感染症(SARS・鳥インフルエンザ等)関連情報

SARS基礎知識

本ページではSARSとはどんな病気でどのような予防方法があるのか等、現時点でわかっていることについて簡単に説明しています。
もっと詳しい情報をお知りになりたい方は、リンクページの厚生労働省別ウインドウが開きます感染症情報センター別ウインドウが開きますなどのホームページをご覧下さい。

  1. 概要

    SARSは原因不明の急性肺炎として2003年にアジアを中心に拡大しました。SARSの最初の症例は、2002年11月中旬に中国広東省で発生していましたが、世界保健機関(WHO)に対してこの地域における非定型肺炎の集団発生に関する報告があったのは2月11日でした。そして、これがSARSの症例定義に当てはまると確認されたのは4月2日にWHOの調査チームが広東省を訪れる許可が下りた後でした。

    その間の2月21日に、広東省で患者の治療にあたっていた1名の医師が香港のホテルに滞在し、その時期に同じホテルに宿泊していた人を通じてベトナム、香港、シンガポール、トロントなど世界中に感染が拡がりました。

    WHOが2003年9月26日に発表した2002年11月1日から2003年7月31日までの期間における全世界での感染者数(可能性例)は8,098名、死亡者数774名です。

    7月には一応終息しましたが、今年冬以降再発生する可能性は否定できません。

  2. SARSの原因

    重症急性呼吸器症候群(SARS)は、「SARSコロナウイルス」という新種のコロナウイルスにより引き起こされる疾患です。

  3. SARSの症状
    (1)SARSの症状
    SARSの主な症状は、高熱、痰を伴わない咳、息切れや呼吸困難などです。
    潜伏期間は2日から10日で、潜伏期間(=発症前)の患者から感染したという報告は現在のところありません。
    発病一週目の初期はインフルエンザのような症状で発症し、発熱や倦怠感、筋肉痛、頭痛などの症状があります。
    発病第2週には、咳や呼吸困難、下痢などの症状があらわれます。また、他の方への感染はこの時期に起こります。
    SARSの致死率は感染した患者の年齢によって0%~50%以上となっていますが、平均はおよそ11%と推計されています。基礎疾患があると死亡率が高い一方で、子供の場合は発生頻度も症状も軽いようです。
    (2)WHOが定めるSARSの症例定義
    WHOでは、SARS感染拡大が著しかった2003年春においては、以下(イ)のような症例定義を定めていましたが、その後感染が終息した8月には以下(ロ)のような症例定義を定めています。
    (イ)2003年春の定義
    疑い例(Suspect Case)
    (a)
    38度以上の高熱
    (b)
    咳や呼吸困難
    (c)
    発症前の10日以内にSARSウイルスに暴露 (SARS感染者と濃厚な接触(下記5.参照)があった、またはSARS伝播地域へ旅行・居住していたなどによりウイルスに接触する機会のあった者)
    可能性例(Probable Case)
    (a)
    記「疑い例」に該当し、かつ胸部レントゲン写真で肺炎の症状が見られる者
    (b)
    上記「疑い例」に該当し、SARSコロナウイルス検査(下記4.参照)のひとつ以上で陽性となった者
    (ロ)8月以降の定義
    (臨床的症例定義)
    (a)
    38度以上の高熱及び咳、呼吸困難、息切れのいずれかの症状がある
    (b)
    レントゲン検査において肺炎の症状が見られる
    (c)
    以上の病態を完全に説明できる診断がつかない場合
    (微生物・血清学的症例定義)
    臨床上SARSであることを示唆する症状の出ている者で、それに加え、以下の診断基準に基づき、SARSコロナウイルス検査でひとつ以上の陽性所見を示す者
    • PCR検査
    • 抗体検査
    • ウイルス分離
  4. SARSの検査方法
    SARSコロナウイルス検査には主に以下の3種類あります。
    PCR検査(遺伝子診断):SARSコロナウイルスに特徴的なRNA配列を検出
    抗体検査:SARSウイルスに反応する抗体を検出
    ウイルス分離検査:SARSウイルスを分離・培養する
  5. SARSの感染経路

    SARSは、人から人への感染が中心で、感染経路としては気道分泌物(鼻水や唾液など)の飛沫感染または接触感染が98%を占め、空気感染はほとんどないと考えられています

    また、SARSは潜伏期(発症前)の他人への感染力はほとんどありませんが、発熱や咳などの症状が現れている場合の警戒が必要とされ、重症者ほど感染力は強くなります。

    従って、感染の危険性がもっとも高いのは感染者と濃厚な接触(Close contact)をした人で、たとえば、SARS患者の治療や看護にあたった医療関係者、感染者の同居人、感染者の気道分泌物や体液に直接ふれた人などが該当します。町中ですれ違ったり、同じ乗り物に乗り合わせたりする程度で市中への感染が拡がる可能性は非常に低いと考えられています。

  6. SARSの治療方法

    ウイルスによる肺炎に対して、全身状態の管理や呼吸管理などの症状を和らげる治療を行います。

  7. SARSの予防

    現在、残念ながらSARS予防のためのワクチンはありません。予防方法としては、手洗いやうがいをよく行うこと、疲れをためない、抵抗力をつけることなどです。これは、SARSだけでなく、その他多くの感染症に共通する予防方法です。

    また、仮にSARSが再発生した場合は、上記に加え、感染している国、地域へ行かないこと、やむを得ず感染地域に滞在する場合は毎日体温を測るなど体調の変化に留意することが重要です。

ページの先頭へ戻る