生物剤の種類や使用方法及び人体への影響は、どのようなものがありますか?
     
生物剤を大別すると、細菌やウィルスのような病原体と、動植物などに含まれている毒物である毒素に分けることができます。触れたり、口に入れたり、吸引することで人体に悪影響を及ぼすことから、テロの形態としては化学剤と同様に、飲食物及び日用品などへの混入、人体への直接注入、爆発物や噴霧器などを使用した散布などが考えられます。
生物剤に汚染された場合、微生物である病原体は、成長・増殖して様々な病気を引き起こします。一方、毒素は成長・増殖はしませんが、化学的に製造できるものも存在しており、人体には化学兵器に似た効果をもたらします。
感染症の研究を行っている米国疾病管理センター(CDC)は、多くの生物剤の中でも、感染症の特徴や過去の生物兵器としての研究開発状況等に関する情報を踏まえ、特に危険性が高く、優先して対策を立てる必要があるものをカテゴリーAとし、その中で天然痘、炭疽菌、ペスト菌、ボツリヌス毒素、野兎病、ウイルス性出血熱をあげています。
     
 生物テロが行われたことはどうやって分かりますか?
     
目に見えない病原体を使用した生物テロが発生した際、その検出は被害者の症状に頼ることとなります。しかし、その症状が生物テロの影響なのか、自然に発生した疾病なのかの区別を即座につけることはできません。そのため、実際に散布の目撃者がいる、被害者の人数が異常に多い、被害者の地理的分布が不自然などの特別な兆候が見られるまで、生物テロ発生の判断を行うことは非常に困難です。
     
 生物テロの兆候があった際はどうするべきですか?
     
テレビやラジオで自分がいる地域の状況を把握し、自分の身体に何らかの症状が出ているか確認しましょう。
また、米国で発生した炭疽菌事件のように、不審な郵便物が送られて来た場合には、郵便物を振ったり、匂いをかいだり、中身を開けたりせずに可能であればビニール袋で包み、すぐに警察などに通報しましょう。もし開けてしまって不審物質がこぼれ出たような場合には、掃除をするべきではありません。不審物質を直ちに何かで覆い、その部屋を離れて汚染された衣服をできるだけ早く脱ぎ、手を石けんと水で洗い流してすぐに警察などに通報しましょう。
     
 実際に生物テロの被害にあった際はどうするべきですか?
     
呼吸を妨げない程度の厚い布で口と鼻を覆い、不審物からすぐに離れましょう。不審物に触れてしまった場合には、石けんでよく手を洗いましょう。
また、身近に感染した可能性のある人がいる際には、家庭用品や飲食物を共用しないようにし、頻繁に石けんで手を洗いましょう。感染した可能性のある人も自らマスクをすることが大切です。