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フィリピン
安全対策基礎データ

更新日 2023年12月19日

1 犯罪発生状況
(1)発生件数
 フィリピン国家警察(Philippine National Police/PNP)が発表した全国犯罪統計によれば、2022年のフィリピン全土の犯罪発生件数総計は約38万件であり、日本と比較して強盗は日本の約4倍、殺人は約6倍、不同意性交は約5倍にのぼります。
 犯罪に遭遇する危険性を抑えるためには、日本との違いや主な犯罪手口を理解し、適切な予防策を講じることが重要です。

(2)犯罪の特徴
 フィリピンでは、一般市民でも、警察への登録・許可制度に基づく合法的な銃の所持・携行が認められているほか、未登録の銃器や密造銃なども広く出回っているため、銃器による犯罪が発生しやすい環境にあります。また、犯罪を遂行するために過剰な手段をとる犯罪も多く、たとえば、2017年6月にマニラのニノイ・アキノ国際空港近くのリゾート・ホテルにおいて発生した、カジノを狙った強盗事件では、犯人グループが銃を乱射するとともに放火し、38人が火災で逃げ遅れて死亡しました。
 罪種別の特徴は以下のとおりです。

ア 窃盗
(ア)スリ・置き引き
 マニラ首都圏では、スーパーマーケット、ショッピング・モール、公共交通機関(バス、ジープニー、トライシクル、国鉄、高架鉄道(LRT、MRT)等)利用時のスリ被害、ホテルやレストランでの置き引き被害が依然として多発しており、日本人も被害に遭っています。特に、財布、スマートフォン、タブレット端末、ウエストポーチ、セカンドバッグ等の窃盗被害が目立ちます。スーパーマーケットやショッピング・モール等の混雑した場所のほか、エスカレーターやエレベーター、列車の車両、小売店の通路といった狭い空間における集団による犯行が多いのも特徴です。

(イ)ひったくり
 マニラ首都圏を中心に、主要都市の繁華街等の路上において、オートバイによる携行品のひったくり被害が発生しています。ひったくられた携行品を手放さなかったために転倒して怪我を負った例もあります。

(ウ)物乞い他
 マニラ市やセブ市の繁華街等で、急に子供たちに取り囲まれ、小銭等をせがまれて、気を取られている隙にバッグやウエストポーチの中から財布を抜き取られるケースが報告されています。子供たちは、比較的高齢の外国人を対象に犯行に及んでいるようです。
 また、こうした子供たちに囲まれて困っているところを助けてくれた親切なフィリピン人に気を許し、一緒に食事をしたところ、睡眠薬強盗の被害に遭ったとの報告も寄せられています。

イ 強盗
(ア)路上強盗
 強盗に遭遇した際に、抵抗したり、逃げ出したりして射殺されるケースもたびたび起きています。日本人の被害例は以下のとおりです。
○歓楽街等を歩行中、2~3人組の男達に金品を要求され、抵抗した際に発砲を受け負傷した。
○通勤時、勤務先近くの路上で、銃器を持った犯人に待ち伏せされ、多額の現金の入ったバッグを奪われた。
○乗り合わせたジープニーで拳銃を持った複数の強盗が乗り込んできて金品を強奪された。

(イ)睡眠薬強盗
 睡眠薬強盗事件の被害報告は、ほぼ毎月のように大使館に寄せられています。金銭的な被害にとどまらず、睡眠薬や精神安定剤等は、摂取量や体調によっては身体に重大な影響を及ぼすおそれがあります。旅行者に限らず、長期滞在者も十分に注意してください。主な手口(犯行の流れ)は次のA~Dのとおりです。
 A ショッピング・モール、繁華街、公園、船着き場、観光名所等において、一見裕福そうな老若男女のフィリピン人が、単独、カップルあるいは家族連れを装って、観光案内を持ちかけたり、飲食店等の場所を訊ねたりするなどして、言葉巧みに日本人に近づく。
 B 日本人がこれに反応し、立ち止まって話を聞いていると、「親族が日本にいる」、「日本に興味があるので日本の話を聞かせてほしい」、「タガログ語を教えるから日本語を教えてほしい」等と畳みかけ、日本人の親切心に訴えてくる。
 C 日本人が意気投合したとみると、頃合いを見計らって「一緒に食事をしよう」などと誘い出し、タクシーでの移動中や、到着したレストランや自宅と称する建物等で、睡眠薬を混入させた食べ物・飲み物をすすめる(1日~数日行動を共にし、信用させた頃に犯行に及んだ事例も報告されている。)。
 D 昏睡させた後、所持品を盗み取る。更に、盗んだキャッシュカード、クレジットカードを使って現金を引き出す。
 この他、同様の手口で日本人を誘い出し、目覚めたら「暴行された」などと言いがかりをつけ慰謝料を請求するケース、「いかさま賭博」に巻き込んで多額の現金・スマートフォン等をだまし取るケースもあります。

ウ 殺人
 フィリピンでは、毎年、日本人が殺人被害に遭っています(2022年:2件、2021年:1件、2020年:1件、2019年:2件)。
 殺人事件の多くは、フィリピン人との商売上のトラブルや、怨恨等に起因するものが多いと推察されます。また、外国人が、夜間に強盗に遭い、抵抗したり、突然逃げ出したりして射殺されるケースもたびたび発生しています。

エ 性犯罪
 フィリピン全土で年間約8,000件(日本の約5倍)の不同意性交事件が発生しています。外出時には露出度の高い服装を避け、単独や複数であっても女性のみでは行動しない等の注意が必要です。また自宅でも(高層階を含む)カーテンを開けたまま肌を露出しないよう注意してください。

2 基本的な安全・防犯対策
 犯罪被害に遭わないためには「自分の身は自分で守る」との心構えを持ち、最新の治安情報収集に努める、危険な場所には近づかない、多額の現金・貴重品は持ち歩かない、見知らぬ人物を安易に信用せずに警戒するなど、常に防犯を意識した行動をとることが重要です。
 犯罪の手口は日々変化していますが、犯罪の特徴を正しく理解し、その手口は常に一つではないことを理解し相応の心構えを持つことで、未然に犯罪被害を防ぐことができます。犯罪に対する基本的な心構えや安全・防犯対策についての詳細は次のとおりです。

