台湾
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
この安全対策基礎データでは、台湾に滞在する期間が3か月未満の短期渡航者(観光客、出張者、修学旅行生等)を主な対象とする情報を掲載しています。台湾に3か月以上滞在される長期渡航者は、公益財団法人日本台湾交流協会(以下「日本台湾交流協会」という。)台北事務所および高雄事務所が在留邦人を対象に作成した「台湾在留邦人安全の手引き」も併せてご活用ください。
1 犯罪発生状況
(1) 社会・治安情勢
台湾では、一部の団体等が、日本台湾交流協会台北事務所周辺において、我が国との歴史等に関連し、散発的に抗議活動を行っていますが、一般市民全般の対日感情は良好であると言えます。
また、台湾の治安情勢は、比較的安定していると言えます。しかし、警察当局の統計(2020年)によると、刑法犯認知件数は25万9,713件と、人口10万人当たりの刑法犯認知件数は日本の約2.3倍となっています。日本の安全に慣れ親しんだ日本人が予想もしない事件・事故に巻き込まれるケースも見受けられることから、滞在中は十分な注意が必要です。
(2) 日本人の犯罪被害
日本台湾交流協会が把握しているところでは、日本人の犯罪被害として、主に以下の犯罪類型や事例があります。
ア 窃盗
日本人が被害に遭いやすい犯罪です。過去には、日本人、韓国人等の観光客を狙った中国人、ベトナム等の東南アジア人やペルー人等の窃盗グループを確認しているとの情報提供を警察当局より受けています。また、日本人の被害状況を見ると、スリ、置引き、仮睡者ねらい(飲酒等で寝込んでいる人の所持品を狙う)、車上ねらい等の手口が確認されています。
このうち、特に注意すべき手口はスリです。過去には、日本人に故意にぶつかり、日本人の注意を逸らした隙に別の者が日本人のバッグから財布を盗んだり、店内で会計待ちの列に並んでいる日本人の背中を突いて前に詰めろといった仕草で促しつつバッグから財布を盗んだりするなど、組織的かつ巧妙にスリを行うグループも確認されています。日本人がよく訪れる観光スポット(故宮博物院、忠烈祠、中正紀念年堂、龍山寺、永康街、台北101、西門町、士林夜市、饒河夜市、九份)、各飲食店、空港や駅等では、特に財布、旅券(パスポート)等の所持品に細心の注意を払ってください。
また、置引きの被害も複数確認されています。例えば、日本人が空港の到着ロビーで知人と談笑している間、ビュッフェ形式のレストランで席を確保するために荷物を置いたまま不在にしている間、レストランで椅子にバッグをかけたまま食事をしている間等に被害に遭っています。
なお、盗難の被害に遭った財布の中のクレジットカードが不正に利用されたという事例があることから、クレジットカードの利用停止の手続を早急に行って二次被害を防ぐようにしてください。
イ 傷害
過去には、台北市内の林森北路において、日本人が交通上のトラブルから台湾人の運転手と口論になり、背後から刃物で背中等を切りつけられるという事案が発生しています。林森北路等の繁華街でお酒を飲む際には、トラブルに巻き込まれないように注意してください。
ウ 強制わいせつ
過去には、台北市内のマッサージ店において、日本人女性がマッサージの施術中に強制わいせつの被害に遭う事案が発生しています。日本のガイドブックやインターネットサイトに掲載されている店であっても安心せず、着衣を必要以上に脱がせようとする、不自然に身体を触られるなどの不審な点があれば、当該店員や店の責任者にその場で指摘したり、拒絶の姿勢をはっきりと示したりするほか、状況に応じて警察に通報するようにしてください。
エ 詐欺・恐喝
過去には、日本人がいわゆるマッチングアプリや語学学習アプリを使って知り合った相手から、金銭を脅し取られたり、騙し取られたりする事案が発生しています。このほか、台湾では、業者や役所等を装って送信された携帯電話へのショートメールを通じて金銭を騙し取ろうとする事案が見られています。アプリを通じて知り合った相手や受け取ったショートメッセージで金銭を要求されても、安易に支払わないように注意してください。
2 防犯対策
