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● 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
かつてアルゼンチンは、他の中南米諸国と比べ、教育・生活水準が高く、治安の良い国と言われていましたが、近年の経済・財政的苦境によって、貧困層および極貧層が増加しており、人口が集中する首都ブエノスアイレス市および同市の南から西にかけて隣接するブエノスアイレス州内の都市を中心に、強盗、窃盗等の犯罪が日常的に発生しています。
また、アルゼンチンでは銃器類が大量に出回っているため、銃器を使用した強盗や殺人、誘拐などの凶悪犯罪も日常的に発生しており、十分な注意が必要です。
一例として、アルゼンチン治安省統計に基づく2022年のブエノスアイレス市での犯罪発生率を東京都と比較すると、殺人は約4倍、傷害は約8倍、窃盗は約5倍、強盗は約1,300倍に達します(人口10万人当たりの発生件数の比較)。
(1)一般犯罪の傾向
報道等によると、多発している一般犯罪の形態は以下のとおりです。なお、これらの事件には未成年者や麻薬中毒者が関わることも多く、ほとんどの場合、犯人は拳銃等の武器を所持しています。
ア スリ・置き引き
イ ひったくり
ウ 「ケチャップ」強盗(相手に気付かれないように汚臭のする液体をかけ、手助けを装って所持品を盗み取る手口)
エ 「モトチョロス」と呼ばれるバイクを使用したひったくり強盗
オ 路上強盗(銀行から現金を引き出した直後の人物に対する強盗)
カ 「ピラニア」強盗(路上強盗の一種で、集団で襲い金品を強奪する手口)
キ 家主の外出時や帰宅時の隙を突いて行う待ち伏せ強盗
ク 武装した複数犯による侵入強盗
ケ 車両強盗(武装した犯人が走行中の車両を強引に停止させて行う強盗)
コ 車両窃盗
サ 誘拐(短時間誘拐)
シ バーチャル誘拐(誘拐を装い自宅に電話をかけ、身代金を騙し取る手口)
ス 強姦(夜間、早朝の時間帯)
セ マリファナ、コカイン等の大量密輸および不法所持
(2)銃器等を使用した犯罪
ア 銃器事情
アルゼンチンでは、定められた手続きを経れば、銃の保有は合法です。アルゼンチン国内で正規に登録されている銃(治安機関除く)は約200万丁で、これ以外にも違法な銃が約200万丁流通していると見られており、銃を使用した犯罪が日常的に発生しています。
イ 銃器を使用した手口
銃器を使用した強盗の手口としては、自宅玄関からの出入りや車庫での車の出し入れ時を狙った待ち伏せ強盗が多くあるので、周囲に注意を払うことが肝要です。また、信号待ちで停止中の車のみならず走行中の車に対しても、沿道や歩道橋等から石等を投げ落として停止させ、搭乗者を銃で脅して金品を奪う強盗が発生しています。
ウ 犯罪に遭遇した場合の対処
夜間より昼間の方が安全とは言えますが、昼間でも強盗事件は発生しており、いわゆる「安全な時間帯」というものはありません。街中を通行中に、万一銃声などが聞こえた場合には、姿勢を低くして、事態が落ち着くのを待つか、速やかにその場を離れるのが最善です。また、運悪く店内で強盗に遭遇した場合には、抵抗せず、大声を上げず、落ち着いて犯人の指示に従うことが、身体に危害を加えられないために重要です。
(3)ブエノスアイレス市の犯罪被害多発区域の例
犯罪が比較的多発している地域における各種犯罪等の主な特徴は、以下のとおりです。
ア ボカ地区(BOCA)
タンゴ発祥の地といわれる有名観光地ですが、低所得者層の居住地区でもあり、大通り以外は日中でも注意が必要です。近くに大きなサッカー場があり、特に、サッカーの試合日には犯罪が多発する傾向にあります。また、トラブル防止のため、対戦相手チームのユニフォームや同系統の配色の衣服等は着用しない方が無難です。
イ フロリダ通り(FLORIDA)
観光客等で非常に賑わう歩行者通りです。スリやひったくり等の犯罪がよく起きていますので、リュック等の荷物は身体の前に抱える等、十分注意が必要です。同通りで多く見られる路上でのヤミ両替については、以下2(4)イを参照ください。
ウ サンテルモ地区(SAN TELMO)
首都で最も古い地区の1つです。週末にはドレーゴ広場においてフェリア(のみの市)が開催され、観光客を含む大勢の人で賑わいますが、スリ、ひったくり等の犯罪も多く報告されていますので注意が必要です。
エ モンセラート地区(MONSERRAT)およびサンニコラス地区(SAN NICOLAS)
市内金融街で銀行が多数あり、強盗やひったくり等の犯罪が発生しています。
オ レティーロ駅周辺およびサンマルティン広場
