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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 犯罪発生状況
 最新のイタリア内務省の統計(2021年8月から2022年7月の1年間)による犯罪認知件数は約211万件であり、前年同期と比較すると約13%増加しました。この増加はコロナ関連の入国制限の撤廃による外国人観光客の受け入れ再開や国内の行動制限の解除が相乗的に影響したものと思われ、スリやひったくりといった財産犯罪が急増しています。イタリア滞在中これらの犯罪に対しての用心と予防が必要です。
 特にローマ、ミラノ、フィレンツェ、ナポリ等の観光地における日本人観光客の被害は多く、置き引きやひったくり、スリ等が発生しています。

2 被害事例と対策
 窃盗被害の際、貴重品(パスポート、現金、クレジットカード、携帯電話等)を一つにまとめていたバッグが盗まれ、被害が大きくなってしまうケースが少なからず見られます。被害に遭わないよう注意することが最も重要ですが、万が一のため、貴重品は分散して持つことを心がけてください。
 以下にこれまで発生した事例とその対策を紹介しますので、被害防止のための参考としてください。

(1)ひったくり
 オートバイや自転車に乗った者が歩行者のバッグを奪取する事案やレストランの屋外席からバッグを奪い去る事案が発生しています。
<対策>
●外出時には極力バッグなどの手荷物を持たない(携行する際は多額の現金、貴重品等を持ち歩かない、車道側の手でバッグ等を持たず、身体の前で持つなどの対策が効果的)。
●パスポートやクレジットカード等を持ち歩く場合は、首下げ式のポーチなどを利用して外から見えないようにすることも防犯対策として有効。
●実際にオートバイなどが接近してきた場合には、一旦立ち止まるなどして動きを注視し、通り過ぎるのを確認してから歩き始める。

(2)スリ・置き引き
 多くのケースでは何らかの方法で気をそらされている間に、バッグの中や衣服のポケット等から貴重品が抜き取られています。気をそらすための手口は、故意に物や小銭を落とす、アイスクリームや液体で被害者の衣服を汚す等様々です。また、観光地等でホームレス風の子供たちに囲まれ貴重品を盗まれる被害、地下鉄乗降の際などに他の乗客グループに押されている間に貴重品を抜き取られるなどの被害報告もあります。空港、ホテル、レストラン等では、携行品から短時間目を離した隙に盗難に遭うケースも少なくありません。
<対策>
●地下鉄やバスに乗車する際には貴重品に細心の注意を払い、携行品は身体の前方で保持する。
●空港、駅、ホテル、レストラン等、不特定多数の人が集まるところでは常に携行品を自分の目の届くところに置く。
●不審な人物を路上で見かけたら直ちにその場を離れる。
●取り囲まれた場合には、大声をあげてその場から直ちに離れる。
●食事の際も貴重品を放置したまま席を離れたり、椅子の背もたれや足下に放置しない。
●空港カウンターでのチェックイン、ホテルでのチェックインおよびチェックアウト等の際も、荷物への注意を怠らない。

(3)車上荒らし
 高速道路のドライブインや市内の路上等、場所を問わず駐車中の車の窓やドアが壊され、車中から物を盗まれる被害が発生しており、車そのものが盗まれる被害も発生しています。また、車を乗り降りする際に話しかけられ、注意を引きつけられている間に、助手席や後部座席の荷物が盗まれる場合もあります。
<対策>
●車を駐車する際は、なるべく路上を避け、地下や建物内などの管理された駐車場を利用する。
●車外から見える場所に荷物を放置しない。
●ドアを確実にロックする。
 
(4)ニセ警官
 警官の制服のような衣類を着た人物に検査のため財布の提示を求められ、これに応じたところ巧みに高額紙幣やクレジットカードを抜き取られるという被害が発生しています。また、クレジットカードを検査機のようなものにあてて暗証番号を入力させる場合もあります。
<対策>
●そもそも警察官がクレジットカードの提示を求めることはありませんが、このような場面に遭遇した場合には、身分証明書の提示を求めることや周囲の人や別の警官に本物の警官かを確認してもらうなどなどの対策が考えられます。
(注)主要駅等で警察官の求めに応じパスポートを提示したところ、警察官にパスポートの写真を撮られたが大丈夫かとの相談が在イタリア日本国大使館、在ミラノ日本国総領事館に多くありますが、警察によれば、写真を撮るのは職務質問にかかる時間を短縮するための措置とのことです。