台湾では、「日本人は裕福で多額の現金や貴重品を持っている」というイメージを持たれることがあります。一般的には、親日的な人々が多く、日本語や日本製品も多く見られ、海外旅行先の一つとして日本人に人気のある台湾ですが、犯罪に巻き込まれないために、以下の点に特に留意して、油断することなく防犯意識を常に高め、「自分の身は自分で守る」という心構えを忘れず行動することが大切です。
○多額の現金や貴重品は持ち歩かない、現金等は人前では不用意に見せない。
○目立たない服装や行動を心がける、過度な肌の露出は避ける。
○夜間には、人通りの多い場所を選んで歩き、人通りの少ない場所や薄暗い場所を通らない。
○財布、旅券等を入れたバッグ(特にショルダーバッグ)を携帯する際には、身体の前で抱えるなど、取り出し口が自分の視界に常に入るように工夫する。
○相手が日本語を話す場合でも、見知らぬ人の誘いには乗らず、執拗な誘いは毅然と断る。
○過度な飲酒は控えるとともに、飲酒後に冷静な判断力を欠く際には、宿泊ホテルにまっすぐ帰る。
○強盗等の被害に遭った場合には、抵抗せず、生命・身体の安全を最優先する。
3 テロ対策
外務省海外安全ホームページ「テロ・誘拐情報」の台湾のページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_008.html )を参考としてください。
※台湾在留邦安全の手引き
日本台湾交流協会が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」
(https://www.koryu.or.jp/safety/safety/guidance/ )
4 旅券の紛失防止
盗難または遺失の判断がつかないものの、日本人旅行者が旅券を紛失する事案が見られます。日本台湾交流協会が把握している旅券の紛失事例を見ると、以下のような特徴が挙げられます。
○九份、夜市等の大勢の観光客で混み合う観光地において旅券を紛失する。
○乗車したタクシーに旅券が入ったバッグを置き忘れる。
○空港等での両替時に本人確認のために旅券を提示し、そのまま置き忘れる。
○泥酔するまで酒を飲んだ後に路上で寝込み、旅券が入ったバッグを紛失する。
○ナイトクラブに入場する前に旅券を提示し、店内で酔っ払って紛失する。
上記に見られるように、旅券の紛失は所持者本人の不注意によるものが大半を占めます。旅券を紛失した場合、台湾当局への届出に加え、どうしても急ぎ帰国の必要がある場合には、「帰国のための渡航書」の申請が必要となります。渡航書申請のためには、戸籍謄本等の入手が必要となるなど、申請手続には多くの時間と労力を要します。また、日本の旅券は国際的な信用度が高く、紛失した旅券は偽変造され、不法な出入国等の犯罪や国際テロを助長するおそれがあります。台湾滞在中は、上記の特徴を参考に、旅券が手元にあることを随時確認して紛失防止に努めてください。
5 交通事故発生状況
(1) 交通事故情勢
台湾では日本に比べ、交通ルールやマナーが遵守されていない場面に遭遇することが多くあります。警察当局の統計(2020年)によると、年間の交通事故発生件数は36万2,393件となっております。台湾の人口は日本の人口の約5分の1であるにもかかわらず、2020年の交通事故発生件数は日本での発生件数(30万9,178件)を上回っており、交通事故に遭うリスクが日本より高いと言えることから、外出する際には十分な注意が必要です。
(2) 日本人の交通事故
過去に、深夜、台北市内の交差点において、日本人が交通事故に遭い、重傷を負う事案が発生していますが、上記日本人は青信号で横断歩道を渡っている際に事故に遭っています。他にも日本人が夜間帯に道路を横断している際に交通事故に遭って亡くなった事案、日本人が車両を運転して交通事故を起こして亡くなった事案等もあります。
(3) 交通事故対策
重要なことは、日本と台湾の交通事情や習慣の違いを明確に意識することであり、以下の点に特に注意してください。
○自動車の運転席は左側にあるとともに、日本とは逆側の右側通行である。
○台湾人のドライバーは、歩行者よりも車両を優先する傾向があり、日本と比較すると運転マナーが良くない。
○信号待ちの際は、交差点内での事故の二次被害に遭うことを防ぐため、車道から少し離れた位置に立つ(車道に近付きすぎない)。
○時間帯を問わず、青信号で横断歩道を渡る時も周囲の車両をしっかり確認する。
○路地から自動車やバイクが一時停止することなく飛び出してくることがあるため、路地では周囲の状況をしっかり確認する。
