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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 犯罪発生状況
(1)犯罪統計・日本との比較
 パナマ(人口約420万人)では、2022年に年間92,501件の犯罪が発生しました。治安のバロメーターと言われる殺人と強盗については、殺人は480件(日本853件)、強盗は2,062件(日本1,148件)であり、単純に人口一人当たりの犯罪認知件数で比較(日本人口約1億2,000万人)すると、殺人は日本の約16.2倍、強盗は日本の約54.4倍に達しています。殺人件数は、過去最多の2009年(818件)以降は減少傾向にあるものの、依然として高い数値といえます。

(2)最近の犯罪傾向
 犯罪統計によると、パナマ国内の犯罪の大半は、パナマ県内で発生しており、中でもパナマ県内のサン・ミゲリート市やパナマ市首都圏の一部スラム化した旧市街などで主に殺人や強盗といった凶悪事件が多数報告されています。それ以外にもカリブ海に面したコロン県でも同様に凶悪事件が発生しています。犯行の主体は、パンディージャス(青少年凶悪犯罪集団)と呼ばれているギャングであり、同地域では、犯罪集団同士の抗争(報復殺人)により、昼夜を問わず突然銃撃戦が発生するなど、抗争とは無関係の人々を巻き込む恐れがあるため、十分注意が必要です。

(3)治安上の不安要素
 パナマはその地理的特性から麻薬密売の中継地点と言われ、近隣諸国の麻薬組織が国内に浸透し、日本人が多数居住している地区においても、麻薬取引をめぐる組織間の抗争が発生しています。また、麻薬組織とつながりのあるパンディージャスの存在が違法銃器の国内需要を助長しており、全殺人事件の約8割で銃器が使用されています。このほか、労働組合や学生組織が社会問題等を巡り、投石や道路封鎖等の抗議活動を散発的に行っており、日本人の生活にも影響を及ぼしています。

2 日本人の犯罪被害例
 パナマでは、近隣諸国と比較すると日本人の被害は少ない傾向にありますが、ひと気のない路地等での強盗被害が複数認知されています。また、日本人旅行者の犯罪被害の主な発生地としては、日本人集住地区であるサン・フランシスコ地区やベジャ・ビスタ地区のほか、パナマ市内のアルブルック・バスターミナル(長距離バス等の発着駅)と観光名所の旧市街(カスコ・アンティグオ)の間に所在する特別注意エリア(下記3参照)が挙げられます。ここでの犯罪の多くは、コスタリカから長距離バスでパナマに入国した日本人旅行者が、アルブルック・バスターミナルから流しのタクシーに乗り、特別注意エリア内の安宿を安易に利用しているために発生しています。これまでに発生した日本人の具体的な被害例は以下のとおりです。

(1)凶器を使用した強盗
ア パナマ市のアルブルック・バスターミナルからバスに乗車し、人通りの少ないところで下車したところ、一緒に下車した男に刃物で脅され鞄を強奪された。
イ パナマ市のアルブルック・バスターミナルから1人で流しのタクシーに乗車したところ、目的地とは異なる場所に連れて行かれ、運転手に刃物で脅されたうえ、所持品を全て強奪された。
ウ 午後10時過ぎ、パナマ市のレストランに侵入してきた5人組にけん銃で脅され、店の売上金や客約20人(日本人を含む)の所持金を強奪された。
エ パナマ市カリドニア地区を1人で歩行中、後方から近づいてきた男に肩にかけていた鞄の紐を刃物で切られ、鞄を強奪された。
オ 夜間にコロン市中心街のレストラン前で、テイクアウトの注文のため待機中、少年4人に取り囲まれ、けん銃を突きつけられ、顔面を殴打されたうえ、貴重品を強奪された。
カ 夜間にパナマ市マルベージャ地区(日本人学校付近)を徒歩で携帯電話を見ながら帰宅中、けん銃を持った男と刃物を持った男に挟まれ、携帯電話を強奪された。

(2)強盗致傷
ア パナマ市サン・フランシスコ地区(日本人集住地域)の大通りを夜間に一人で歩行中、前方から来た2人組に呼び止められ、鞄を奪い取られそうになり抵抗したところ、殴打された。
イ パナマ市カリドニア地区(特別注意エリア)の路地裏を1人で歩行中、少年6人組に取り囲まれ、殴打されたうえ、リュックを強奪された。(腕、足首等を負傷)
ウ パナマ市エル・チョリージョ地区(特別注意エリア)を1人で歩行中、少年8人組に取り囲まれ、貴重品を強奪された。(顔に全治2週間の怪我)
エ パナマ市トクメン地区を1人で歩行中、人通りの少ない公園で4人組に取り囲まれ、顔面を殴打された後、鞄を強奪された。(鼻を骨折し全治3週間の怪我)
オ 夜間にコロン市を1人で歩行中、少年6人組に取り囲まれた後、羽交い締めにされ臀部を刃物で刺されたうえ、財布を強奪された。

