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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 犯罪発生状況
(1)最新の犯罪統計(2016年4月〜2017年3月)によれば,殺人,強盗,傷害,性犯罪等の身体に直接係わる犯罪(コンタクト・クライム)の発生件数は,前年比で2.4%減少しましたが,殺人については, 1日あたりの発生件数は殺人52件,同未遂50件と高い水準が維持されています。凶悪強盗(6.4%増)及びカージャック(14.5%増)は増加が顕著です。強盗の増加率を手口別に見た場合,一般住宅を狙った侵入強盗が最も多く,次いでショッピングモール等における屋内強盗,カージャックの順に多く発生しており,2012年以降増加が続いてます。カージャックの急増(同14.5%増),凶悪犯罪の増加は,南アフリカ国民だけでなく,日本人を含む外国人の生活,治安を直に脅かすものとなっています。
 主な犯罪の年間発生件数(1日当たりの発生件数を(  )内に表示)は,以下のとおりです。
○ 殺人    19,016件( 52.1件)
○ 殺人未遂  18,205件( 49.9件)
○ 重傷害   170,616件(467.4件)
○ 凶悪強盗  140,956件(386.2件)
○ 侵入窃盗  246,654件(675.8件)
○ 車上ねらい 138,172件(378.6件)
○ 薬物関連  292,689件(801.9件)
○ 性犯罪    49,660件(136.1件)
 南アフリカの人口が約5,000万人であることを考えれば,凶悪犯罪等の発生件数及び発生率ともに非常に高い比率で推移しており,治安状況は極めて厳しい状況にあります。

(2)南アフリカにおける犯罪の傾向や犯行の手口の特徴には次のような点があげられます。
ア 生命や性の尊厳が軽視され,いとも簡単に人が殺傷されてしまう凶悪犯罪が頻発している。
イ 社会に合法的銃器及び違法銃器がまん延し,空き巣や侵入等の窃盗犯罪にも銃器が安易に使用される。
ウ 性犯罪の発生件数が多いうえ,低年齢の被害者を標的とした異常性犯罪が頻発している。
エ カージャック,追尾強盗,住居侵入強盗,ATM窃盗に至るまで,組織的かつグループで及ぶ犯罪が頻発している。

(3)これまでに,南アフリカにおいて日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件は確認されていませんが,近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

2 日本人の被害例
 日本人旅行者等が犯罪にあった事件は,2017年1月から11月までに37件発生しています。犯罪形態の内訳は,凶悪強盗被害が17件(カージャック6件,住居侵入強盗5件,偽警察官関連3件等),窃盗事件が8件(車上狙い6件,置き引き2件)となっています。
 なお,犯罪統計上,自動車乗車中の強盗被害が毎年増加傾向にあります。特に高速道路の路上,ヨハネスブルグ市CBD地区道路,サントン地区グレイストンドライブ高速道路出入口信号等で,赤信号で停止した車を狙った強盗未遂事案が発生しています。外交団の被害例も多数報告されています。自動車乗車中に発生する強盗事案は,ターゲット,場所・時間帯にかかわらず発生する傾向にありますので,貴重品を座席等外から見える場所に置かず,信号や渋滞で一時停止する際に窓ガラスを割って,車内に置いてある荷物等をひったくる窃盗(スマッシュ・アンド・グラブ。後述。)に遭わないよう,周囲には十分注意してください。
 また,路上を徒歩で移動中に複数人による凶器を伴う強盗や偽警察官や偽装パトカーによる強盗被害に遭う事件が頻発しています。犯人グループは,空港やホテルなどで現金や貴重品を持っていそうな人物を物色していますので,これらの場所では目立たないようにし,特にタクシー乗り場や駐車場等からはなるべく早く移動してください。