○スクータータイプのバイクを歩道に駐車することが一般的であり、バイクで歩道を走行することも見られることから、歩道を歩く際にも前後のバイクの走行状況にも注意する。
○車両を運転する際には、車間距離、右折時の巻き込み、車線変更等には十分に注意する。
6 海外旅行保険への加入
台湾を訪れた日本人(特に高齢者)が滞在中に体調を崩して病院に入院し、高額な医療費等(例:手術を伴う1か月程度の入院で約500万円)を支払うという事案が多く発生しています。このような場合、海外旅行保険に加入していれば、病気の際の医療費、移送費等が補償されるほか、保険会社や契約内容によっては、家族の渡航費や台湾において日本語通訳の手配サービスを受けることも可能となります。渡航前には、犯罪被害、交通事故、突然の体調不良等に備え、可能な限り十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをお勧めします。- 査証、出入国審査等
1 台北駐日経済文化代表処等への確認
日本台湾交流協会では、台湾に入境する際に必要な査証、出入境審査等に関する業務を行っておりません。以下で紹介する内容の最新の情報については、台北駐日経済文化代表処(電話:東京03-3280-7800~2)、同代表処横浜分処(電話:045-641-7736~8)、同代表処那覇分処(電話:098-862-7008)、同代表処札幌分処(電話:011-222-2930)、台北駐大阪経済文化弁事処(電話:06-6227-8623)または同弁事処福岡分処(電話:092-734-2810)のホームページを確認し、直接お問い合わせください。
また、通関、輸入禁止物品等の項目についても最新の情報を知りたい場合には、財政部関務署(https://web.customs.gov.tw/ )や行政院農業委員会動植物防疫検疫局(https://www.baphiq.gov.tw/ )等の台湾当局のホームページをご確認ください。
2 査証
現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部のビザ申請および入国を停止しています。
台湾の査証に関する最新情報については、台北駐日経済文化代表処のホームページ(https://www.roc-taiwan.org/jp_ja/post/446.html )をご確認ください。
新型コロナウイルス感染症対策のため、入国制限措置や入国に際しての条件・行動制限がとられていることがありますので、最新の情報(https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html )を事前にご確認ください。
台湾側は、日本人に対し、観光等の目的で90日以内(到着日の翌日午前0時から起算)の滞在については査証を免除しています(ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により、現在は適用不可)。許可を受けた期間を超えて滞在した場合には、法令違反(オーバーステイ)となり、罰金が科せられるほか、退去強制処分となることもあります。
査証免除に必要な書類として、一般的には旅券の残存期間が6か月以上とされていますが、日本旅券の保有者は「予定滞在日数以上」でも可能とされています。このほか、台湾から帰国するための予約済み航空(乗船)券または次の目的地への航空(乗船)券およびその有効査証の提示が必要とされており、航空会社によっては、日本で台湾行きの航空機に搭乗する際に航空券等の不足を理由に搭乗を拒否することもあるようです。
3 出入境審査
台湾に入出境する満14歳以上の外国人は、入出境審査時に、指紋および顔写真の個人識別情報を提供する必要があります。
4 通関
税関に申告する必要がない場合は、「免申報台」(緑色カウンター)において必要な手続きを行ってください。一方、輸入規制品を携帯する場合または以下の申告すべき事項に当てはまる場合は、「海関申報単」に必要事項を記入し、「應申報台」(赤色カウンター)で申告の上、税関検査を受けてください。
(1) たばこ、酒、その他の物品が免税範囲を超えている場合(以下5参照)
(2) 一定額以上の外貨(現金)等を所持している場合(以下6参照)