(1)基本的心構え
ア 犯罪を誘発する環境を作らない(犯行のチャンスを与えない)
 ホテルを含め、現金その他貴重品を持っていることが周りにわかるような服装や行動を極力見せないように注意してください。
 また、自分の名前、住所、電話番号、家族構成、スケジュールなどは必要な相手以外には知られないよう注意してください。

イ 他人の話を安易に信用しない
 言葉や習慣に不慣れな外国人にとって、フィリピン人から親切にされると、つい信用しがちになりますが、悪意を持って近づいてくる者もおり、中には複数人のグループで、外国人を信用させた後で犯罪に及ぶケースもあります。また、言葉が分からなくても、現地人に全てを任せないようにしてください。特に注意すべき例は次のとおりです。
(ア)繁華街や観光名所等で言葉巧みに話しかけられても、狙われていると考えて、相手の誘いに乗らない。特に、日本語で話しかけてくる人物には、男女を問わず警戒する。
(イ)ストーリー仕立ての犯罪があることを十分理解し、たとえその出会いが自然に思えたとしても、知り合ったばかりの人の誘いにのって、飲食をともにしたり、その人の家に行ったり、泊まったりしない。
(ウ)家族の事故による治療・入院費用や滞在査証延長手続に必要な経費等を直ちに振り込むよう連絡を受けた場合には、安易に信じることなく、まずは本人や所属先などに事実関係を確認する。

ウ 生命と身体の安全を最優先に考える
 凶器(特に銃器)を使用した犯罪が多いフィリピンでは、殺人目的でなくても、生死に関わる事態に発展する危険があります。強盗などに襲われた場合は、相手が凶器を所持していることを想定し、絶対に抵抗せず、生命と身体の安全を最優先に考え、落ち着いて行動してください。たとえば金品の要求に応じようとポケットやバッグに急いで手を伸ばすと、反撃すると誤解され攻撃される可能性もあるので、身体を動かすことなく「ポケットに入っている」などと口頭にて説明するか、指だけで差し示して犯人に取らせるようにしてください。

エ Facebook、LINEやTikTok等のSNSの使用に注意を払う
 Facebook、LINEやTikTokといったSNSでの詐欺が世界中で発生しています。フィリピンでも多くのSNSが利用されていますが、個人情報の取り扱いに注意する等、細心の注意が必要です。

(2)公共施設等での安全対策
 公共施設等においては、以下の安全対策をとってください。
○利用する施設の非常口、避難経路をチェックする。
○周囲で発砲音等が聞こえた場合には、悲鳴をあげたり、叫んだりせず、可能な限りすばやくその場を離れる。移動ができない場合には、直ちに安全な場所(遮蔽物の後ろ)に身を隠す。
○隠れる場所がない場合は、銃声の方向に足を向けて床に伏せるなど、できる限り身を低くする。
○さらに放火等の可能性も想定し(多くの場合屋内の階段等が使用不可となる)、隠れた場所にとどまることなく、避難のタイミングと退路を考える。

(3)外出・交通機関利用時の安全対策
 外出する際の安全対策は以下のとおりです。
ア 基本的対策
○服装、持ち物は、できるかぎり華美なものを避け、なるべく目立たないものにする。
○多額の現金、パスポート等の貴重品は持ち歩かない(パスポートコピーの携行を推奨)。
○やむを得ず貴重品を携行する際には、一カ所にまとめず、分散して携行する。特に財布と携帯電話は別々に持つようにする(金品を奪われた時に連絡手段がなくなることを防ぐため)。
 
イ スリ、置き引き
○ズボンの後ろポケットに財布や携帯電話を入れない。
○むやみに人前で財布やスマートフォン、タブレット端末等を取り出さない。
○常に手荷物から目を離さない。混雑しているエレベーターやエスカレーターなど、身動きのとれない閉鎖空間では特に注意する。
○繁華街や乗り合いバスなど人混みの中では、常に用心し、バッグの中の財布の位置に気をつける(すぐ取り出せるところに入れない)。

ウ ひったくり
○スマートフォンや携帯電話を操作しながら、また、音楽を聴きながら等の「ながら歩き」はしない(周囲への注意力が低下するため)。
○車と対向する側の歩道を選択し、できるだけ車道から離れた側の端を歩く。
○バッグ等は車道と反対側に携行するか、身体の正面で持つように心がける。(肩掛け式のバッグはたすきがけにすることが望ましい。リュックサック式のものは、背後からジッパーを開けられる、または刃物で切り裂かれ財布等を奪われることがあるので注意。)
○ひったくり犯はオートバイを使うことが多いため、被害に遭った場合は、身の安全を第一に考え、抵抗せずバッグから手を離す。

エ 強盗
○銀行、ATM、両替所等からの帰り道などは特に周囲の状況に注意する(犯人は、あらかじめ狙いを定めて犯行に及ぶため)。
○万一被害にあった際は、相手が凶器を持っていることを想定して抵抗せず、また、急いでバッグやポケットに手を入れたり、走り出したりするなどの突然の挙動を避ける。
 
オ 睡眠薬強盗、美人局
○見知らぬ人に軽々しくついて行かない。また提供されたもの(飲食店等においては、自分が注文したものではないもの)を不用意に口にしない。
○初対面の人を信用せず、電話番号や連絡先を教えたり、不用意に共に行動したりしない。

カ 性犯罪等
○可能な限り夜間の一人歩きは避ける。
○薄暗い公園などや人通りの少ない路地等には近づかない・立ち入らない。
○危険を感じたら、躊躇せず周りの人に助けを求める。逃げる際は、明るい方向や人がいる方向に逃げる。
○ホイッスル・防犯ブザー等大きな音が出るものを身につけ、危険が迫っていると感じた場合に使用する。

キ テロ等
○周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れ、できるだけ滞在時間を短くする等、その場の状況に応じた安全確保に努める。

ク 公共交通機関での移動
○公共交通機関(LRT、バス、ジープニー等)の利用は極力避ける。
○タクシーを利用する際は、極力複数名で利用する。
○流しのタクシーは極力利用しない(店、ホテル等に呼んでもらう)。
○比較的安全とされるGrabタクシー(タクシーアプリ)でも、完全には信用しない。

