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● 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
(1)米国連邦捜査局(FBI)の犯罪統計によると、2023年中、米国における凶悪犯罪(殺人、強制性交、強盗、加重暴行)の発生は1,218,467件、財産犯罪(侵入窃盗、窃盗、自動車盗)の発生は推計6,419,149件となっています。
(注)本統計は全米の連邦・州・地方、大学など各管轄における法執行機関のうち16,009組織が提出したデータに基づくものです。
(注)ここでいう「加重暴行(Aggravated Assault)」とは、他者に深刻かつ重度な身体的傷害を負わせることを目的とした不法な攻撃(通常、武器使用または死亡や重度の身体的傷害をもたらすその他手段が伴うもの)を指します。
(2)米国の犯罪発生数の推移を人口10万人当たりの数値でみると、凶悪犯罪は2020年が386.3件、2021年が360.9件、2022年が377.1件、2023年が363.8件、財産犯罪は、2020年が1966.9件、2021年が1,792.8件、2022年が1,973.8件、2023年が1,916.7件であり、両犯罪ともに減少傾向にあります。ただし、例えば2023年の殺人事件発生総数は日本が912件であるのに対し米国は19,252件、強盗事件は日本が1,361件であるのに対し米国は222,795件であり、日米の人口差を考慮しても米国における犯罪発生率は日本よりも格段に高いことが分かります。また、米国ではこのような凶悪犯罪に銃器が用いられることが多い点にも留意する必要があります。
(注)米国(FBI統計)と日本(警察庁統計)では罪種の類型や犯罪件数の計上基準等が同一でないため、あくまでも参考値です。
◎米国連邦捜査局(FBI):2023年犯罪統計(英語)
https://cde.ucr.cjis.gov/LATEST/webapp/#/pages/home
2 防犯対策
(1)米国での日々の生活において、差し迫る危険を感じることは必ずしも多くないかもしれません。一方で、上記のとおり米国と日本では治安情勢が大きく異なることをよく認識し、どのような地域でどういった犯罪被害に遭うリスクが高いのか、各地における犯罪の傾向と対策を把握することは防犯対策上とても重要です。特に、自宅(一時滞在地)や学校、勤務先等、ご自身の生活圏内における治安情勢をよく確認しましょう(例えば、一つの都市の中にも、比較的安全とされる地区もあれば、犯罪発生率が高く特段の事情がない限り立ち寄るべきではない地区もあります)。
(2)米国各地に所在する日本国大使館や総領事館等では、在留邦人や短期渡航者の皆様が犯罪被害に遭わないよう安全対策情報を発信していますので、米国の治安当局が発信する情報と併せ、安全対策の一助としてください。
●在アメリカ合衆国大使館
(ワシントンD.C.、メリーランド州、バージニア州)
https://www.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzen.html
●在アトランタ総領事館
(ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ジョージア州、アラバマ州)
https://www.atlanta.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/bohan.html
●在サンフランシスコ総領事館
(ネバダ州、カリフォルニア州の在ロサンゼルス総領事館管轄地域以外)
https://www.sf.us.emb-japan.go.jp/pdf/anzen_no_tebiki.pdf
●在シアトル総領事館
(ワシントン州、モンタナ州、アイダホ州のアイダホ郡以北)
https://www.seattle.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzen_tebiki_se.html
●在ポートランド領事事務所
(オレゴン州、アイダホ州の在シアトル総領事館管轄地域以外)
https://www.portland.us.emb-japan.go.jp/files/100199524.pdf
●在アンカレジ領事事務所
(アラスカ州)
https://www.anchorage.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/j_tebiki.html
●在シカゴ総領事館
(インディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州、ミネソタ州、アイオワ州、ミズーリ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ネブラスカ州、カンザス州)