すぐ近くに巨大なビジャ(スラム街)が存在しており、犯罪グループによるひったくりや置き引きが多発し、日本人を含め被害が恒常的に多い地域です。過去には外国人観光客の殺人事件も発生しています。特に駅前のバスターミナルでは、窃盗団による組織的な置き引きやスリ、ケチャップ強盗が日常的に発生しています。
カ 首都の三大ターミナル(CONSTITUCION駅、RETIRO駅およびONCE DE SEPTIEMBRE駅)
駅構内の犯罪が主ですが、周辺でも強盗事件が発生しています。また、過去には電車運行の遅延により乗客が暴徒化し、破壊行為が発生したことがあります。
キ レコレータ地区(RECOLETA)
エビータの墓があるレコレータ墓地の周辺は、昼夜の別なく多くの観光客で賑わっていますが、ひったくりやスリ等の犯罪が発生していますので注意が必要です。
ク リーベルプレート(RIVER PLATE)サッカー場周辺
試合の日に犯罪や騒動が発生することがあるため、観戦に訪れる場合は極力、貴重品等を持ち込まないようにしてください。また、トラブル予防のため、対戦相手チームのユニフォームや同系統の配色の衣服等は着用しない方が無難です。
2 防犯対策
犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動をとることが重要です。以下に留意しつつ、必要な防犯対策を講じてください。
(1) 全般
ア (警察官等の制服着用者を含め、)安易に他人を信用しない。
イ 外出時は、隙をつくらず、常に周囲を警戒する。
ウ 華美な服装や人前で大金を見せる等、犯罪者のターゲットになるような行動は避ける。
エ カードで支払いをする場合、サイン前に金額をしっかりと確認する。
オ 両替等でお金を受け取る際は、確実にその場で金額を確認する。
カ 犯罪に巻き込まれた場合、身体の安全を最優先として落ち着いて行動し、犯人に対しては抵抗しない。
(2)車両運行時の注意事項
ア 深夜や早朝の運転を避ける。
イ ルートの選定に注意し、なるべく交通量が多く明るい道を使用する。
ウ 帰宅時は特に注意し、ガレージの扉の開閉時に隙が生じないよう注意する。
エ 初めて訪れる場所は、できれば明るいうちに一度経路を確認しておく。
オ 突然路上で車が停まってしまうことがないよう、小まめに整備を行う。
(3)公共交通機関利用時の注意事項
ア タクシー
(ア)タクシーを利用する際は、車体が老朽化している車両や身なりの悪いドライバーが運転するタクシーの利用は避けてください。「無線タクシー」(ラジオタクシー、「RADIO TAXIの看板やフロントガラスに(IRA)と表示されている」)の利用をおすすめします。なお、コロナ禍以降、換気のためタクシーの窓が開放されており、モトチョロス(バイクに乗車した強盗)が通りすがりに、窓越しに車内に手を突っ込んできて携帯をひったくる事案もよく発生していますので、注意してください。
(イ)料金とは別にチップを請求されることがありますが、アルゼンチンではタクシー運転手にチップを払う習慣はありません。また、精算時に偽札にすり替えられる被害も発生しているため、支払いや現金を受け取る際は、慌てずに必ず相手の目の前で金額を確認するようにしましょう。
イ レミース
タクシーに代わる安全な交通手段として、レミースと呼ばれるハイヤーがあります。運転手の身なりもきちんとしており、料金はタクシーより高いものの、安心して利用することができます。ただし、一般の車両と区別がつかないため、予約の際には必ず車種、色、車番および運転手名を確認するようにしてください。
ウ バス
(ア)一般に「コレクティーボ」と呼ばれ、ブエノスアイレス市内では24時間運行されていて、慣れれば便利な交通手段です。しかし、混雑時期は車内でのスリ、下車直前のひったくり等が多く発生しています。いずれも犯人は複数であることが多く、手荒な行動をとる場合もあります。また、コロナ禍以降、換気のためバスの窓が開放されており、窓越しに携帯をひったくられる被害も発生しています。
(イ)バスの運転自体も乱暴で、バス停に接近すると停車前からドアを開け、完全に客が乗り込んでいなくても、ドアを開けたままで発進することも珍しくありません。走行中は、空いている車線に頻繁に車線変更するので、自家用車でバスの脇を併走する場合は注意が必要です。
エ 地下鉄
(ア)ブエノスアイレス市内には、多数の地下鉄の路線があり、運賃が安く便利です。しかし、混雑時には車内およびホーム等でスリやひったくり等が発生していますので、利用の際は、リュックや手荷物、携帯電話等の携行品に注意し、周囲にも気を配ることをおすすめします。
(イ)特に最近では、電車のドアが閉まる瞬間に携帯電話をひったくる手口も増えており、乗降口付近では携帯電話を使用しない等の対策が必要です。また、コロナ禍以降、換気のため電車の窓が開放されていることが多く、窓越しに携帯電話をひったくられる被害も発生しています。