3 その他の安全・防犯対策
(1)脅迫対策
 フィリピンでは多く発生している犯罪のひとつですが、用意周到に計画されたものから、いたずら電話に近いものまで、脅威の程度は様々です。自ら安易に真偽(信憑性)のほどを判断せず、また相手の要求をそのまま受け入れることもせず、まずは大使館および警察等関係当局に相談してください。
(2)ぼったくり
 フィリピンでは、相手が外国人と分かると法外な料金を請求するような業者は、商店や飲食店に限らず、弁護士や葬儀社等、多岐にわたりますので、十分な注意が必要です。
 ただし、近年フィリピンの物価・人件費等は上昇傾向にあり、高額だからと言って「ぼったくり」とは限りません。事前によく確認するとともに、見積書や請求書、領収書等で内訳を確認し、感情的にならず、不明な点があれば細かく店員に尋ねるなど、冷静な判断、対応に努めることも必要です。

4 テロ・誘拐情勢
 テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_013.html )をご確認ください。

5 安全の手引き
 在フィリピン日本国大使館が作成した「安全の手引き」(https://www.ph.emb-japan.go.jp/files/100336435.pdf )をご参照ください。

 手続や規則等は、事前の通告なく変更されることがありますので、最新の情報については、駐日フィリピン大使館、大阪・名古屋各総領事館(https://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/consular-missions/ )またはフィリピン入国管理局(https://immigration.gov.ph/contacts/ )等にお問い合わせください。

1 査証(ビザ)
(1)観光及び商用目的等の短期滞在者
ア 観光や商用目的等で、かつ30日間以内(日数は到着日から起算)の滞在であれば、事前の査証取得は必要なく、フィリピン入国時に30日間有効の滞在許可が付与されます。ただし、入国審査にあたって、有効なパスポート(注)に加え、eTravelへの登録や30日以内にフィリピンを出国することが確認できる航空券が必要です。
(注)フィリピン入国やフィリピン行きフライト搭乗に際し、パスポートの残存有効期間が6か月未満のため、入国拒否や搭乗拒否に遭う事例が発生しております。日本を含む特定国のパスポートは、残存有効期間が6か月未満であってもフィリピン入国可との情報も一部見受けられますが、上記次第から、フィリピン滞在予定期間に6か月を加えた残存有効期間のパスポートをご用意いただくことを強く推奨します。
(参考)eTravel登録ページ:https://etravel.gov.ph/
イ 30日間を超える予定の場合は、入国前に必要な査証を取得するか、在留許可期限が切れる前に、フィリピン入国管理局で在留許可期限を29日間まで延長(合計で59日間の滞在)することが認められています(ただし入国時には30日以内に出国する航空券の提示が必要です)。さらに「外国人登録証(ACR-I Card)」(本章4(1)参照)を取得すれば最長36か月(入国日から起算)の滞在が可能です。
 なお、これらの手続にあたってフィリピン入国管理局が発行した領収書は大切に保管してください。

(2)留学生
 学位や単位取得を目的とした留学には学生ビザが、短期語学留学等を目的とする滞在では、入国管理局が発行する「特別留学許可(SSP:Special Study Permit)」が必要となります。受け入れ先の学校とも相談の上、確実に取得するようにしてください。

(3)配偶者がフィリピン人の方(バリクバヤン・プログラム)
 フィリピン国籍者と共に入国する日本人配偶者は、入国時に最大1年間の無査証滞在許可を与えられます。ただし、この措置は1回の入国につき1回限りで、引き続き滞在する場合は、「短期渡航者ビザ(9A、当初の1年無査証滞在期間を含め最大36か月まで更新可)」に切り替えるか、もしくは「ノンクオータ移民ビザ(13A、いわゆる結婚永住ビザ)」を申請する必要があります。どちらも当初の滞在許可期限の2か月前までに手続を行う必要があります。

2 入国審査等
(1)入国審査にあたっての留意点
 入国審査官は、入国目的や滞在期間などの回答だけでなく、渡航者の態度や挙動等も同時に審査しています。入国審査には時間がかかることも多く、順調に進まないと不満を覚えるかもしれませんが、順番待ちの時間も含めて不審を抱かれるような行動をとった場合には、たとえ査証やその他書類が揃っていても、審査官の裁量で入国を拒否される場合がありますので、十分注意してください。
 また、態度に示したり、大声を上げたり、係員に詰め寄ったりすると、入国拒否や身柄を拘束されたりするおそれがあるため、慎重に行動することが肝要です。

(2)ブラックリスト照合
 入国拒否対象者等リスト被搭載者や不良外国人と同一の氏名であることにより入国を拒否されそうになる例もあります。このような問題が発生した場合、入国後速やかに「非同一人性証明書(Certificate of Not the Same Person)」を取得するようおすすめします。詳細はフィリピン入国管理局(https://immigration.gov.ph/contacts/ )にお問い合わせください。

(3)子供(15歳未満)の入国
 駐日フィリピン大使館によれば、外国籍(フィリピン人以外)の15歳未満の未成年者が単独または親(離婚している場合は親権者)の付き添い無しにフィリピンへ渡航する場合、在日フィリピン大使館または総領事館に対し、父母または親権者が事前に「扶養・保証の同意宣誓供述書(Affidavit of Support and Guarantee with Consent)」を申請し、その認証を受けた上で、入国時に入国管理局から確認書(WEG:Waiver of Exclusion Ground)の発給を受ける必要があるとのことです。詳細は渡航前に駐日フィリピン大使館または総領事館、搭乗予定の航空会社等に確認してください。
 駐日フィリピン大使館案内:https://tokyo.philembassy.net/ja/consular-section/services/notarial-services/waiver-of-exclusion-ground-weg/

3 通関
(1)持込禁制品および規制品
ア 持込み禁制品
 麻薬等違法薬物類、銃砲刀剣類(部品や材料を含む)、爆発物(部品や材料を含む)、わいせつ物(雑誌、ビデオ、写真等)、賭博用品類、象牙または象牙製品、商標権や著作権等を侵害する物品等
イ 持込み規制品
動物、肉類、果実および植物、海・水産物、薬品類、トランシーバー等

(2)税関検査等
ア 税関検査
 税関申告は正確に行ってください。実際に開披検査が行われることは多くありませんが、フィリピンの関税法では外国人の荷物は税関検査官の判断により課税対象となるか否かが決められ、一旦検査を受けると、高価そうなものは全てレシートの提示を求められ、提示できなければフィリピンの関税定率に基づいて税金が徴収されます。
 特に下記のような物品は、没収されたり課税されたりする可能性がありますので注意してください。
(ア)違法性が疑われる物品や多額の現金
(イ)滞在日数に見合わないほど大量な医薬品や化粧品等
(ウ)制限を超えた量の酒類、たばこ
(エ)高価に見える腕時計、貴金属類
(オ)スマートフォンやパソコン等の電子機器類(複数個保有や未使用品の場合)

