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● 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
イタリア政府は、犯罪組織(マフィア)の取締りの強化、不法移民問題の解消などを中心とした総合的な治安対策に取り組んでいます。
しかしながら、報道によると、2023年1年間の犯罪認知件数は約234万件であり、この数字はコロナ禍前より約1.7%増加し、2022年比では約3.8%増加しています。この数字は、日本の犯罪認知件数と比較すると、件数ベースで約3.3倍、人口比ベースで約7倍の数字となります。
特にローマ、ミラノ、フィレンツェ、ナポリ等の観光地、レストラン、駅周辺及び公共交通機関内などにおける日本人観光客の置き引き、ひったくり及びスリ被害が多く発生している状況です。
2 日本人の被害事例等
(1)ひったくり
歩行中にオートバイの2人組や自転車に乗った者に、追い越しざまにバッグを奪い取られる被害が発生しています。ひったくり被害は、特にナポリやシチリア等の南イタリアで多発しています。
<対策>
●外出時にはバッグなどの手荷物を持たない(携行する際は多額の現金等、貴重品を持ち歩かない、車道側の手でバッグ等を持たずに、身体の前で持つなどの対策が効果的)。
●貴重品(パスポートやクレジットカード等)を持ち歩く場合は、首下げ式のポーチなどの露出しないケースに入れておく。
●オートバイなどが接近してきた場合には、一旦立ち止まるなどして注視し、通り過ぎるのを確認してから歩き始める。
(2)スリ
浮浪者風の子供の集団が新聞紙等を広げて近寄り、気をそらせたすきにバッグや衣服のポケット等から貴重品を抜き取る手口をはじめとして、様々な形態のスリ被害が認められます。地下鉄車内においては、病院の最寄り駅を聞いて気をそらしたり、満員電車のなかで押されている間に貴重品を抜き取られるなどの被害報告もあります。また、エレベーターに乗った際に、リュックから貴重品を抜き取られるケースもあります。
<対策>
●不審な人物を路上で見かけたら直ちにその場を離れる。
●取り囲まれた場合には、大声をあげてその場から直ちに逃げる。
●地下鉄やバスに乗車する際には貴重品に細心の注意を払う。
●ひったくり対策と同様、携行品を身体の前で保持するなどの対策が効果的です。
(3)置き引き
荷物への注意が逸れるタイミングに盗まれるケースが多く、標的にされれば付きまとわれることもあります。手口としては、目の前で故意に物や小銭を落とす、アイスクリーム等を衣服につける、話しかける等して被害者の注意を引き付けているすきに被害者の荷物を盗むものが主流です。また、列車内や停車駅で荷物を盗まれる被害事例もあります(詳細は (6)列車での窃盗をご参照ください)。
<対策>
●空港、駅、ホテル、レストラン等、不特定多数の人が集まるところでは細心の注意を払う。
●常に携行品を自分の管理下に置く(バッグ等椅子の背もたれに掛けたり、隣の席に置かない)。
(4)車上荒らし
高速道路のドライブインや市内の路上等、場所を問わずに、駐車中の車の窓やドアが壊され、車中に置いていた物を盗まれたり、車ごと盗まれる場合もあります。また車を乗り降りする際に話しかけて注意を引きつけ、そのすきに助手席や後部座席の荷物を盗むケースもあります。
<対策>
●なるべく路上を避け、地下や建物内などの管理された駐車場に駐車する。
●車外から容易に見える場所に荷物を放置しない。
●一時的に降車する場合でも、ドアを確実にロックする。
(5)ニセ警官
制服を着た警官風の人物が現れ、旅行者に検査と称して財布を出させ、巧みに高額紙幣やクレジットカードを抜き取ります。また、クレジットカードを検査機のようなものにあてて暗証番号を入力させる場合もあります。
<対策>
●警官が本物かどうか疑わしい場合には、身分証明書の提示を求めたり、それが真正なものかを周囲の人や別の警官に確認を求めたりするなど、安易に信用しないよう注意してください。警察官がクレジットカードの提示を求めることはありません。
●イタリア国内では、大規模な駅などにおいて、警察官などによるパスポート検査が行われる場合があります。その場合には、パスポート以外の提示は求められませんので、ご留意ください。
(6)列車での窃盗
列車の発車間際に故意にぶつかる、荷物を棚に持ち上げるのを手伝うなどで注意を引き付けているすきに、仲間に貴重品の入った手荷物を盗ませる、長距離列車で持ち主が睡眠中に荷物を盗まれる、車両連結付近の荷物置場に置いたスーツケースを盗まれる(途中の停車駅で盗まれるなど)事例が多発しています。
