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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 犯罪発生状況
(1)犯罪発生件数
 パプアニューギニア(以下「PNG」という)における2020年の犯罪発生件数は以下のとおりです。ほぼ全ての項目で2019年に比べ、2020年の犯罪件数が大幅に増加しており、注意が必要です。
 犯罪発生件数総数11,110件のうち、3,553件(約32%)が首都特別区で発生しているため、首都ポートモレスビー市を含む同区内での行動には十分注意する必要があります。

【主な犯罪発生件数等】
(犯罪の種類:発生件数/逮捕件数)
 ・殺人:1,073/609
 ・性犯罪:1,103/382
 ・強盗:1,045/431
 ・カージャック、車両盗難:331/60
 ・家宅、店舗等侵入:917/244
 ・窃盗:1,601/305
 ・詐欺:726/183
 ・暴行:2,081/453
 ・銃刀法違反:120/129
 ・薬物:628/777
 ・留置場脱走、脱獄:302/149
 ・放火:451/109
 ・誘拐:310/36
 ・賄賂:7/7
 ・その他:415/86
 ・合計:11,110/3,960

(2)最近の犯罪発生傾向
 ア PNGでは生活困窮者や定職につかない無秩序な若者グループによる金品強奪を目的とした犯罪が頻発しています。犯行の手口は、若者らが「ラスカル」と呼ばれるひとつの集団となって、蛮刀、ナイフ、銃または手製銃などを使用して犯行を行うことが多く見られます。また、新型コロナウイルス感染症の影響もあり経済的に立ちゆかなくなった者が強盗等の犯罪に手を染めるケースが増えているため、引き続き首都特別区を中心に犯罪件数は増加しています。

 イ PNGでは、男尊女卑の風潮が強く見られ、性犯罪の増加が改善されておらず、PNG社会に深刻な影響を与えています。

 ウ 市民の安全を守るべきPNG警察機構は、人員不足や予算不足等の理由で十分機能しておらず、犯罪者の検挙率は極めて低く、犯罪の抑止は期待できません。さらに、国内各地で頻繁に脱獄事件が発生しており、脱獄犯が再び犯行を繰り返しています。

(3)主要都市・地域別の状況
 ア ポートモレスビー市
ポートモレスビー市では、スリやひったくり等の一般犯罪のほか、婦女暴行、「ラスカル」による強盗、武器等を用いた車両強奪といった凶悪犯罪も昼夜を問わず発生しています。また、セトルメントと呼ばれる不法居住地域が、市内数十箇所に混在して分布しており、同地域の居住者による犯罪が増加しています。

 イ ハイランド地方(西、南、東ハイランド州、ジワカ州、ヘラ州、エンガ州およびチンブ州の計7州)
 ハイランド地方では、部族間の各種衝突が頻発しており、長期間におよぶ部族対立が続いている地域もあります。部族対立は、金銭等の収奪や土地の利権争いのために勃発し、道路上に大木や岩が意図的に置かれ、道路が遮断されることがあります。加えて、ハイランド地方の部族対立には密輸されたアサルトライフル等の小火器が使用されることもあり、戦闘が激化し、治安当局が即座に介入できない場合もあります。
(ア)南ハイランド州
 2017年に実施された国政選挙の選挙違反の申立てが却下されたことを不服とする住民が、2018年6月に南ハイランド州の州都メンディにおいて、空港に侵入し航空機を全焼させた他、知事自宅、メンディ裁判所を放火したため、同地域に対し非常事態宣言が発令されました。また、この地域では暴動や部族衝突も発生していますので巻き込まれないように注意してください。
(イ)ヘラ州
 ヘラ州タリ市周辺では強盗や婦女暴行などの犯罪が多く発生していることに加え、暴動や部族衝突が頻繁に発生していますので巻き込まれないように注意してください。

 ウ モロベ州
 モロベ州レイ市はPNG第2の都市として発展していますが、強盗や婦女暴行などの犯罪が多く発生しています。また、暴動や部族衝突にまきこまれないように注意してください。

