海外邦人事件簿|Vol.46 親切な外国人。振舞われたご馳走の中には…

日本は世界の中でも最も安全な国の一つです。それでも子供には「知らない人には付いていかないように」と教えます。大人でも、突然街で声を掛けてきた見知らぬ人に警戒しない人はいないでしょう。しかし、何故か海外では理由のない笑顔や親切な言葉につい気がゆるみ、誘われるがままに人を信用し、日本ではわけなく避けられる事件・事故にも巻き込まれ、ひどい目に遭う日本人旅行者が後を絶ちません。

『親日的な中東の街で、観光名所を訪ねていたAさん。現地の男性から「ガイドブックには載っていない名所に案内する」と親切に誘われたので案内を頼んだ。名所へ向かっている途中の市場で男性にジュースを振る舞われ、会話も弾んでいたが、その後の記憶が全くない。』

『日本人観光客の多いヨーロッパの観光都市において、「市内の案内をする」と話しかけられたBさん。相手の態度が非常に誠実そうだったので、案内だけならと誘いに乗った。美術館などを一緒に見学し、公園で休憩した際、ソフトクリームを差し出されたBさん。気がついたら芝生の上。旅券やクレジットカードの入っていたバッグは消えていた。』

親切そうな現地の男性に案内され、ジュースを振る舞われた。

『東南アジアの賑やかな街を旅行中、その日の宿泊先を探していたCさん。日本語が話せる現地の親切な女性から「日本人が多く利用する安全で良い宿を教える」と言われ、宿を紹介された。その後、食事を振る舞われ、ビールを飲んだが最後、意識を失った。』

このような睡眠薬強盗の被害に日本人が遭ったという事件は、世界中から報告されています。なかには、睡眠薬強盗がその国で多発していることを知っていたにもかかわらず、被害に遭ってしまった日本人旅行者もいます。それだけ犯罪者の話術が巧みで、「親切で優しい人」を巧妙に演じていたということでしょうか。

日本語が話せる現地の女性に宿を紹介された。

残念なことに、海外の犯罪者には「日本人は、金持ちでだましやすい。」と思われているようです。

旅先で出会った人から飲み物などを勧められたら要注意です。また、飲み物だけではなく、クッキーやチョコレート、飴、くだもの等の食物に仕込まれたり、タクシーのクーラーの吹き出し口に仕掛けられた睡眠薬の犠牲になった旅行者も大勢いますのでご用心ください。

「あなたを狙う犯罪者は、必死になって親切で優しい親日家を演じている」ということをお忘れなく。

(2006年4月26日掲載)

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