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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 犯罪発生状況
(1)最近の犯罪発生傾向
 タンザニアでは、全土において路上強盗、車両強盗、住居侵入、空き巣、詐欺、ひったくり等の一般犯罪が日常的に発生しています。特に都市部において多く発生しており、銃器を使用した凶悪犯罪も発生しています。また、隣国からの密入国者も多く、これらの中には武器を所持しているケースもあり、治安の悪化が懸念されています。
 2020年10月には隣国モザンビーク北部カーボデルガード州における治安悪化が波及する形で、タンザニアで初めてイスラム国(IS)に関係するとみられる武装グループによるムトワラ州村民襲撃事件が発生しました。その後もモザンビークとの国境地域では武装グループによる襲撃事件も多発しています。また、近隣国のウガンダではISとの関係が疑われるテロ事件が続発しており、こうした近隣国における治安状況のタンザニアへの波及リスクにも十分留意する必要があります。
(2)主要都市・地域別の状況
ア ダルエスサラーム
 タンザニア最大の都市であることから、地方から犯罪者を含む貧困層が流入しており、車両強盗、薬物強盗、詐欺、ひったくり等の路上における犯罪のほか、住居侵入等の犯罪が日常的に発生しています。
イ ザンジバル(島嶼部)
 インド洋に浮かぶザンジバルには、毎年、多くの外国人観光客が訪れており、外国人観光客をターゲットにした犯罪が発生しています。
 また、ザンジバルはイスラム教徒の人口比率が本土よりも高く、文化習慣の違いもあって観光客と地域住民との間のトラブルが発生しています。
ウ アルーシャおよびキリマンジャロ
 タンザニア北部で国境を接する隣国ケニアの首都ナイロビから直結した幹線道路を経由して流入してきたとみられる犯罪者が、治安当局の目が届きにくい郊外等において観光客を待ち伏せして犯罪行為に及ぶ事例が確認されています。現時点で組織的な犯罪の発生はみられないものの、地理的に周辺国からアクセスが容易な点で取締りが難しく、今後の情勢の推移には注意が必要です。
エ キゴマおよびカゲラ
 タンザニア西部でブルンジに国境を接する地域では、安価な武器(銃器)がタンザニア国内に流入しているといわれており、武器を使用した事件が発生しています。治安当局の管理が十分に行き届いておらず、国境付近や幹線道路には武装強盗が存在するなど、治安情勢は依然として不安定な状況です。
オ ムワンザおよびムソマ
 タンザニア北西部のビクトリア湖周辺の都市部は、ケニア、ウガンダとの国境に近く、違法薬物、密輸に関わる犯罪組織の根拠地とされ、しばしば暴力事件が発生しています。また、隣国からの違法入国者が摘発され逮捕されています。
カ ムトワラ
 2020年10月、イスラム国を名乗る武装集団(タンザニア南側の国境で隣接するモザンビークのカーボデルガード州から侵入)によるルブマ川村民襲撃事件が続けて発生しました。以降も同周辺地域では家屋焼き討ち等の襲撃事件が発生しており、治安情勢は不安定な状況が続いています。ルワンダと南部アフリカ開発共同体(SADC)が軍隊を同州に派遣し掃討作戦を展開中であり、タンザニアへの難民の流入も懸念されています。

