=-=-=-=-=-=-=-=
=-=-=-=-=-=-=-=
● 犯罪発生状況、防犯対策
1 概況
(1)ボリビアは中南米の中でも比較的治安の良い国と考えられています。しかしながら、2019年のボリビアの犯罪統計によれば、殺人765件、強盗12,185件、強姦3,079件、窃盗5,621件が発生しており、注意が必要です。
(2)ボリビア各地において、旅行者を狙った強盗や窃盗(スリ、置き引き等)被害が頻発しています。特に、以下の場所では、これまで日本人旅行者が偽警察官による窃盗や首絞め強盗の被害に遭っていますので、注意してください。
・ラパス市、サンタクルス市およびコパカバーナ市のバスターミナル周辺
・ラパス市サンフランシスコ教会およびエルアルト空港周辺
・チチカカ湖畔の観光地区やバスターミナル
(3)ボリビアでは隣国のペルー同様、薬物「コカイン」の原料でもあるコカの葉が原住民系の住民を中心に嗜好品や薬用として親しまれており、政府の規制の下コカ栽培が法的に認められています。その合法的なコカ栽培以外にも非合法なコカ栽培が行われており、その一部に近隣諸国を含む麻薬密輸組織が関与し、国境付近を含め麻薬密輸組織等による違法活動が多数報告されています。コカ栽培地域や国境地帯は観光客が頻繁に訪れるような地域ではなく、これまで日本人を含めた外国人の被害報告はありませんが、麻薬密輸組織同士の抗争に伴う誘拐や殺人などの凶悪犯罪が多発していますので、コカ栽培地域や国境地帯を訪れる際は細心の注意が必要です。
2 主な犯罪被害事例と防犯対策
犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動をとることが重要です。
特に外国人旅行者は、強盗、置き引きやひったくり、住居侵入(ホテルの客室荒らし)などの被害に遭いやすいので、以下の被害例を参照しつつ、必要な防犯対策をとるよう心がけてください。
(1)けん銃を使用した強盗
ア 日本人の犯罪被害事例
○ 銀行で現金を引き出した後、車でショッピングセンターまで移動し、ショッピングセンター内を現金の入ったカバンを肩に掛けて歩いてところを背後からカバンをひったくられそうになり抵抗したため、犯人が発砲し、邦人男性が負傷した。
○ スーパーマーケットで買物中、現金入りのバッグをひったくられそうになり抵抗したためけん銃のグリップ部分で頭部を殴打された上、バッグを強奪された。
イ 防犯対策
○ 銀行などで多額の現金を一度に引き出さないようにしてください。やむを得ず引き出す場合には、必ず複数人で行動し、常に周囲を警戒してください。夜間は複数人であってもATM等を利用しないでください。
○ 車両で移動する際は、バックミラーなどで後方を確認し、特に二人乗りのバイクが接近してくる様子がないか注意してください。
○ 犯罪に遭った場合は、生命の安全を第一に考え、金品の要求に対しては決して抵抗せず、犯人を刺激しないようにしてください。
(2)窃盗(スリ、置き引き)
ア 日本人の犯罪被害事例
○ ラパス・エルアルト空港のチェックイン・カウンターで搭乗手続中、足元に置いていた貴重品入りのカバンを盗まれた。
○ 発車前の長距離バスの中で、乗務員風の男に荷物を棚に載せるよう指示されそれに従ったが、外から見知らぬ人物が窓を叩いたので応対しているうちに、棚に置いた荷物を盗まれた。
○ 市場で買物中、所持していたバッグを切られて中に入っていた財布を抜き取られた。
○ 前を通りかかった人物が物を落としたのでそれを拾って渡したところ、足下に置いていた自分の荷物を盗まれた。
○ ラパス市内のレストランにおいて複数人で食事をしていた際、椅子の背もたれにかけていたバッグを気付かないうちに持ち去られた。
○ インターネットカフェで子供に声をかけられ応対していた隙に、反対側に置いていたリュックサックを盗まれた。
○ 車で走行中、道路脇にいた人物に物を投げつけられたことから、車から降りて車体の傷を確認していた隙に、助手席に置いていたバッグを盗まれた。
○ 人混みの中(バスターミナル、大通り、市場等)を歩いていた際、急に前方を塞がれ、立ち止まった瞬間に何者かにリュックサックから貴重品を盗まれた。
○ ツアーに出発する際、旅行代理店の勧めで代理店の受付に荷物を預けたが、数日後ツアーから帰ってくると荷物がなくなっていた。
○ 夜行バス車内の頭上の荷物置きや座席の下に貴重品が入ったバックを置いて就寝したが、目を覚ますとバッグがなくなっていた。
○ バッグを背負って人混み(露店市)を歩いていると、上着に汚物がかけられていることを見知らぬ人から指摘された。そのためバッグを下ろし、衣服の汚れを取っていたら、バッグが無くなっていた。汚物を指摘した人物もいなくなっていた。
イ 防犯対策
○ 夜間・早朝の外出はできるだけ避けてください。
○ 外出時は常に周囲に気を配り、いわゆる「歩きスマホ」も絶対にしないでください。
○ 見知らぬ人物に親しげに声を掛けられても、相手にしないでください。
