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● 犯罪発生状況、防犯対策

1 一般犯罪の発生状況
(1)インドネシアでは、金品を目的としたスリ、ひったくり、詐欺等の被害が発生しています。また、銃器を用いた凶悪犯罪の被害報告もあります。
日本人の被害状況としては、路上歩行中のひったくり、人混みでのスリ(路線バス内やイベント会場内でのスリ等)、ショッピングモールやレストラン、ホテルロビーでの置き引き等が発生しています。また、刃物を用いた路上強盗や住居への侵入盗、ホテル客室内での貴重品の盗難なども発生しています。

(2)インターネットを通じた商品購入・売却を装った詐欺や振り込め詐欺(なりすまし詐欺、架空請求詐欺など)の被害報告も確認されています。

(3)地方都市のフェリーターミナル周辺等では、犯罪組織が関与した売春、賭博、麻薬密売なども報告されています。巻き込まれることのないよう、十分注意してください。
 
2 犯罪被害・防犯対策
 犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動を取ることが重要です。犯罪被害状況および防犯対策は、次のとおりです。
(1)スリ・置き引き
 スリは、繁華街、ショッピングモール、公共交通機関(バス、MRT(都市高速鉄道)等列車)の車中や駅構内、路上等での被害報告があり、手口としては、歩行者に話しかけ、気を引いている間にポケットやバッグの中から財布やスマートフォンなどの貴重品を盗み取ろうとするものです。また、集団で観光客を取り囲み言葉巧みに話しかけている間に金品を抜き取る手口も発生しています。
置き引きはショッピングモール内の飲食店やトイレ、長距離バス、空港・駅の構内、ホテル等で多く発生しています。
 滞在中の貴重品の管理については、次の点を参考に十分注意してください。
ア 貴重品やスマートフォン等は、ファスナーや留め金のあるバッグに入れるなど、所持していることを外部から見えないようにし、バッグは体の前方で持つことを心掛ける。
イ 歩きながらスマートフォンの操作(歩きスマホ)をしない。
ウ パスポートや身分証明書(ITAS Elektronik等)は肌身離さず所持する。
エ 現金は、場所を分散させて所持する(盗難のリスクに備えて一箇所のみで所持しない。)。
オ レストラン等での食事の際には、所持品を背後や足下などに放置しない。
カ 人の密集する場所を避ける。
キ 見知らぬ者から突如声をかけられたり、唐突な依頼をされる場合には、相手の言動等に惑わされたり、油断することなく、会話を断ち切り、すぐにその場を離れる。

(2)ひったくり、路上強盗
 インドネシア国内各地で強盗被害が発生しています。強盗に遭遇した際は、相手は凶器を持っている可能性が高いので、抵抗せずに身の安全を第一に考えて行動してください。
 オートバイに乗った二人組が歩行者の背後から近寄り、追い越しざまに歩行者のスマートフォンやショルダーバッグ等を強取するひったくり被害が増えています。歩行中や道路の横断中は、周囲に不審者がいないかどうかを確認し、高価な腕時計やバッグの携行は控え、手荷物は車道の反対側に持つようにするなどの心がけが必要です。
 以下の点に留意の上、周囲の警戒を怠らないようにしてください。
ア 外出する際、できるだけ貴重品は持ち歩かないようにする。やむを得ず携行する場合は、分散して持ち、被害を最小限にする。
イ 歩行中は、バッグや携帯電話など所持品に常に注意を払う。歩きスマホは周囲への注意力が散漫になり犯行のターゲットになりやすいほか、事故の原因となる可能性が高いため、絶対に止める。やむを得ず、スマートフォンを使用しなければならい場合には、一度立ち止まり、壁などを背にして周囲に注意を払いながら確認する。
ウ 深夜帯の外出や単独行動は避ける。