イ 関税納付
 持ち込もうとする品物が課税対象であると判断された場合は、定められた関税を現金(フィリピンペソ)で支払う、または、(当該品物を必ず第三国に持ち帰ることを前提として)保証金※を現金(フィリピンペソ)で支払う(フィリピン出国時に返金されます)、これらいずれかの方法により、当該品物を没収されることなく、フィリピン国内に持込むことができます。
 なお、課税額は、持ち込もうとする品物の元々の金額に応じて定められていますので、係官に商品のレシートを提示する必要があり、仮にレシートを提示できない場合には、税関係官により課税額が決定されます。販売目的と見なされるもの(新品の通信機器、電化製品、化粧品等の大量持込み等)は、すべて課税の対象となることがありますので注意してください。
(※)保証金(Cash Bond)は、係官によって定められた課税額に50%を加えた額となります。

(3)外貨の持込み・持出し
 出入国に際し、1万米ドル相当額以上の外貨(現金、小切手、有価証券等および貴金属類を含む)を持ち込む、または持ち出す際には、申告する必要があります(申告せずに持ち込み、摘発・押収される例も発生しています。また、現地通貨(ペソ)は、5万ペソ以上の持出し・持込みが禁止されています。
 多額の外貨等を持ち込む場合には、あらかじめ日本の税関当局に対して「支払手段等の携帯輸出・輸入申告書」を申告するとともに、フィリピン到着時の「税関申告書(CUSTOMS DECLARATION)」の該当箇所にチェックを入れ、税関当局から「外貨等持込申告書(Foreign Currency and Other Foreign Exchange-Denominated Bearer Monetary Instruments Declaration Form)」を入手して記入・提出してください。
詳細につきましては、各税関当局に直接お問い合わせください。

4 入国時の留意点
(1)荷物受け取り
 ターンテーブルで自分の荷物を探している間、カートに乗せる間、または車に積み込む際等に荷物を奪われる事件が発生しています。現金、貴重品等が入ったバッグを無造作にカートや地面に置かないでください。
(2)両替
 空港、銀行、ホテル、街中の両替商で可能です。また、出国時に余ったペソ貨は空港で外貨に両替できますが、外貨をペソ貨に交換したときの領収書の提示を求められることがありますので、領収書は大切に保管してください。
 空港での両替時もひったくり等に狙われる場合がありますので、両替は少額にとどめることをおすすめします。
(3)空港からの移動
 夜間は車両強盗等の犯罪に遭遇する危険性が高くなりますので、夜間到着便の利用はできるだけ避けるとともに、夜間に到着する場合には、あらかじめ出迎えを手配するなど必要な準備をしてください。
ア 出迎えがある場合
 現地の関係者や宿泊施設等から事前に情報を入手し、出迎え者や出迎え車両に間違いないかを確認してください。自分の氏名や組織を記載したボードを掲げている人物がいても、中には他の出迎え者のボードにある名前を写し取って、自車に誘導しようとする犯罪者もいますので、直ちに信用せず、所属や関係者の情報等を確認し、不審に思ったら関係者や宿泊施設等に連絡して確認してください。
イ 出迎えがない場合
 タクシーを利用せざるを得ない場合には、各ターミナル到着ロビー内にあるタクシー会社の受付カウンター(Counter Dispatched Booth)に行き先を告げ、手配を依頼してください。流しのタクシーや客引き(建物の出口付近でむやみに話しかけてくる(タクシーをすすめる)者など)には十分に警戒し、これらのタクシーは絶対に利用しないでください。
 タクシー乗り場からタクシーを利用する際には、タクシーの側面および内部に記載されている会社名、プレート番号、連絡先番号を控えるとともに、タクシーに乗車していることを家族、職場の同僚、知人等にメール、LINE等で伝えておくことも一案です。

5 出国時の留意点
(1)出国前の準備
ア 出国許可証(ECC:Exit Clearance Certificate)」の取得
「外国人登録証(ACR-I Card)」所持者がフィリピンに6か月以上滞在した後に出国する場合は、あらかじめフィリピン入国管理局より「出国許可証(ECC:Exit Clearance Certificate)」を取得する必要があります(領収書は要保管)。
イ 出国許可証(ECC:Exit Clearance Certificate)」の取得免除
フィリピン退職者庁(PRA)が発行する「退職者用特別在留ビザ(SRRV査証(=PRAビザ))」、フィリピン投資委員会(BOI)が発行する「投資家用特別在留ビザ(SIRV 査証(=投資家用特別居住ビザ))」、また、フィリピン経済区庁(PEZA)が発行する「47(A)(2)査証ビザ(PEZA登録企業関係者等用ビザ)」保有者はECCの取得を免除されていますが、詳しくはフィリピン入国管理局等へお問い合わせください。
ウ 査証カテゴリーのダウングレード
9Dや9Gなどの労働ビザ、または9Fの学生ビザ等を取得して滞在している方が、当地での勤務・留学を終えて帰国する場合、(a)「外国人登録証(ACR-I Card)」を入国管理局へ返却し、(b)査証カテゴリーのダウングレード(例えば9D労働ビザから9A観光ビザへ変更)手続を行ってから、(c)「出国許可証(ECC)」を取得する必要があります。この手続をすべて終えるのに通常2か月程度を要しますので、十分余裕をもって手続を開始してください。詳しくはフィリピン入国管理局にお問い合わせください。

(2)係争案件を抱えている場合
 フィリピン国内で係争中の裁判を抱えている場合など、係争の相手側から出国差し止め命令(Hold Departure Order)が請求されている場合、航空会社のチェックインはできても、出国が認められない場合があります。

(3)未成年者の出国
 12歳未満の外国籍(フィリピン人以外)の子供の出国には原則として保護者の同伴が必要です。また、フィリピン人の未成年者(18歳未満)の単独出国については、社会福祉開発省(DSWD)の規定により、あらかじめ「渡航許可証(Travel Clearance)」を取得する必要があります。詳しくは次のDSWDホームページをご参照ください。
 https://www.dswd.gov.ph/travel-clearance-for-minors/
 なお、フィリピンでは親であっても、未成年の子をもう一方の親の同意なく勝手に同伴して引き離したり、子に対し一方の親を放棄するよう教唆したなどと訴えられた場合、いわゆる略取・誘拐罪の容疑で逮捕または指名手配される可能性がありますのでご注意ください。