○ 貴重品や多額の現金を持ち歩かず、貴重品は常に複数か所に分散して肌身離さず持つようにしてください。
○ 可能な限り複数名で行動するとともに、複数名で行動する場合でも、所持品から目を離さないでください。
○ バッグ等は車道側ではなく、建物・壁側に持つ、たすき掛けにする等、持ち方に気をつけてください。
○ 車の運転に際しては、助手席の席上など、外から見える場所に物を置かないでください。また、車から降りる際は、周囲に怪しい人物がいないか注意を払うようにしてください。
○ 荷物を預ける際は、空港の手荷物預り所等、信用できるところを選んでください。
○ バス内の荷物置きや座席の下に貴重品の入った荷物を置かないようにしてください(特にウユニ塩湖−ラパス市内間の長距離バス車内で、荷物の盗難が頻発しているので注意)。
(3)偽警察官
ア 犯罪手口
○ まず、外国人旅行者(例として、ウルグアイ人、チリ人、ペルー人およびフィリピン人等と自称する男女)になりすました犯人グループの一人が近寄って、被害者に時間や道を聞いてくる。これに応対していると、次に私服またはスーツ姿の警察官と称する人物が現れ、麻薬、偽米ドル、偽造カード所持の取締り、不法滞在やテロリストの取締り、身分証明書の不携帯(いずれも犯人グループのでっちあげ)等の口実で、犯人が用意した車(タクシーの場合もある)で警察署に同行を求められる。その後、移動中または人気のない場所まで連れて行かれた後、車内で所持品検査の名目で金品が物色され盗まれる。
○ 長距離バスターミナルからタクシーに乗ると、数百メートル進んだところで運転手が「車が故障したので後ろから来る車に乗り換えてくれ」と指示する。指示された車に乗ると、警察官と称する人物が乗り込んできて、所持品検査の名目で金品を物色され盗まれる。(なお、偽警察官に一旦車両に連れ込まれてしまった場合、車内で所持品検査等を拒否すると、誘拐や殺人等の被害に発展する可能性があるので注意を要する。この手口は、真正なタクシー運転手も共犯となっていると考えられる)
イ 日本人の犯罪被害事例
○ 早朝にバスターミナル付近を歩行中、警察官を名乗る人物に無理矢理タクシーに乗せられた後、車内で所持品検査をされ、貴重品を盗まれた。その後、自力で脱出するまで数十分間拘束された。
○ サンフランシスコ教会内を観光していた際、30代くらいの英語を話す女性に話しかけられた。その女性に対応していると、警察官と称する男から所持品の検査をするので車に乗るように言われ、女性とともにそれに従った。車内での所持品検査実施後、日本人旅行者のみ降車させられ、降車後手荷物を確認すると貴重品が盗まれていた。
○ サンタクルス市内旧バスターミナルで空港行きのバスを探していた際、中年の女性に乗り合いを誘われタクシーに乗ったところ、警察官と称する人物が同乗してきて、同乗女性と共に荷物検査をされた後、貴重品を抜き取られ空港付近で降ろされた。
○ サンタクルス市のバスターミナルにて警察官を名乗る二人組に拳銃らしきものをつきつけられ、アルコールを所持していたことを理由に、ATMで引き出し額上限まで現金を引き出すことを求められた上、現金・所持品を奪われた。
ウ 防犯対策
○ ボリビアの警察は、路上やその他屋外など警察施設外で所持品検査を実施することはなく、必ず制服を着用していることを理解しておく必要があります(偽警察官は、私服で偽造の警察手帳や身分証を提示するので注意)。
○ 警察を装った制服を着用していない人物から声を掛けられた場合は、近くにいる制服警察官を呼ぶなど助けを求めてください。その後、観光警察や在ボリビア日本国大使館、または在サンタクルス領事事務所に連絡してください。(各電話番号は「緊急時の連絡先」の項を参照)。
○ 深夜または早朝にバスターミナルには観光警察が常駐していないため、これらの時間に到着するような長距離バスの利用はできる限り避けてください。特に、ユンガス地方、ルレナバケ地方からラパス市に到着するバス、ビジャロエル地区に日没後到着するバスには乗らないようにしてください。
○ バスターミナルには、深夜、早朝以外は制服の観光警察官(緑色の制服で胸に名札を付けている)が常駐しているので、タクシーを利用する際は、どのタクシーに乗れば安全かアドバイスを求めてください。
○ 警察官と称する人物に指示された車には安易に乗らないようにしてください。警察官が警察署への同行にタクシーや自家用車等を利用することはありません。仮に乗車してしまった場合には、誘拐や殺人等の被害に発展する可能性がありますので、生命・身体の安全を第一に考え、金品の要求に対し無理に抵抗しないようにしてください。
(4)首絞め強盗
ア 犯罪手口
バスターミナルや観光地で、突然後ろから旅行者の首を絞めて気絶させ、所持品を奪う(主な発生場所は、ラパス市内の大統領府のあるムリージョ広場近辺およびセメンテリオ(墓地)周辺、土産物店が集まるサガルナガ通り、チチカカ湖畔のコパカバーナ市等で、特に人通りの少ない日曜日や夜間に発生)。
イ 日本人の犯罪被害事例
