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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 犯罪発生状況
 英国の治安は比較的良好というイメージがありますが、2021年に警察に報告のあったイングランドおよびウェールズにおける犯罪の総数は約605万件であり、これは日本の2021年の刑法犯総数の9.8倍になります。
 また、ロンドン市内に限っても、ロンドン警視庁およびシティオブロンドン警察が公表している犯罪統計資料によれば、犯罪発生件数は、新型コロナウイルス感染症によるロックダウン等行動制限により一時期減少しましたが、各種行動制限が撤廃された後は再度増加傾向にありますので、引き続き、犯罪被害に巻き込まれないよう注意が必要です。

2 日本人の主な被害例
(1)盗難(スリ・置き引き等)
[犯罪手口の概要] 
 ア 地下鉄やバスの中で、犯人グループが、標的とした人物(主に旅行者)に対し、故意に身体に接触したり、数人で取り囲んだりして、バッグ等から財布を抜き取る。
 イ 観光名所などで、犯人グループの1人が、標的とした人物(主に旅行者)に話しかけ、最寄り駅や下車したい駅などを尋ねつつ、手にした地下鉄路線図などで視界をさえぎり注意をそらしている隙に、別の仲間がバッグ等から財布を抜き取る。
 ウ レストランやカフェ、パブ等で、友人との会話に集中したり、注文時やトイレ利用などで席を離れたりした隙に、床や椅子に置かれたバッグ等を盗み取る。
 エ ATMで現金を引き出している最中に背後から声を掛け、後ろを振り向いた隙に、ATMから出てきたカードを抜き取ったり、引き出した現金を奪ったりする。
 オ 外出中にホテルの部屋に侵入し、室内に置かれた貴重品を盗み出す。
[防犯対策]
 ア バッグ等の所持品は、空港やホテルにおける手続き、両替や買い物、食事等の際も、常に身体から離さない。
 イ 現金やパスポートなどの貴重品は、ボタンの付いた内ポケット等に分散して携行し、ズボンの後ろポケット等の盗まれやすい場所には入れない。
 ウ バッグ類は、ファスナーや口金等を必ず閉じ、身体の正面に持つ。
 エ 見知らぬ人物に話しかけられても相手にしない。対応する場合でも、荷物から注意をそらさない。外国語等で話しかけられ注意をそらされた隙に共犯者がバッグの中身を抜き取る場合もあるので、できる限り速やかにその場を離れる。
 オ 支払い時等に人前で多額の現金を見せない。また、多額の現金を持ち歩かない。(英国での支払いは、クレジットカードやデビットカードが一般的で、通常、英国居住者は少額の現金しか携行しません。日本人旅行者は多額の現金を携行していると見られているので標的にされやすい傾向にあります。)
 カ カフェやレストラン、パブ等を利用する際には、テーブルや椅子に所持品を放置した状態で席を離れない。また、背後の直近に出入口のある席はできる限り避ける。
 キ トイレや写真撮影の際等、短時間であっても荷物を放置しない。
 ク ホテルから外出する際は、貴重品をセーフティボックス等に保管する。セーフティボックスがない場合には、少なくともスーツケース等鍵の掛かる場所に収納する。
 ケ ホテルの部屋の窓やドアは必ず施錠する。

(2)路上強盗・ひったくり
[犯罪手口の概要]
 犯人が、駅の出入口など人通りの多いところから被害者の後ろをつけて行き、ひと気のない通りや夜道に入った時点で駆け寄り、またはバイクやスクーター等で走り寄り、バッグやスマートフォンなどを強引に奪っていくもの。
[防犯対策]
 ア 歩きながらのスマートフォンの操作やイヤホン等を使用しながら歩くことはしない。
 イ バッグ等を持ち歩く際は正面に抱えるか、上着やコートなどで外から見えないようにする。
 ウ 夜遅くなってからの外出は避ける。やむを得ず夜間に外出する時は、周囲を常に確認し、ひと気のない通りは利用せず、場合によっては徒歩を避けて、正規のタクシー(ブラックキャブ)を利用する。

