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アメリカ合衆国(米国)
テロ・誘拐情勢

更新日 2023年04月17日

1 概況
(1)米国は、イスラム過激派組織の過激主義に感化された個人(海外のテロ組織に感化された「ホーム・グロウン型」テロリスト)によるテロの脅威にさらされています。また、政府・法執行機関による権限行使や社会・政治環境への不満、人種差別主義、反ユダヤ主義、イスラモフォビア(イスラム恐怖症)等を背景とするテロについても引き続き脅威となっています。

(2)国土安全保障省は、2011年以降、国家テロ勧告システム(National Terrorism Advisory System)により、信頼できるテロ脅威情報が存在する場合に「差し迫った脅威アラート(Imminent Threat Alert)」又は「高まった脅威アラート(Elevated Threat Alert)」を発出することとしています(これまでに、これらのアラートは発出されていません。)。
 また、2015年12月からは、市民に対するより柔軟かつ幅広い情報提供を可能とするため、これらのアラートに加え、テロ情勢の傾向・現状を示す「公報(Bulletin)」も発出しており、2022年は、同公報が3回発出されました。2022年11月の公報においては、過激主義又は個人的な恨みに動機づけられた単独又は少人数による攻撃が継続的で重大な脅威をもたらしている旨指摘するとともに、公共の場における多人数の集会、宗教施設、LGBTQコミュニティ、学校、人種や宗教上の少数派、政府施設や職員、米国の重要インフラなどが攻撃の対象となり得る旨注意喚起しています。

2 各組織の活動状況又は各地域の治安情勢
(1)国際テロ組織
 「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)及びアル・カーイダ(AQ)による外部からのテロ攻撃への対策が奏功する一方、特にISILは、インターネットを悪用し、米国を含む世界中の支持者等に対し暴力的過激主義思想を発信して過激化を促すとともに、各個人の意思によるテロ攻撃を呼びかけています。こうしたプロパガンダに感化され、自己過激化したホーム・グロウン型テロリストによるテロ事件として、カリフォルニア州サンバーナーディーノにおける銃撃テロ事件(2015年12月、14人死亡。)、フロリダ州における銃撃テロ事件(2016年6月、49人死亡。)、ニューヨーク市マンハッタンにおける車両突入テロ事件(2017年10月、8人死亡。)等が発生しました。このことからも、治安情報当局は、米国に対する国際テロの脅威の中で、ホーム・グロウン型テロリストによるものが最も深刻であるとの見方を示しています。
 また、中長期的には、2021年8月のアフガニスタンからの米軍撤収及びタリバーンによる政権掌握を受け、今後、ISIL及びAQが同地域の混乱に乗じてテロ実行能力を高める可能性や、タリバーンと緊密な関係にあるAQが勢いを得る可能性が指摘されています。

(2)国内テロ組織等
 人種・民族差別主義や反政府主義等を背景とする国内テロも、引き続き脅威となっています。
 国土安全保障省は、2021年1月の連邦議事堂襲撃事件やCOVID-19パンデミックをはじめとする政治社会情勢を背景とする国内テロの脅威が高まっている旨を指摘しています。また、人種・民族差別主義の中でも、特に白人至上主義を標榜する勢力については、インターネットを通じ国境を越えて同種の思想を有する者と繋がるようになっていることが指摘されています。

3 誘拐事件の発生状況
(1)誘拐事件の発生状況
 誘拐事件に関する連邦政府機関の統計は公表されていませんが、2022年中、身代金目的の誘拐事件等の発生が報じられました。FBIの公表資料によれば、2021年中の行方不明者の登録件数は521,705件であり、うち誘拐等の自発的な理由に拠らない可能性があるものは13,448件とされています。また、同年中の同登録解除件数は485,082件、2021年12月末現在の行方不明者の有効登録件数(総数)は93,718件となっています。

(2)メキシコと国境を接する州においては、犯罪組織間の抗争及び治安当局の取締りに対する報復等の事件が発生しています。メキシコ国境周辺地域を巡る治安情勢の影響に加えて、メキシコ国内では組織犯罪として誘拐が横行し、身代金を目的としたビジネスとして定着しているとの背景から、メキシコとの国境を接する州を中心に、多数の誘拐事件が発生しています。
 このことから、メキシコの「テロ・誘拐情勢」や広域情報をあわせて参照してください。
 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_264.html
 
4 日本人・日本権益に対する脅威
 米国において、上記テロ組織等が邦人や我が国権益を直接の対象としてテロを引き起こす可能性は概して高くないものとみられます。一方、大都市や観光地において無差別テロ事件等が発生した場合には、被害に遭う可能性は否定できません。2001年の「9.11同時多発テロ事件」以降も、シリア、チュニジア、バングラデシュ、スリランカ等において日本人が殺害されるテロが発生しています。
 近年では、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロによる被害を未然に防ぐことは困難です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情勢の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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