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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 概況
(1)ミャンマーの犯罪情勢は、ミャンマー治安当局の公開情報によれば近年、各種犯罪が増加傾向にありましたが、2021年2月のクーデター以降、政情不安や経済悪化、また国軍と民主派の衝突により治安当局が認知している以上の犯罪が発生している状況であり、各種メディアによれば、強盗、窃盗、傷害、強制性交といった犯罪が多数発生しているとされています。

(2)ミャンマー警察当局は、2016年6月からラインタヤー地区、カマユ地区、ミナミダゴン地区及びタンリン地区の4地区を重点取り締まり地区に指定し、パイロット・プロジェクトとして犯罪取り締まり強化対策を実施しました。更に同年8月からは、上記4地区に加え、タケタ地区、北ダゴン地区、マヤンゴン地区、サンチャウン地区、ダラ地区、トゥワンテイ地区、インセイン地区、ミンガラドン地区の8地区を追加的に重点取り締まり地区に指定しました。上記の内、カマユ地区、マヤンゴン地区及びサンチャウン地区を除く地区は、すべて郊外であり治安悪化の実態を裏付けるものとなっています。
 なお、カマユ地区等のヤンゴン中心部商業エリアにおいては、店舗等に対する侵入窃盗事件が多発傾向にある模様です。

(3)ヤンゴン市内では、最近、タクシードライバーによる殺人や強盗事件が増加している旨報道されています。警察当局も警戒を強化していますが、夜間のタクシー利用には、細心の注意が必要です。
 2016年9月には、バハン地区のコンドミニアムからライン地区の自宅に帰宅するために夜間帯にタクシーに乗ったシンガポール人女性が、移動途中、パラミ通り沿いにあるヤンゴン大学ライン地区キャンパスに連れ込まれ、暗がりで暴行されそうになる事例がありました。

(4)ミャンマーでは、外国人は金持ちであるとのイメージがあり、特に日本人にはそういった印象が強く定着しています。邦人旅行者の被害事例としては、インレー湖、バガン等からヤンゴンへの長距離夜行バス、ヤンゴン市内の路面バス、ヤンゴン市内のレストラン、人気のない路上等でカバンなどから現金等を盗み取られる事案が複数報告されているほか、アパートへの侵入・窃盗事件なども報告されています。
 また、外国人が所有できない不動産に絡んだ投資詐欺や共同経営の話を持ちかけられ、出資だけさせられるといった詐欺被害も報告されています。東南アジア地域で多発している睡眠薬強盗やいかさま賭博等の犯罪被害については、これまでのところ在ミャンマー日本国大使館には報告されていません。

(5)近年、以下のような邦人が巻き込まれる事件が報告されています。
 ア 2017年5月、ヤンゴン市において、在留邦人の男性が、会社事務所に保管していた現金数百万チャットを現地スタッフに盗難された。
 イ 2017年5月、ヤンゴン市バハン地区において、在留邦人の男性が、留守中に会社アパートの鍵を壊され、空き巣被害にあい、ノートPCや外付けHDD、キーボード、携帯電話を盗まれた。監視カメラの映像から、同アパートの警備員が逮捕された。
 ウ 2017年9月、ヤンゴン市において、邦人旅行者が、スーレーパゴダにて声をかけてきた青年にダラ地区の案内を依頼したところ、当初のガイド料の倍の金額を請求された。手持ちがないと断っても執拗にホテルまで付いてきて、最終的には持っている金銭を支払わされた。
 エ 2017年9月、ヤンゴン市において、在留邦人の女性が、自宅の水回りの修理のため業者を呼んだところ、寝室に連れ込まれ、暴行されそうになった。
 オ 2017年10月、シャン州タンジー市において、在留邦人の男性が、アパート自室の南京錠を破壊され、PC等の空き巣被害にあった。警察によると被害者の行動パターンを入念にチェックしたうえでの犯行であった。
 カ 2018年6月、ヤンゴン市において、バス停で寝ていた在留邦人の男性が警察官に保護された。当初、手足のしびれを訴えると共に呂律が回らない状況であったが、回復後、一人で食事をしていたところ、急に眠気を感じ、その後の記憶がないことが判明。持ち物の全てを紛失しており、着衣も替わっていた。昏睡強盗の被害にあったものと考えられる。
 キ 2019年7月の夜間帯、ヤンゴン市において、在留邦人の男性がダウンタウン地区で流しのタクシーを拾い、ホテルに着いた際にドアマンと話している間にタクシー内に置いてあったバッグから財布が盗まれた。
 ク 2019年10月の夜間帯、ヤンゴン市において、在留邦人の男性がダウンタウン地区のバゴダを観光中に自動車に乗った男に突然殴られ、現金や貴重品の入ったバッグをひったくられた。
 ケ 2021年4月の昼間帯、ヤンゴン市において、在留邦人の男性がダウンタン地区ダゴン付近を徒歩で買い物中に、後をつけてきた複数の男性から「あなたから受け取ったお金が破れていたので、交換して欲しい。」と言われ、財布を取り出したところ、財布を奪われた(他にも、同様の手口2件発生)。
 コ 2021年6月の昼間帯、ヤンゴン市において、在留邦人の男性がバハン地区を徒歩で買い物中に、後をつけてきた複数の男に囲まれ、現金を奪取された。

