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南アフリカ共和国
テロ・誘拐情勢

更新日 2022年12月31日

1 概況
(1) 近年、南アフリカ共和国(以下、「南アフリカ」)では、爆弾テロのような重大なテロ事案は発生していません。
(2) 一方、2016年以降、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)との関連が見込まれる以下5件の事件が発生しました。
・在南アフリカ米国大使館やユダヤ権益を狙ったテロを企図した兄弟の逮捕。(2016年7月)
・ISILリクルート活動に関与した若者の逮捕。現場からは手榴弾等の武器が発見されたもの。(2016年7月)
・園芸家夫妻誘拐殺害事件。ISILへの資金提供を目的として、裕福な園芸家を誘拐して銀行口座から金を引き出すなどしたもの。(2018年2月)
・ISILを信奉するグループによるシーア派モスク襲撃事件。被害者の喉を切る残忍な手口が用いられ、2018年10月に複数の被疑者が逮捕されたもの。(2018年5月)
・ヨハネスブルグ近郊で発生した実業家の身代金目的誘拐事件。犯人のアジトからISILの旗などが発見されたもの。(2020年7月)
(3) また、2022年10月には、在南アフリカ米国大使館が、外国企業が多く進出し高級商業施設が存在するヨハネスブルグのサントン地区において、テロが実行される可能性があるとして、警告を発しました。本件については、治安部隊が多く配置されたこともあり、実際にテロが発生することはありませんでした。
(4) 南アフリカ国内にはISIL等支援者に係るネットワークが存在し、これまでに外国人戦闘員としてシリアへ渡航した南アフリカ人ムスリムも複数確認されています。また、南アフリカはイスラム過激派組織のロジ拠点として利用されているとされ、過去には「白い未亡人」として知られる国際テロ容疑者サマンサ・ルースウェイトがヨハネスブルグに潜伏していたことが確認されています。テロ対策専門家によれば、お金さえ支払えば南アの真正旅券を入手できる現状にあり、南アフリカはイスラム過激派にとって都合の良い準備拠点であると言われています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 「1 概況」のとおり

3 誘拐事件の発生状況
 南アフリカ国家警察による2021年度(2021年4月~2022年3月)の犯罪統計によれば、誘拐の発生件数は、年間10,826件でした。その要因としては、カージャック関連、強盗関連、性犯罪関連が3大要因となり、身代金目的の割合は低いとされています。その一方で、カージャックを敢行した後に乗員を連れ回し、ATM機まで連れて行き現金の引き出しを強要する、電子的に送金させる手口が多く見られます。
 身代金目的の誘拐としては、パキスタンやモザンビーク人犯罪組織による、南西アジア出身の会社経営者を狙ったもの、ナイジェリア人組織(主として419詐欺【注】を敢行する組織)による誘拐があります。2018年と2020年には、これに加えてイスラム過激派信奉者による外国人の誘拐事件(1(2)の園芸家夫妻誘拐殺害事件及び実業家身代金目的誘拐事件)が発生しており、以前には見られなかった形態の事件であることから、注意が必要です。
行方不明者の情報提供を求める報道やSNSが数多くあり、誘拐事件は犯罪統計以上に相当数発生
しているものとみられます。

【注】いわゆる「419詐欺」は、架空の商談等を持ちかけて前渡し金や商品を詐取する国際詐欺事件の典型であり、詐欺罪を規程しているナイジェリア刑法第419条に抵触する犯罪のため、このように呼ばれています。犯人側から被害者への働きかけは、最近はEメールの利用が主流となっていますが、偽りの商談等を持ちかけて被害者をおびき寄せ、誘拐・監禁の上、身代金を要求する事例も出てきています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 現在のところ、南アフリカにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、上述のとおり、南アフリカ国内にはISIL等支援者に係るネットワークが存在しており、また、2022年10月には在南アフリカ米国大使館が、ヨハネスブルグのサントン地区においてテロが実行される可能性があるとして警告を発するなど、テロの脅威は存在します。
 また、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
 このように、テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐の被害に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

 「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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