在留邦人向け安全の手引き 在イエメン日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


安全の手引き

平成22年4月1日
在イエメン日本国大使館

I はじめに

イエメン共和国は、1990年に南北が統一され、共和制のもと議会制度を導入して民主化への道を歩みつつありますが、他方、人口の約4割が貧困ラインを割るというアラブの中で最も貧しい国であり、開発も大幅に遅れています。2001年の米同時多発テロ事件以降、イエメンも米、英等との協力により大規模なテロとの戦いを進めていますが、依然としてテロ事件や誘拐事件などが各地で発生しており、不安定な状況にあります。
 最近のテロ事件については、2008年10月に米国大使館襲撃事件をはじめとして欧米大使館や政府庁舎、石油会社に対する数件の爆破テロ事件が発生しており、地方においても、ハドラマウト州、シャブワ州、アビヤン州等では警察施設や石油施設に対する爆破事件が相次いで発生しております、このような中、2009年1月、新たに「アラビア半島のアルカーイダ」が結成され、2009年3月、ハドラマウト州シバームにおいて韓国人旅行者等が殺害される自爆テロ事件が発生しました。また、6月にはサアダ州で宣教活動を行っていた独人7名、韓国人1名、英国人1名が行方不明となり、内3名が殺害され、現在も6名が行方不明となっています。
 また、部族が政府に対する要求を通す手段として外国人を誘拐する事件も発生しており、2008年5月にはマアリブ州において邦人旅行者2名が誘拐される事件が発生しました。2009年には、11月にサヌア州において邦人技師1名が誘拐される事件を含め外国人誘拐事件が5件発生しております。いずれも短期間のうちに無事解放されています。
 さらに、北部山岳地帯(サアダ州)では部族集団と治安部隊との武力衝突(第6次)が2月の停戦合意により一応終わりましたが、依然として治安が不安定な状況が続いています。また、南部各州(旧南イエメン)では南北格差、経済的苦境から住民の反政府デモや暴動が発生しており、今後の動向が注視されています。
 劣悪な道路、交通事情による自動車事故も頻発していますので、随時改訂されているイエメンの「危険情報」にも十分留意し、常に安全への配慮を怠らないことが大切です。
 「イエメンにおける対日感情は良好ですが、突発的に不測の事態が発生する危険性は常にあり、こうした事態に際して冷静に対処するためにも、常日頃から物心両面からの「備え」を心がけることが重要です。」本手引きは、かかる観点から「危機管理」の基本的なポイントをイエメンの現状を踏まえて取りまとめたものであり、ご一読願いたく、疑問な点等がありましたら在イエメン日本国大使館領事部までご照会願います。

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II 防犯の手引き

  1. 防犯の基本的な心構え
     安全確保の基本は、「用心を怠らない」、「行動を予知されない」、及び「目立たない」の3つと言われています。しかしながらここイエメンでこれらの原則を守り生活してゆくことは容易ではありません。時には不測の事態に巻き込まれ、生命の危険にさらされるおそれもあります。そのような不測の事態に巻き込まれることを避けるためにも、危険を事前に「予防」することこそが最も大切で基本的な「危機管理」です。「備えあれば憂いなし」で、常に最悪の事態を想定し、日頃から物心両面の準備を行い万全の対策を講じるよう心がけてください。

  2. 最近の犯罪発生状況
    (1) 当国の2008年における犯罪統計
    殺人事件 886件 強盗事件 489件
    誘拐事件 174件 侵入等事件 2,534件
    すり事件 735件 強姦事件 158件
    爆破事件 205件  

    (2) 傾向
     人口に比して強盗や侵入盗事件の発生件数は、我が国と比べても特に高くはありませんが、殺人、誘拐といった直接身体に危害が及ぶ事件では、かなり高い発生率を示しています。国内に銃器等が蔓延しているため、ちょっとしたトラブルから発砲事件に発展するおそれがありますので、滞在あるいは生活するにあたっては、何よりこの種事案に巻き込まれないようにすることが大切です。
     この他、旧市街周辺を中心とする観光客が多数集まる場所では、スリや置き引き、寸借詐欺などの犯罪も発生しています。身の回りの荷物から目を離さず、警戒心を持って、犯罪被害を防いでください。