3 防犯対策
(1)強盗
ア 侵入強盗,屋内強盗,カージャック等手口が異なるものの,場所や時間帯を問わず,特にヨハネスブルグ,プレトリア,ケープタウン,ダーバン等都市部において高い割合で発生していることに留意してください。
万が一,強盗に遭遇し,銃器を突きつけられた場合には,抵抗しないようにしてください。身の安全を第一に,抵抗したり犯人の顔を確認することは避け,犯人を刺激しないように行動することが大切です。犯人が去り自身の安全が確保された後に,警察に通報するなど,落ち着いて対応してください。自宅の場合は,鍵のかかる部屋に一次避難しながら警察やセキュリティ会社に通報するようにしてください。
イ 外国人も頻繁に利用するショッピングモールにある貴金属店,携帯電話販売店や銀行などを銃器で武装した強盗団が襲撃する事件も発生していますので,普段利用している場所でも,常に身の回りに注意を払うことが大切です。特に銃声が聞こえた場合には,落ち着いて周りの状況を見ながら,姿勢を低くし,直ちにその場を離れるなど冷静に対応してください。
ウ 空港,ショッピングモール,銀行等から尾行され,自宅ゲート前で停車したところを襲撃される強盗被害も発生しています(追尾強盗)。尾行されていることを認知した場合には,確実な警備が期待できる勤務先やショッピングモール,警察署等に立ち寄り,まずは身の安全を確保してください。また,両替や買い物時には多額の現金を他人に見られないように十分注意してください。さらに,尾行に対する注意のみでなく,自宅前を徘徊する不審者・不審車両にも気を配ってください。
エ 南アフリカでは,外出には車を利用することをお勧めします。一般道を歩くと,路上強盗被害に遭う可能性が高くなります。ショッピングモールや駐車場周辺でも,常に見られていることに留意し,周囲の警戒を怠らないでください。更に,高価な所持品の携行や華美な服装はそれだけで目立ち,犯罪を招くので避けてください。夜の外出は避ける方が無難ですが,外出する場合には車で移動し,利用するレストラン等の専用駐車場を利用し,路上駐車は避けてください。また,係員や警備員に扮した犯人による路上強盗事件も発生しています。女性に限らず,単独行動を取ると被害に遭いやすいので,複数で行動するようにしてください。
オ 電車,バス,ミニバス等の公共交通機関は,車内だけでなく,乗降の際に強盗やスリ等の被害に遭いやすいので,利用を避けてください(ヨハネスブルグ空港とヨハネスブルグ市内及びプレトリア市内を結ぶハウトレイン(Gautrain)やブルートレイン等の観光列車は比較的安全とされていますが,ハウトレイン駅周辺の駐車場の収容台数が不足しており,やむなく路上駐車した車両が盗難に遭う事件が増えていますので注意が必要です。)。
ヨハネスブルグ中央駅付近,セントラルパークステーション(バスターミナル),プレトリア駅付近では,鉄道やバス,ミニバス等を利用する日本人旅行者が,日中歩行中に背後から複数の犯人に首を絞められ,金品を強奪される路上強盗事件が毎年発生しているので,同地区には立ち入らないことをお勧めします。長距離バスやブルートレイン等の利用のためにどうしても立ち入る必要がある場合には,あらかじめ旅行業者や宿泊先を通じて送迎車を手配する等,滞留時間をできるだけ短くしてください。