2 日本人の被害例
 主な事例は次のとおりです。

(1)2018年8月25日(土)午後5時頃、西ニューブリテン州キンベ市内の幹線道路沿いのスーパーマーケットにて、在留邦人が2人組のラスカルによる強盗被害に遭った。その内1人の男が銃を構えながら当該邦人の持っていたバックを渡すように脅し、もう1人の男が荷物を奪って逃走した。

(2)2018年9月4日(火)午前8時頃、在留邦人が勤務する国際NGO事務所で強盗事件が発生した。武装したラスカル3人組がポートモレスビー市内にある同事務所に押し入り、付近にいた所員に経理担当職員(アフリカ系)を名指し、その者の元へ連れて行くよう命じ、現金や携帯電話などを奪い逃走した。

(3)2019年3月25日(月) 、ポートモレスビー市内のホテルで長期滞在中の日本人のクレジットカードをホテルの従業員が部屋から持ち出し、150万円相当を不正利用した事件が発生した。犯人はカードの不正利用をした後、密かに財布に戻していたため、被害者は気付かなかったが、カード会社からの通報により事件が発覚した。

(4)2019年4月7日(日)、在留邦人がスタンレー・ホテルから帰宅する途中、赤信号で停車中に10数人のストリート・チルドレンに取り囲まれ、金品を要求された。同人が無視していると、彼らは一旦、同人の車から離れたが、その直後に腹いせにその車に目掛けて投石を始めた。車体に凹み傷が多数付いたが、幸いなことにガラス窓には当たらず、同人にも怪我はなかった。

(5)2019年5月4日(土)、在留邦人がタウン地区を自家用車で走行中、路肩にいた警察官に停車を命ぜられ、違反金100キナを不当に要求された。同人は警察官の行為を不本意に思い、やり取りしたが埒が明かず、やむなく30キナをその場で支払い放免された。

(6)2019年10月19日(土)23時頃、東ニューブリテン州に在る日系企業の事務所にブッシュナイフや銃で武装した複数人の強盗が侵入した。武器でガードマンを脅し、金庫の設置場所に誘導させた後、金庫室のドアをこじ開け、現金5,900キナ(約20万円相当)を奪って逃走した。

(7)2019年10月19日(土) 、東ニューブリテン州に出張に来た日本人が滞在先のホテルのレストランで食事中、同人の居室へ何者かが侵入し、金品や貴重品が盗み出された。犯人は同人が利用していたルームキーを所持していた部外者であった。

(8)2020年7月1日(水)午後6時頃、在留邦人が現地銀行に登録していた携帯電話番号が使用不可となり、現地携帯電話会社へ連絡。その間、身に覚えのないOTP(送金時に必要な認証コード)をメールで10件程度受信。翌2日(木)11時頃、前日のOTPを不審に思い、銀行に連絡したところ、2日早朝から100回以上にわたり、100キナ(約3000円)毎の送金(出金)がされていることが判明した。後日、銀行および警察に被害届を提出したが、調査結果の報告はなく、失った約10,000キナも補償されていない状況。なお、使用不可になっていた携帯電話番号は第三者に契約変更され、不正利用されていた模様。

(9)2020年8月31日(月)、在留邦人に対して現地銀行の支店長から「小切手による現金化(約30万円)依頼について、念のため、小切手を確認してほしい」旨の連絡があった。同行に提出された小切手を確認したところ、小切手番号は被害者が管理している未使用の番号であった上、サイン欄には他人によるサイン(漢字)が記載されており、偽造であることが判明。被害者は支店長に偽造小切手であると伝えたところ、現金化されず、未遂に終わった。偽造小切手を持ち込んだ者は、小切手の確認中に銀行から立ち去ったとのこと。

(10)2020年9月20日(日)、在留邦人(仮運転免許所持)が当地で運転免許を取得するため、ポートモレスビー市内のチャイナタウンの空き地(現地の人々が運転練習場所として使用している)で運転練習をしていたところ、警察に連行され、警察署で罰金2,000キナ(約6万円)を要求された。当該邦人からの通報を受け、当館館員2名が当該警察署に向かい事実確認をしたところ、「公道を運転する際にはPマークを貼付しなければならないルールとなっている。MVIL(Motor Vehicle Insurance Limited)で同ステッカーを購入してほしい」旨の回答があり、その後、当該邦人は解放された。

