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広域情報
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アジア海域における海賊等事案に関する注意喚起

2025年08月15日
【ポイント】
●アジア海域では武装集団による乗り込み事案を始めとする海賊等事案(注)が多発しており、特にシンガポール海峡における事案総数は近年再び増加傾向にあります。
●アジア海域を航行する船舶の運航事業者及び当該船舶に乗船を予定されている方は、同海域において海賊等事案に遭遇する危険性を十分認識し、最新情報の入手に努め、安全の確保に細心の注意を払うとともに、情勢によってはこれらの海域を航行する船舶への乗船を控えてください。

注:「海賊等事案」は、公海上で発生した「海賊」と領海内で発生した「武装強盗」を含む。

(内容)
1 アジア海域では、武装集団による海賊等事案が多発しています。国際商工会議所(ICC)国際海事局(IMB)の報告書によれば、2024年の全世界における海賊等事案(116件)の約75%(88件)がアジア海域で発生しており、特に、シンガポール(43件)やインドネシア(22件)、バングラデシュ(14件)での武装強盗事案数が多くなっています。

【参考】最近のアジア海域での海賊等事案の発生件数(出典:2024年IMB年間報告書)
2020年:76件、2021年:59件、2022年:70件、2023年:75件、2024年:88件  

2 特に、インドネシア、シンガポール及びマレーシアの領海に接するシンガポール海峡における武装強盗事案発生件数は2020年以降増加傾向にあります(2020年23件、2021年35件、2022年38件、2023年37件、2024年43件)。IMBの報告書によれば、2024年にシンガポール海峡で発生した武装強盗事案数(43件)は、世界最多となっています。
同報告書によれば、同海峡における事案の93%が乗り込み事案であり、100,000DWT(載貨重量トン数)を超える大型船舶11隻が標的になったとしています。また、タグボートや艀を含む航行中の船舶を標的とするグループが存在し、特に夜間において航行中又は停泊中の船舶に乗り込んでくることが多いとし、厳重な監視が必要であると指摘しています。
上記を踏まえ、シンガポール海峡及び同海峡周辺海域を航行する船舶の運航事業者及び当該船舶に乗船を予定されている方は、引き続き十分に警戒してください。
同海域以外においても、インドネシアでは2020年以降、高い水準で事案が継続的に発生しているほか、バングラデシュにおいては、2024年に過去10年で最多となる14件が報告(うち13件はチョットグラムの錨地、1件はモングラの錨地で発生)されており、同報告書においても、引き続きの警戒が呼びかけられています。

3 また、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センターによれば、スールー海域及びセレベス海域並びにマレーシア・サバ州東海域では、これまでイスラム過激派組織「アブ・サヤフ・グループ(ASG)」等が度々強盗、誘拐等の海賊等事案を起こしており、実際に人質が誘拐され殺害された事案もあります。
  2020年1月以降、身代金目的の乗組員誘拐事案は発生していませんが、ASGの残党が逃亡中でもあり、フィリピン、マレーシア及びインドネシアの当局がASGを無力化するための監視及び軍事作戦を継続しています。
ReCAAPの報告書によれば、フィリピン南部のサンボアンガ、スールー、タウィタウィ地域については、フィリピン政府が継続的な軍事作戦を実施したことにより、ASGの支援基盤を解体し、スールー諸島のASG勢力を無力化することに成功し、フィリピン沿岸警備隊及びスールー・セレベス海域における海上保安に関わる他の関係者・機関は「スールー・セレベス海域における身代金目的の乗組員誘拐」の脅威レベルを「中程度(MODERATE)」から「やや低め(MODERATE LOW)」に引き下げる見直しを行っているものの、ASG勢力による攻撃が発生した場合には、船舶や乗組員に被害が生じる可能性があると指摘しています。

4 ついては、可能な限り航行ルートの変更を行い、これらの海域を航行しないようにしてください。また、不測の事態に巻き込まれないよう、ダイビングクルーズ等、観光目的で同海域を訪れることはやめてください。

5 やむを得ずこれらの海域を航行する船舶の運航事業者及び当該船舶に乗船を予定されている方は、同海域において海賊等事案による被害に遭遇する危険性を十分認識し、事前に関連する報道や下記ホームページ等を通じて、最新情報の入手に努めるとともに、安全の確保に細心の注意を払うようにしてください。また、乗船を予定されている方におかれては、乗船予定の船舶の安全対策を確認するほか、情勢によっては、船舶の運航事業者や旅行事業者と相談の上、これらの海域を航行する船舶への乗船を控えてください。

6 本広域情報の対象国・地域:インドネシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム、ミャンマー、タイ、マレーシア、バングラデシュ及びインド

(関連ホームページ)
○アジアにおける海賊・海上武装強盗問題の現状
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100146019.pdf
○アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)ホームページ
http://www.recaap.org/
○外務省ホームページ(海賊問題)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/pirate/index.html
○外務省海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版)http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.asp (携帯版)
○海上保安庁(海賊対策)
http://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/chian/anti-piracy.html
○「海外渡航の安全対策」リーフレット
https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_10.html
○パンフレット「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」
https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html

(問合せ先)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人緊急事態課
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2851
○外務省領事局海外邦人安全支援室 
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3047
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