(2)自動車関連犯罪
ア スマッシュ・アンド・グラブ
交差点で一時停止中の車内から荷物を奪う犯罪手口です。ドアをロックして窓を閉めていても,窓ガラスをたたき割って(スマッシュ),車内の金品等を強奪する(グラブ)ことから,この呼び名がついています。走行中,停車中,駐車中を含めて,助手席等外部から見える場所にバッグやウエストポーチ,貴重品等の荷物を置かないでください。助手席に乗った女性が膝に置いていたバッグを強奪されたこともありますので,荷物はトランクに入れるか,足下に置くなどして外から絶対に見えないようにしてください。ただし,目的地に到着してからトランクに入れようとすると犯人側に見られるおそれもありますので,出発前に入れるようにしてください。
また,自動車を購入する際には,スマッシュ・アンド・グラブ対策用の防護フィルムを貼るなどの対策をとることをお勧めします。
イ ジャミング
 リモートキーでロックしたと思っても,実際にはロックされておらず,車両を離れた間に車内に置いた貴重品の入った鞄等が奪われる事件が多発しています。これはジャミングと呼ばれるリモートキー周波数帯域を無効にする手口ですので,リモートキーでロックしても過信せず,必ず手でロックされているか確認するようにしてください。
ウ 車両乗車中による強盗被害
 けん銃等を使用した車両乗車中による強盗事件が頻発しています。不審な尾行車に気づいた場合や行き先地で待ち伏せしているような不審車(者)を見つけた場合には,不用意に近づかず,尾行がなくなるまで走行し続けるか,最寄りの警察署へ一時立ち寄る等して安全を確認してください。
 一般に,夜間などの人通りが少ない時間帯に,交差点などで一時停止した車両が狙われやすくなります。交差点に差し掛かる際には,赤信号で停車することを避けるために速度調整をするなどの工夫が必要です。やむなく停車する場合には,最低でも1台分は前車とのスペースを確保しつつ,背丈の高い草むらや木々・塀のうしろ側等,周囲に潜む不審者がいないか十分確認した上で停止してください。危険を察知した場合には,停止せずにUターンするか,場合によっては赤信号であっても他の車に十分注意した上で通過するなどしてください。
 一般道や高速道路上に岩石や木材などを置いておき,停車させて狙う手口もあります。そのような状況を発見した場合には,停車せずに回避してください。この被害は特に夜間に多いので,夜間の移動は避けることをお勧めします。また,高速道路付近ではヒッチハイカーをよく見かけますが,絶対に同乗させないでください。

(3)カード犯罪
ア 南アフリカではクレジットカードやデビットカードがよく利用されていますが,カード犯罪も頻発しています。ATMを利用する際には,場所,時間,周囲の状況等に留意し,利用後に尾行等をされている場合には最寄りの警備員や警察に通報してください。人通りの多いショッピングセンター内や銀行のATMであっても油断は禁物です。
イ ATMのカード挿入口にあらかじめ不正な情報読み取り器を取り付けてカード情報を窃取する手口があります。また,現金を引き落とす際に注意をそらされ,その隙に現金を抜き取られたり,うまく現金が引き下ろせずに困惑している利用者に近づき,助けるふりをして暗証番号を聞き出し,後刻,カードを盗んで多額の現金を引き出す等の手口が見られます。ATM利用中に他人から声を掛けられた場合には直ちに取り引きを中断し,その場から離れてください。なお,現金を引き出す際には,警備員が常駐している等セキュリティがしっかりした銀行内のATM等を利用するよう心掛けてください。
ウ クレジットカードやデビットカードのデータを不正に読み取って多額の引き落としを謀るスキミングの被害も見られますので,カードを使用する際にはカードから目を離さないようにしてください。最近は,手に隠せる程小さなスキミング機器が出回っていますので注意してください。また,多くのレストランでは精算用のカード読み取り機を客のテーブルまで持ってきますが,そうでない店の場合は自分でレジまで行くことをお勧めします。高級ホテルやレストランにおいても従業員が買収されている可能性がありますので,油断は禁物です。

(4)偽警察官
 道路を走行中に車(青色灯を点滅させて覆面パトカーを装う場合もある)が近付づいてきて,助手席に乗っている男がIDカードのような物を提示し,停車を求めた上で,警察官や麻薬取締官を名乗り,銃器や麻薬捜査を口実に所持品を検査して,現金や貴重品を強奪又はすり取る事件(ブルーライト・ギャングと言われる手口)が発生しています。覆面パトカーや私服警察官を装う者から停車を求められた場合は,とりあえずハザードランプをつけて気付いたことを示しながら,できる限りガソリンスタンド等の人の大勢いる場所で停車するように心掛けてください。また,停車しても,窓を全開にせず,免許証などの提示ができる程度までしか開けず,その上で相手の身分(IDカード,所属,氏名)や停車の目的などを確認するようにしてください。
 だますことができないと判ると,武器を突きつけて強盗に転じる場合もあります。その場合には,上記の強盗に遭遇した場合と同様に,自分の身の安全を考えて冷静に対応してください。