3 犯罪被害危険地域
 当地には安全と言える場所はなく、場所および昼夜を問わず犯罪が発生しているため、常に安全に対する細心の注意が必要です。

4 防犯対策
 防犯対策は次のとおりです。
(1)PNGでは、日中であっても、単独で行動する場合は犯罪被害に遭う危険性が低くはありません。特に、単独での徒歩による行動は大変危険ですので、常に車両を利用してください。性犯罪も多発していることから、特に女性の単独行動は避けてください。

(2)現地の人々が利用するPMV(乗り合いバス)やタクシーなどの公共交通機関は、信頼性や治安上の観点から利用を避けてください。航空便についても、突然の予定変更や運航取り止めが発生します。PNGを訪れる際には、信頼できる旅行会社や現地の関係者等を通じて事前手配する、旅行中は現地事情に通じた者に同行してもらう等の安全対策を心がけ、単独行動はできるだけ避けてください。

(3)屋外マーケットでも武装集団による強盗事件が発生しています。カメラ等を含め、貴重品を持ち歩く際は、周囲に十分警戒しつつ行動してください。外出の際は旅券等貴重品を持ち歩かず、最小限の現金を持参し、残りの貴重品は信頼のおけるホテルのセーフティーボックス等の安全な場所に保管しておくことを推奨します。

(4)PNGには、いわゆるバックパック旅行といわれる個人手配旅行者に適した宿泊施設はありません。宿泊に際しては、警備がしっかりしているホテルをお勧めします。さらに、そのようなホテルであっても必ずしも安全とは言えませんので、施錠を確実に実施し、来訪者のためドアを開ける時には開ける前に必ず相手を確認する等の注意が必要です。

(5)PNGの人々は、自分たちの故郷や部族に対する帰属意識が極めて高く、社会通念よりも故郷の掟に従い行動することがあります。そのため、部族闘争に起因する予測不可能なトラブル、またそれに対する報復行動も起こり、当事者とは関係のない者まで巻き添えとなり、不当な金銭要求が突きつけられることもありますので、滞在中の言動に注意する必要があります。

(6)現金や貴重品を人目にさらしたり、車内等に所持品を放置したりすることは、犯罪を誘発するので避けてください。また、PNGにはチップの習慣はなく、安易に現金を渡すとたかりや襲撃の対象となりやすいので、たとえ親切心からでもチップを出すことは避けてください。

(7)外出する際には、なるべく目立たないような服装を心掛けてください。また、バッグ類はひったくりに狙われやすいので、十分注意してください。なお、万一、犯罪に遭遇したり、事件に巻き込まれたりした場合には、身体を守るため、金品などの所持品を奪われても抵抗しないようにしてください。

(8)住居などのゲート前において車両が停車したところを複数犯で襲撃する事件が発生しています。また、投石、路上への障害物(大木やガラスの破片等)の設置、道路横断者を装う等の手口により、車両を停車させて襲撃してくるケースがあるため、十分注意して運転してください。

(9)警察官になりすました犯人による事件が発生していることから、警察官の制服を着ている者に話しかけられても身分証の提示を求めつつ、近くの警察署まで移動した上で話を聞く必要があります。また、真正の警察官であっても飲酒をしながら検問をする、言いがかりをつけ金品を要求する等の報告もあります。

(10)休暇や出張で長期不在とする場合だけでなく、日常買い物に行くときでも、空き巣被害が発生しているため、戸締まりには十分注意してください。特に内部の者による犯行と疑われる事件も発生しているため油断は禁物です。

(11)渡航先の治安状況について、渡航前に最新の情報を訪問先や在パプアニューギニア日本国大使館に確認してください。また、渡航の際は、現地で信頼のおける旅行業者を利用し、安全対策に十分配慮してください。

5 テロ・誘拐情勢
 テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_075.html )をご確認ください。

※在留邦人向け安全の手引き
 在パプアニューギニア日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.png.emb-japan.go.jp/itpr_ja/consul_j.html )もご参照ください。


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