【ポイント】
●ソマリア周辺海域では、引き続き海賊等事案(注)による被害が発生するおそれがあります。
●イエメン周辺海域では、イエメンのホーシー派による民間船舶等に対する攻撃事案のほか、日本関係船舶を含む民間船舶の拿捕事案などが発生しています。
●ソマリアやイエメンの周辺海域を航行する船舶の運航事業者及び当該船舶に乗船を予定されている方は、これらの海域の危険性を十分認識し、最新情報の入手に努め、安全の確保に細心の注意を払うともに、情勢によってはこれらの海域を航行する船舶への乗船を控えてください。
注:「海賊等事案」は、公海上で発生した「海賊」と領海内で発生した「武装強盗」を含む。
(内容)
1 商船側による自衛措置や、自衛隊及び各国海軍による海賊対処活動等が実施され、2012年以降、ソマリア周辺海域における海賊等事案の発生件数は低水準で推移してきましたが、国際商工会議所(ICC)国際海事局(IMB)の報告書によれば、2024年は8件と微増(前年比+7件)に転じました。また、2024年の船員の人質被害総数(126件)の約4割(50件)はソマリア周辺海域で発生しています。
2 同報告書は、2023年12月14日に2017年以来のソマリア海賊による商船のハイジャック事案が報告され、ソマリア海賊は、母船を拠点として、海岸から1000海里以上離れた地点でも船舶を標的にできる能力を有していると指摘しています。また、ソマリア海賊は、自動小銃やRPG(ロケット砲)で武装、小型高速ボートで犯行に及ぶケースが多いとしています。
3 ソマリア国内の貧困や当局による不十分な取締り等、海賊等を生み出す根本的な原因はいまだ解決しておらず、また同海域の海賊は引き続き海賊行為を行う能力があるとされていることなどから、脅威は継続しています。
これらの脅威に対処するため、防衛省・自衛隊は、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動を継続しています。下記の国土交通省ホームページから、アデン湾における海上自衛隊の護衛を申請することができますので、御参照ください。
【国土交通省ホームページ(護衛活動に係る手続き等について)】
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk2_000008.html【参考】最近のソマリア周辺海域での海賊等事案の発生件数(出典:2024年IMB年間報告書)
2020年:0件、2021年:1件、2022年:0件、2023年:1件、2024年:8件
4 一方、イエメンでは、同国政府と反政府武装勢力(ホーシー派)との対立が長期にわたり継続しているほか、イスラム過激派組織等によるテロ・誘拐事件が発生するなど、治安情勢が極めて不安定な状況にあります。また、イエメン周辺海域(アデン湾、紅海及びバブ・エル・マンデブ海峡)では、ホーシー派による民間船舶等に対する攻撃事案のほか、日本関係船舶を含む民間船舶の拿捕事案等が発生しています。
5 ついては、国際推奨航路帯(IRTC)を含めたソマリア周辺海域やイエメン周辺海域を航行する船舶の運航事業者及び当該船舶に乗船を予定されている方は、これらの海域の危険性を十分認識し、事前に関連する報道や下記ホームページ等を通じて最新情報の入手に努めるとともに、安全の確保に細心の注意を払うようにしてください。
乗船を予定されている方におかれては、乗船予定の船舶の安全対策を確認するほか、情勢によっては、船舶の運航事業者や旅行事業者と相談の上、これらの海域を航行する船舶への乗船を控えてください。
6 本広域情報の対象国・地域:ケニア、エリトリア、ジブチ、スーダン、マダガスカル、イエメン、オマーン、サウジアラビア及びエジプト
(関連ホームページ)
○外務省ホームページ(ソマリア沖・アデン湾の海賊・海上武装強盗問題の現状)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100146018.pdf○外務省海外安全ホームページ
http://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.asp (携帯版)
○国土交通省海事局(ソマリア沖・アデン湾における海賊対策)
http://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk2_000006.html○国土交通省海事局(ベストマネージメントプラクティス)
https://www.mlit.go.jp/maritime/maritime_tk2_000009.html○防衛省(ソマリア沖・アデン湾における海賊対処)
https://www.mod.go.jp/j/approach/kokusai_heiwa/somaria/index.html○海上保安庁(海賊対策)
http://www.kaiho.mlit.go.jp/mission/chian/anti-piracy.html○「海外渡航の安全対策」リーフレット
https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_10.html○パンフレット「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」
https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html(問合せ先)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人緊急事態課
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2851
○外務省領事局海外邦人安全支援室
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3047