  3. 防犯のための具体的注意事項
    (1) 住宅
    (イ) 住宅選定に当たっての留意事項
    安全で平穏な生活を確保するために、周囲の環境の良い、安全性の高い地域を選定することが重要です。安全確保を最重要点とし、他人任せにせず、自分で物件を調査し、安易に妥協しないで選ぶことが大切です。普段からイエメンの治安情勢や対日感情に関して自分なりに知識を得る努力を行い、関係者から事前に情報を得ることが重要です。
    住居の安全性の目安
     (独立家屋の場合)
    • 外壁の高さが3メートル以上であること
    • 外壁に忍返し(鉄条網)を備えていること
    • 外壁上に照明装置が付いていること
    • 外壁は、敷地内が容易に見渡すことのできない構造であること
    • 外壁の近くに電柱や大きな樹木がないこと
    • 周囲の住宅と比較して目立ちすぎないこと

     (集合住宅の場合)
    • 出入者(車)の管理が十分行われ、且つ、信頼できること
    • 敷地の周囲が道路等から容易に侵入できない外壁等に囲まれていること
    • 住居入口は鉄製等の強固なドアとなっていること
    • 室内からの避難設備を有していること
    (ロ) 住居の防犯心得
    錠の交換と鍵の管理
     新規に住宅を借り上げた際には、入居前に必ず錠の交換を行い、鍵は大家にも渡さず、全て自分で管理することが重要です。また、鍵の紛失には十分注意しなくてはなりません。特に、住所を特定できるようなもの(手帳、電話番号帳、住所録等)と一緒に鍵を紛失したときには、直ちに錠を交換する必要があります。
    複数錠の設置
     玄関ドアには複数の施錠設備を設けるとともに可能な限りドアに覗き窓やチェーンを取り付けるなど、来訪者が簡単に住宅内に入り込めないようにしましょう。
    施錠の習慣化
     外出時はもちろん、家屋内に居る時にも必ず玄関ドアに施錠する習慣をつけましょう。
    警備員の雇用
     一戸建て住宅の場合には、警備員を雇用することをお勧めします。警備員を雇用することで、来客等の第一次的対応や敷地内の巡回により安全を確保することができ、旅行などで自宅を不在にする際も不審者の侵入を防ぐことができます。
    戸外照明と室内灯の点灯
     夜間の家屋周辺の照明は、侵入を心理的に抑制する効果があると言われています。家屋の周辺は明るくしておくように努めましょう。また、就寝後であっても、家屋内の一部照明を点灯させておくことも防犯上効果的です。
    避難室(パニック・ルーム)
     寝室に施錠設備を増設するなど、有事の際に避難室として活用できる部屋を設けることも重要です。
    (ハ) 外出時の防犯心得
    外出時の周囲の点検
     外出する際には、施錠の状況を必ず点検するようにしましょう。また、周囲に目を配り、家の様子を窺っている者はいないか点検することも重要です。
    所持品
     多額の現金や貴重品を持ち歩かないようにしましょう。繁華街等ではスリ等に注意する必要があります。
    服装
     イスラム教国ということもあり、特に女性は、派手な服装や肌の露出、体の線が強調されるような服装は避けるべきです。また、高価な装身具を人目に付くように身につけることも防犯上は控えた方が良いでしょう。
    身分証明書等の携帯
     外出の際、警察官に身分証明書の提示を求められることもあるので、身分証明書や運転免許証など身分を証明するものを必ず携帯しましょう。紛失を避けるため、これらのコピーを持ち歩くのも一つの方法です。
    夜間の外出
     夜間の外出は極力控えた方が良いでしょう。必要によりやむを得ず、夜間外出する際には、犯罪の被害に遭わないためにも、なるべく自動車を利用してください。
    (ニ) 生活上の防犯心得
    来訪者
     来訪者があった場合には、必ず誰であるかを確認した上で、玄関(門)を開けましょう。警備員がいれば一次的に対応させるのがよいでしょう。
    使用人
     雇用に当たっては、信頼できる人物から紹介を受けるなど、安易に使用人を雇わないようにすることが大切です。また、パスポート等で身元確認(ID等)をしっかり行うことも重要です。
    長期旅行
     休暇等で長期間留守にする場合には貴重品の管理を徹底するとともに、確実に自宅の施錠を行いましょう。友人、知人等信頼のおける人に時々見回って貰うようお願いしておくのも良いでしょう。また、当国では電気関係のトラブルが多く、不在中の火災防止のため、電源は必要不可欠なものを除き抜いておくのが賢明です。
    その他
     帰国あるいは引っ越し等に伴う「家具や電化製品の取り付け」や「売却」等に際しては、女性一人だけで対応することなく、家族、友人、家主等の立ち会いを求め、かつ、必要最小限の作業員しか室内に入れないようにしましょう。