2 日本人の被害例
(1)強盗・睡眠薬強盗
ア 深夜、ダルエスサラームにある企業社宅に強盗が押し入り、パソコン、携帯電話、現金等を強奪され日本人1名がバールのようなもので殴られて負傷。
イ 土産物屋の駐車場でタクシーを待っていたところ、声をかけてきたタクシー運転手が提示する低額料金につられて乗車したが、途中で数名のタンザニア人が乗り込んで来て、人通りの少ない場所に連れて行かれ金品を脅し取られるとともに、ATMで出金を強要され強奪された。
ウ モシ、キリマンジャロ、アルーシャから長距離バスでダルエスサラームに移動中、隣の席のタンザニア人からお菓子やジュースをすすめられ、これを口にしたところ意識を失い、警察署のベッドの上で目覚めたときには貴重品の入ったバッグが盗まれていた。
(2)ひったくり
ア 日中、ダルエスサラームのフェリー乗り場で、旅行者が後方から何者かに突き飛ばされ、手放したカバンを奪われた。
イ ダルエスサラームで車窓を開けて走行中、助手席および後部座席でスマートフォンを使用していたところ、横付けした二人組モーターバイクにスマートフォンをひったくられた(昼夜を問わず発生。特に新型コロナ感染防止のため換気に気を遣って車窓を開けることもあり、最近同被害が多発しています)。
ウ 夕方、外国人居住区にあるスーパーマーケットで買い物をした後、店の前を徒歩で移動中、後ろから車で近づいた何者かに、たすき掛けにしていたバッグをひったくられた。
エ 夕方、交通量の少ない交差点で左折のため減速したところ、助手席の窓ガラスを割られ、助手席に置いていたバッグを盗まれた。
(3)スリ
 日中、布市場を歩行中にカバンの中の財布をすられた。
(4)空き巣等
ア 短期出張、または会社から帰宅したところ、玄関のドアが壊され、ノートパソコン等の電化製品や貴重品がなくなっていた。
イ 日中、昼食の支度をしていたところ、開けていた寝室窓から何者かが侵入し、貴重品等を盗まれた。
(5)置き引き
 レストランやバーで飲食していたところ、足下、隣椅子に置いていた鞄を盗まれた。

3 犯罪被害危険地域
(1)シティセンター:アスカリ・モニュメント付近(ダルエスサラーム)
 巧妙な手ロの強盗団が暗躍しており、ホテル、郵便局、銀行および換金所等から出てくる人を待ちかまえて隙をうかがっています。
(2)ウブンゴ(市内バス:通称「ダラダラ」)およびムナジモジャ(長距離バス)のバスターミナル(ダルエスサラーム)
 市内バス等の主要な中継場所であり、多くの乗客で賑わっていることから、乗車待ちのふりをした犯罪者の巣窟になっています。特に、夜間は照明が少ないため十分な警戒が必要です。
(3)カリアコー市場付近(ダルエスサラーム)
 様々な品物が揃う一大マーケット地区ですが、常に現地の人で混雑しています。外国人は犯罪の標的になりやすく、ひったくり事件の被害が続出しています。
(4)ザンジバル行きフェリー乗り場
 失職者の溜まり場となっており、ひったくり事件のほか、白タクによる被害が続出しています。
(5)オイスター・ベイ海岸(ダルエスサラーム)
 多くの外国人観光客等が訪れる風光明媚な場所ですが、これらの観光客やランニング中の外国人を狙った強盗やひったくり事件のほか、白タクによる被害が続出しています。
(6)セランダー橋、タンザナイト橋周辺(ダルエスサラーム)
 それぞれ市内中心部およびマサキ半島につながる主要道路ですが、道路沿いの茂みや海岸が犯罪者にとって絶好の隠れ場所となっており、特に夕方から夜間の歩行者に対する強盗被害が多発しています。
(7)上記以外の地域であっても、外国人は犯罪の標的になりやすいので、常に周囲に気を配るなど警戒を怠らないことが重要です。

4 防犯対策
(1)都市部では、港湾周辺、土木工事現場周辺、コンテナ輸送のトレーラー中継基地周辺、および貧困層の生活区域の治安は特に悪いので、立ち入らないように注意し、それ以外の地域においても、夜間の一人歩きは避けるようにしてください。
(2)人混みの中ではスリに注意し、普段から多額の現金、貴重品等は持ち歩かないでください。特に銀行や両替所等の利用後は、見張られているものと想定し、極力徒歩での移動は避けてください。
(3)ひと気のない所には近づかないように心掛けてください。
(4)見知らぬ人に声を掛けられて親切にされても、安易に信用しないでください。
(5)外国人に対する不法就労取締り強化に伴い、警官および入管職員のなりすまし詐欺が増えていますので、不審な点がある場合には毅然とした態度で対応してください。なお、外出時には、旅券を携行してください。
(6)最近、銃器を使用する強盗が発生しています。万が一強盗に遭った場合には、身体の安全を第一とし、抵抗しないようにしてください。

5 テロ・誘拐
 タンザニアにおけるテロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_111.html )をご確認ください。

6 タンザニアにおける安全の手引き
 在タンザニア日本国大使館が在留邦人に向けに作成した「安全の手引き(https://www.tz.emb-japan.go.jp/files/100541092.pdf )」もご参照ください。


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