=-=-=-=-=-=-=-=
西サハラ地域
=-=-=-=-=-=-=-=
情報種別:海外安全情報(危険情報)
本情報は現在有効です。

西サハラ地域の危険情報【危険レベル継続】(内容の更新)

2023年3月9日

【危険度】
●「砂の壁」以東の地域(立ち入り制限地域を含む)
:レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
●「砂の壁」以西の地域(立ち入り制限地域及び下記の地域を除く)
:レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●ラユーン、スマラ、ブジュドゥール、ブクラ、ダフラ市内及びこれらの都市を結ぶ幹線道路
:レベル1:十分注意してください。(継続)

【ポイント】
●「砂の壁」以東の地域では、2020年11月以降、モロッコとポリサリオ戦線による小規模な衝突が発生しており、周辺国の民間人が巻き添えとなる事例も散見されています。また、外国人を標的とした誘拐事件や銃犯罪が発生している上、多くの地雷が未撤去のまま残されていることから、危険情報レベル4(退避勧告)を発出しています。
●「砂の壁」以西の地域は、ポリサリオ戦線やイスラム武装組織の侵入を防止する目的でモロッコ軍が駐留しており、立ち入り制限地域に近づくとモロッコ当局に拘束されるおそれがあります。また、多くの地雷が未撤去のまま残されているとみられることなどから、危険情報レベル3(渡航中止勧告)を発出しています。
●ラユーン等の都市及びこれらの都市を結ぶ幹線道路においては、モロッコ当局により比較的安定が保たれているものの、テロやデモ等に十分注意してください。また、同幹線道路沿いはほとんどが砂漠ないし土漠であり、移動中にトラブルが発生した場合に救援を求めることは困難です。非常時の連絡手段の確保等に十分留意してください。

1 概況
(1) 西サハラ地域においては、1976年にスペインが領有権を放棄し撤退した後、同地域の領有を主張するモロッコ(及びモーリタニア)と独立を主張する同地域住民によって結成された「ポリサリオ戦線」との間で武力紛争が発生しました。この紛争は1991年に停戦が成立しましたが、2020年10月にエル・ゲルゲラットで発生した道路封鎖活動及びその後の両者の緊張の高まりにより、同年11月ポリサリオ戦線側が「停戦へのポリサリオのコミットメントの終了」と「武力闘争の再開」を宣言し、それ以降小規模な衝突が発生しています。現在、西サハラ地域の大部分はモロッコが事実上支配しており、モロッコ政府は、西サハラ地域内陸部にポリサリオ戦線の排除を目的として「砂の壁」と呼ばれる全長2千kmに及ぶ防護壁を設置しています。

(2) 西サハラ地域では、砂漠地帯という地理的特性のため厳格な国境管理が難しく、特に「砂の壁」以東の地域の国境付近では、イスラム過激主義者や密輸業者、組織犯罪等に関わる人々が往来していると言われています。更に、2020年11月以降、同国境付近ではモロッコとポリサリオ戦線による小規模な衝突が発生しており、同地域に立ち入った周辺国の民間人が巻き添えとなった事例も散見されているほか、外国人の誘拐事件や銃犯罪の発生も報告されています。

(3)「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)の活動が活発化した2014年以降、西サハラ地域においても、ISILに賛同しモロッコ国内でのテロを企図した者やリビアのISILへの加入を試みた者がモロッコ当局により逮捕されています。 
 このような状況を十分に認識し、テロに巻き込まれることがないよう、外務省海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

2 地域別情勢
(1)「砂の壁」以東の地域(立ち入り制限地域を含む)
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)

 西サハラ地域には、ポリサリオ戦線の排除を目的としてモロッコによって築かれた「砂の壁」と呼ばれる全長約2千kmに及ぶ防護壁が内陸部に存在しています。「砂の壁」から両側5km以内は緩衝地帯、同30km以内は立ち入り制限地域とされており、外国人が同地域に許可なく接近・立ち入ると、モロッコ当局又は国連西サハラ住民投票監視団(MINURSO)により拘束されます。
 「砂の壁」以東は、ポリサリオ戦線が活動する地域となっています。同地域では、2020年11月以降、モロッコとポリサリオ戦線による小規模な衝突が発生しており、同地域に立ち入った周辺国の民間人が巻き添えとなった事例も散見されています。加えて、同地域には多くの地雷が未撤去のまま残されており、触雷による事故で死傷者が発生しているほか、同地域はイスラム過激主義者や密輸業者、組織犯罪等に関わる人々の活動地域とも言われており、近年、外国人を標的とした誘拐事件や銃犯罪も発生しています。モロッコとポリサリオ戦線の停戦監視の任務に従事しているMINURSO関係者以外の立ち入り制限地域への接近や立ち入り、砂の壁を越えての往来は極めて危険です。

 つきましては、同地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に同地域に滞在している方は、直ちに安全な地域へ退避してください。

(2)「砂の壁」以西の地域(立ち入り制限地域及び下記(3)以外の地域)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)