https://www.chicago.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/con_main_j_00001.html
●在デトロイト総領事館
(ミシガン州、オハイオ州)
https://www.detroit.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/safety.html
●在デンバー総領事館
(ワイオミング州、コロラド州、ユタ州、ニューメキシコ州)
https://www.denver.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/safety.html
●在ナッシュビル総領事館
(ケンタッキー州、テネシー州、ミシシッピ州、アーカンソー州、ルイジアナ州)
https://www.nashville.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzenjoho.html
●在ニューヨーク総領事館
(コネティカット州フェアフィールド郡、ニューヨーク州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州、デラウェア州、ウエストバージニア州、プエルトリコ、バージン諸島)
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/j/index.html
●在ヒューストン総領事館
(テキサス州、オクラホマ州)
https://www.houston.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00084.html
●在ボストン総領事館
(メイン州、ニューハンプシャー州、バーモント州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネティカット州の在ニューヨーク総領事館管轄地域以外)
https://www.boston.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzen-info.html
●在マイアミ総領事館
(フロリダ州)
https://www.miami.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/anzen_iryo_info.html
●在ロサンゼルス総領事館
(アリゾナ州、カリフォルニア州ロサンゼルス、オレンジ、サンディエゴ、インペリアル、リバーサイド、サン・バーナディノ、ヴェンチュラ、サンタ・バーバラおよびサン・ルイ・オビスポ各郡)
https://www.la.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consular_safety.html
3 銃乱射事件(アクティブ・シューター)
(1)米国における治安上の主な懸念の一つとして銃犯罪が挙げられますが、その中でも、一度に多くの死傷者をもたらすリスクが高い銃乱射事件が近年増加傾向にあることへの懸念が高まっています。FBIは、人が多く集まる場所において一人またはそれ以上の者が銃器を用いて人々を殺害する、または殺害を試みる行為を「アクティブ・シューター事件(Active Shooter Incident)」と類型し、その統計を公表するとともに対策を講じています。
(2)発生件数(2019年〜2023年)
○米国では、2019年から2023年までの5年間に、計229件のアクティブ・シューター事件が発生し、計1,222人が被害に遭いました(うち死者は449人)。
○2023年(計48件)の主な事件発生州
8件 カリフォルニア州
4件 テキサス州、ワシントン
3件 ジョージア州、ペンシルバニア州
2件 アリゾナ州、フロリダ州、ネバダ州、オハイオ州、テネシー州
(以下略)
○2023年の主な事件発生状況
・発生月
4月 7件
1月 6件
(最小発生月:2月 1件)
・発生曜日
月曜日 11件
土曜日 9件
水曜日 7件
(最小発生曜日:日曜日 4件)
・発生時間
零時〜6時 5件
6時〜正午 11件
正午〜18時 15件
18時〜零時 17件
(3)対策
○アクティブ・シューター事件に遭遇した場合の対策として、米国の治安当局は、「Run, Hide, and Fight(逃げる、隠れる、戦う)」を対処方針として推奨し、具体的に取るべき行動を主に以下のとおり示しています。
<逃げる>(可能であれば、その場から避難する)
・避難経路を把握し、避難計画を持つ
・他者が賛同するか否かに関係なく逃げる
・所持品は携行しない
・可能な場合、他者を助ける
・犯人がいる可能性がある場所へ立入らない
・警察(法執行機関)が現場に臨場する場合、両手を見えるところに出す
・負傷者をむやみに動かさない
・安全な状況にあるとき「911」に通報する
<隠れる>(避難が困難な場合)
隠れる場所のポイントは以下のとおり:
・犯人から見えない場所