(4)ハーグ条約
 フィリピンは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去りまたは留置した場合は、原則的に子が元の常居所地国に返還されることとなります。ハーグ条約についての詳細はこちらのページをご覧ください。
(参考)ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html

(5)空港施設使用料等
 空港施設使用料※は、航空券購入時に徴収されるようになっています。ただし、一部の航空会社や旅行代理店では空港使用料を徴収していないケースもあるため、地方空港を利用する場合も含め、航空券購入時に確認しておくことをおすすめします。発券時に空港使用料が含まれていない場合、出発空港で支払う必要があります。
 ※参考:国際線はマニラ550ペソ、セブ935ペソ、ダバオ750ペソ。国内線はマニラ550ペソ、セブ350ペソ、ダバオ200ペソ。
また、フィリピンに1年以上滞在した場合、旅行税(Travel Tax:エコノミークラスおよびビジネスクラス利用者は 1,620ペソ)の支払も必要となります。
(参考)http://tieza.gov.ph/travel-tax/

(6)荷物検査等
ア 機内預け荷物は貴重品が入っていなくても必ず施錠してください。
イ 機内持込み手荷物のX線検査場では、手荷物から貴重品等が抜かれたり、逆に持込みが禁止されている物品を紛れ込ませたりする恐れがありますので、手荷物が確実にX線探知機に入ったことを確認してから素早く金属探知のゲートをくぐり、可能な限り手荷物から目を離さないようにしてください。
 また、手回り品または土産物のレシートを求められ、提示できないと「罰金」を支払うよう命じられる例もありますが、決して感情的にならず、責任者を呼んでもらい、詳しく話を聞くなど、冷静に対応してください。

(7)外貨の持出し
 入国時と同様、1万米ドル相当額以上の外貨の持出しには申告が必要です。ペソ貨の場合も5万ペソ以上の持ち出しに制限がありますので、それぞれ十分ご注意ください。

1 在留届
 フィリピンに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後住所または居所が決まり次第遅滞なく、管轄の在外公館(在フィリピン日本国大使館、在セブ日本国総領事館、在ダバオ日本国総領事館)に「在留届」を提出してください。また、住所その他届出事項に変更が生じたとき、または日本への帰国や他国に転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください。在留届の届出は、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をおすすめしますが、郵送によっても行うことができますので、管轄の在外公館宛に送付してください

2 「たびレジ」
 在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、事件や事故、自然災害等が発生し、在外公館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受取先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。

 災害や騒乱等が発生した際、ご家族、ご友人、同僚を守るため、一人でも多くの方に安全対策に関する情報が届くよう、在留届の届出、またはたびレジの登録を、お知り合いの方や出張者・旅行者にご案内いただけますようお願いいたします。

3 滞在許可証・身分証などの取得・更新
(1)滞在許可
 外国人には通常、それぞれの目的に応じ滞在許可期限が付与されます。延長手続をとらずに期限を過ぎて滞在し続けた場合は拘留、処罰される場合があります。不法滞在者とならないよう、滞在許可期限には十分ご注意の上、計画的な滞在を心がけてください。

(2)外国人登録
ア 14才以上のすべての外国人は、フィリピンに到着した日から30日以内(14歳未満の子供は14才の誕生日前の15日以内)に、フィリピン入国管理局またはその出先機関において外国人登録を行う必要があります。ただし、観光や商談等商用目的等で短期滞在(59日以内)する場合、バリクバヤン・プログラムによる最大1年間の無査証滞在許可を利用する場合、または、ビザの種類に応じた特別な身分証が発給される場合(以下(3)参照)は外国人登録の必要はありません。なお、記載事項に変更が生じた場合は直ちに申告する必要があります(特に住所変更は変更の24時間前までに申告)。
イ また「外国人登録証(ACR-I Card)」所持者は、毎年、年初から60日以内にフィリピン入国管理局に出頭し、「年次報告(Annual Report)」を提出する義務があります。手数料は310ペソです(2023年11月現在)。
(参考)https://immigration.gov.ph/annual-report-a-r

(3)特別なビザの種類に応じた身分証(ID)
 下記特別ビザ保持者は、各機関が独自のIDを発行しているので、各機関へそれぞれお問い合わせください。これらのID所持者は年次報告(Annual Report)を免除されています。詳しくはフィリピン入国管理局へお問い合わせください。
 ア 退職者用特別在留ビザ(SRRV(=PRAビザ)):フィリピン退職者庁(PRA)
 イ 投資家用特別在留ビザ(SIRV):フィリピン投資委員会(BOI)
 ウ 47(A)(2)ビザ(PEZA登録企業関係者用ビザ):フィリピン経済区庁(PEZA)

4 就労許可
 外国人の就労には、フィリピン労働雇用省(DOLE)発行の「就労許可(AEP)」を取得した上で、必要な労働ビザを申請・取得する必要があります。「就労許可(AEP)」は1年間有効ですので、延長を希望する場合は、期限が切れる15日前までに申請を行ってください。不法就労は厳しい取り締まりの対象となりますので十分留意してください。

5 旅券(パスポート)や外国人登録証、ID等の携行
 携行義務は法令で規定されていませんが、外国人は警察官や入国管理局から提示を求められた場合、有効なパスポートと査証を提示する必要があります。紛失防止のために宿舎等に保管していたり、査証の更新手続中で手元になかったりする場合は、少なくとも身分事項欄と査証欄のページのコピーに加え、その他の外国人登録証等身分を証明できるものを提示できるようにしてください。

6 各種取り締まり法規等
 フィリピンに限らず、外国では、日本では罪にならないことで処罰されたり、日本よりも重い刑罰が科されたりすることがありますので、注意してください。

(1)写真・ビデオ撮影等の禁止
 空港や鉄道、軍・警察等の政府関連施設、各種立入禁止区域およびその周辺地域での撮影は禁止と考え、撮影する場合は事前に当局者や係員に確認し許可を得るなど、慎重な行動を心がけてください。

