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ブルキナファソ
テロ・誘拐情勢

更新日 2024年01月30日

1 概況
(1)ブルキナファソは、治安情勢が不安定なマリ、ニジェールといった国々と国境を接しています。国境の警備体制は万全とはいえず、テロ組織が国境地域を往来しています。北部のマリ及びニジェールとの国境沿い、西部のマリとの国境沿い、東部のニジェール及びベナンとの国境沿い、南部のトーゴ国境沿いにおいては、軍や憲兵隊・警察等の治安機関、行政機関等を始め、一般市民を標的とした襲撃事件が相次いで発生しています。また、ブルキナファソ国内で活動するテロリストは、当初は国境を越えて侵入してきた者が主流でしたが、現在ではほとんどがブルキナファソ人となっており、状況はより複雑化しています。
(2)首都ワガドゥグにおいても、2016年から2018年にかけ、外資系ホテル・レストランやフランス大使館等を標的としたテロ事案が連続して発生し、外国人を含め多数の死傷者が出ました。また、2019年以降は、テロ勢力の南下傾向が顕著になり、テロの発生範囲が年々拡大しています。中北地方で襲撃事件が急増しているほか、南西部のコートジボワール国境及び南部のガーナ、トーゴ、ベナン国境付近でも襲撃事件が散発しています。
(3)カボレ政権は、テロ対策を強化し、2019年1月にはマリやニジェールとの国境地域を含む14県に対して非常事態宣言を発出しましたが、それ以降も治安は改善していません。2021年11月中旬に北部サヘル地方イナタで発生したテロにより憲兵隊約50人が犠牲になる事案が発生しました。
(4)こうした中、2022年1月、治安改善を訴え、ダミバ中佐率いる軍がクーデターを起こし、カボレ政権は崩壊しました。ダミバ政権は、治安改善を優先課題として取り組みましたが、同年9月、ガスキンデにおいて支援物資を積載した輸送車列が襲撃され11人の兵士が犠牲になるなど、治安改善の兆しは見えず、国内情勢はさらに悪化しました。同年9月30日、同政権に不満を持ったトラオレ大尉が新たにクーデターを起こし、新暫定政府を樹立しました。
(5)トラオレ暫定政権も治安情勢の改善を最優先の課題として位置づけ、テロ掃討作戦を推進していますが、未だ各地においてテロ攻撃が頻発しています。2023年中も、北部のジボにおいて過去最大規模のテロ攻撃が発生しています。国内死亡者も、累計で過去最高の5,000人を超えたとされ、国内避難民も200万人を超えています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM)
 アルジェリア北部山岳地域及び南部、マリ、ニジェール、モーリタニアなどのサヘル地域に進出しているアル・カーイダ系テロ組織であり、アルジェリア政府の打倒、イスラム国家の樹立を掲げています。2016年1月15日のワガドゥグにおけるホテル襲撃事件について犯行声明を発出しています。
(2)イスラムとムスリムの支援団(JNIM)
 2017年3月、サヘル地域で活動する複数の過激派組織が統合して形成されたアル・カーイダ系テロ組織であり、2018年3月のワガドゥグにおける仏大使館、軍施設への襲撃事件、2019年12月のサヘル地方における襲撃事件(兵士11人死亡)、2020年1月東部地方においてける軍の車両襲撃事件(兵士6人死亡)、2021年4月東部地方における襲撃事件(スペイン人2人、アイルランド人1人死亡)、2022年9月ガスキンデにおける補給車列の襲撃事件、2023年11月ジボにおける軍の基地襲撃事件等について犯行声明を発出しています。
(3)ISサヘル州(ISSP)
 ブルキナファソ、マリ、ニジェール国境地域で活動するイラク・レバントのイスラム国(ISIL)系テロ組織であり、2018年4月スム県における市長殺害事件、2019年1月ヤガ県におけるカナダ人誘拐・殺害事件、2022年6月ヤガ県のセイテンガ襲撃事件等について、犯行声明を発出しています。

3 誘拐事件の発生状況
(1)2015年4月、ブルキナファソ北部ウダラン県において、鉱山の警備にあたっていたルーマニア人1人が武装集団に誘拐される事件が発生しました(2023年8月に解放)。JNIMの前身組織のひとつムラービトゥーンが犯行声明を発出しました。
(2)2016年1月、ブルキナファソ北部サヘル地方において、オーストラリア人の医師夫妻の誘拐事件が発生しました(夫人は同年2月、同医師は2023年5月に解放)。AQIMが犯行声明を発出しました。
(3)2018年9月、ブルキナファソ北部サヘル地方において、金鉱山の関係者である南アフリカ人、インド人を含む3人が誘拐されました(インド人は2020年1月に解放)。
(4)2018年12月、ボボデュラッソからワガドゥグに向けて出発したイタリア人男性とカナダ人女性の観光客が誘拐されました(2020年3月にマリで解放)。
(5)2019年1月、ブルキナファソ北部サヘル地方において、鉱山会社関係者のカナダ人が誘拐され、翌日遺体で発見されました。ISGS(のちのISSP)が犯行声明を発出しました。
(6)2019年5月1日、ベナン北部のパンジャリ公園で仏人観光客2名が誘拐され、4日、同行していたガイドが遺体で発見(10日、仏軍等の作戦により解放。一緒に誘拐されていた米国人1人、韓国人1人も解放されたが、その際仏兵士2人が死亡)。
(7)2019年11月、ブルキナファソ南西部カスカード地方において、光ファイバーの設置工事を行っていた中国人を含む4名が誘拐されました(2日後に解放)。
(8)2021年4月、ブルキナファソ東部地方コンピエンガ県において、密猟対策のパトロールに同行していたスペイン人2人、アイルランド人1人が誘拐され、その後殺害されました。
(9)2022年4月、ブルキナファソ中北部地方のナメンテンガ県で、米国人の修道女が武装勢力に誘拐されました。(同年9月に解放)。
(10)2022年4月、ブルキナファソからニジェールへ長距離バスで移動中のポーランド人が東部地方で武装勢力に誘拐されました(同年6月に解放)。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 現在のところ、ブルキナファソにおいて、日本人及び日本権益を標的とした脅威情報は確認されていません。他方、2016年から3年連続で首都ワガドゥグにおいて大規模なテロが発生し、多くの外国人が犠牲となっています。それ以降、首都圏においてテロ事案は発生しておらず、当局も力を入れて治安維持に努めていますが、テロの脅威は依然として排除されません。 特に、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)は取締りが難しいため、テロの標的となりやすい観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等では、常に注意が必要です。
 また、国内においてアジア系を含む外国人を標的とした誘拐事件も発生しています。犯行主体によっては、殺害される可能性や、非常に高額な身代金を要求されることがあります。ブルキナファソ国内では、誘拐の対象にならないよう細心の注意が必要となります。 
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

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