・移動を阻害しない場所
・犯人の立入りを妨害する場所(錠付きドア等)
・重い家具を用いてドアにバリケードを設置する
・ドアを施錠する
・携帯電話を消音モードにする
・ラジオ、テレビ等、音がする装置の電源を落とす
・キャビネットや机など大きな物の後ろに隠れる
・静寂を保つ
・避難できず隠れる場所がない場合も慌てない
・「911」に通報し、犯人の場所を伝える(話すことができない場合でも回線を繋いだままにして警察が現場の音声を聞けるようにする)
<闘う>(逃げることも隠れることもできない場合の最終手段)
・犯人に対し可能な限り攻撃的に行動する
・犯人に対し身近にある物を投げつける、また、武器として用いる
・叫ぶ
・全力を注いで行動する
○上記のほか、アクティブ・シューター事件を回避するための日頃の心がけとして、米国の治安当局は以下を推奨しています。・初めて訪問する場所では、最低2つの緊急用出口の所在を把握する。
・不審な人や行動、物などをみかけたら通報する(See something, say something.)。
・携帯電話が使用できない状況に備え、家族や親しい人の電話番号を少なくとも一つか二つ、暗記しておく。
◎米国連邦捜査局(FBI):アクティブ・シューター関連資料(統計ほか)(英語)
https://www.fbi.gov/about/partnerships/office-of-partner-engagement/active-shooter-resources
◎米国連邦政府 緊急事態対策:アクティブ・シューター対策(英語)
https://www.ready.gov/public-spaces
◎米国連邦緊急事態管理庁(FEMA):アクティブ・シューター(英語)
https://www.fema.gov/sites/default/files/2020-10/fema_scenario_1_active_shooter_TTX_answer_key-01102020.pdf
(注)アクティブ・シューター対策資料は、この他にも連邦・州・地方の多くの治安当局が作成・公表しています。
4 ヘイトクライム
(1)FBIは、人種/民族/血統(ancestry)、宗教、性的指向、障がい、ジェンダー、または性同一性についての加害者の偏見に基づく犯罪を「ヘイトクライム(Hate Crime)」と類型し、その統計を公表するとともに対策を講じています。
(2)発生件数(2023年)
○米国では、2023年、一つの偏見に基づくヘイトクライムは11,447件(被害者は13,857人)、複数の偏見に基づくヘイトクライムは415件(被害者は559人)発生しています。一つの偏見に基づくヘイトクライムのうち、52.5%は人種/民族/血統についての偏見に基づく犯罪で、22.5%は宗教、18.4%は性的指向についての偏見に基づく犯罪でした。
○主な偏見とそれに基づく犯罪件数
・人種/民族/血統についての偏見に基づく犯罪:
黒人またはアフリカ系アメリカ人に対する偏見 3,224件
白人に対する偏見 868件
ヒスパニックまたはラテン系に対する偏見 861件
アジア人に対する偏見 430件
(以下略)
・性的指向についての偏見に基づく犯罪:
男性同性愛者に対する偏見 1,131件
女性同性愛者、男性同性愛者、バイセクシュアルまたはトランスジェンダー(mix group)に対する偏見 910件
女性同性愛者に対する偏見 188件
(以下略)
・宗教についての偏見に基づく犯罪:
ユダヤ教に対する偏見 1,951件
イスラム教(ムスリム)に対する偏見 266件
シーク教に対する偏見 159件
カトリック教に対する偏見 79件
(以下略)
○主な発生場所
住宅 3,186件
車道・歩道等 2,086件
小・中学校 967件
駐車場・車庫等 619件
教会/シナゴーグ/寺院/モスク 538件
レストラン 332件
(以下略)
(3)対策
○ヘイトクライムに遭遇した場合、緊急時には、911に通報するか、地元の警察署に連絡してください。また、ヘイトクライムの被害に遭った場合やヘイトクライムを目撃した場合、FBIチップライン(1-800-225-5324)に報告することができます。
◎米国連邦捜査局(FBI):ヘイトクライム関連資料(統計ほか)(英語)
https://cde.ucr.cjis.gov/LATEST/webapp/#/pages/explorer/crime/hate-crime
5 テロ対策
テロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢については、以下の海外安全ホームページをご確認ください。
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_221.html
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
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