(2)麻薬等違法薬物
 現在フィリピンでは、国を挙げて覚醒剤などの違法薬物対策に取り組んでおり、これまで以上に薬物犯罪の取り締まりが強化されています。外国人も例外ではありません。
 興味を示さないことは当然ですが、繁華街の路地裏など麻薬・薬物犯罪の温床となるような場所には近づかない、見知らぬ人物から不審なもの(タバコ、高級茶葉と称される例が多い)を購入しない、預からないなど、違法薬物に関わらないよう細心の注意を払ってください。次の点にも留意してください。
ア 警察によるおとり捜査も実施されており、興味を示した観光客等が、密売人と思しき人物から何らかの薬物を見せられ、これを手にした時点で現行犯逮捕されることもある。「ただ、実物を見てみたかっただけなのに…」等の言い訳は通用しないので留意する。
イ 自分では気付かないうちに「運び屋」として利用される可能性もあるので、出国の際、見知らぬ人物または知り合ったばかりの人物から、「○○氏へおみやげを持って行って欲しい。」などの依頼を受けた場合は、毅然とした態度で断る。さらに、知らない間に手荷物に薬物等を入れられてしまうこともあるので、空港などでは手荷物の管理を徹底することが肝要です。

(3)賭博行為
 フィリピンでは、フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)が運営する施設や公営競馬、公営闘鶏などを除き、賭博は禁止されています。私的賭博行為は処罰の対象となり、違法賭博の取締りに関する大統領令により、違法賭博に関する情報提供者には報償金が与えられるようです。
 違法賭博に関与した外国人は、身柄を拘束されるだけでなく、保釈されたとしても、その後の公判期間中は出国を停止され、有罪となれば、禁固刑を科されたり国外退去となったりする例もあります。私的賭博に関わらないよう十分注意してください。

(4)売買春
 売買春はフィリピン刑法においても厳しい量刑が定められており、特に未成年者に対するわいせつ行為や売買春の勧誘や強要を行った場合、最高で終身刑等が科されることもあります。
 フィリピンでは、売買春に絡む恐喝、美人局(つつもたせ)や詐欺まがいの手口に巻き込まれる外国人旅行者が少なくありませんが、多くの場合、旅行者側に遵法意識が欠けていることが原因となっています。誘いに乗ることのないようくれぐれも留意してください。

(5)喫煙・飲酒場所
 フィリピンでは、全土において指定された場所以外での喫煙(電子たばこ含む)・飲酒を禁じる大統領令が施行されており、警察官や自治体の係員等が厳格な取締りを行っています。歩行喫煙・飲酒や吸い殻のポイ捨て等を見とがめられると、通報を受け、初犯でも罰金が科されます。常にモラルある行動を心がけましょう。

1 風俗、習慣
(1)暴力的な言動は嫌悪される
 フィリピンでは、相手が誰であっても、公衆の面前で罵倒し、恥をかかせる行為はタブーとされています。たとえ自分の家族に対する暴力的な言動であっても、周囲からいやがられます。従業員を他の従業員の面前で叱責したために暴行・脅迫を受けた例や、自分の配偶者や子への叱責を他人から訴えられ、警察に逮捕された例もあります。
 フィリピン人のプライドの高さを理解し、良好な関係の構築に努め、他人だけでなく知人、家族等に対しても、絶対に暴力的な言動をとらず、諍いや争いを避け、たとえ相手に非があっても恨まれないように行動することが肝要です。金銭トラブルや男女問題等には特に注意してください。

(2)個人情報保護に関する意識の乏しさを認識する
 フィリピンでは、個人情報保護に関する法律は2012年に制定、2017年に施行されていますが、その意識は希薄です。たとえば婚姻許可申請者の氏名・住所等が市役所に一定期間掲示されたり、滞在許可申請者の情報が入国管理局のホームページに掲載されたりすることは一般的で、何らかの事件・事故に巻き込まれた場合、警察等当局が当事者・被害者の氏名等を一方的に公表することもあります。
 日本とは個人情報の取り扱いがまったく異なることをあらかじめ十分理解する必要があります。

2 健康
(1)気候と健康
 フィリピンは熱帯性モンスーン気候であり、年間を通して高温・多湿です。都市部では、大気汚染や室内の強い冷房等により、呼吸器感染症(上気道炎(いわゆる風邪)、咽頭炎、気管支炎等)を繰り返す例もみられます。
 日頃から十分な休養と睡眠を取ることが大切です。無理のない日程を立て、体調が優れないと感じたときは、身体に負担のかかる行動を控える等、日頃から心身の健康・体調管理を心がけてください。

(2)衛生
 水道水は、水道管や貯水タンクの汚れ、汚物の混入等により、大腸菌等に汚染されている可能性がありますので、飲用・製氷には市販のミネラル・ウォーターの利用をおすすめします。
 食品はよく加熱し、調理後早めに食べるよう、また、生野菜や刺身等は衛生状態に信頼のおける店以外では食べないよう心がけてください。なお、市中の高級レストランでの飲食は概ね問題はありませんが、大衆食堂や屋台等では食材や食器類等の衛生管理が不十分なため、食中毒にかかる可能性が高く、注意が必要です。

(3)感染症
 ア 経口感染症(食中毒)
 全土で季節に関係なく発生しています。特に、腸チフス、細菌性およびアメーバ赤痢、A型肝炎等が広範に発生していますので、飲料水や食品(特に生野菜・果物類、魚介類等)の管理・調理・摂取には、十分な注意が必要です。下痢が2~3日で止まらない場合には検査・治療が必要ですので、医療機関の受診をおすすめします。なお、フィリピンでは公衆トイレの衛生状態が悪く、一般的にトイレ後の手洗い等はあまり習慣化されていませんので、市販の消毒用ハンドジェルなどを常に携行することをおすすめします。

 イ デング熱
 デング熱は、年間を通じてフィリピン全土で発生しています。デング熱は病原ウイルスを持ったネッタイシマカ、またはヒトスジシマカ等に刺されることによって感染し、蚊に刺されないことが予防策となります。長袖・長ズボンなどの着用により肌の露出を少なくし、昆虫忌避剤(虫除けスプレー等)を使用する等十分な防虫対策を行うことが肝心です。感染すると、通常は激しい頭痛、眼球深部の痛み、関節痛や筋肉痛、発疹等が現れ、発熱が5日間ほど続きます。重症化すると、まれに死亡率が高いデング出血熱やデングショック症候群を発症することもありますので、感染が疑われる場合は、速やかに医療機関で受診するようにしてください。
(参考)感染症広域情報:アジア・大洋州におけるデング熱の流行https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2017C013.html

