海外邦人事件簿|Vol.48 高地の旅はご用心

最近では、一般的な観光旅行ではもの足らないという旅行者の間で、いわゆる「秘境ツアー」が人気を呼んでいるようです。

『南米の高地でツアーに参加していた男性Aさん。前日より倦怠感や眠気におそわれるなど、高山病と思われる症状が現れていたが、自分では大丈夫と考えていた。ところが翌朝になると、ベッドから起きあがれなくなってしまい、その後昏睡状態に陥った。Aさんは現地の病院に緊急入院したが、一刻も早く低地で治療した方が良いという病院の判断にしたがい、チャーター機で移送された。』

高山病で昏睡状態になり、チャーター機で移送される。

幸いにもAさんは病院での適切な治療により一命をとりとめましたが、残念なことに、高山病で命をおとしてしまった旅行者がいることも事実です。

高山病にかかると、倦怠感や眠気、頭痛や吐き気におそわれ、食欲がなくなるといった症状があらわれます。このようなツアーへの参加は、自分の体力とよく相談し、ツアーに参加している途中であっても自分の健康に異常を感じたら、適切な処置をためらわないことが重要です。

日本で経験したことのない高山病であっても、海外旅行という日常とは異なる環境あるいは飛行機利用による気圧の著しい変動の影響から思わぬ身体の不調を招くことが往々にあります。

また、近年日本は高齢化社会を迎え、海外での登山、マリン・スポーツ等元気に活動されている高齢者が多いことは心強い限りですが、海外旅行では、知らず知らずのうちに気力・体力とも衰えがちになりますので、日本での生活を基にして自分の体力を過信して思わぬ災難に遭うことのないよう身体を十分に気づかうことが大切です。

自分の体力や健康状態と相談し、適切に処置しよう。

高山病他、身体不調の症状に気づいても、「ツアーの他の参加者に迷惑をかけたくない」、「せっかくここまで来たのだから、もうちょっと」という考えで無理をすることは、取り返しのつかない事態を招きかねません。

「おかしい!」と感じたら、安静にし、なるべく早く低地に戻ることが重要です。

高山病対策をきちんと行い、ベッドの上からの景色ではなく、ぜひ山の上からの美しい景色をお楽しみください。

(2006年6月19日掲載)

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