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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 犯罪発生状況
 トリニダード・トバゴにおいては、ぜい弱な沿岸警備体制から薬物・銃器等の密輸が増加しており、それらを背景とした犯罪集団同士の抗争事件が発生しています。また、家庭内暴力や、些細なトラブルによる殺人事件等も発生しており、総じて治安状況が良いといえません。
 2022年には605件の殺人事件が発生(10万人あたりの殺人発生件数は39件、日本の58倍)しており、これは、人口約153万人の国としては非常に高い数値となっています。また、2016年2月には日本人が被害者となった殺人事件も発生しており、アジア系住民を狙った殺人、強盗等の凶悪事件も発生しています。国内のどの地域においても銃器の使用による凶悪犯罪が発生していることから、いつ、どこにいても周囲を警戒する必要があります。
 窃盗、強盗等は、2022年には年間5,820件報告されており、日本と比較して高い割合で発生しています。銃器を使用した侵入・路上強盗、自動車強盗および誘拐などの凶悪犯罪は比較的平穏とされてきた高級住宅地においても発生するなど、全国各地で発生しています。
 トリニダード・トバゴは地理的に、南米から北米、欧州への薬物密輸の中継地点の一つと考えられており、2018年には高級住宅街のアパートの一室をアジトとして使用していた組織が警察に摘発されました。また、銃器も容易に密輸されており、殺人や強盗では高い割合で銃器が使用されていることから、巻き込まれる危険性を十分認識する必要があります。
 これまでトリニダード島と比べて治安が良いとされてきたトバゴ島でも、近年殺人事件をはじめとする凶悪犯罪が増加傾向にあり、滞在にあたっては十分な注意が必要です。

2 日本人の被害例
 日本人が被害に遭うことが多い犯罪は、路上強盗やひったくり、人混みでの恐喝やスリなどで、その多くは外国人観光客が増える2月から3月のカーニバルシーズンに発生しています。最近の日本人の被害例には次のようなものがあります。
○2016年2月、カーニバル最終日の翌日に短期滞在中の日本人女性が遺体で発見された。
○深夜、3人の日本人女性が徒歩で宿泊先に帰る途中、現地人男性約10人に取り囲まれて所持品を強奪された。
○白昼、携帯電話を手に持ち音楽を聴きながら道路を歩いていたところ、対向して歩いてきた若者グループに携帯電話をひったくられた。
○朝の交通渋滞中、男が近づいて何かを尋ねようと車の窓をノックしたので助手席の窓を開けたところ、車内のバッグを盗まれた。
○カーニバル見物から宿泊先のゲストハウスに戻ったところ、部屋に残していた所持品のほとんどが盗まれていた。
○日中、路上駐車中のレンタカーに戻ろうとした際、二人組の男から車のキーを渡すように言われたが、従わないでいたところ、パスポートの入ったバッグをひったくられた。近くにいた知人と追いかけようとしたが、けん銃を向けられたので、追跡を断念した。

3 犯罪発生危険地域
(1)最近の犯罪傾向から、凶悪犯罪の約8割で銃器が使用されており、国内のどの地域・地区においても、昼夜を問わず注意が必要です。ポート・オブ・スペインのダウンタウン地区(中心街)では、薬物の密売が横行しているばかりか、日中においても発砲事件や強盗が発生していることから、立ち入らないようにしてください。
 
(2)特に危険な地域として、ポート・オブ・スペイン市ダウンタウン地区東端にあるドライリバーを隔てて東側に広がるイースト・ドライリバー、ラベンティル、モーバー、ベルモント、ビーサムおよびシーロッツの各地区が挙げられます。同地域は大小の犯罪集団組織が支配する危険地域であり、組織間の抗争事件、殺人、強盗および発砲事件などが発生しています。現地の人でさえ立ち入りを避ける場所ですので、絶対に近づかないでください。