2 防犯対策
 以下は、窃盗等の被害を最小限に食い止めるための一般的な注意事項です。万一異常な事態に遭遇した場合には、本人及び家族の生命の安全と身体の保護を最優先に対応することが重要です。
(1)窃盗(ひったくり、スリ等)
 ア 混雑する場所(バス車内を含む)では、ショルダーバッグ等から現金が抜き取られたり、荷物から目を離した隙に置き引きにあったりする可能性があります。バッグ等の所持品は常に身につけるか手元から離さないようにしてください。また、買い物等で車を離れる場合には、荷物は車内に放置せず、必ず持って出てください。
 イ 万一被害に遭った場合、犯人は凶器を所持していることもあるため、抵抗することは危険です。冷静に行動し、十分に安全を確認した後に、周囲の人に助けを求める方が賢明です。
 ウ 一般的に、被害に遭った現金・貴重品が本人の手元に戻ることは極めて稀ですので、不必要に大金等を持ち歩かないようにしてください。

(2)遺失
 ア タクシー、バス等の車内にバックや財布を置き忘れるなど、不注意からパスポート、財布等を紛失するケースが多く発生しています。荷物から目を離さず、行動の節目には必ず所持品を点検するよう心がけてください。
 イ パスポートを紛失した場合、新たにパスポートを申請するためには、申請書、写真の他に、警察署発行の紛失届出立証書類、戸籍謄(抄)本、身元確認書類(運転免許証等)が必要となります。紛失等した場合は、速やかに在ミャンマー日本国大使館にご相談ください。
 ウ 携帯電話を紛失などした場合の解約方法等について、本人のみが把握しているだけでなく、日本にいる家族にも周知しておくことをお勧めします。

(3)その他
 ア 報道によれば、子供が性犯罪の被害に遭うケースが増加しています。子供に対しては、知らない人からの誘いには絶対にのらないよう注意しておく必要があります。
 イ 夜間や早朝等人通りの少ない時間帯には、単独での行動は控え、特に女性一人でのタクシー利用や一人歩きは極力避けてください。
 ウ 不審者や不審物がないかなど、絶えず自分の周囲に注意を払ってください。
 エ 飲酒時等、不用意な発言でミャンマー人と口論にならないよう気をつけてください。特に宗教・民族に関する発言には注意が必要です。
 オ 考え方や生活習慣の違いでトラブルに発展するケースがしばしばありますが、ミャンマー人が不快に思うような言動は慎む必要があります。興奮して大声で怒鳴ったために警察沙汰になった事例や日本語を話さない相手を日本語で誹謗中傷したところ、周囲にいた日本語を解するミャンマー人に取り囲まれた事例があります。団体旅行で他のツアー客や日本語を話す現地ガイドと行動を共にすると、海外にいる認識が薄れがちですが、あくまでも文化や考え方、生活習慣が異なる外国であることを強く意識してください。
 カ ミャンマーのタクシーは料金交渉制です。料金トラブルを避けるためには、配車アプリを利用することをお勧めします。配車アプリではタクシーを呼ぶ際に事前に料金が表示され、車両番号や運転手氏名や連絡先の情報も表示されるので、流しのタクシーを利用するよりも安心です。
 キ タクシー運転手の中には、車内に刃物などの凶器を隠し持っている者がいるとの報道があります。これは護身用とも言われていますが、念のため、降車時に料金等でトラブルになっても大きな声を出したり、相手を誹謗中傷したりするような行為は避けてください。
 ク 万一の場合に備え、乗車する前に赤色のナンバープレートを確認し、運転席、助手席ドアに貼られているシティ・タクシーの登録番号を記録しておいてください。
 ケ その他、タクシー乗車時の主な留意事項は次のとおりです。
 (ア)夜間の単独乗車や酩酊状態での乗車は避け、極力、友人らと相乗りする。
 (イ)ドライバーの真後ろに乗車する。
 (ウ)他の客や運転手の「友達・家族」と称する者が乗っているタクシーには乗車せず、途中で他の客を乗車させない。バンタイプのタクシーは、荷台に人がいないかも確認する。
 (エ)未登録のタクシーには乗車しない。
 (オ)ドライバーの風体が怪しいなど、直感的に危険を感じたら乗車を避ける。
 (カ)近くにホテルがあれば、ホテルから利用する。また会社や自宅から利用する場合は、警備員に依頼する(第三者を介する)。

3 テロ対策
 テロについては、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_018.html )をご確認ください。

※ 在留邦人向け安全の手引き
 在ミャンマー日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.mm.emb-japan.go.jp/itpr_ja/SafetyGuide.html )もご参照ください。


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