(3) 2万米ドルを超える価値の金地金(金塊)を携帯している場合(以下6参照)
(4) 水産物、動植物およびそれを使用した製品を携帯している場合(以下7参照)
(5) 別送品がある場合
上記のほか、ブランド品や楽器等の高価な物品も申告の対象となり得るので、申告の対象となるか疑義がある場合は、「應申報台」(赤色カウンター)で申告するか、事前に台北駐日経済文化代表処または財政部関務署にお問い合わせください。
5 免税範囲
旅行者が携帯する物品の免税範囲は、本人の個人用および本人の家族用に限られており、その範囲は以下のとおりです。税関職員が無申告の免税範囲を超える物品を発見した場合には、免税範囲の超過分が没収されるほか、それに応じた罰金が科せられます。
○酒類1リットル(本数は問わず。満20歳以上の成人に限る。)
○紙巻きたばこ200本または葉巻たばこ25本または刻みたばこ1ポンド(満20歳以上の成人に限る。)
○輸入規制品に属さないもので、本人が所有しかつ既に使用した物品。ただし、その1個または1セットの課税価格が1万台湾元以下の場合に限る。
○上記以外の物品で、その課税価格の総額が2万台湾元以下の場合に限る。
6 外貨申告等
マネー・ローンダリング防止対策のため、以下の現金等を所持・携帯する場合には申告が必要であり、未申告や虚偽申告時の処分等は以下のとおりとされています。
(1) 総額1万米ドル超相当額の外貨現金
未申告や虚偽申告の場合は、税関により超過部分が没収されます。
(2) 総額10万元超の台湾元現金
入境時に規定額を超える額を携帯している場合には、超過分を自らが封を施した上で、税関に預け、出境の際に持ち出すこととなります。出境時に規定額を超える額を携帯している場合には、税関に申告したとしても、規定額(入境時に税関に預けた分を含む)までしか持ち出すことができません。未申告や虚偽申告の場合は、税関により超過部分が没収されます。
(3) 総額2万元超の中国人民元現金
入境時に規定額を超える額を携帯している場合には、超過分を自らが封を施した上で、税関に預け、出境の際に持ち出すこととなります。出境時に規定額を超過していた場合には、税関に申告したとしても、規定額(入境時に税関に預けた分を含む)までしか持出すことができません。なお、未申告や虚偽申告の場合は、税関により超過分が没収されます。
(4) 額面総額1万米ドル超相当額の有価証券
無記名トラベラーズチェック、その他小切手、約束手形、為替、および所持人が台湾および外国で行使する権利を持つその他有価証券等の未申告や虚偽申告の場合には、未申告または虚偽申告分相当の罰金が科されます。
(5) 総額2万米ドル超の価値の金地金
経済部国際貿易局に輸入許可証を申請し、税関で手続きを行う必要があります。未申告や虚偽申告の場合には、未申告または虚偽申告分相当の罰金が科されます。
(6) その他のマネー・ローンダリングに利用されるおそれのある物品
総価値が50万台湾元相当を超え、かつ、自己使用量を超えるダイヤモンド、宝石およびプラチナの未申告や虚偽申告の場合には、未申告または虚偽申告分(超過分)相当の罰金が科されます。また、総価値が2万米ドルを超える場合は、経済部国際貿易局に輸入許可証を申請し、税関で手続きを行う必要があります。
7 輸入禁止物品
主な輸入禁止品は、次のとおりです。
○違法薬物(例:ヘロイン、コカイン、大麻、覚醒剤、ケタミン)
○銃砲、弾薬、爆発物および刀剣類等
○商標権、著作権および特許権を侵害する物品
○偽造または変造した貨幣および有価証券並びに偽造貨幣・証券の製造機
○野生動物や絶滅危惧種の動植物およびその製品のうち、農業委員会や海洋委員会の許可等がないもの
○動物およびその製品(牛、豚、鳥等由来の肉製品を含む)、並びに、植物およびその生鮮産品(生鮮果実を含む)のうち、法令の条件を満たさないもの- 滞在時の留意事項
1 たびレジ
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、台湾で事件や事故、自然災害等が発生し、日本台湾交流協会台北事務所ないしは高雄事務所が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。
2 在留届
