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感染症広域情報:ポリオの発生状況(ポリオ発生国に渡航する際は、追加の予防接種をご検討ください。)(その15)

2020年11月02日
●10月14日、世界保健機関(WHO)は、国際保健規則(IHR)に基づく、ポリオウイルスの国際的な拡散に関する第26回の緊急委員会を開催しました。
●この会議において、ポリオウイルスの国際的な広がりについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の延長勧告をしています。
●ポリオ発生国(アフガニスタン、パキスタン、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、イエメン、アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コートジボワール、コンゴ民主共和国、エチオピア、ガーナ、ギニア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン、トーゴ、ザンビア)に渡航する人は、追加の予防接種を検討してください。

1 第26回緊急会議
 10月14日、世界保健機構(WHO)は、国際保健規則(IHR)に基づく第26回緊急委員会を開催し、現在発出されている公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)の勧告をさらに3ヶ月延長することを決定しました。委員会はポリオに対して長期にわたるPHEICを発出していますが、現在の状況は異常であり、国際的な広がりが、継続的且つ増大しているとの認識で、継続的な国際的対応が必要であると結論づけています。

2 ポリオの発生状況
世界保健機関(WHO)は、2014年5月5日、ポリオウイルスの国際的な広がりが、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC、Public Health Emergency of International Concern)」であることを宣言していますが、上記1の第26回会合において、現在の状況が引き続きPHEICに該当するとの見解を示すとともに、発生状況を以下のとおり評価しています。

(1)野生型ポリオウイルス(WPV1)
  2020年のWPV1の世界的な発生率は引き続き高く、同年1月1日から10月5日までの間に報告されたWPV1は121症例であり、2019年の同時期の85症例と比較して42%増加している。昨年は179件のMPV1の症例が報告されており9カ国で359件の症例があったが、これは2014年にPHEICが宣言されて以来、最も多い症例が報告されている。4年前の2016年にナイジェリアで発生した最後の症例以降、パキスタンとアフガニスタン以外において野生型ポリオの症例は検出されていない。
  委員会は、6月に開催された委員会以降、野生型ポリオの配列の結果に基づくパキスタンからアフガニスタンへの更なるウイルスの国際的な拡散の症例があったことを指摘した。両国間の野生型ポリオの国際的な広がりの頻度と、定期的な予防接種とポリオ予防活動をおこなっている他の国々における脆弱性の増加は、コロナウイルス(COVID-19)の大流行によって、共に悪影響を受けており、国境閉鎖とロックダウンの効力は、短期的にはリスクを軽減する可能性はあるものの、人の往来再開とワクチン接種中断による免疫の低下によって、長期的にはこれを上回るだろう。
  他方、2020年8月、WHOによってアフリカ地域に野生ポリオがないと認定されたことは、世界的なリスクの軽減を示している。

(2)ワクチン由来型(VDPV)
  委員会は、ギニア、南スーダン及びスーダン(後者2カ国の症例は、2019年にチャドで出現したワクチンポリオ2型(cVDPV2)系統の輸入によるもの)での新たな感染拡大を起因とするcVDPV2の国際的な広がりが継続していることに対し懸念を示した。局所的な循環という根拠はないが、同じウイルスがエジプト・カイロの下水で検出されている。2020年の症例数は、同年10月5日時点で409症例であり、2019年に報告された378症例を既に上回っている。血清型2型経口ポリオウイルスワクチンの使用を中止した2016年以降の他の年と同様に、2020年におけるcVDPV2の症例数はWPV1(野生型ポリオ)に比して多数に上る。他方、2020年の現在までに検出されたサブタイプ/系統数は、2019年全体の42症例に対し27症例、新たに出現したウイルスの症例数は、2019年の38症例に対して本年は7症例しか違わず同水準にみえる。
  cVDPV2の国境を超えた広がりは、現在定期的に発生しています。米国CDCによる分離株の分析に基づけば、2020年4月から6月の3ヶ月で、cVDPV2が以下の国から輸出された証拠がある。
 ・パキスタンからアフガニスタン
 ・コートジボワールからマリ
 ・ギニアからマリ
 ・コートジボワールからガーナ、ガーナからコートジボワール
 ・中央アフリカからカメルーン
 ・チャドからスーダン及び南スーダン
 ・ガーナからブルキナファソ