  4. 交通事情と事故対策
    (1) 交通事情
     2008年の交通事故死者数は2,897人と日本と比べて少ないものの、人口比で考えるとかなり劣悪な状況にあります。
     イエメン国内の交通状況については車優先となっています。運転は乱暴でマナーも悪く、道路を歩くときには十分な注意が必要です。車両を運転する場合も、道路の凹凸、未舗装道路、駐車車両、信号機の故障(停電)、動物の死骸放置、道路の照明不足等道路環境が劣悪である上、整備不良、急な右左折や車線変更、夜間の無灯火、必要以上のクラクションの吹鳴、脇見・雑談運転、逆行等、当地の道路事情及び運転マナーは極めて悪いといえます。
     また、軍関係車両(ベージュと赤のツーストライプのナンバー)や警察関係車両(紺地に白文字ナンバー)、タクシー(黄色ナンバー)は無謀な追い越し等の乱暴な運転をするので、注意が必要です。
     都市間の移動を含め都心部以外を夜間運転することは是非とも避けてください。日本と異なり、一歩郊外へ出れば全く街灯がない暗闇の中を運転することとなり、幹線道路でも山岳地帯では幅員が狭く、ガードレール等の設置もない上、落石等の危険がありますので、やむを得ず走行する場合も必ず信頼できるドライバーを使用してください。

    (2) 事故防止のための基本的心構え
     事故防止と事故時の被害を最小限に食い止めるためには、シートベルトを着装し、スピードを控えめに車両距離を十分に取るよう十分注意するとともに、常に自分の車の前後左右に関心を持って、慎重な運転を心掛けてください。
     万一事故を起こしてしまった場合には、負傷者の救護を第一に、警察への事故発生報告、目撃者の確保等日本における対応と同様な措置を行い、さらに相手方とコミュニケーションのとれる友人等と至急連絡を取ることが必要です。
     また、死亡事故等大きな事故の場合、その場に残ることが危険な場合もありますので、そのような場合は大至急大使館と連絡を取り、決して1人で対応しないように注意してください。

    (3) 運転手の雇用
     当国の交通事情等を考えると、道路事情に精通した運転手を雇用することを考慮すべきです。事故の場合にも直接的責任を回避できますし、相手方や警察との交渉にも自分だけで当たるより安心できます。

    (4) 自動車保険への加入
     当国の交通事故では、外国人が被疑者の場合は法外な賠償金を請求されることがあります。自動車保険に加入しておくと不慮の交通事故の際の経済的負担の面で安心できます。自動車保険は補償の範囲によって金額が異なりますが、自車の損害はもちろん、第三者への損害等についても総合的に補償される保険に必ず加入することをお勧めします。


  5. 誘拐・テロ対策
    (1) 誘拐対策
     イエメンでは、外国人を対象とした誘拐事件が散発しており、日本人の場合として、2009年11月にはサヌア州において邦人技師1名が誘拐(8日後無事解放)、2008年5月にはマアリブ州において日本人観光客2名が誘拐(8時間後無事解放)される事件が発生しております。
     犯行の目的は、政府に拘束されている部族民の釈放要求といった個別の目的が多く、ほとんどの場合短期間で解放されていますが、地方の部族地域では銃器が広く出回っており、短絡的な発想から誘拐事件を引き起こされており、誘拐事件に遭遇しないよう細心の注意が必要です。
     最近誘拐事件が発生している地域としては、サヌア州(サヌア市郊外)、マアリブ州、ジャウフ州、ハドラマウト州、アビヤン州等が挙げられます。これらの州のうち一部の地域には現在危険情報「渡航の延期をお勧めします」等が出ていますが、やむを得ずこれらの地域を訪れる場合は、観光警察への許可申請、治安部隊の同行を手配するなどの特別な準備が必ず必要となります。
     イエメンでの誘拐対策としては、以上のような危険地帯への旅行を極力避けることが最も確実ですが、今後これらの危険地帯以外の都市部において同様の事件が発生する可能性も否定できないため、都市部に居住している方々も決して油断することなく、常に周囲の状況に気を配るよう心がけてください。