台湾に3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後遅滞なく日本台湾交流協会台北事務所ないしは高雄事務所に「在留届」を提出してください。また、住所その他届出事項に変更が生じたとき、又は日本への帰国や転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください。在留届の届出は、在留届電子届出システム(オンライン在留届、https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をお勧めしますが、郵送、ファックスによっても行うことができます。
在留届は、台湾での大規模事故、地震・台風等の自然災害による大きな被害が発生した際に、邦人の安否確認に大きな役割を果たしています。また、在留届に記載されたメールアドレスには、安全情報や台湾当局の防疫措置等の各種情報を定期的に配信しています。
3 旅行制限
軍事関連地域等を除き、制限は特に設けられていません。
4 写真・動画撮影の制限
軍事関連地域・施設等を除き、制限は特にありませんが、台北松山空港、台中空港、台南空港等の一部の空港が軍・民共用となっていますので、注意が必要です。台湾では、軍事施設の写真撮影が禁止されており、有期懲役の罰則のほか、撮影に使用したカメラ等を没収することができる旨の規定があります。過去には、花蓮空港で写真を撮っていた日本人が戦闘機を撮影したのではないかと疑われ、警察から事情聴取を受けた例があります。飛行機の中から空港施設を撮影することは控えるとともに、空港内で撮影する場合には撮影制限に関する標識の有無をあらかじめ確認するようにしてください。また、空港から一定の距離範囲では、ドローンなど無人飛行機を飛ばすことが禁止されています。
5 防空演習
台湾では、例年夏頃、台湾全土で、緊急事態に対する危機意識を高めるとともに、緊急事態が発生した際の対応の練度を高めることなどを目的とした防空演習が行われています。演習中は、台湾全土で防空警報(サイレン)が鳴るほか、演習開始時と終了時に、各人の携帯電話にメッセージが発信されます。2021年の防空演習では、新型コロナウイルス感染症対策を担う中央感染症指揮センターの指導により、従来の防空演習で実施されていた住民や車両に対する避難指示や交通規制は行われませんでしたが、避難指示や交通規制が発出された場合に、これらの指示や規制に従わなかった場合には、罰金が科せられるおそれがあります。防空演習中は、係員の指示に必ず従うようにしてください。
6 喫煙場所
台湾では、ほとんどの施設内およびパブリックスペースにおいて全面禁煙となっており、これに違反した場合には、喫煙者に罰金が科せられることがあります。喫煙される方は、喫煙マナーを守るよう十分に注意してください。
7 各種取締り
(1) 違法薬物
台湾における違法薬物の取締りは非常に厳しく、薬物犯罪(製造、密輸入、販売)の最高刑は死刑となっています。違法薬物に興味を示さないことはもちろんのこと、繁華街の路地裏等の犯罪の温床となるような場所には近付かない、不審と思った物(タバコや高級茶葉と称される例が多い)は購入しないようにしてください。また、自分では気付かない間に「運び屋」として利用される可能性もありますので、見知らぬ人や知り合ったばかりの人から、「○○さんへのおみやげを持って行ってほしい。」といった依頼を受けた場合は、毅然とした態度で断るようにしてください。
なお、知らない間に手荷物に違法薬物を入れられる可能性もあることから、特に空港等においては、手荷物の管理を徹底するようにしてください。
(2) 銃器
台湾では、銃砲刀剣類等を許可なく製造、販売、密輸入、携帯するなどの行為が厳しく規制されています。罰則の最高刑は死刑であるほか、高額な罰金も規定されているなど、日本と比べて非常に厳しい規定となっています。
(3) 売買春
台湾では、売買春行為は違法であり、違反者には罰金が科せられることとなっています。過去に日本人が検挙されたケースもありますので、こうした行為は慎んでください。
(4) 賭博
台湾では、いかなる場所においても財物を対象とした賭博は禁じられており、違反者には罰金が科せられることとなっています。
(5) 肉製品の持込み