(3)COVID-19(新型コロナウイルス)における影響
  2020年3月から6月にかけて実施した105か国に対する調査によると、ほぼ全ての国(90%)において、特に中低所得国で医療サービスの中断が起きている。
  委員会は、現在発生しているほとんどの国において、ここ数ヶ月で予防接種の対応を遅らせねばならなかった事態に懸念を示した。さらに、AFP通信の報告率によれば、多くの流行国での監視指標が低下しており、環境サンプリングも減少している。ワクチンの管理と供給は大きな影響を受けている。2月下旬と3月初旬から28か国において60以上の世界ポリオ撲滅推進活動キャンペーンは延期されている。ワクチンの供給は中断されており、すでに国内で保有しているワクチンは、多くの点において有効期限を超えて使用できなくなるリスクがある。一部の供給者は貯蔵容量に達しており、生産を停止せざるを得ない可能性がある。
  現在、追加予防接種活動(SIA)の再開が行われているが、パンデミックの波は国ごとに、またWHO地域全体で大幅に変動すると予想されるため、予見可能な未来において、プログラムはCOVID-19の状況に応じて調整する必要がある。
  一般的な監視プロセスは継続しているが、風土病国、一部の発生国、その他の非感染高リスク国を含め、AFP通信の症例報告によれば発生が大幅に減少しているという明らかな兆候がある。
  委員会は、もしSIAの対応が再開されなかった場合、GPEI(世界ポリオ撲滅推進活動)モデルがアフリカ地域のcVDPV2感染地区の数を200%増加させるリスクがあることを示す点について留意した。WPV1の地理的な広がりと激化のリスクに加え、cVDPV2の症例はパキスタンとアフガニスタンで指数関数的に増加し、予防接種を再開しないことにより3,500症例以上に達する可能性がある。その結果、パキスタンとアフガニスタンの両国で現在大規模なmOPV2(伝播型ワクチン由来ポリオウイルス2型)キャンペーンを実施しており、tOPV(3価経口生ポリオワクチン) / mOPV2がコントロールされるまで継続することになる。特にアフガニスタンでは急速な広がりが見られたが、7月のキャンペーン再開により、予想された指数上昇は抑制された。

(4)リスクカテゴリ
  委員会は、次のようなリスク別に感染リスク国を列挙しています。

 ア WPV1、cVDPV1、またはcVDPV3に感染し、国際的に広がるリスクがある国
【WPV1】
 ・アフガニスタン(最新の検出:2020年9月7日)
 ・パキスタン(最新の検出:2020年9月16日)
【cVDPV1】
 ・マレーシア(最新の検出:2020年3月13日)
 ・フィリピン(最新の検出:2019年11月28日)
 ・イエメン(最新の検出:2020年6月5日)

 イ cVDPV2に感染し、国際的に広がるリスクのある国
 ・アフガニスタン(最新の検出:2020年9月5日)
 ・アンゴラ(最新の検出:2020年2月9日)
 ・ベナン(最新の検出:2020年6月12日)
 ・ブルキナファソ(最新の検出:2020年6月11日)
 ・カメルーン(最新の検出:2020年9月1日)
 ・中央アフリカ(最新の検出:2020年7月28日)
 ・チャド(最新の検出:2020年8月22日)
 ・コートジボワール(最新の検出:2020年6月20日)
 ・コンゴ民主共和国(最新の検出:2020年8月4日)
 ・エチオピア(最新の検出:2020年6月13日)
 ・ガーナ(最新の検出:2020年6月16日)
 ・ギニア(最新の検出:2020年7月21日)
 ・マレーシア(最新の検出:2020年3月13日)
 ・マリ(最新の検出:2020年6月23日)
 ・ニジェール(最新の検出:2020年8月25日)
 ・ナイジェリア(最新の検出:2020年6月18日)
 ・パキスタン(最新の検出:2020年9月24日)
 ・フィリピン(最新の検出:2020年1月16日)
 ・ソマリア(最新の検出:2020年8月29日)
 ・南スーダン(最新の検出:2020年7月8日)
 ・スーダン(最新の検出:2020年8月18日)
 ・トーゴ(最新の検出:2020年5月3日)
 ・ザンビア(最新の検出:2019年11月25日)

 ウ WPV1またはcVDPVに感染はなくなったが、WPVまたはcVDPVによる再感染に対して脆弱な状態である国
【WPV1】
 無し
【cVDPV】
 ・モザンビーク(最新のcVDPV2検出:2018年12月17日)
 ・PNG(最新のcVDPV1検出:2018年11月6日)
 ・インドネシア(最新のcVDPV1検出:2019年2月13日)
 ・ミャンマー(最新のcVDPV1検出:2019年8月9日)
 ・中国(最新のcVDPV2検出:2019年8月18日)

(WHO発表(英文))
 https://www.who.int/news/item/22-10-2020-statement-of-the-twenty-sixth-polio-ihr-emergency-committee