○ 日曜日の午後、ラパス市サガルナガ通り付近にあるホテルの手前約10mの地点で、何者かにいきなり背後から首を絞められ、気絶している間に現金約300米ドル、パスポート、腕時計等を盗まれた。
○ 夜8時頃、ラパス市ムリージョ広場近辺のホテルに向かって歩いていると、突然数人に囲まれ首を絞められて気絶。貴重品が入ったバックを盗まれた。
○ コパカバーナ市郊外を単独で歩行中、見知らぬ人物に声をかけられ、気を取られた隙に、背後から忍び寄った別の人物に首を絞められ気絶。現金180米ドルおよびデジタルカメラを盗まれた。
○ ホテルに入る直前、何者かにいきなり背後から首を絞められ、気絶している間に現金800米ドル、パスポートおよびカード類を盗まれた。
○ テレフェリコ(ロープウェイ)の赤色線を利用しエルアルト駅で下車した際に、男に話しかけられ前方をふさがれた。さらに後方を別の男1人にふさがれ、羽交い締めにされた後首を絞められ、所持していたリュックサックを盗まれた。
ウ 防犯対策
○ 人通りの少ない場所への立入りは避けてください。
○ 宿泊先は、なるべく人通りの多い通りに面した、防犯対策のしっかりした宿を選んでください。
○ 見知らぬ人物に親しげに声を掛けられても相手にしないようにしてください(偽警察官等による犯罪では、最初に見知らぬ人物から声をかけられることが多いので、そうした人物に声をかけられた場合は犯罪の兆候だと警戒する)。
○ 夜間・早朝の外出は避けてください。
○ 外出時は、時折後ろを振り返る等して、常に周囲に注意しながら行動してください。
○ 複数人で行動してください。
(5)待ち伏せ誘拐
ア 犯罪手口
コパカバーナ市やティワナク遺跡等の観光地およびラパス市内等で、タクシーやミニバス(ワンボックスタイプの乗用車に座席を多数配置し、十数人が乗車できるよう改造したもの)に乗った人物が、移動手段を探す客を誘い、客が乗車すると、客をそのまま誘拐・監禁してクレジットカード等を奪った上、脅迫して暗証番号を聞き出す。
イ 防犯対策
○ コパカバーナ市やティワナク遺跡等の観光地を訪れる際は、できるだけ個人旅行は避け、ツアーに参加するようにしてください。
○ 個人旅行の場合は、「待ち伏せ誘拐」の手口に利用されることが多いミニバスは避け、大型のバスで移動するようにしてください。
○ 執拗に乗車を勧誘してくるタクシーの利用は避け、宿泊先等に依頼してラジオタクシー(車両上部や車体に大きく電話番号が記載され、車内に無線を有しているタクシー)を呼んでもらい、付近に警察官がいる場合は、どのタクシーが安全かアドバイスを求めてください。
○ 単独旅行者だけでなく、グループ(家族、友人)で被害に遭っている事例もありますので、複数で行動する場合でも油断しないでください。
○ 運転手が「車が故障した。」と告げた場合は、その運転手が指示した車には乗らず、自力で他の交通手段を確保してください。
○ 乗り合いタクシーは運転手と他の客が共謀していることもあり、背後から襲われる可能性があるので、利用しないようにしてください。
(6)その他留意事項
ア ラパス市においては、空き巣被害が急増しています。比較的治安が良いと言われる南地区においても、日本人宅への侵入強盗事件が発生しています。
イ ラパス市に隣接し国際空港のあるエルアルト市は貧困層が多く居住し、昼夜を問わず犯罪が頻発しています。
ウ サンタクルス市およびその周辺地域では、偽警察官、窃盗(スリ、置き引き等)、空き巣、自動車強盗(主にタクシーを標的とし、けん銃等で武装した犯人が停車中、または走行中の車の前を突如塞いで襲う等)といった犯罪が報告されています。
エ ブラジルとの国境地域においては、麻薬や盗難車両の密輸が横行しています。
オ 2018年2月10日および13日、オルーロ県オルーロ市でのカーニバル・イベント中、ダイナマイト等を用いた複数の爆発により死傷者が出ました。今後も類似の事案が発生する可能性は否定できず、イベント開催時には引き続き注意が必要です。
カ 飲食店や不特定多数が集まるパーティー会場において、睡眠薬入り飲み物を勧められ、昏睡状態に陥ったところ金品を奪われる事案が発生しています。
キ 偽札が市中に出回っています。知らずに使用すると犯罪になります。
3 テロ・誘拐
ボリビアのテロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_262.html )をご確認ください。
※ 在留邦人向け安全の手引き
在ボリビア日本国大使館および在サンタクルス領事事務所が在留邦人向けに作成し、ホームページに掲載している「安全の手引き」(https://www.bo.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzen_no_tebiki.html )もご参照ください。
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
−−−−−−−−−−
トップページ
−−−−−−−−−−