諸外国・地域におけるアフリカ豚熱の等の動物疾病の発生により、台湾でもその侵入を防ぐため、肉製品(牛、豚、鳥等由来のもの)の持込みを制限しています。違反者には、高額の罰金が科されるほか、入境拒否等の処分があることから、台湾に渡航される際には十分に注意してください。不明な点があれば、行政院農業委員会動植物防疫検疫局(https://www.baphiq.gov.tw/index.php )までお問い合わせください。
(6) 政治活動
日本人を含む外国人が政党等から招かれ、各種選挙活動に参加することは禁止されています。仮に違反行為が確認された場合、当該外国人は目的外停留・居留として退去強制処分を受けるおそれがありますのでご注意ください。
なお、台湾では、集会、座り込み、デモ行進等の街頭政治活動が頻繁に行われる傾向にあり ます。実際に抗議活動が行われている場面に遭遇した場合には、デモ活動をしていると見なされるおそれがあるため、その場所には近付かないようにしてください。
8 交通事情
(1) 交通手段
いずれの公共交通機関も日本より運賃が安くて移動には便利ですが、日本とは異なる事情に留意して利用してください。
ア 鉄道
台北と高雄を結ぶ台湾高速鉄道(高鐵)をはじめ、台湾内は各種鉄道網が整備されています。また、台北、高雄等の都市部では、「捷運」という地下鉄(MRT)が整備されています。地下鉄の車両内で飲食すること、ガムや檳榔(ビンロウ:噛みタバコのような物)を噛むこと等が法令で禁止されており、違反者に罰金が科せられることがありますので注意してください。
なお、空港や鉄道のエスカレーターを使用する際には右側に立つとともに、ガイドブックやスマートフォンを見ながら歩く行為を控えるなど、無用のトラブルを避けるようにしてください。
イ バス
台北、高雄等の都市部では、バス路線も整備されています。バスのほとんどがバス専用レーンを走行するので、渋滞を気にせずに乗ることができます。しかし、日本と異なり、運転手は乗客が席に座るのを待つことなく走行し始めたり、突然急ブレーキをかけたりするなど、運転が荒い傾向があることから、乗車中はつり革や手すりにしっかり掴まるようにしてください。
ウ タクシー
タクシーは、黄色の車体に「計程車」や「出租汽車」という記載があり、路上でタクシーを拾うことも簡単です。しかし、タクシーを利用した際に、運転手によるメーターの操作、遠回り、暴行事案、偽札とのすり替え等のトラブルも発生していることから、以下の点に留意してください。
○車体の汚れがひどい、傷や事故の痕跡が見られるタクシーへの乗車は避ける。
○窓に不透明なフィルムが貼ってあるなど、車内が外から見えにくいタクシーへの乗車は避ける。
○運転者が酒臭い、服装が乱れている場合には、乗車を避ける。
○女性一人でのタクシーへの乗車はできる限り避ける。
○運転の乱暴なタクシーや故意に遠回りするタクシーに乗った場合には、無用な口論は避け面倒でも料金を払って降車し、別のタクシーに乗り換える。
○運転手から紙幣の交換に関する申し出があった場合には、偽札とのすり替えの可能性があることから安易に応じない。
○降車時にはレシートをもらうとともに、運転手の名前や車両ナンバーを控えることを心掛け、車内に忘れ物をした場合等に備える。
○降車時には、タクシーの脇をすり抜けるバイクがあることから、後方を十分に確認する。
(2) 台湾における車両の運転
日本の運転免許証を所持している方は、当該免許証と中国語翻訳文を携帯すれば、入境後1年以内かつ同免許証の有効期間内に限り台湾で自動車等を運転することができます。中国語翻訳文は、日本台湾交流協会台北事務所または高雄事務所において申請して入手できるほか、日本国内の一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の支部窓口で申請して入手することもできます。車両を運転する際には、翻訳文に記載されている運転が可能な車両区分に従うほか、台湾で車両を運転している際に警察官が入境日を確認するために旅券の提示を求める場合があることから、旅券も忘れずに携帯するようにしてください。
また、車両を運転する際には、運転者として以下の点にも留意してください。
○後部座席を含む車両の各座席でのシートベルト着用が義務付けられており、違反した場合には罰金の対象となるおそれがあります。(同乗者がシートベルトを着用していない場合は、運転者が罰金の対象となりますので、同乗者にシートベルトを着用するように促してください)