<対策>
●荷物は手の届く範囲に置いておき、目を離さない。
●移動する際は必ず荷物も一緒に持っていく。
●列車内で睡眠を取らない。
●イタリア国内では、高速列車の停車駅であっても改札がない駅が多くあり、車内に不審者が比較的入り込みやすい状況です。
(7)ぼったくりバー
テルミニ駅等の主要駅周辺で、見知らぬ男に親しげに話しかけられ、バーに誘われて飲食した後で、店から不当に高額な料金の支払いを要求されるという被害が発生しています。
<対策>
●請求額に納得できない場合、クレジットカード等で「支払いを行う前」に、現場から警察(112番)に通報して介入を求める(※会計処理後の通報では、民事不介入の観点から、警察は被害届の作成に同意しないケースが多く認められるため、「会計処理を行う前」に通報してください)。
●クレジットカードにより不当な高額支払いを行った場合は、悪用防止のためカード会社に連絡する。
●見知らぬ者から薦められたバー等には、興味本位で入店しない。
(8)睡眠薬強盗
犯人が外国人旅行者を装い親しげに近寄り、飲み物をおごる等して信用させ、すきを見て睡眠薬入りの飲食物を勧め、被害者が眠っている間に貴重品を奪い取り逃走する被害事例が発生しています。被害者のほとんどが単独旅行の壮年男性です。
<対策>
●路上で見知らぬ人物から声をかけられたり、話しかけられたりしたときには、安易に信用することのないよう、常時警戒心を持つ。
●見知らぬ人物から差し出された飲食物は、絶対に口にしない。
(9)預金の不正引き出し
銀行のキャッシュカードを使用して預金を引き出す際に、カード情報や暗証番号を読み取られ、他の場所から預金を不正に引き出される被害事例があります。この種の犯罪は、何者かがキャッシュディスペンサーに小型の機械を取り付けてカード情報を読み取り、クローンカードを作成するとともに、暗証番号を入力する際に手の動きを監視カメラを模した小型カメラ等で撮影し、暗証番号を盗み、預金を不正に引き出すというものです。
<対策>
●キャッシュディスペンサーを利用する前に、不審な機械が取り付けられていないか十分確認する。
●暗証番号を入力する時には、ひと気の有無に関係なく手元を完全に隠して、番号を読み取られないようにする。
●なるべく銀行の中に設置されているキャッシュディスペンサーを利用する。
(10)ホテルにおける盗難
ローマ市やミラノ市など大都市のホテルでは、日本人観光客が盗難被害に遭うケースが散見されます。
被害例として、宿泊客になりすました者にセーフティーボックスから金品を窃取されたり、ホテルでの朝食時やチェックアウト手続き時に置き引きに遭うなどが報告されています。ホテルは不特定多数の人間が比較的自由に出入りできることもあり、盗難被害はホテルの規模やグレードに関係なく発生しています。
<対策>
●旅行の際は、現金の携行は最小限に留めるとともに、分散して携行する。
●ホテル従業員を名乗る人物が何らかの口実で客室に現れても、安易に信用してドアを開けることなく、まずフロントに確認する。
●セーフティーボックスを過信せず、外出する際は貴重品袋などに貴重品を入れて携行するか、フロントを利用する場合でも、ホテル従業員立会の下、貴重品を確認した上で預ける(現金を預ける場合は金額を確認したうえで従業員のサインを取ることが望ましい)。
●食事の際も貴重品を放置したまま席を離れたり、椅子の背もたれや足下に放置したりせず、貴重品は常に身に着けるようにする。
●チェックイン及びチェックアウトの際も、荷物への注意を怠らないようにする。
3 都市別の日本人の犯罪被害事例
<ローマ>
(1)列車、地下鉄、バス等でのスリ、置き引き
テルミニ駅および地下鉄車内・駅構内、空港等での貴重品の盗難が多発しています。地下鉄駅だけでなく、バスやトラム(路面電車)の車内およびテルミニ駅とフィウミチーノ空港を結ぶレオナルド・エクスプレスの車内などでも被害報告があります。そのほか、スペイン広場付近とテルミニ駅付近のファストフード店における置き引き被害が多く報告されています。
(2)観光スポットにおけるスリ
被害が多く報告されているのは、バチカンのサンピエトロ寺院、スペイン広場、コロッセオ、トレビの泉、バルベリーニ広場、真実の口周辺です。観光地近くの路上で、見知らぬグループに囲まれて貴重品を盗まれたケース、写真撮影に集中している間にバッグ等から貴重品を盗まれるケースがあります。
(3)ぼったくりバー
ローマのテルミニ駅、レプッブリカ駅、ヴェネト通り付近で、スイスやスペインからの旅行者を名乗る男性から英語で親しげに話しかけられ、誘われたピアノ・バーに同行したところ、ビールやワインを勝手に注文され、法外な料金を請求される被害が発生しています。