 ウ マラリア
 パラワン島、カガヤン峡谷、ミンドロ島、スールー諸島およびミンダナオ島の一部の地域において感染例が認められています。デング熱同様、蚊に刺されないことで予防できますので十分な防虫対策を行ってください。これらの地域(特にパラワン島)に2週間以上滞在する場合は、抗マラリア薬の予防内服が有効とされますので、事前に専門医に相談してください。

 エ 住血吸虫症
 住血吸虫の幼虫が含まれる水に触れることによって感染します。国土の10分の1が流行地域と言われており、池、湖沼、河川等淡水での作業・水遊び等は住血吸虫症感染の危険があります。小川、水田、道路の側溝等で作業等を行う必要がある場合は、長靴や防水服を着用する等、十分な防水(防虫)対策を講じるようにしてください。また、水遊びや遊泳は、海または適切に塩素が加えられたプールの利用をおすすめします。

 オ ジカウイルス感染症
 ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染するほか、母胎から胎児への感染、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。感染しても無症状(不顕性感染)や軽症で感染に気づきにくいこともありますが、妊娠中に感染すると胎児に小頭症等の先天性障害を来すおそれが指摘されていることから、妊娠中または妊娠が見込まれる方は、流行地域への渡航を可能な限り控えるなど、十分な注意が必要です。
(参考)感染症広域情報:ジカウイルス感染症に関する注意喚起
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2018C043.html

 カ ポリオ
 フィリピンでは1993年に最後の野生ポリオウイルス患者が報告され、2019年9月以降はポリオウイルス2型(cVDPV2)の発生が報告されています。世界保健機関(WHO)は、フィリピンを含むポリオ発生地域に渡航する前に予防接種(追加接種を含む)を受けるよう呼びかけていますので、専門医に相談してください。
(参考)広域情報:ポリオの発生状況
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2023C045.html

 キ HIV感染・エイズ、性感染症
 フィリピンでは1984年以来11万人以上の感染者が報告されています。近年、フィリピンではHIV感染者数が増加傾向にあり、保健省は、毎日およそ49人(2013年は13人程度)の新規感染者が報告されているとして、公衆衛生上の危機と表明しています。正しい知識を持つとともに、節度ある行動を心がけてください。

(4)新型コロナウイルス関連情報
 2020年3月以降、フィリピンでも猛威を振るっていたCOVID-19は、2023年12月現在、新規感染者、死者数は社会的に大きな問題とはなっておらず、ほぼ従来通りの生活に戻っています。一方で入国時にPhilippines Travel Information System (eTravel)の入力・提示が求められるなど、多少の影響は残っているため、常に最新の情報を得る必要があります。
 また、現在フィリピンでは新型コロナウイルスに関連した行動規制はありませんが、発熱などの体調不良時には宿舎で静養する、病院に行くなど、ご自身の健康に配慮した無理のない行動を心がけてください。
なお、新型コロナウイルス感染症に限らず、様々な感染症の予防には、手洗い、うがいや換気といった基本的な対策が有効ですので、ご留意ください。

(5)医療事情
 「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/phili.html )においてフィリピン国内の衛生・医療事情や現地医療機関の情報を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。

(6)海外旅行保険への加入
 海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません。
 旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。

3 自然災害
 フィリピンでは、台風、地震、火山活動等による自然災害の発生が少なくありません。直接の被害だけでなく、航空機や船などの交通機関がストップしたり、また電話やインターネットが不通になったりするなど、外部との連絡が寸断され、物資の供給が十分に及ばなくなることもあります。

(1)台風
 フィリピンには毎年台風が上陸し、全土が被害を受けています。
 2013年11月に観測史上最大級の猛烈な台風30号(フィリピン名:ヨランダ)が東部ビサヤ地方に上陸し、死者・行方不明者約8千人、負傷者約2万9千人を出すなど甚大な被害をもたらしました。また、2021年12月に台風22号(フィリピン名:オデット)が横断し、直撃したセブやビサヤ地域をはじめミンダナオ北部に甚大な被害(死者407名)をもたらしました。
 台風シーズンは8月~12月頃ですが、それ以外に大雨や集中豪雨により、道路の冠水、洪水や土砂崩れ等の被害が発生することもあります。日本やフィリピンの気象庁等関係当局から台風の進路を含む最新の情報を入手するよう努めてください。

(2)地震
 地震はフィリピン国内の広い地域で比較的頻繁に発生しており、2013年10月にはビサヤ地域ボホール島を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生し、死者・行方不明者230人、負傷者約1千人を出すなど大きな被害をもたらしました。2023年11月には、ミンダナオ地方南東部でマグニチュード6.8の地震が、2023年12月にはミンダナオ地方北東部で、津波を伴うマグニチュード7.4の地震が発生しています。
 地震発生の際には、まず頭部を守り、避難路を確保し、一旦揺れが収まったら火の元を確認し、余震・本震に備えてください。また、直後は津波や、土砂崩れの危険があるため、そのおそれのある場所や地域から速やかに安全な場所に避難してください。

(3)火山活動
 マニラ首都圏から北西約100kmにあるピナトゥボ火山が1991年に20世紀最大級と言われる大噴火を起こし(火砕流等により死者数百名)、2013~14年にルソン島南東部・アルバイ州にあるマヨン火山が噴火して延べ6万5千人以上が避難しました。2020年1月には、ルソン島南部バタンガス州のタール山で火山活動が活発化し噴火したことから、当局は警戒レベル4(危険な噴火が差し迫った状態)に引き上げ、山頂から半径14kmの立入り禁止に加え、危険地域に居住する20万人を超える住民を避難させました。
 2023年12月現在の主な火山の噴火警戒レベルは次のとおりです。
 ア レベル2(中程度の火山不安定性)
 ・マヨン火山(ルソン島南東部・ビコル州)
 イ レベル1(低レベルの火山不安定性)
 ・タール火山(ルソン島南部、バタンガス州)
 ・カンラオン火山(ビサヤ地方ネグロス島北部・西ネグロス州)
 ・ブルサン火山(ルソン島南東部・ソルソゴン州)
 ウ レベル0(正常)
 
 ・ピナトゥボ火山(ルソン島南部・パンパンガ州、タルラック州、サンバレス州の境界)
 
(参考) ○日本気象庁(台風情報) ( https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#4/22.873/131.502/&elem=root&typhoon=all&contents=typhoon
     ○フィリピン国家災害リスク削減管理委員会(https://www.ndrrmc.gov.ph/ )
     ○フィリピン気象庁(https://www.pagasa.dost.gov.ph/
     ○フィリピン火山地震研究所(https://www.phivolcs.dost.gov.ph/