○12歳以下または体重36kg以下の児童を乗車させる際には、成長段階に合わせた各種チャイルドシートの着用が義務付けられています。
○運転手が運転中に携帯電話やスマートフォン等を手に持って操作、通話等をした場合、または、運転中にたばこを保持していて他人の車の安全に影響を与えるなどした場合には、罰金の対象になるおそれがあります。
○停車後の車のドア開閉により交通事故を発生させた場合には、罰金が科せられるおそれがあります。
9 自然災害
台湾は、世界有数の地震多発地帯に位置していることから、度々大きな地震が発生しています。最近では、2016年2月に台南市で震度7、2018年2月に花蓮市で震度7、2019年4月に花蓮市で震度7の地震が発生しています。滞在中に大きな揺れを感じたら、周囲の状況に応じて安全な場所に避難するとともに、海岸付近に滞在している場合は、津波を警戒し、高台に避難するなどの措置を講じるようにしてください。
また、7月から9月の台風シーズンには、暴風雨による停電、浸水、土石流が発生する可能性があります。台湾では、台風による自然災害が発生するおそれがある場合には、各市・縣が「停班停課」(政府機関の業務停止や公・私立学校の休校)を発令することもあり、目的の観光施設の休業も考えられます。台風が台湾に接近している際には、最新の気象情報等を入手し、警戒を怠ることのないように心掛けてください。- 風俗、習慣、健康等
1 風俗、習慣、民族性に関する留意事項
台湾は、北回帰線をほぼ挟んで北部は亜熱帯、南部が熱帯に属し、山岳部は全般的に温暖な気候で、平地部は比較的高温多湿となっています。住民は、閩(ビン)南人、客家人およびマレーポリネシア系先住民(オーストロネシア語族)と、いわゆる「外省人」(戦後、国民党とともに中国大陸から渡ってきた人々)等からなっています。
なお、台湾では、日本語を理解する台湾人も少なくありませんので、公の場での発言には注意するなど、「礼節ある行動」に努める必要があります。
2 衛生事情
(1) 上下水道やその他の各種衛生施設等のインフラは相当整備されており、夜市にある飲食街等の一部を除けば、衛生上あまり神経質になる必要はありません。しかし、水道水はそのまま飲用するのには適していませんので、市販のミネラルウォーターを飲むことをお勧めします。
(2) 中国大陸各地で深刻な大気汚染が発生していますが、台湾においても、特に中・南部地域でPM2.5に関連して不要不急の外出等を控えた方が良いとされる数値を記録することがあります。テレビや新聞報道、行政院環境保護署のホームページ(https://www.epa.gov.tw/ )等により、最新情報の入手に努め、大気汚染の激しい場合には、不要不急の外出を控える、外出時にマスクを着用する、屋内では空気洗浄機を使用するといった対策を講じることをお勧めします。
3 病気
(1) 新型コロナウイルス感染症については、台湾当局は徹底した検疫と隔離措置により、感染状況を比較的コントロールしてきていますが、2021年5月19日からは、台湾の有効な居留証を所持しない非台湾籍者の入境が一時停止(緊急や人道的な考慮等、特別な許可を得た場合を除く)されるとともに、旅客の台湾でのトランジットが一時停止されるなどの水際対策が実施されています(2022年1月現在)。新型コロナウイルス感染症に関する台湾当局の各種措置は、感染状況に応じて変化し得ることから、台湾衛生福利部疾病管制署(CDC)、駐日台北経済文化代表処、日本台湾交流協会等のホームページを確認し、最新かつ正確な情報の把握に努めてください。
(2) 特定の風土病はありませんが、台湾では、A型肝炎や手足口病、細菌性赤痢が発生していることから、レストラン等を利用する際は衛生的な場所を選ぶなどの注意が必要です。
(3) 熱帯を含む台湾中・南部に限らず、広く台湾内において蚊を感染媒体とする日本脳炎およびデング熱の感染例が発生しています。蚊に刺されないよう、肌の露出を控えた服装を心がける、防虫剤を使用するなどの蚊に刺されない対策を講じてください。日本脳炎は死に至る可能性があるほか、デング熱はまれに重症化し、デング出血熱を発症することもありますので、発熱や頭痛等が3日以上続く場合には、最寄りの医療機関を受診してください。
(参考)広域情報:アジア・大洋州におけるデング熱の流行
