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● 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
イランでは、犯罪件数等に関する統計は公表されていませんが、各種報道に照らすと一般犯罪は慢性的に発生しているものとみられます。
(1)日本人の被害事例
在イラン日本国大使館が把握しているだけで、2021年は2件、2022年は4件、2024年は1件の窃盗被害が発生しています。主な事例として、路上でのバイク等によるひったくりや強盗、公共交通機関内でのスリ等があります。また、ニセ警察官による窃盗事件も発生しています。さらには、空き巣事案も発生しており、注意を要します。
(2)主な被害事例
○タクシーを利用した際に車が故障したとして降車させられ、そのまま車中の荷物を持ち逃げされたり、タクシーの車内で銃で脅されて携帯電話や銀行カードを窃取されたりする。
○故意に落とされたお金を親切心で拾っている間に財布などを窃取される。
○記念撮影を頼まれ、写真を撮っている隙に金品を窃取される。
○歩行中、オートバイや車で接近してきた者にバッグ等をひったくられる。
○睡眠薬入りの飲み物やお菓子を勧められ、寝入ったところで金品を窃取される。
○ひと気のない路地でナイフ等を突きつけられ、金品等を強奪される。
○警察官と称する人物または警察官の服装をした「ニセ警察官」から所持品検査を求められ、現金等を窃取される。
○自宅に他人(修理・掃除業者等)を招き入れ、帰宅後、貴重品が紛失していることに気付く。
2 治安
(1)全般
イランでは、イラク、アフガニスタン及びパキスタンとの国境地帯並びにシスタン・バルチスタン州の一部の地域を除き、現在、首都テヘランを含め、治安状況はおおむね平穏に推移していますが、米国及びイスラエルとの関係では高い緊張状態が継続しているなど、不測の事態が発生する可能性は否定できません。
(2)ISIL関係
2024年1月3日、イラン南東部ケルマーン州ケルマーン市にある殉教者墓地(2020年1月に米軍によって殺害されたソレイマニ革命ガード司令官の墓地が存在)付近で2名のテロリストが自爆し、同司令官の命日の追悼で集まっていた参列者を中心に84名が死亡、数百名が負傷する事案があり、ISILが犯行声明を出しました。イスラム革命後のイランにおけるテロとしては最多の死傷者数であったとされます。
(3)その他テロ関係
ISIL以外のテロ情勢では、イラン南東部(シスタン・バルチスタン州)や西部・北西部のイラク・トルコ国境付近において、分離主義組織がイラン治安当局と交戦する事案が発生しています。特に、シスタン・バルチスタン州では、2024年4月3日に同州チャーバハール市及びラースク市において、警察や軍事施設が襲撃されるテロ事件が発生し、バルーチ系スンニー派反政府組織武装組織「ジェイシュ・アルアドル」が犯行声明を発出しました。イラン国内では、イランの治安関係者ら3名が死亡したと報じられていますが、「ジェイシュ・アルアドル」側は200人以上の軍関係者を殺傷したと犯行声明で主張しています。
(4)対米関係
米国との関係では、2020年1月3日、イランの革命ガード高官がイラク国内で米国に殺害され、同8日、革命ガードがイラク国内の米軍駐留基地に対しミサイル攻撃を行うなど、両国間の緊張が極度に高まりましたが、その後、米国、イラン双方ともエスカレーションを回避したいとの意向により、軍事衝突は回避されました。2021年4月には、イラン核合意(JCPOA)に関して関係国の間で対話が開始されました。
(5)対イスラエル関係
イスラエルとの関係では、2020年11月27日のイラン核科学者殺害事件及び2021年4月11日に発生したナタンズ核施設におけるトラブルについて、イランは背後にイスラエルが関与していると主張し、報復を宣言したほか、2022年5月22日には、革命ガードの大佐が銃撃され、殺害されました。
2023年1月28日夜に発生したイスファハン州における国防軍需省工場コンプレックスに対する小型飛翔体による攻撃について、一部の欧米メディアはイスラエルが実行したものと報道しています。2023年10月7日には、ハマスがイスラエルにロケット攻撃を行った上イスラエル領土へ侵入し、民間人、治安部隊を殺害し、約250人を人質に取る事件が発生しました。このハマスによる対イスラエル攻撃を受けて、イスラエルがガザ地区に対する大規模な軍事作戦を実施・継続していることに対し、イランはイスラエルを強くけん制・非難しており、イスラエルとイラン及び親イラン組織との応酬が断続的に行われています。