(3)殺人事件
 早朝、パナマ市エル・ドラド地区のショッピングモールに車で訪れ、ATMで現金を引き出した後、犯人に脅され車ごと奪われたうえ、銃で背中を撃たれた。

(4)すり、置き引き事件
ア パナマ市サンタ・アナ地区(特別注意エリア)を2人で歩行中、正面から歩いてきた男性と肩が接触、直後ズボンの前ポケットに入れていたスマートフォンが無くなっていた。
イ パナマ市サンタ・アナ地区(特別注意エリア)地下鉄5 de mayo駅付近で、沿道に腰を掛けた日本人男性が、無造作にスマートフォンを沿道脇に置いていたところ、目を離した瞬間に何者かによってスマートフォンを窃取された。

3 特別注意エリア
 一般犯罪の大半は、パナマ県内に集中しており、中でも特に注意を要する地域は、パナマ市の旧市街周辺(エル・チョリージョ地区、サンタ・アナ地区、カリドニア地区、クルンドゥ地区)とパナマ市に隣接するサン・ミゲリート市およびコロン県の全域です。これらの地域では、殺人事件等の凶悪事件が頻発していますので、昼夜を問わず単独行動を避けてください。
特別注意エリアの詳細は、以下をご覧ください。
https://www.panama.emb-japan.go.jp/files/100223077.pdf

4 防犯対策
 犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動をとることが重要です。
 犯罪被害に遭わないための予防策が大切であり、次の点に留意して犯罪被害に遭わないように注意してください。
(1)危険地域へ近づかない
 犯罪が発生する可能性がある場所に「近づかない」ことが非常に重要です。特別注意エリアにおいては、スラム街や犯罪多発地域が存在し、昼夜問わず、これらの場所には近づかないことが犯罪被害に遭わないための最も有効な対策です。

(2)夜間の外出、単独行動を避ける。
 夜間、一人歩き中に犯罪に遭遇するケースが非常に多く、やむを得ず外出する場合は、単独での移動は避け、必ず車で移動するようにしてください。昼間であっても常に周囲に目を配り、複数での行動をお勧めします。単独、女性だけのグループの場合、人通りの少ない場所への立ち入りを避けてください。

(3)事案別対策
ア 窃盗事件
(ア)すり、ひったくり
・一度に全ての物を盗まれないように貴重品は、分散して所持してください。
・貴重品は、衣類やバッグの外ポケットには入れないでください。
・道を歩くときは車道側を避け、荷物は車道側と反対の手で所持してください。
・歩きながらスマートフォン操作をしないでください。犯罪者の絶好のターゲットとなります。
(イ)置き引き
・常に持ち物から目を離さないでください。(ショッピングモール内で釣り銭をばらまいて注意をそらし、鞄を奪うケースあり)
・持ち物はいつも手から離さないでください。離した場合でも体に触れるような形で置いてください。
・レストラン等で食事中でも置き引きされないように荷物の置き方を工夫してください。
(ウ)車上狙い
・路上駐車をしないでください。
・外から見える場所に鞄等を放置しないでください。
・可能な限り、警報器等を設置し予防に努めてください。
イ 強盗事件
(ア)凶器を使った強盗
・ATMで現金を引き出す場合は、周囲を十分警戒してください。人通りの少ない場所にあるATMは利用しないでください。
・不幸にも銃器や刃物を突きつけられた場合は、両手を上げ抵抗する意思のないことを示し、金品を要求されたときは、抵抗せずに従ってください。
・相手を刺激したり、誤解を招くような行動はとらないでください。(例えば、財布を出そうと内ポケットに手を入れようとする等)

(4)各交通機関利用時
ア タクシー
 流しのタクシーでは、強盗や強姦事件、高額な料金を請求されるなどのトラブルが絶えないので絶対に利用しないでください。タクシーを利用する場合は、料金が予め設定されており、比較的安全とされている配車アプリ(Uber等)を利用するようにしてください。
イ 鉄道、地下鉄、バス
 治安の悪い地域も通行しているため、スリやひったくりなどに十分注意してください。車内でドアのそばに立っていると、ドアが閉まる瞬間に鞄等をひったくられる可能性がありますので注意してください。

(5)スポット別
ア レストラン
 銃器を使用して金品を強奪するレストラン強盗が発生することがあるので、警備員が配置され、周辺に人通りがあり、かつ外部から見通しが良いレストランを利用するよう心掛けてください。最近では、レストラン内で銃撃戦が勃発し、抗争に無関係の子供が流れ弾に当たり亡くなるという事件も発生しています。
イ ホテル
 パナマの旧市街(カスコアンティグオ)は、観光名所となっており観光客も多く比較的安全ですが、一ブロック奥に進むと凶悪犯罪が頻発しているスラム地域が存在しています。防犯上の観点からも、料金は多少高くても新市街にあるホテルを選ぶことをお勧めします。
ウ 繁華街
 新市街にあるウルグアイ通り、アルゼンチン通り(繁華街)周辺は、深夜に素行不良者が立ち回り、けん銃発砲事案等が発生する場所であるため、夜間外出時の単独行動は避けるなど、特に注意が必要です。

5 テロ・誘拐
 パナマのテロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_256.html )をご確認ください。
※在留邦人向け安全の手引き
 在パナマ日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.panama.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000247.html )もご参照ください。


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