(5)列車での窃盗
 列車の発車間際に故意にぶつかる、荷物を棚に持ち上げるのを手伝うなどで注意を引き付けているすきに、共犯者に貴重品の入った手荷物を盗まれる、長距離列車で持ち主が睡眠中に荷物を盗まれる、車両連結付近の荷物置場に置いたスーツケースを盗まれる(途中の停車駅で盗まれるなど)被害が発生しています。
<対策>
●荷物は手の届く範囲に置いておき、目を離さない。
●移動する際は必ず荷物も一緒に持っていく。
●列車内では極力眠らない。

(6)ぼったくりバー
 テルミニ駅等の主要駅周辺で、見知らぬ男に親しげに話しかけられ、バーに誘われて飲食した後で、店から不当に高額な料金の支払いを要求されるという被害が発生しています。
<対策>
●請求額に納得できない場合、クレジットカード等で「支払いを行う前」に、現場から警察(112番)に通報して介入を求める(※会計処理後の通報では、民事不介入の観点から、警察は被害届の作成に同意しないケースが多く認められるため、「会計処理を行う前」に通報してください)。
●クレジットカードにより不当な高額支払いを行ってしまった場合は、その後の悪用防止のためカード会社に連絡する。
●見知らぬ者から薦められたバー等には、興味本位で入店しない。

(7)睡眠薬強盗
 犯人が外国人旅行者を装い親しげに近寄り、飲み物をおごる等して信用させた後に睡眠薬入りの飲食物を勧め、被害者が眠っている間に貴重品を奪い取るという被害が発生しています。
<対策>
●路上で見知らぬ人物から声をかけられたり、話しかけられたりしたときには、安易に信用することのなく、常時警戒心を持つ。
●見知らぬ人物から差し出された飲食物は、絶対に口にしない。

(8)預金の不正引き出し
 銀行のキャッシュカードを使用して預金を引き出す際に、カード情報や暗証番号を読み取られ、不正に預金が引き出される被害が発生しています。この種の犯罪は、犯人がキャッシュディスペンサーに小型の機械を取り付けてカード情報を読み取るとともに、暗証番号を入力する際の手の動きを監視カメラ様の小型カメラ等で撮影し、暗証番号を盗み、預金を不正に引き出すというものです。
<対策>
●キャッシュディスペンサーを利用する際は、不審な機械が取り付けられていないか十分確認する。
●暗証番号を入力する時には、手元を隠して番号を読み取られないようにする。
●なるべく銀行の中に設置されているATMを利用する。

(9)ホテルにおける盗難
 ローマ市やミラノ市など大都市のホテルでは、日本人観光客が宿泊客になりすました者にセーフティーボックスから金品を窃取されるなどの被害が報告されています。ホテルは不特定多数の人間が比較的自由に出入りできることもあり、盗難被害はホテルの規模やグレードに関係なく発生しています。
<対策>
●旅行の際は、現金の携行は最小限に留めるとともに、分散して携行する。
●ホテル従業員を名乗る人物が何らかの口実で客室に現れても、安易に信用してドアを開けることなく、まずフロントに確認する。
●宿泊室内のセーフティーボックスを過信しない。フロントの貴重品預かりを利用する場合でも、ホテル従業員立会の下、貴重品を確認した上で預ける(現金を預ける場合は金額を確認したうえで従業員のサインを取ることが望ましい)。

3 都市別の日本人の犯罪被害事例
<ローマ>
 ローマでは、以下の場所で日本人の犯罪被害が多発しています。
(1)列車、地下鉄、バス等【最も多く発生しています】
 テルミニ駅、地下鉄車内・駅構内、空港、バスやトラム(路面電車)の車内、テルミニ駅とフィウミチーノ空港を結ぶレオナルド・エクスプレスの車内などでの盗難被害。