(4)睡眠薬強盗
ローマの観光スポットで旅行者風の男から勧められたビスケットやガムを食べた後に意識を失い、気が付いた時には貴重品を全て盗まれた事例や、写真撮影等で親しくなった旅行者風の男と一緒に入ったバール(イタリアの軽食喫茶)で、ビールを飲んで意識を失って所持品を盗まれるなどの被害事例があります。
(5)アクセサリー売りによる押し売り等
スペイン広場、コルソ通り、トレビの泉、コロッセオ、ナヴォナ広場付近等で発生しています。アクセサリーの売り子が、日本語で挨拶をしながら親しげに近付いて、ミサンガ(紐状のアクセサリー)を強引に手首に巻き付け、紐代と称し法外な代金を脅迫まがいに請求するケースや、売り子に呼び止められ、注意がそれているすきに貴重品を盗まれるケース、複数の売り子に取り囲まれ、代金を払うため財布を取り出したところ、財布ごと所持金を強奪されるなどの被害事例があります。
<対策>
●売り子から呼び掛けられても立ち止まらない。
●事件に巻き込まれた場合には、大声を出して周囲の人の注意を引いて助けを求めたり、付近を警ら中の警察官に助けを求める。
●被害にあった場合には最寄りの警察署に被害届を提出する。
(6)ニセ警官
警官を装った人物に財布の提示を求められ紙幣等を抜き取られる被害事例があります。
<ミラノ>
(1)スリ、置き引き、ひったくり
中心地のドゥオーモ周辺、マルペンサ空港、ミラノ中央駅、カドルナ駅、国際見本市会場、ナビリオ運河周辺、レストラン、バール、さらには高級ブランド店においても被害事例があります。
これらの犯罪は、2人以上によるものが多く、例えば、1人が道を尋ねる、タバコをたかる、列車の窓をたたく等で注意をそらし、仲間が素早く物を盗る手口です。
<対策>
●見知らぬ人物から声を掛けられても相手にしない。
(2)車上荒らし
犯行は、タイヤを故意にパンクさせられ、路上で修理中に車内に放置してある荷物を盗まれる被害事例があります。
犯行手口は、パンクさせた人物や、その仲間が親切に修理を手伝う振りをして持ち主のすきをうかがい、車内のバッグ等を持ち去るものです。
<対策>
●車両のタイヤがパンクした場合は、可能であれば、すぐに停車しないことが望ましい。
●仮にその場で修理する場合でも、最低限ドアを施錠するよう心掛ける。
(3)その他の犯罪
深夜に日本人観光客がミラノ中央駅周辺で集団による暴行を受け財布等を奪われたり、ドゥオーモ近くの路地裏でナイフで脅かされ荷物を盗られたりする事件が発生しています。ミラノの治安当局は、これらの地域では注意が必要であるとしており、深夜のミラノ中央駅やドゥオーモ周辺の独り歩きは危険ですので避けるようにしてください。
<ナポリ・シチリア島>
ナポリ中央駅周辺で、夜間や早朝に集団による暴行を受け財布等を奪われるケースや、バイクや自転車によるひったくりが多いことが特徴的で、ひったくられた際に転倒し負傷するケースもあります。また、自動車で旅行中に窓ガラスを割られ荷物を盗まれたり、タイヤをパンクさせられ修理している間に車内に放置した貴重品を盗まれるケースもあります。
<フィレンツェ>
観光スポットであるヴェッキオ橋やシニョーリア広場、ドゥオーモ周辺でのスリによる被害が多く報告されています。また、アイスクリームやケチャップソース等をかけられ、拭いている間に貴重品を盗まれる事例もあります。
特に、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅(フィレンツェ中央駅)付近のファストフード店における置き引き被害が多く報告されています。
<その他の地域>
上記以外の地方都市でも犯罪被害が増加しています。また、ピサ(斜塔周辺)やアッシジ、シエナ等の観光客に人気のある都市でのスリや置き引きによる被害が多く報告されています。
4 テロ・誘拐
イタリアのテロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_153.html )をご確認ください。
※在留邦人向け安全の手引き
現地の在外公館(日本大使館・総領事館等)が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.anzen.mofa.go.jp/manual/italy_manual.html )もご参照ください。
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
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