(3)偽警官による詐欺
[犯罪手口の概要]
 偽警官の仲間である人物が、旅行者を装って写真撮影を依頼してきたり、道を尋ねてきたりして、それに応じていたら、私服警官を名乗る人物が麻薬捜査をしていると言って現れる。旅行者を装った人物が、警官の求めに応じて財布やクレジットカードの提示、暗証番号の開示をするので、被害者も同様に警官の求めに応じた結果、財布から現金を抜き取られたり、クレジットカードの情報を盗まれたりして、後刻クレジットカードを不正利用されたりするもの。
[防犯対策]
 ア 見知らぬ人物が近づいてきた場合には、極力関わらない。特に、ひと気のない場所には絶対に行かない。
 イ 警察官には個別のID番号が付与されているので、その番号を必ず確認する。
 ウ 警察官が、クレジットカードの提示を求めたり、暗証番号を聞いたりすることは決してないので、不審に感じる場合には周囲にいる人、最寄りの警察署に助けを求める。
 エ このような犯罪に巻き込まれた場合には、直ちにカードの停止措置をとるとともに、警察へ通報する。

(4)オンライン詐欺
[犯罪手口の概要]
 ア 手口の多くは、自身のメールアドレスに見知らぬ人物から突然メールが届き、莫大な遺産の相続人に選ばれたとの通知であったり、企業への投資や買収への協力の内容であったりする。また、オンラインで交際を始める結婚詐欺や難病治療のためにお金が必要といった話から罰金の支払い請求に至るまで、多種多様な手口が使われている。
 イ メールの差出人は、銀行や企業の実在の重役の名前を使い、また、メールには各国政府機関や各国大使館のレターヘッドなどを使った推薦状を添付するなど、いかにも公的機関による保証があるかのように装うものも少なくない。
[防犯対策]
 ア 心当たりのないメールを受け取った場合には、相手のペースに合わせ慌てて手付金や手数料等を振り込まずに、詐欺の可能性を疑って相手にしないことが重要。
 イ 万が一、被害に遭った場合には、直ちに送金を取り消し、カードの停止措置をとるとともに、サイバー詐欺の専門受付であるAction Fraudへ通報する。
  https://www.actionfraud.police.uk/
  https://www.actionfraud.police.uk/japanese
  (日本語でも報告ができます)

(5)性犯罪
[防犯対策]
 ア 夜遅くなってからの外出や深夜の地下鉄の利用は避ける。やむを得ず外出する場合には、複数人で出掛けるとともに、正規のタクシー(ブラックキャブ)を利用する。
 イ 見知らぬ人物や初対面の人物の誘いに用心し、ひと気のないところには付いて行かない。また、見知らぬ人から飲食物を勧められても、決して口にせず、その場を離れる。
 ウ 住宅の下見には一人で行かず、友人などと複数で行く。

3 テロ・誘拐
 2017年以降、ロンドン市内のウェストミンスター橋、ロンドン橋その他路上や公園、マンチェスターのコンサートアリーナなどといった、日本人も利用する可能性がある公共の場において、車両やナイフ等を凶器とした多数の死傷者が生じるテロ事案が複数発生しています。
 2022年は、イスラム過激派や過激思想に感化された者等によるテロ事件の発生は見られませんでしたが、英内務省による同年9月までの1年間の統計によれば、テロ容疑により前年と同様の190人の被疑者が逮捕されています。

 また、英国政府は、テロの脅威レベルの評価対象を「英国に対するテロ」と「北アイルランド関連テロ(北アイルランド内)」の2つに分類し、それぞれの脅威レベルを次の5段階で公表しています。2023年4月現在、「英国に対するテロ」の評価は(3)SUBSTANTIAL、「北アイルランド関連テロ(北アイルランド内)」の評価は(2)SEVEREとなっています。
(1)CRITICAL(危機的:テロ攻撃が近く発生する可能性が高い)
(2)SEVERE(深刻:テロ攻撃が発生する可能性が極めて高い)
(3)SUBSTANTIAL(相当:テロ攻撃が発生する可能性が高い)
(4)MODERATE(平穏:テロ攻撃は起こり得るものの、その可能性は低い)
(5)LOW(低:テロ攻撃はほとんど起こりそうもない)
※上記の括弧内の和訳は、在英国日本国大使館にて分かりやすく説明したものです

 詳細についてはテロ・誘拐情報
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_154.html )をご確認ください。

※ 在留邦人向け安全の手引き
 現地の在外公館(日本大使館・総領事館)が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.uk.emb-japan.go.jp/itpr_ja/b_000045.html )もご参照ください。


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