(2)観光スポット
 バチカンのサンピエトロ寺院、スペイン広場、コロッセオ、トレビの泉、バルベリーニ広場、真実の口、コルソ通り、ナヴォナ広場付近等で、スリ、睡眠薬強盗、ニセ警官による盗難等の被害。また、そのほか、アクセサリーの売り子が、日本語や英語を使い親しげに近付いて、ミサンガ(紐状のアクセサリー)を強引に手首に巻き付け、紐代と称し法外な代金を脅迫まがいに請求するケースや、売り子に呼び止められ、注意がそれているすきに貴重品を盗まれるケース、複数の売り子に取り囲まれ、代金を払うため財布を取り出したところ、財布ごと所持金を強奪されるなどの被害事例があります。
<対策>
●売り子から呼び掛けられても立ち止まらず、無視する。
●事件に巻き込まれた場合には、大声を出して周囲の人の注意を引いて助けを求める、付近を警ら中の警察官に助けを求める。
●被害にあった場合には最寄りの警察署に被害届を提出する。

(3)ローマのテルミニ駅、レプッブリカ駅、ヴェネト通り付近
 スイスやスペインからの旅行者を名乗る男性から英語で親しげに話しかけられ、誘われたピアノ・バーに同行したところ、ビールやワインを勝手に注文され、法外な料金を請求される被害が発生。

<ミラノ>
(1)中心地のドゥオーモ周辺、マルペンサ空港、ミラノ中央駅、カドルナ駅、国際見本市会場、レストラン、バール、高級ブランド店等
 スリ、置き引き、ひったくり等の被害。犯人は複数の場合が多く、例えば、1人が道を尋ねる、タバコをたかる、列車の窓をたたく等で注意をそらし、そのすきに共犯者が素早く物を盗る手口です。
 また、深夜に日本人観光客がミラノ中央駅周辺で集団による暴行を受け財布等を奪われたり、ドゥオーモ近くの路地裏でナイフを使って脅かされ荷物を盗られるなどの強盗被害が発生しています。特に、深夜のミラノ中央駅やドゥオーモ周辺の独り歩きは危険ですので避けるようにしてください。また、ドゥオーモ広場の地下鉄乗り場の周辺では、私服警官がまれに職務質問をすることがありますが、ニセ警官が出没する地域でもあり、財布の提示要求がなされても、決して渡さないでください。

(2)車上荒らし
 タイヤを故意にパンクさせられ、路上で修理中に車内に放置してある荷物を盗まれる被害事例があります。パンクさせた人物や、その仲間が親切に修理を手伝う振りをして持ち主のすきをうかがい、車内のバッグ等を持ち去るものです。
<対策>
●車両のタイヤがパンクした場合は、可能であれば、すぐに停車しないことが望ましい。
●仮にその場で修理する場合でも、最低限ドアを施錠するよう心掛ける。
 
<ナポリ・シチリア島>
 バイクや自転車によるひったくりが多いことが特徴的で、ひったくられた際に転倒し負傷するケースもあります。また、自動車で旅行中に窓ガラスを割られ荷物を盗まれる、タイヤをパンクさせられ修理している間に車内に放置した貴重品を盗まれるケースもあります。

<フィレンツェ>
 観光スポットであるヴェッキオ橋やシニョーリア広場、ドゥオーモ周辺でのスリによる被害が多く報告されています。また、アイスクリームやケチャップソース等をかけられ、拭いている間に貴重品を盗まれる事例もあります。

<その他の地域>
 上記以外の地方都市でも犯罪被害が増加しており、特に2人乗りオートバイによるひったくりは地方都市において顕著です。なお、ピサ(斜塔周辺)やアッシジ、シエナ等の観光客に人気のある都市でのスリや置き引きによる被害が多く報告されています。

4 テロ・誘拐
 テロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_153.html )をご確認ください。

※在留邦人向け安全の手引き
 現地の在外公館(日本国大使館・総領事館)が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.anzen.mofa.go.jp/manual/italy_manual.html )もご参照ください。


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