(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2017C013.html )
(4) これまでに台湾において高病原性鳥インフルエンザのヒトへの感染は確認されていませんが、鳥インフルエンザ対策として、生きた鳥との接触を避ける、手洗いやうがいの衛生管理を心掛ける、人混みではマスクを着用するなどの対策に努めて下さい。万が一、呼吸器感染症の症状が現れた場合には速やかに台湾当局指定の医療機関を受診することをお勧めします。
4 医療事情
設備、技術ともに全般的に医療水準は高く、急病や交通事故による負傷の場合の救急医療施設も整っているほか、台北市、台中市、高雄市等においては日本語が通じる医師もいます。
台湾の医療機関リストは、日本台湾交流協会のホームページのうち、各事務所の緊急連絡先に掲載していますので、ご参照ください。
また、必要な予防接種等については、厚生労働省検疫所(FORTH)のホームページ(https://www.forth.go.jp/destinations/country/taiwan.html )を参考にしてください。
5 医薬品の持込み・持出し
医薬品(医療用麻薬および向精神薬を含む。)の携帯による持込み・持出しの手続きについては、厚生労働省の以下のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html- 緊急時の連絡先
緊急通報先
◎警察 110番、DV 113番、詐欺ホットライン 165番
◎消防・救急 119番
※台北市、台中市および高雄市において警察へ通報する際に、中国語のできない方は、次の外国人専用ホットラインを利用することもできます。
○台北市政府警察局外事服務站 02-2556-6007
(外国人サービス専用回線(24時間、英語対応)、常駐ではないが、日本語対応が可能なスタッフも在籍している)
○台中市政府警察局外事科外僑服務専線 0922-958-110
(外国人サービス専用回線(24時間、英語対応))
○高雄市政府警察局外事科外事服務站 07-215-4342
(外国人サービス専用回線(24時間、英語対応))- 問い合わせ先
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)4965
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○領事局政策課(感染症関連)(内線)4475
○外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
○公益財団法人日本台湾交流協会 東京本部
住所:東京都港区六本木3-16-33 青葉六本木ビル7F
電話:03-5573-2600(代表)
ホームページ: https://www.koryu.or.jp/
※ 上記アドレスは、日本台湾交流協会共通となります。
(現地連絡先)
○公益財団法人日本台湾交流協会 台北事務所
管轄:台北市、新北市、基隆市、桃園市、新竹市、新竹縣、苗栗縣、台中市、彰化縣、宜蘭縣、花蓮縣、南投縣、金門縣および連江縣
住所:台北市松山区慶城街28号 通泰商業大樓
電話:02-2713-8000(領事室内線2100~2102)
台湾域外からは(地域番号+886)-2-2713-8000(領事室内線2100~2102)
平日の時間外および土日祝日は、緊急電話代行サービスが24時間対応する。
ホームページ: https://www.koryu.or.jp/safety/contact/taipei/
○公益財団法人日本台湾交流協会 高雄事務所
管轄:高雄市、台南市、屏東縣、嘉義市、嘉義縣、雲林縣、台東縣および澎湖縣
住所:高雄市苓雅区和平一路87号 南和和平大樓9樓
電話:07-771-4008(領事室内線747)
台湾域外からは(地域番号+886)-7-771-4008(領事室内線747)
平日の時間外および土日祝日は、緊急電話代行サービスが24時間対応する。
ホームページ: https://www.koryu.or.jp/safety/contact/kaohsiung/
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。