海外邦人事件簿|Vol.67 メール版「助けて詐欺」

先日、ある著名人のメールアドレスから送られた一斉メールが元で外務省に緊急の相談が殺到しました。そのメールには英語でこう書かれていました。

「地中海の島に滞在中に泥棒に遭い、財布、クレジットカード、携帯電話を失った。クレジットカードの再発行には一週間かかるが、それまでの間の滞在費としていくばくか送金してくれないか。お金は帰国後にすぐに返済する。送金ができるなら、緊急に作ったフリーメールのアドレスに連絡してほしい。」

受け取った人たちは、見覚えのあるメールアドレスと署名に驚き、旧知の方を助けるべく、それぞれが外務省に相談の電話をかけたのです。担当者は、相談に応じながら、メールには次のように書かれていないか尋ねました。

  • 支援を依頼するメールは英文か
  • さほど親しくない間柄であっても金を無心する内容か
  • 国際送金サービス会社を使うように書かれているか

答えはいずれもイエス。これは詐欺メールの可能性が高いと考えた担当者は、相談者に対して、ご本人や家族または所属先など既知の電話番号に連絡をするよう勧めるとともに、ローマ字表記の日本語で現在の状況を尋ねるメールを返信するよう促しました。そうこうしているうちに、ご本人は外国旅行などしておらず日本国内に留まっていることが判明し、被害に遭うことなく一件落着となりました。

この類の詐欺メールについては、数年前から外務省に相談が寄せられるようになりました。悪用されたメールアドレス帳はネット流出したものか、ハッキングされた可能性が高いと考えられます。

幸いなことに、外務省では実際に被害に遭ったとの相談を受けたことがありませんが、この種の手口はあっという間に伝わります。電話で「オレオレ」と叫んでいた悪人達が、メールを使って日本語で「困った、助けて、送金して」と呼びかけてくる日も近いかもしれません。

この種の詐欺の撃退方法は、いま流行中の「助けて詐欺」と同じです。まずは慌てずに、その人の既知の電話番号にかけて,そういった事実があるかどうかを確認してみましょう。つながらなければ、家族や所属先に連絡してみましょう。最初のメールをうのみにせず、冷静に確認することで被害を防ぐことができます。

詐欺については次の頁もご覧ください。

(2013年10月掲載)

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