(5)パキスタン政府は、WHOの緊急勧告に伴い、同国に4週間以上滞在する外国人を含めた全ての人にポリオ予防接種を義務化しており、WHOが推奨する国際予防接種証明書にて摂取の記録を確認しています。
(6)アフガニスタン出入国時には、国際予防接種証明書の所持が求められることがあり、所持していない場合は、空港で予防接種を受けなければならないことがありますので、最新の情報は在アフガニスタン日本国大使館にお問い合わせください。
(7)以上を踏まえ、ポリオ発生国(アフガニスタン、パキスタン、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、イエメン、アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コートジボワール、コンゴ民主共和国、エチオピア、ガーナ、ギニア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、ソマリア、南スーダン、トーゴ、ザンビア)への渡航を予定している方及び現地に滞在している方は、以下3を参考にポリオの予防接種を検討してください。特に、現在ポリオウイルス感染者の発生が報告されている地域に渡航する場合は、以前に予防接種を受けていても、追加接種をご検討ください。現地の小児定期予防接種一覧、医療機関情報等については、渡航・滞在先の在外公館のホームページをご参照ください。
(参考)
厚生労働省ホームページ:ポリオ(急性灰白髄炎)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/polio/
厚生労働省検疫所FORTHホームページ:海外渡航のためのワクチン
https://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html

3 ポリオについて
(1)感染源
  ポリオ(急性灰白髄炎)は、感染者(特に小児)の糞便又は咽頭分泌液との直接接触等によってポリオウイルスが人の口の中に入り、腸の中で増えることで感染します。増えたポリオウイルスが再び便の中に排泄されて、この便を介してさらに他の人に感染します。まれに汚染された水や食物などからも感染します。成人が感染することもありますが、主に小児で起こります。
(2)症状
  潜伏期間は3~21日(通常は7~21日)、感染しても90%~95%は無症状(不顕性感染)です。4~8%は軽症であり、発熱、風邪のような症状や胃腸症状(咽頭痛、咳、発汗、下痢、便秘、悪心など)が見られます。また、感染者の1~2%は、頭痛、嘔気、嘔吐、頸部及び背部硬直などの髄膜刺激症状を呈します。感染者の0.1~2%が典型的な麻痺型ポリオとなり、1~2日の風邪のような症状の後、解熱に前後して急性の筋肉、特に下肢の麻痺(急性弛緩性麻痺)が起きることが多いです。発症から12か月過ぎても麻痺又は筋力低下が残る症例では、永続的に後遺症が残る可能性があります。
(3)治療
  麻痺の進行を止めるための治療や、麻痺を回復させるための治療が試みられてきましたが、現在、特効薬などの確実な治療法はありません。麻痺に対しては、残された機能を最大限に活用するためのリハビリテーションが行われます。
(4)予防
 ア 予防接種
  日本の定期の予防接種では、平成24年8月までは経口生ワクチンが使用されていましたが、平成24年9月以降は注射の不活化ポリオワクチンが使用されています。ポリオが発生している国に渡航する人は、追加の予防接種を検討してください。
  なお、生ポリオワクチンを接種した場合、ワクチンウイルスが体外に排泄されるため、極めてまれではありますが、接種後便中に排泄されるワクチンウイルスから免疫のない子供や大人に感染し、麻痺をおこすこともありますので、接種後の衛生管理にも注意してください。ただし、日本国内で主に用いられている不活化ポリオワクチン接種(注射によるもの)では、基本的にこのようなことが起こることはないとされています。
 イ 感染予防
  ポリオの流行地では以下のような感染予防対策を心がけ、感染が疑われる場合には、直ちに医師の診察を受けてください。
 ●こまめに石けんと水で手洗いし、特に飲食の前、トイレの後は念入りに手洗いを励行する。
 ●野菜や果物は安全な水で洗い、食物は十分加熱してから食べる。
 ●乳製品は殺菌処理されたもののみ飲食する。
 ●飲料水や調理用の水はミネラルウォーターを使用する。水道水を利用する場合は、一度十分に沸騰させた後使用する。安全な水から作ったと確認できる氷以外は使用しない。
(5)予防接種証明書
 ア 国内での予防接種証明書
  国内での予防接種証明書の取得については、予防接種を実施した医療機関にご相談ください。
 イ 海外での予防接種証明書
  海外での同証明書の取得については、渡航先の日本国大使館にご照会ください。

4 新型コロナウイルス感染症
 新型コロナウイルス感染症の流行をふまえ、世界全域に感染症危険情報が発出されていますので、引き続き最新情報の収集と感染予防に万全を期してください。

5 在留届及び「たびレジ」への登録のお願い
 海外渡航前には、万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。3か月以上滞在する方は、緊急事態に備え、必ず在留届を提出してください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/zairyu/index.html)
 また、3か月未満の旅行や出張などの際には、海外滞在中も安全に関する情報を随時受けとれるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(詳細はhttps://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/#参照)

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
  住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903

(外務省関連課室連絡先)
○外務省領事局政策課(海外医療情報)
  電話:(代表)03-3580-3311(内線)4475
○外務省 海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp/
        (携帯版)  http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp

(現地在外公館連絡先)
各国の在外公館は以下の外務省ホームページをご参照ください。
○外務省ホームページ:在外公館リスト
https://www.mofa.go.jp/mofaj/link/zaigai/index.html
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