    (2) テロ事件
     2008年1月にはハドラマウト州で外国人を狙った銃撃事件が発生し、ベルギー人旅行者2名を含む4名が死亡し、2009年3月にはハドラマウト州で韓国人旅行者4名を含む6名が自爆テロにより死亡する事件が発生しました。
     また、2008年9月には首都サヌアの米国大使館がテロ攻撃を受け、18名の死傷者が出ています。
     2001年9月の米国の同時多発テロ以来、治安当局が米国と協力関係を強化し、アル・カーイダメンバーの取り締まりを現在も継続して行っておりますが、テロ事件に関しては、いつ、どこで発生するのか予測するのは困難なのが現状です。
     事前にこれらを回避する策としては、政府関係施設や欧米関係の大使館・施設、ショッピングセンター、レジャー施設などの欧米人が集まりやすい場所への立ち寄りをできるだけ避けることが効果的ですが、仮にテロ事件に遭遇した場合は、「一刻も早くその場を離脱する」ことが最も重要です。

    (3) 騒乱等
     2004年以降、イエメン北部のサアダ州において反政府武装部族と政府治安部隊との戦闘が断続的に続いており双方に多数の死傷者が出ています。イエメン政府は、今だサアダ州への一般外国人の立ち入りを禁止しており、周辺の北部山岳地帯も治安が不安定ですので十分な注意が必要です。
     また、2007年7月以降、南部州各地において旧南イエメン軍退役軍人及び南部州住民による、経済的苦境及び南北格差是正等を訴える抗議デモが発生しており、治安部隊との衝突により死傷者が出ています。これらの抗議デモには、絶対に近付かないことが必要です。また、南部州以外でも物価高等に反対する住民の抗議デモが散発していますので注意が必要です。

    (4) 一般的留意事項
    通勤、買い物等で自宅を出る際は、定時の出勤や外出、決まった経路は避ける。また、外出先・帰宅予定時刻は必ず家族等に告げておき、変更があったときも連絡する。自分や家族の行動を見知らぬ人に知らせない。
    車両の乗降の際には周囲に十分注意し、不審者(車)がいないかを点検確認する。乗車時には車内外及び鍵穴を点検し、特に爆発物が設置されていないかなどを点検する。
    路上での長時間駐車は避け、極力車庫に入れる。短時間の駐車であっても窓を閉め、ドアを必ずロックする。
    ヒッチハイカーや見知らぬ人を絶対に乗車させない。乗車中は全てのドアをロックする。
    運転中も周囲に気を配り、尾行されていると感じたら、警察署、官公庁、外国公館、主要交差点等で警備に当たっている警察官に助けを求める。
    自分自身、家族、自宅及び事務所の写真は不必要に撮影させない。
    旅券、連絡先リスト、病歴、血液型、常用薬名・入手方法等を常時整理しておき、家族、信頼できる友人に所在を知らせておく。
    万一誘拐に遭遇したら
    • 犯人を挑発しない。
    • 救出されることを信じて冷静に行動する。
    • 相手に家族、友人、会社のことを話さない。
    • 可能であれば、連行途中の道筋、道路や建物の特徴、移動時間、方向、距離等を記憶しておくほか、臭い、物音を含む外界の動きに注意を払う。
    • 犯人とある種の相互理解の雰囲気を作ると有利になる。


  6. 緊急連絡先
    在イエメン日本国大使館
     TEL 423700(木・金休館)
     休日・夜間(TEL 711123737、711121818)
    警察    199
    交通警察 194
    消防    174


  7. 緊急時の言葉(アラビア語)
    ・泥棒 =ハラーミー、サーレク、ルッス
    ・助けて =ウングズーニー、アシティ・ムサーアダ
    ・警察 =シュルタ、ポーリス
    ・救急車 =イスアーフ
    ・電話はどこ? =アイナ・テレフォン
    ・○○に電話して欲しい =イッタスィル・ビ・○○
    ・○○番に電話したい =アシュティ・テレフォン・ラコム○○
    ・私の家に泥棒がいます =ハラーミー・フィー・バイティー
    ・泥棒が逃げました =ハラバ・ハラーミー
    ・私の家が火事です =フナーカ・ハリーク・フィー・バイティー