(3)詐欺
ア インターネット上の物品売買にかかる詐欺
 インターネット上での物品売買を装った詐欺が増加しています。例えば、Instagram掲載のコンサートや航空券等の格安チケット購入に当たり、先方にコンタクトするとWhats Appで直接連絡を取り合うように誘導され、言われるがままに購入代金の振り込みをすると、連絡が途絶え、結果として振込金額をだまし取られるという詐欺被害が増えています。身元のわからない人物との売買は避け、正規ルートによる購入をおすすめします。
イ 振り込め詐欺
 振り込め詐欺(なりすまし詐欺、架空請求詐欺など)の被害報告もあります。実際の手口として、なりすましの銀行員から「クレジットカードの不正利用の形跡があるため早急に対応する必要がある」等の連絡があり、指示どおりに対応した結果、被害者の銀行口座から犯人側へ不正送金されてしまう詐欺被害が発生しています。そのほか、郵便局や電話会社を名乗った自動録音メッセージの電話により、「受け取っていない荷物が郵便局に届いている」「未払いの料金が発生している」等の理由を述べた後、「オペレーターに繋ぐので●●番を押すように」と誘導され、オペレーターに繋がれると個人情報を聞かれた上に犯人の指定口座に振り込みをするよう誘導される手口です。過去には、子供が通う学校の教員を名乗り、インドネシア語で「子供が学校で怪我をした。病院費用等が必要なため、現金を振り込んで欲しい。」等と電話をかけてお金を振り込ませようとする、といった事案も発生しています。
 このような連絡があった際には、相手の連絡先を確認して一旦電話を切り、正規の連絡先に直接確認した上で対応することが重要です。
ウ 日系企業を狙った詐欺
 日系企業を狙った振り込め詐欺未遂事案が発生しています。具体的には、会社の財務担当者宛てに日本の本社の社長や幹部を名乗る人物から連絡があり、企業買収等の極秘案件があるとして、至急指定口座に振り込むよう指示するケースなどですが、このような場合も冷静に対応し、必ず一旦電話を切り、日本の本社に確認するようにしてください。また、各会社においては、財務担当者の一存のみで簡単に振り込むことができることのないようなシステムを構築することも必要です。

(4)マッチングアプリ等を利用した詐欺等
 マッチングアプリやカラオケバーを通じて知り合った現地女性とトラブルにあう邦人男性が増えています。具体的な例として、知り合った女性と二人でいる際、女性が何らかの理由をつけて所持品を置いたままその場を離れ、一人で待っている邦人男性の前に麻薬捜査中の警察を名乗る男らが現れ、女性の残した所持品から麻薬を発見、邦人男性の所持品であるとして逮捕すると言い、逮捕を避けるための示談金として数百万円相当の支払いを要求するケースや、女性とネットを通じて会話している際、邦人男性から破廉恥なことを言われたとして警察に通報すると告げられ、その後、警察と称する男性から「逮捕されたくなければ示談金を払う必要がある」等と脅されるケースが発生しています。これらのケースでは、警察官が偽物である場合や、本物だったとしても女性と警察官が共謀している場合も想定されます。万が一、このようなトラブルに巻き込まれた際には、警察手帳の写真を撮るなどして相手の身分を確認・記録するようにしてください。なお、麻薬絡みの場合は、本物の警察官であるケースがあり、最悪の場合、禁固刑になることもあります。このようなトラブルがあることを念頭に甘い言葉には乗らないよう十分注意してください。

(5)スキミング
 銀行口座の預金が知らない間に引き出される被害が発生しています。手口としては、空港やショッピングモール等のATMにカードの情報を読み取る装置、小型カメラを設置して暗証番号を盗撮するケースがあります。ATMを利用する際には、周辺に注意の上、暗証番号が他人から見えないよう心掛け、頭上や手元等に不審物が取り付けられていないかを確認し、不審点がある場合には手続きを直ちに中止し、取引銀行や警察等に通報してください。

(6)タクシー利用時のトラブル
 タクシー利用に際しては次の点に注意することが必要です。
ア タクシーの利用の際は、シルバーバード・タクシーやブルーバード・タクシー等比較的安全とされているタクシー会社を利用する。流しのタクシーよりも、タクシー会社の配車アプリを利用する方が安全性は高い。ただし、これらタクシーに色や名称を似せたタクシー会社も存在するので、混同しないようよく確認する。
イ 深夜に流しのタクシーを利用することは、強盗被害に遭遇する危険性があるため避ける。
ウ タクシーに乗ったら、全てのドアがきちんとロックされていることや運転者証の写真と名前を確認し、別人だと疑われる場合は速やかに降車する。
エ 万一、タクシー強盗に遭遇した場合には、抵抗せず、身の安全を守ることを最優先する。
オ 空港から乗ったタクシーで法外な料金を要求される事例が発生しているので、運転手の氏名や車両番号、タクシー会社名をメモする、またはスマートフォンで写真を撮るなど記録化しておく。
カ GojekやGrab等の配車アプリを利用する場合には、乗車時にアプリ上で登録されている車両ナンバー、運転手及び行き先を確認する。
キ インドネシアの運転手は、運転が荒いことがあるため、危険を感じた場合にはスピードを落として欲しい等、安全運転を心がけるよう伝える。