(ウ)車内では物売りをしている光景も見受けられますが、売り子が乗客の膝上等に無理矢理置く商品は、彼等が回収に来ますので、そのままにしておくか、商品を置かれる前に明確に断ることでトラブルを避けることができます。
(4)犯罪手口に応じた注意事項
ア 置き引きおよびスリ
空港、ホテルロビー、レストラン、バス、地下鉄等において、ちょっとした隙を狙われ、バッグ等を置き引きされたり、金品をすられたりしています。窃盗団は、時間や電車・バスの行先を尋ねる等話しかけて注意を引き付ける役と、スリや置き引きを行う実行犯等に役割分担し、組織的に犯行に及んでいます。常に適度な緊張感を保つとともに、混雑した場所等においては特に油断しない等の注意が必要です。
イ 両替詐欺
両替所にてアルゼンチン通貨に換金する際に、高額紙幣を低額紙幣にすり替えられる被害が発生しています。また、市内のいわゆるヤミ両替屋を利用した際に、偽札に替えられた等の被害報告もあるので、ヤミ両替は利用せず、銀行等を利用し、現金を受け取る際には、慌てずに相手の目の前で金額を確認する等の注意が必要です。
ウ ひったくり
(ア)グループによる犯行が多く、被害者に狙いをつけて組織的に犯行に及んでいると思われます。華美な服装や人前で大金を見せる等の行動は慎んでください。特に、モトチョロスと呼ばれるバイクを使ったひったくりが多いため、歩道を歩く場合は車やバイクの動きを確認しやすいよう、これらと対面する方向に歩くよう努めてください。万一、低速で接近する不審なバイク(二人乗りのことが多い)を発見した場合は、速やかに人込みに紛れるか商店の中に入り、危険を避けることをおすすめします。銀行周辺においては現金を引き出した人が狙われるケースも後を絶たないため、周囲の状況を確認するなど十分な注意が必要です。
(イ)路上において、携帯電話で写真撮影など操作している最中、背後から急に近付いてきた犯人に携帯電話をひったくられる被害が多発しています。現地人が外で携帯電話を使用しているからといって、安心することなく周囲に注意を払うことが必要です。また、物売りが車に投げ入れた商品を回収する際に、複数人でひったくりに及ぶ事例も発生しており、注意が必要です。
エ ケチャップ強盗
市内の観光スポット、公園等で多発しています。数人のグループによる犯行が多く、手口は、ケチャップ、廃油、塗料等の液状物質を被害者の衣服につけた後、汚れていることを指摘すると同時に拭き取るのを手伝う素振りをして近づき、被害者が足を止めて汚れを拭き取る間に財布や地面に置いたバッグ等を奪って、逃げ去るケースが多いようです。ケチャップ等を掛けられた場合、親切そうな人が近寄ってきても相手にせず、速やかにその場を立ち去ることをおすすめします。
(5)場所に応じた注意事項
ア レストラン、インターネット・カフェ等
椅子に掛けたりテーブルの下に置いたりしたバッグ等が盗まれる置き引き被害が多発しています。携行している荷物への注意を怠らないよう、置く場合は常に目の届くところに置いてください。また、念のために貴重品類は常に身につけておいてください。
イ 観光地区
観光スポットから一本裏道に入ると、途端に人通りや街頭の監視カメラが少なくなり、犯罪被害に遭い易くなります。くれぐれも道に迷って、裏通りなどには入らないよう注意してください。また、タンゴ・ショーは深夜まで行われることが多く、終了後の移動には十分な注意が必要です。
ウ バー
(ア)ブエノスアイレスでは、店舗の正面に料金表を提示することが、飲食店に義務付けられています。バーに入る時は、料金表を見て金額を確認することが必要です。料金表が見当たらない場合は、不正な高額料金を請求される可能性もあります。
(イ)若年層が集まる繁華街のクラブ等では、違法薬物が流通しているとされており、興味本位で手を出すと薬物不法所持等の罪で、警察に逮捕・拘禁される恐れもあります。
3 テロ・誘拐
アルゼンチンにおけるテロ・誘拐については、「テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_241.html )」をご確認ください。
※在留邦人向け安全の手引き
在アルゼンチン日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.ar.emb-japan.go.jp/files/100158215.pdf )もご参照ください。
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
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