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パプアニューギニア
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情報種別:海外安全情報(危険情報)
本情報は現在有効です。

パプアニューギニアの危険情報【一部地域の危険レベル引き上げ】

2023年6月8日

【危険度】
●ヘラ州、南ハイランド州 
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き上げ)
●上記を除く全土 
レベル1:十分注意してください。(継続)

【ポイント】
●山岳部に位置するヘラ州、南ハイランド州においては頻繁に部族間衝突が発生しており、治安情勢が悪化している状況です。特に2022年11月にはヘラ州において部族間衝突に端を発する大規模な暴動や放火が立て続けに発生し、地元民間企業への被害及び多数の死傷者が出ています。この状況を受けて、同州に対して非常事態宣言の発出が検討されるなど、治安悪化が顕著です。南ハイランド州においては選挙や部族間衝突に起因する暴力行為の連鎖により数百人規模の死者が発生しています。このような治安情勢から、一般生活において行政サービスが行き渡っておらず、治安は劣悪な状態となっています。そのため、ヘラ州、南ハイランド州を危険レベル2に引き上げます。同地域への不要不急の渡航は止めてください。
●首都ポートモレスビー、モロベ州レイ(ラエ)市等の都市部では、部族間衝突、各種犯罪等が頻発しており治安情勢が不安定な上、警察機構が人員及び予算不足等の理由で十分機能しておらず、衝突や犯罪を抑止出来ていない状況ですので、十分注意してください。
●2022年は、モロベ州レイ近郊でM7.6の地震が発生した他、ニューブリテン島近傍で、大きな地震(M6程度)が散発していますので、十分注意してください。

詳細
1 概況
(1) パプアニューギニア(以下PNG)では失業者や生活困窮者が多く、これらのグループによる金品強奪を目的とした犯罪が頻発しており、治安が悪化しています。複数の若者が「ラスカル」と呼ばれるひとつのグループとなって、蛮刀、ナイフ、市販されている銃や手製銃などを使用した犯行が多く見られます。また、部族間衝突に端を発する騒乱が各地で発生しており、多くの場合は死傷者を伴う対立へと発展しています。また、これらの対立は首都圏や都市部における争いの遠因にもなっており、全国的な治安情勢の悪化という悪循環を招いています。

(2) PNG警察機構は、人員や予算不足等の理由で十分機能しておらず、犯罪者の検挙率は極めて低く、犯罪の抑止を期待できない状況です。さらに、各地で脱獄事件が発生しており、脱獄犯が犯罪を繰り返しています。

(3) PNGでは、女性の地位が低く、レイプ等の性犯罪が多発しており、社会に深刻な影響を与えています。

(4) ニューブリテン島東部及びニューアイルランド島は環太平洋火山帯に位置するため、付近では頻繁に地震や火山活動が観測されています。特にニューブリテン島には複数の活火山があることから、住民が避難を要するような比較的大規模な火山活動により空港が一時閉鎖され航空機の運航が取り止めとなることもあり得るため、注意が必要です。また、2023年1月には、観光名所として知られるニューアイルランド州カビエンのリッセヌング島で豪州人観光客がレイプ被害に遭い、同行していた他の観光客も金品を強奪される事案が発生しており、短期の渡航であっても十分な注意が必要です。

(5)これまでに、PNGにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、世界各地では日本人もテロの標的となっています。近年では単独犯によるテロ(ローンウルフ型)や、一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発していることから、こうしたテロの発生を予測する等、未然に防ぐことが益々困難となっています。
 このようにテロはどこでも起こり得ること及び日本人が標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。また、テロや誘拐に関する情報については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_075.html )も参照してください。

2 地域別情勢
(1)ヘラ州、南ハイランド州 
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き上げ)

ア ヘラ州
 ヘラ州は、強盗や殺人といった凶悪犯罪が発生していることに加え、近年、特に部族衝突が多発している地域です。2019年7月にヘラ州タリにあるカリダ村で部族衝突と思われる事件が発生し、数十名が死傷しています。2022年11月にも、部族間衝突に端を発する大規模な暴動や放火が立て続けに発生し、地元民間企業への被害及び多数の死傷者が出ています。この状況を受けて、同州に対して非常事態宣言の発出が検討されるなど、治安悪化が顕著です。不要不急の渡航は中止してください。

イ 南ハイランド州
 2017年に実施された国政選挙に対する選挙違反の申立てが却下されたことを不服とする住民が、2018年6月に南ハイランド州の州都メンディにおいて、空港に侵入し航空機を全焼させたほか、知事自宅、メンディ裁判所に放火したため、同地域に対し非常事態宣言が発令されました。2022年7 月に実施された選挙では、候補者を狙った民間人も巻き込む銃撃事件や投票所における放火・暴動が発生するなどしたほか、選挙後も部族衝突や暴動が頻発し、引き続き治安が不安定な状況が続いています。政府は軍を派遣し、治安の安定化を目指していますが、暴力行為が各地で横行しており秩序の回復には至っていません。

 そのため、これら地域の危険レベルを2(不要不急の渡航中止)へ引き上げます。同地域への不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず渡航する場合には、特別な注意を払うとともに十分な安全対策をとってください。 