(7)パンク強盗・車上荒らし
 道路上に釘をまいて車のタイヤをパンクさせ、タイヤの修理中に車内のバッグ等の貴重品を持ち去るといった手口の犯行が発生しています。走行中にパンクしても、すぐに降車せず、周囲の状況を確認し、状況に応じてホテルやショッピングモール等の駐車場まで移動して、安全を確認した上で修理する必要があります。
タイヤ交換等を行う際には、貴重品は車内に放置しない、荷物はトランクに入れ、鍵をかけておく等の注意が必要です。類似の手口として、走行中に後方から「タイヤがパンクしている」と合図をして停車させ、タイヤを確認している隙を狙って犯行に及ぶものもあります。また、駐車中の車の窓ガラスを割り、ドアをこじ開け、車中に置いてあるものを盗む「車上ねらい」にも注意が必要です。対策としては、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る、バッグや携帯電話等の貴重品を外から見える場所に置かないように注意するほか、車内に貴重品を残さないようにする必要があります。
 なお、強盗に遭遇した際には、相手は凶器を持っている可能性が高いので、抵抗せずに身の安全を第一に考えて行動してください。

(8)警察官・入管職員を名乗る者による身分証明書検査を装った詐欺
 深夜や早朝に市内をタクシーで移動中、警察官や入管職員を名乗る者からパスポート・身分証明書等の提示を求められ、応じられない場合、法外な金銭を要求されるケースが見られます。警察当局によると、路上で外国人の身分を確認することはありますが、その場で罰金を徴収するケースは基本的にないとのことです。遭遇した場合は、身の安全を第一に考え、対応した警察官等の名札、公務員番号、パトカーの番号を控え、金銭を支払った際には領収書を要求するようにしてください。

(9)侵入盗
 インドネシアでの侵入盗被害は、アパートやマンションよりも一戸建て家屋で多く発生しており、在宅中であっても被害が報告されています。窓ガラスに鉄格子が設置されていても、簡単に外せるものがあるため、入居時には強度の確認を行ってください。
 具体的手口として、犯人は、家主不在中を狙って直接アパートを訪れ、「機器の点検に来た。」「家主等の身内・友人であり、部屋の鍵を貸して欲しい。」と言葉巧みにアパートのスタッフやメイドを騙し、部屋に入って金品を盗みます。スタッフやメイドに対しては、必ず家主に確認を取ってから対応し、第三者を勝手に部屋に立ち入らせないよう指導しておくことが肝要です。

(10)麻薬等薬物犯罪
 薬物の所持・売買・使用等は法律で禁止されています。空港で薬物を持ち込もうとした外国人が逮捕された事例や、市内で薬物を購入した後、見回り中の警察官に現行犯逮捕された事例が報告されています。覚せい剤(合成麻薬(MDMA)、ヘロイン、大麻、コカインなどの違法薬物)の所持・売買・使用等は法律で禁じられており、裁判所は外国人に対しても禁固刑や死刑罰を科す等、薬物事犯に対して非常に厳しい姿勢で臨んでいます。違法な薬物には絶対手を出さず、見知らぬ人から内容不明の物品の購入や運搬を依頼されても決して応じないでください。
 観光客が集まる繁華街の路上、ナイトクラブ等で、覚醒剤、大麻等の薬物を売りつけてくる者がいます。路上で押し売り等に遭っても絶対に相手にしないでください。

(11)テロ・誘拐情勢
 テロ・誘拐情勢については、以下のリンクをご参照ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_002.html

(12)安全の手引き
 在外公館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」もご参照ください。
在インドネシア大使館 https://www.id.emb-japan.go.jp/visaj_10_anzenmanual.html
在スラバヤ総領事館 https://www.surabaya.id.emb-japan.go.jp/itpr_ja/tebiki.html
在マカッサル領事事務所 https://www.surabaya.id.emb-japan.go.jp/files/000450119.pdf
在デンパサール総領事館 https://www.denpasar.id.emb-japan.go.jp/files/100458111.pdf
在メダン総領事館 https://www.medan.id.emb-japan.go.jp/files/100472070.pdf


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