感染症(SARS・鳥インフルエンザ等)関連情報

SARSを発症していない感染者からの感染の可能性について

先日、SARSを発症していない感染者からの感染の可能性について、4月11日に東京で行われた講演会における講師の説明と、4月9日に香港で行われた在留邦人に対する説明会における説明が矛盾しているとの報道がありました。
この点について、発言者の趣旨も踏まえ外務省の考え方を説明すれば次の通りです。

(1)
SARSについては、その病原がコロナウィルスの新種であることをWHOが発表した以外まだその詳細が完全に判明している段階ではありませんが、SARSを発症していない患者からの感染の可能性については、これまで香港当局に対し照会してきており、今日までのところ感染者はないとの回答を得ています。古閑外務省医務官は上記事実を踏まえた上で発言したのであって、将来に亘って感染が起こらないということを意図したものではありません。また、東京での講演会では、SARSの原因と言われているコロナウィルスは症状が出ていなければ他の人に感染する可能性は極めて少ないとの趣旨が述べられており、両者の発言に大きな齟齬があるわけではないと考えております。
(2)
なお、4月17日夕刻、香港政府衛生署に改めて照会したところ、「感染したが発症していない保菌者から他者への感染例は報告されていない。飛沫感染と密接な接触による感染以外の感染方法は確認されていない」、「ただし、今後そのような感染事例が絶対に出ないとの保証があるとは言えない」とのことでした。
(3)
発症していない人から感染する可能性があるか否かが、国民の皆様の重大な関心事項であることはよく承知していますが、専門家の間でも確定的な見解があるわけではありません。なお、現在厚生労働省では、感染地域から戻ってくる邦人に対する検疫対策としては、質問票を配布し、「発熱、のどの痛み、激しい咳、呼吸困難」に該当する旨の記載がある者は、健康相談室にて医師の相談を受けることとしており、「感染の可能性はあるが発症していない人」を特別に検疫対象としているわけではありません。また、同省は国内発生に備えた体制として、SARSを理由とした偏見が生じないよう利用者等の人権に十分に配慮すること等、都道府県等に対し適切な対応を依頼しています。

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