1 全国(マニラ首都圏、セブ、ダバオ等)共通
○ 警察・消防・救急(National Emergency Hotline):911
○ 診療救急(フィリピン赤十字):143

2 マニラ首都圏(市外局番02:ただし※印の番号には不要)
(1)警察署
ア マニラ首都圏共通 :911※または117※(日本の110番、119番に相当)
イ マカティ市 :168※
ウ タギッグ市(BGC) :8642-2060、8642-3582(Tel/Fax)

(2)病院(一部を除き、24時間受付可能な救急外来を有する)
ア マニラ市
・メディカル・センター・マニラ(Medical Center Manila):8523-8131~65(内線2057または2058)、8522-3899
・マニラ・ドクターズ・ホスピタル(Manila Doctors Hospital):8558-0888、8558-0797、8558-0798
イ マカティ市
・マカティ・メディカル・センター(Makati Medical Center):8888-8999(ジャパニーズ・ヘルプ・デスク:8817-1289、0917-716-9007※)
・マニラ日本人会診療所(受付時間外は対応不可):8818-0880、0915-328-9257※
ウ タギッグ市(BGC)
・セント・ルークス・メディカル・センター(St. Luke’s Medical Center):8789-7700(ジャパニーズ・ヘルプ・デスク:8817-1289、0917-592-5732※)
エ パサイ市
・サン・ファン・デ・ディオス・ホスピタル(San Juan De Dios Hospital):8831-9731~9736
オ ケソン市
・セント・ルークス・メディカル・センター(St. Luke's Medical Center):8723-0101
カ アラバン(モンテンルパ)
・アジアン・ホスピタル・メディカル・センター(Asian Hospital and Medical Center):8771-9000(ジャパニーズ・ヘルプ・デスク:8817-1289、0917-819-5461※)

(3)消防
ア マニラ地区(指令センター) :8527-3653 / 8527-3627
イ マカティ地区 :8818-5150 / 8816-2553 / 8844-3313
ウ タギッグ(BGC)地区 : 8837-0740 / 8837-4496
エ パサイ地区 :8844-2120 / 8843-6523
オ ケソン地区 :8924-1922 / 8330-2344

(4)フィリピン観光省(ツーリスト・インフォメーション・センター) :8459-5200 (loc.101、102)

3 セブ(市外局番032:ただし※印の番号には不要)
(1)警察署
ア セブ市 :166※
イ マンダウエ市 :420-3401
ウ ラプラプ市 :505-9356または495-5593

(2)救急車 :161※(メトロ・セブ圏全般)
ア セブ市内 :233-9300、 0918-921-0000※

(3)消防 :160※(メトロ・セブ圏全般)
ア セブ市 :256-0541、256-0542
イ マンダウエ市 :344-4747
ウ ラプラプ市 :340-0252、342-8509

(4)病院
ア セブ市
・セブ・ドクターズ・ユニバーシティ・ホスピタル(Cebu Doctors University Hospital):255-5555(ジャパニーズ・ヘルプ・デスク : 02-8817-1289※、0917-571-7436※)
・チョンワ・ホスピタル: 255-8000

イ マンダウエ市
・チョンワ・ホスピタル・マンダウエ(Chong Hua Hospital Mandaue):233-8000(ジャパニーズ・ヘルプ・デスク:02-8817-1289※、0917-791-2177※)
・UCメディカル・センター(University of Cebu Medical Center):517-0888
・ホスピタル・マーヨ (The Hospital at Maayo):888-2662

ウ ラプラプ市
・マクタン・ドクターズ・ホスピタル(Mactan Doctors Hospital):239-7001~7010
・ARCホスピタル (Allegiant Regional Care Hospital):260-9189

4 ダバオ(市外局番082:ただし※印の番号には不要)
(1)緊急時の連絡先
ア 警察・消防・救急(National Emergency Hotline):911※
イ 診療救急(フィリピン赤十字):227-6650

(2)病院
ア ダバオ市内
・ダバオ・ドクターズ・ホスピタル(Davao Doctors Hospital):222-8000
・サンペドロ・ホスピタル(San Pedro Hospital):222-6100~4
・メトロ・ダバオ・メディカル・アンド・リサーチ・センター(Metro Davao Medical and Research Center):287-7777
・ブロークンシャイア・ホスピタル(Brokenshire Memorial Hospital):305-3170、350-3525
・ダバオ・メディカル・スクール・ホスピタル (Davao Medical School Foundation Hospital):227-9330~2
・サザン・フィリピン・メディカル・センター(Southern Philippines Medical Center):227-2731

(外務省)
 住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
 電話:(代表)03-3580-3311
○領事サービスセンター(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)5145
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)5620
○領事局政策課(感染症関連)(内線)5367
○領事局ハーグ条約室(内線)5042
○海外安全ホームページ
  https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
  http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
              
(現地公館連絡先)
1 在フィリピン日本国大使館
住所:2627 Roxas Boulevard, Pasay City 1300 Metro Manila, Philippines
電話:02-8551-5710(代表)、02-8834-7508(領事班直通)、FAX:02-8551-5785(大使館領事班専用)
◎邦人援護ホットライン TEL:02-8551-5786  e-mail:ryoji@ma.mofa.go.jp
(※ 平日の午前8時30分-午後5時15分。ただし、夜間、週末、祝祭日等の閉館時間も、日本人の人命に係わる緊急案件に関しては24時間対応)

2 在セブ日本国総領事館(Consulate-General of Japan in Cebu)
住所:8th Floor, 2Quad Building, Cardinal Rosales Avenue, Cebu Business Park, Cebu City 6000 Philippines
電話:032-231-7321、032-231-7322(代表)
(※ 平日の午前8時30分-午後5時15分。ただし、夜間、週末、祝祭日等の閉館時間も、日本人の人命に係わる緊急案件に関しては24時間対応)

3 在ダバオ日本国総領事館(Consulate-General of Japan in Davao)
住所:4th Floor, B.I. Zone Building, J.P. Laurel Avenue, Bajada, Davao City 8000, Philippines
電話:082-221-3100、082-221-3200(代表)、FAX:082-221-2176
(※ 平日の午前8時30分-午後5時15分。ただし、夜間、週末、祝祭日等の閉館時間も緊急案件に関しては、大使館と同様に24時間対応)

※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。

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