(3)近年ではトリニダード・トバゴ全域において、殺人事件をはじめとする凶悪犯罪が多数発生しており、外国人に対する強盗も頻発しています。また、警備員が常駐する集合住宅やスーパーの駐車場などでも空き巣や車上狙い、自動車盗などの犯罪が頻発しています。

(4)トバゴ島においても近年は凶悪犯罪の発生が目立ってきています。特に侵入窃盗(ホテルの客室荒らし)、ビーチで外国人観光客を狙った強盗の被害が増えていますので、十分注意する必要があります。警察の発表によれば、トリニダード島で事件を起こす犯罪者は、トバゴ島を隠れ家としている者が多数おり、トバゴ島でも強盗等の犯罪を行っているとして、注意喚起されています。

4 防犯対策
 犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動をとることが重要です。以下に留意しつつ、必要な防犯対策を講じてください。

(1)外出時の注意
 夜間の外出は極力避け、やむを得ず外出する際には、単独での行動は避け、必ず車で移動するようにしてください(乗車後、エンジンを掛ける前に確実にドアロックをする)。
 昼間であっても常に周囲に目を配るとともに、複数人での行動をおすすめします。単独や女性だけのグループの場合は、車を利用する場合であっても、人通りの少ない場所への立入りを避けてください。信頼できる現地の人達と行動を共にすることも一案です。
 また、大型施設の駐車場での強盗事件も多く発生しているので、施設入り口や警備員のいる場所、監視カメラに写る場所を選んで駐車し、車の乗降時には特に周辺を警戒する等、細心の注意が必要です。外出や帰宅の際にも車の乗降時には、付近に不審者がいないかを確認した上で車から乗降するよう注意してください。

(2)宿泊施設での注意
 ホテルに宿泊する場合にも、部屋の出入りの際は、周辺に不審者がいないか確認するとともに、在室中でも必ず施錠の上、補助錠(チェーン錠)を掛け、訪問者を確認するまではドアを開けないことが大切です。観光客の増えるカーニバルの期間中はホテルなどの宿泊料が通常より高額になりますが、盗難などの被害を避けるためにも、宿泊料よりも警備上の対策がとられている宿泊先を重視して選択してください。

(3)現金や貴重品の携行
 外国人犯罪被害のほとんどが、現金や貴重品(スマートフォン等)の強盗や盗難被害です。外出時にはなるべく貴重品を持ち歩かず、また、車内の助手席等に荷物等を置かないなど、貴重品を人に見せない意識が必要です。
 特に、装飾品や高価な腕時計などは、身に着けず、カメラ等も目立たない持ち方をするようにしてください。また、店での支払いなどで財布を出したり、ATMで現金を引き出したりする際には、周囲に不審者がいないか十分注意してください。衣類のポケットに直接現金を入れて財布を取り出さない等、被害を最小限におさえる工夫も必要です。
 窃盗や強盗事件の約8割でスマートフォンが狙われています。歩きながらのスマートフォンの操作は、犯罪者に狙われる危険性が高くなりますので、やめてください。

(4)強盗に遭遇した場合
 強盗は、銃器や刃物などの凶器を用いて犯行に及ぶので、万一、強盗に遭遇した場合は、抵抗はせず、身体の安全を第一に考え、落ち着いて対応してください。慌ててポケットや鞄に手を入れると武器を取り出すと誤解され、生命に関わる事態に発展する危険があります。

(5)その他の注意(詐欺、スキミング等)
 詐欺、カードスキミングなどの犯罪も発生しています。SNS等を利用して商品を購入し、商品の受け取りのために指定された場所で強盗に遭うなどの事件も頻繁に発生しています。常に周囲を警戒し、何か違和感または不安を覚えた時は、落ち着いてその状況を判断し、相手の申し出を断る、その場から離れる等といった冷静な対処で被害を未然に防ぐようにしてください。

5 テロ・誘拐
 テロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_253.html )をご覧ください。

6 安全の手引き
 在トリニダード・トバゴ日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.tt.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_03127.html )を参照してください。


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