 砂の壁以西では、ポリサリオ戦線やイスラム武装組織の侵入を防止する目的でモロッコ軍が駐留して厳重な監視を実施しており、不用意に立ち入り制限地域に近づくとモロッコ当局に拘束されるおそれがあります。また、多くの地雷が未撤去のまま残されているとみられており、大変危険です。
 2020年10月には、ポリサリオ戦線に警護された民間人が西サハラ地域南部の都市エル・ゲルゲラットの道路を封鎖したことに対し、モロッコ軍が封鎖解除に介入し、これをきっかけにポリサリオ戦線は一方的に停戦終了を宣言しました。これに対しモロッコ側は、停戦の継続を主張していますが、ポリサリオ戦線から攻撃がある場合には反撃するとしています。

 つきましては、同地域への渡航はどのような目的であれ止めてください。

(3)ラユーン、スマラ、ブジュドゥール、ブクラ、ダフラ及びこれらの都市を結ぶ幹線道路
レベル1:十分注意してください。(継続)

 ラユーン、スマラ、ブジュドゥール、ブクラ、ダフラ及びこれらの都市を結ぶ幹線道路については、モロッコ治安当局が厳しく警備しており、治安は比較的安定しています。
 しかしながら、2016年にラユーン及びスマラでモロッコ国内でのテロを企図した者やリビアのISILへの加入を試みた者が当局により逮捕されたほか、2018年2月にはラユーンにおいて、2019年4月にはダフラにおいて、ISILの指示に基づきモロッコ国内でのテロ攻撃を準備していた者が逮捕されるなど、これらの地域においてもテロが発生する可能性は否定できません。
 また、2010年11月、ラユーン及びその近郊においてモロッコ治安部隊とデモ隊との間で武力衝突が発生し、多数の死傷者が出ました。2011年2月には、ダフラにおいてポリサリオ戦線による破壊工作が行われ、17人が負傷し、商店、銀行等の一部で略奪行為が行われる事案が発生したほか、同年5月にはラユーンにおいてラジオ放送局が襲撃されています。さらにラユーンでは、2014年1月に発生した2度の衝突で計90名以上が負傷、同年2月に発生した衝突で70名以上が負傷しています。
 西サハラ地域においては外国人渡航者に対する監視が厳しく、2017年12月には、西サハラ地域を訪問中の日本人がモロッコ当局により強制的に退去させられる事案も発生しています。

 ついては、これら地域に渡航・滞在する場合は、現地の治安情勢に十分注意してください。西サハラ地域におけるデモは武力衝突に発展する可能性が高いことから、デモや群衆には決して近づかないようにしてください。また、幹線道路沿いは、一部集落を除きほとんどが人気もまばらな砂漠または土漠です。移動中に車両の故障等のトラブルが発生した場合に救援を求めるのは困難であり、立往生する危険がありますので、非常時の連絡手段の確保等に十分留意してください。

3 滞在に当たっての注意
 滞在中は、下記の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください。なお、西サハラ地域には日本国の在外公館は設置されていないため、緊急の事件・事故等が発生した場合の迅速な対応が困難なことに留意してください。万一、事件・事故等に巻き込まれた場合は、在モロッコ日本国大使館に連絡してください。

(1)海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
 西サハラ地域に3か月以上滞在する方は、在モロッコ日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html
 3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時の在モロッコ日本国大使館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html

(2)外務省、在モロッコ日本国大使館、現地関係機関や報道から最新情報を入手するよう努めてください。

(3)旅券(パスポート)又は滞在許可証を常時携帯するとともに、特に夜間については、不要不急の場合を除き、外出を控えるようにしてください。

(4)地雷の被害を避けるため、各都市間の移動時には幹線道路外の地域には決して立ち入らないでください。

(5)群衆には近づかないようにし、たとえ小規模なものでもデモ等に遭遇した場合は、直ちにその場所を離れてください。

(6)在モロッコ日本国大使館の所在するラバトから西サハラ地域までは、距離があることに加え、交通手段も制約されており、同地域で事件・事故等に巻き込まれた場合、大使館による迅速な対応は困難なことに留意してください。特に「砂の壁」以東の地域における事件・事故等への大使館による対応は極めて困難です。同地域への渡航・滞在は、どのような目的であれ止めてください。
 また、渡航前に緊急移送サービスを含む十分な補償内容の海外旅行保険に加入するなど、あらかじめ十分な対策をとるようにしてください。現地では、「安全対策基礎データ」も参照の上、犯罪被害や事故に遭わないよう十分注意してください。

4 周辺のモロッコ、アルジェリア及びモーリタニアに対しても危険情報が発出されていますので、併せて留意してください。

(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903

(外務省関係課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)2306
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐に関する問い合わせ)(内線)3047
○外務省 海外安全ホームページ:
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版、スマートフォン版)
https://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.html (モバイル版)

(現地大使館連絡先)
○在モロッコ日本国大使館
住所:39 Av Ahmed Balafrej, Souissi, Rabat, MAROC
電話:(市外局番0537)63-17-82〜85(85:領事部直通)
国外からは(国番号212)537-63-17-82〜85
FAX:(市外局番0537)75-00-78
国外からは(国番号212)537-75-00-78
ホームページ:https://www.ma.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html



−−−−−−−−−−
トップページ
−−−−−−−−−−