(2)ヘラ州、南ハイランド州を除く全土
レベル1:十分注意してください。(継続)

ア 首都ポートモレスビー
 首都ポートモレスビーでは、スリやひったくり等の一般犯罪のほか、婦女暴行、「ラスカル」による強盗、武器等を用いた車両強奪といった凶悪犯罪も昼夜を問わず発生しています。また、セトルメントと呼ばれる不法居住地域が市内数十か所に混在して分布しており、セトルメント居住者による犯罪が増加しています。このため、日中であっても、単独での徒歩移動を避けてください。カージャック被害も、昼夜及び場所を問わず発生しているため、車両による移動時も路上での停車は避ける等、注意が必要です。

イ ハイランド地方(西、東ハイランド州、ジワカ州、エンガ州及びチンブ州の計5州)
 ハイランド地方には、部族社会の伝統や慣習が色濃く残っていることもあり、部族間の衝突が頻発しており、長期間に及ぶ部族対立が続いている地域もあります。昨年の選挙の影響により対立構造が顕在化し、治安の悪化が他の地域に比べても顕著です。このような部族対立により、道路上に大木や岩によるロード・ブロックが設けられて、交通が遮断されることがあります。また、降雨の影響により地滑りが発生し、道路網が寸断されることもあります。

ウ モロベ州
 モロベ州レイ市はPNG第2の都市として発展していますが,強盗や婦女暴行などの犯罪が多く発生しています。また、この地域では昼夜を問わず暴動や部族衝突にまきこまれないように注意して下さい。

エ マダン州
 部族間の対立を背景とする様々な事件(殺傷・強盗)が多発しており、事件の報復行為が無関係の市民を巻き込み、二次被害、三次被害を呼んでいます。また、物乞いが一般市民の金品を狙ってブッシュナイフや工具等を武器に致死傷事件を起こす等の事例も発生していますので、昼夜を問わず犯罪等に巻き込まれないよう十分に注意してください。

オ ブーゲンビル自治州
 2019年に行われたブーゲンビル独立に関する住民投票の結果(約98%が独立を支持)について、PNG中央政府とブーゲンビル自治州政府との間で2027年までに政治的決着を図ることについて合意されており、そのための協議が両当局の間で行われています。協議の状況によっては不測の事態が発生する可能性もありますので十分に注意してください。

カ 北部諸島地域(東、西ニューブリテン州、ニューアイルランド州、マヌス州)
 北部諸島地域においても、強盗、強姦、殺人等の凶悪犯罪の他にも、土地の所有権を争う部族対立等が散発しており、昼夜を問わず犯罪等に巻き込まれないよう十分に注意してください。また、1概況(4)のとおり、地震や火山活動等の自然災害も発生していますので十分に注意してください。

キ ミルンベイ州
 2021年12月、ミルンベイ州アロタウで過去8年間にわたりギャング団を率いて強盗・殺人等を繰り返してきた指名手配犯トミー・ベイカーが警察によって射殺されました。このことを契機に、組織の後継者が警察に対する報復行動に出たことから、2022年1月に同州全域を対象として夜間外出禁止令が発令されました。治安当局によるギャング団取り締まりは銃撃戦を伴う場合がありますので、昼夜を問わず巻き込まれないよう十分に注意してください。

ク インドネシアとの国境付近
 PNGとインドネシアの国境線は約780キロメートルにも及び、そのほとんどはジャングルであるため国境監視は困難な状態です。国境事務所では係官が通過する人と物の往来を管理していますが、それ以外の経路で越境することも不可能ではないため、現地当局は正確な人と物の往来を正確に把握できていない模様です。昼夜を問わず犯罪等に巻き込まれないよう十分に注意してください。
 なお、国境付近への渡航の際にはインドネシアに関する海外安全情報も御確認ください。

3.滞在に当たっての注意
(1)海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
 PNGに3か月以上滞在する方は、在PNG日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet
 3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時に在PNG日本国大使館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/

(2) PNGへの渡航・滞在中の一般的な注意事項については、海外安全ホームページ内の「安全対策基礎データ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_075.html )」を併せて参照の上、渡航前に最新の情報を訪問先や在PNG日本国大使館に確認してください。また、渡航の際は、信頼のできる旅行業者を利用し、安全対策に十分に配慮してください。

(3) 数年おきにコレラ・赤痢・腸チフスなどの腸管感染症が散発的に流行しています。これらの感染症は、経口感染するので、飲料水および食事内容に十分注意する必要があります。
 また、その他の感染症については、「世界の医療情報
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/oceania/papua.html )」において、PNG国内の衛生・医療情報等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。
 その他、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。
 ◎感染症情報(http://www.forth.go.jp/

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903

(外務省内関連課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)5140
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○外務省 海外安全ホームページ
  https://www.anzen.mofa.go.jp (PC版・スマートフォン版)
  http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (携帯版)

(現地大使館連絡先)
○在パプアニューギニア日本国大使館
  住所:Godwit Road, Waigani, Port Moresby, NCD, Papua New Guinea
  電話: 321-1800
   国外からは(国番号675)321-1800
  FAX : 323-0153
   国外からは(国番号675)323-0153
  ホームページ:http://www.png.emb-japan.go.jp/j/index.html



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