(5)空港での被害
ア ヨハネスブルグのO.R.タンボ国際空港乗り換え時に預け入れ荷物がこじ開けられ,貴重品が盗まれる事件が発生しています。また,荷物そのものが紛失することもあります。貴重品,カメラやビデオなどの他,若干の着替えなども機内持ち込み手荷物にするなどの用心が必要です。特に同空港では,預け入れ荷物は出発時・到着時とも全てX線を通されており,現金,携帯電話,パソコン等は感知されてしまうため,荷物がこじ開けられて中身を盗られる危険性が増しますので,こうした貴重品は預け入れ荷物に入れずに機内持ち込み手荷物として携行するなど,持ち込み荷物と預け入れ荷物の選別には注意してください。また,ポーター(荷物運びや道案内係)が旅行者を狙って不当に高額な料金を請求するケースが発生しています。ポーターサービスを利用せざるを得ない場合は,事前に料金を確認してトラブルを未然に防いでください。
イ O.R.タンボ国際空港には専用駐車場が併設されていますが,駐車場から一般道へ出る場所において,警察官による取り締まりがしばしば行われています。通常の警察官は,一時停止不履行違反やスピード違反を取り締まるのが職務ですが,彼らの中には,言いがかりをつけたり,交通違反にかこつけて賄賂を取ろうとする者が見られます。
その場合は,交通ルールを遵守していることをアピールすること(確実な一時停止やスピードを抑え気味に走る等)が重要ですが,もし停止を求められ,何の書類も出されずに現金を要求されたら,警察官の氏名及び所属を確認するとともに,交通反則切符の交付を求め,後日,きちんと支払うことを伝えてください。(但し,どうしても反則金を支払いたくない場合には裁判で争うことも可能です。)
ウ ケープタウン国際空港では,O.R.タンボ国際空港に比べて事件はあまり発生していませんが,希に警察官に賄賂の要求をされる事案が発生しています。また,O.R.タンボ国際空港同様に機内預け入れ荷物と機内持ち込み手荷物の選別に注意することはもちろん,ポーターサービスの利用にも注意してください。

(6)419号事件(国際的詐欺事件)
ア いわゆる「419詐欺事件」は,架空の商談等をもちかけて前渡し金や商品を詐取する国際詐欺事件の典型であり,ナイジェリア刑法で詐欺罪を想定している 419条に抵触する犯罪のため,このように呼ばれています。犯人側から被害者への働きかけは,従来の手紙やFAXによるものから,最近はEメールの利用が主流となっている他,偽りの商談等をもちかけて被害者を現地におびき寄せて誘拐・監禁し,身代金を要求する事例が出ています。実際に,2008年9月には偽りの商取引におびき寄せられた日本人出張者が,南アフリカに到着後,誘拐されて身代金を要求される事件が発生しました。この出張者は幸いにも警察の捜査により無傷で救出されましたが,外国人の被害者の中には殺害された例があります。さらに2011年には,人助けを求めるEメールを受け取った日本人男性が同国へ赴き,関係者と接触する過程で百数十万円を搾取された事案も発生しています。   
従って,多額の金銭を扱う取引,銀行口座開設の誘いや人の善意に付け込む内容のEメールには,十分注意してください。また,多額の配当や成功報酬を約束するようなFAXやEメールによる誘いは詐欺とみて間違いありませんので,誘いに乗って南アフリカへ渡航することのないよう十分注意してください。 
イ 詐欺と断定できないが,疑わしかったり,うまい儲け話のような商談の場合には,次のような対策をあらかじめ講じるようにしてください。
○訪問前に,弁護士等に問い合わせるなどして,商談相手の信頼度を確認しておく(南アフリカでは公的証明書や契約書の偽造は珍しくなく,商談相手の信頼度の判定には十分な注意を要します)。 
○面談は必ず自社,信頼できる関連会社,又は人目のあるホテル等で行う。 
○商談相手が信頼できる会社の社員でない場合,相手方の指定する場所に赴くことや車に同乗することは絶対に避ける。 
○419号事件の関連では,外務省海外安全ホームページの海外邦人事件簿「おいしいメールと国際的詐欺」(Vol.47)にも掲載されていますので,参照してください。

○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/

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