これにより2022年半ば以降、国内全体におけるISKPによるテロの件数は減少傾向となっています。しかし、2024年5月17日、中央部バーミヤン県において外国人観光客グループに対する銃撃事案があり、複数人の西欧人観光客が犠牲となり、同年12月11日、首都カブール市の難民帰還省敷地内における自爆攻撃により、ハリーロルラフマン・ハッカーニ「難民帰還大臣代行」が殺害されたほか、2025年2月13日、都市開発・住宅省敷地内における爆弾テロも発生し、いずれもISKPが犯行声明を出しました。依然として国内におけるテロの脅威は継続しており、今後、更に大規模なテロが発生する可能性も否定できません。
(3)また、旧アフガニスタン・イスラム共和国の関係者らが中心となって結成された国民抵抗戦線(NRF)やアフガニスタン自由軍(AFF)などの反抗勢力と「暫定政権」との間での銃撃戦が起きているほか、これら反抗勢力による「暫定政権」の施設や検問所、パトロール車両への襲撃・爆破などが継続して発生しています。反抗勢力の狙いはあくまでも「暫定政権」の打倒ですが、攻撃に民間人が巻き込まれる事例が確認されるほか、2024年10月20日、民間人や観光客も利用するカブール国際空港付近に迫撃砲が着弾し、AFFが犯行声明を出しました。
(4)アフガニスタン各地において、主に身代金目的とみられるビジネスマンや有力者の子息等を対象とした誘拐事件がしばしば報告されています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)ホラサーン州(ISKP)」
 独自のイスラム法解釈に基づき、カリフ制国家である「イスラム国」の建国及びスンニ派イスラム教徒の保護を目指すスンニ派過激組織ISILの関連組織で、アフガニスタンやパキスタン等において、スンニ派以外のイスラム教徒(シーア派及びそれを信奉するハザラ人等)、他宗教の信徒、外国人等を標的としたテロ活動を継続しています。アフガニスタンにおいては、旧アフガニスタン・イスラム共和国の後継者であり異端であるとして、「暫定政権」メンバーに対してもテロを実行しているほか、外交団等に対するテロも実行しており、2022年に、ロシア、パキスタン及び中国権益に対してテロを実行しました。その後、「暫定政権」による掃討作戦を受けて勢力が後退したとみられ、2023年においては外国権益に対するテロは報告されませんでした。しかし、2024年に、前述の外国人観光客の銃撃事案(5月17日)や「難民帰還大臣代行」の殺害事案(12月11日)、2025年に、前述の都市開発・住宅省敷地内における爆弾テロ(2月13日)などが発生しており、引き続き、高いレベルの攻撃実行能力及びその意志を有していることがうかがえます。
(2)反抗勢力
「1 概況(3)」のとおり。
(3)「アルカイダ(AQ)」
 欧米諸国に協力するイスラム政権を打倒し、カリフ制国家の復興を目指すスンニ派過激組織で、米国及びその同盟国を主な攻撃対象とする「グローバル・ジハード」を主張し、イスラエル、米国及びその同盟国(「シオニスト・十字軍」と呼称)に対するテロを実行してきました。2001年の米国同時多発テロ以降もアフガニスタンで活動を継続していたAQは、駐留外国軍及び治安当局の掃討作戦を受けて著しく勢力を後退させ、タリバーンがカブールを制圧した2021年8月以降、AQによるテロ活動は確認されていません。
AQは、かねてよりタリバーンとの連携を維持してきました。しかし、2020年2月29日、タリバーンは、米国とのドーハ合意において、AQを含む国際テロ組織にアフガニスタンの領土を使用させない旨公約し、2021年9月に「暫定政権」が成立した後も、同「政権」は一貫して、アフガニスタンにおいて、もはやAQは存在しないと対外的に述べています。それにも関わらず、2022年7月31日、米国は、カブールに潜伏していた当時のAQ指導者を無人機による攻撃によって殺害したことを発表しています。その後も、国連や米国は、アフガニスタン国内にAQが存在しており、「暫定政権」は引き続きAQと関係を維持していると指摘しています。
(4)「パキスタン・タリバーン運動(TTP)」
 パキスタン北西部・ハイバル・パフトゥンハー(KP)州を中心とする地域における支配を確立しイスラム法の施行を実現するため、パキスタン政府の打倒を目指すスンニ派過激組織です。KP州を中心とするパキスタン全域のほか、アフガニスタン東部及び南東部のパキスタンとの国境沿いの地域を中心に存在し、パキスタン国内において、政府当局を標的とするテロ活動を行っています。タリバーンに忠誠を誓っているとされ、国連安保理は、「暫定政権」がTTPに対し、資金及び武器、活動拠点及び訓練面の支援を行っていると指摘しています。

3 誘拐事件の発生状況
(1)アフガニスタン各地において、主に身代金目的と推察されるビジネスマンや有力者の子息等を対象とした誘拐事件が継続的に報告されています。
(2)外国人を対象とした最近の誘拐事件としては、2023年6月19日、カブール市において、何者かによってトルコ人技術者が誘拐された事例が確認されています。同技術者は翌日、「暫定政権」治安部隊によって解放され、容疑者1人が拘束されました。邦人を対象とした誘拐事件は、2010年4月に邦人ジャーナリストがタリバーンとみられる武装集団に誘拐された事例(同年9月に解放)を最後に確認されていませんが、前述した身代金目的と推察される誘拐事件が発生している状況にかんがみると、邦人も十分に対象となり得る状況です。
 
4 日本人・日本権益に対する脅威
(1)アフガニスタンにおける直近の邦人被害事案として、2019年12月にナンガハール県においてNGO代表の邦人医師が車両に乗っていたところを武装勢力から銃撃を受け、殺害された事件があります。それ以前の邦人の被害事案として、2008年8月に、邦人NGO職員が武装勢力に誘拐され殺害されたほか、2010年4月には邦人ジャーナリストが誘拐される事件(その後9月に解放)も起きています。
(2)ISKPによるテロは減少傾向となっていますが、依然としてアフガニスタンにおけるテロの脅威は継続しており、大規模なテロが発生する可能性も否定はできません。過去の事案を考慮すると、高度な警備対策を講じている場合であっても被害を完全に防ぐことは困難であり、アフガニスタン支援を行う援助機関関係者等であっても、テロに巻き込まれることや直接の標的となる可能性があります。
(3)アフガニスタンに限らず、近年は軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが世界各地で頻発しています。これらは組織性が低い単独実行犯によるケースが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続するリスクが高いといえます。
 特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

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