ガザ情勢を受けたイランとイスラエルとの一層の対立が懸念される中、イランの軍事高官が殺害される事案が相次ぎ、2023年12月にはムサヴィ革命ガード軍事顧問が、2024年4月1日にはザーヘディ革命ガード・コッヅ部隊准将が殺害されました。2024年4月の事案は、シリアにおけるイラン外交関連施設にいたザーヘディ准将を含む革命ガード高官等複数名を狙って同施設に対する空爆が行われたものです。イランはこの攻撃を受け、イスラエルに対して報復を宣言し、4月14日には、イランによるドローンやミサイルを用いたイスラエルへの攻撃が発生しました。4月19日には、イラン中部イスファハンにおいて爆発音が発生する事案が起こり、イラン・イスラエル双方による軍事的措置の応酬による対立の更なる激化が強く懸念される状況にありましたが、同爆発事案については、イラン・イスラエル双方とも原因等を明言しておらず、その後特段の事案の発生は確認されていません。
2024年7月31日に発生したテヘランにおけるハニーヤ・ハマス政治局長の殺害に対する報復としてイスラエルに対してミサイルを発射し、10月26日にはイスラエルがテヘラン周辺、イーラーム州、フーゼスタン州等を攻撃するなど、中東地域において高い緊張状態が継続しており、今後も不測の事態が発生する可能性があります。
(6)抗議デモ関係
2022年9月以降、ヘジャブの着用が不適切だとして拘束された女性の死亡を発端とする抗議活動がテヘランほか各都市で発生し、複数の死傷者や拘束者が発生しました。本抗議活動については、現時点は小康状態となっていますが、当局のインターネット規制によるものとされる通信障害については継続的に発生しており、今後の動向については予断を許さない状況です。これまでのところ、邦人が抗議行動に巻き込まれて被害に遭ったとの情報には接していませんが、不測の事態に巻き込まれる可能性がありますので、デ24モ行進や集会が開催される場所には近付かない等、状況に応じて適切な安全対策を講じるよう心がけてください。
3 防犯対策(注意事項)
犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動をとることが重要です。
犯罪被害に遭わないための予防策が大切であり、次の点に留意して犯罪被害に遭わないように注意してください。
○普段から治安情報の収集を心がける。
○常に周囲を警戒し、危険と思われる場所には絶対に近づかない。
○肌を多く露出した服装、外国人と分かるような目立つ格好、派手な所持品の携行は控える。
○イスラムを冒とくするおそれのある言動は厳に慎む。
○特に夜間、女性の一人歩きは控える(強姦、わいせつ事件といった性犯罪も多数発生している)。
○夜間の外出は犯罪に遭う危険性が高くなるので、不要不急の外出は控える。また必要な際も単独での外出は避け、複数人で行動し、極力車両を用いる。
○乗用車から英語で「警察官」と称して声を掛けてくる者には特に注意し、不用意に財布等所持品を渡さず、身分証の提示を求める。
○デモ行進や集会が開催される場所には近付かない。万が一、行進や集会に遭遇した場合は、速やかにその場から離れる。また、写真・動画の撮影は絶対に行わない。
○一部施設(モスク、政府関係施設、治安関係施設等)は撮影を禁止又は違法とされている場所でのる写真撮影(動画含む)は行わない。撮影する際には、撮影可能場所であるかを事前に必ず確認する。
4 テロ・誘拐情報
テロ・誘拐情勢については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_046.html )をご確認ください。
5 在留邦人向け安全の手引き
在イラン日本国大使館が現地在留邦人向けに作成した「安全の手引」もご参照ください。(https://www.ir.emb-japan.go.jp/files/100539246.pdf )
- ○外務省 領事サービスセンター(海外安全担当)
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902
- ○外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/
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