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III 在留邦人用緊急事態対処マニュアル

  1. 平素の準備と心構え
    (1) 連絡体制の整備
    (イ) 在留届(変更届)の提出の励行
     在留届は、在留邦人の皆さんの安全対策のための基礎資料となるものですので、届出内容は実態に則した正確なものであることが必要です。在イエメン日本国大使館では、長期滞在(3ヶ月以上)の目的でイエメンへ入国した方々に在留届の提出をお願いしています。また、届出内容に変更(引越や電話番号の変更等の異動)があった場合にも速やかに当大使館(領事担当)に御連絡ください。
    (ロ) 緊急連絡先の確認
     連絡先に誤りがある場合、または引越等で電話番号等に変更があった場合には速やかに当大使館(領事担当)に御連絡ください。長期間不在にする場合等にも事前に御連絡ください。
    (ハ) 身近な人との密接な連絡
     緊急事態はいつ起きるとも限りません。そのような場合に備え予め家族間、企業内での緊急連絡方法につき決めておいてください。また、お互いに所在を明確にしておくようにしてください。
    (ニ) 短波ラジオ等の準備
     緊急事態発生の際には、当館からできる限り密に情報を提供する予定ですが、電話回線が使用できなくなる場合も十分考えられますので、NHK海外放送等により、必要な連絡を行うことがあります。可能であれば短波放送の受信可能なラジオ(予備電池もお忘れなく)をお手元に準備しておいてください。また、状況により当館から携帯無線機の貸出しを行い、皆様との連絡手段を確保します。

    (2) 緊急時携行品、非常用物資の準備等
    (イ) 旅券等
     旅券、現金、貴重品、クレジットカード等最低限必要なものは、いつでも持ち出せるよう、予めまとめて保管しておいてください。
     緊急事態が発生すると、生活必需品を含めあらゆる物価の高騰が予想されます、場合によっては、国外脱出のための資金も必要となる場合があります。このような事態に備え、最低1ヶ月程度は生活できるイエメン・リアル貨及び国外脱出のための航空券購入に必要な外貨(米ドル等)を手元に用意しておくことをお勧めします。
    (ロ) 緊急時携行品の準備
     移動(国外脱出を含む。)を必要とする場合に備え、次のようなものを普段から準備し、小型のバッグやリュックサック等、移動に便利な鞄に詰めておくことが大切です。
    衣類
    • 衣類~行動しやすく、寒暑に耐えられ、華美にわたらないもの
    • 履物~履き慣れた、丈夫で行動しやすいもの
    • その他~帽子、軍手等
    食料品等
    • 食料品~乾パン、缶詰、レトルト食品その他の保存食品
    • 飲料水~ミネラル・ウォーター、水筒
    • その他~簡易料理器具、缶切、割箸、プラスティック製食器等
    その他
     短波ラジオ、懐中電灯(予備電池)、ローソク、ライター、常服薬、救急医薬 品、タオル、ティッシュ、生理用品、毛布等
    (ハ) 備蓄
     緊急時には、一定期間自宅での待機を余儀なくされることも予想されますので、非常用食料、医薬品、燃料等を最低限10日分くらいは備蓄しておいてください。
    (ニ) 自動車の整備
     いざという時にいつでも利用できるよう、自動車は常に点検整備を怠らないとともに、ガソリンの残量にも常に気をつけてください。
    (ホ) 航空券の準備
     いざという時のために、オープンの航空券を所持していることも一案です。この場合、その都度フライトの予約をしなければならないことにご注意ください。
    (ヘ) 退避先の入国査証の早期入手
     退避を検討する際には、どこの国に出るか、出国先での入国査証は必要かなどを事前に調べてください。退避先国の入国査証が必要な場合には早めに準備願います。
     なお、フランクフルト(ドイツ)、イタリアについては、入国査証は不要です。サウジアラビアは入国査証が必要となります。

    (3) 一時避難場所及び緊急時避難先
    (イ) 一時避難場所の検討
     内乱等による戦闘、騒乱が発生した場合は、常に周囲の状況に注意を払い、危険な場所に近づかないことを心掛けてください。不測の事態が発生した場合の避難場所については、日頃から検討・準備し、家族間でも相互に確認しておくことが大変重要です。
    (ロ) 緊急時退避先への集結
     緊急事態発生時の状況に応じて、当館から緊急時避難先への集合をお願いすることがありますので、場所の確認とともに、そこへ至るルートについてあらかじめ検討しておいてください。
     緊急時避難先は原則として大使館としますが、周囲の状況から大使館を集合場所とすることに問題があると認められる場合には大使公邸や大規模ホテルに変更することもあります。


  2. 緊急時の行動
    (1) 心構え
     緊急事態が発生し、または発生する恐れのある場合には、在イエメン日本国大使館では在留邦人の保護に万全を期すため、必要な情報の収集、情勢判断及び対策の策定を行い、必要に応じて随時在留邦人の方々に各種情報を通報します。不測の事態が発生した場合は、努めて平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理に惑わされることのないようご注意ください。

    (2) 情勢の把握
    (イ) 当館からの連絡
     当館からの連絡については、電話利用が可能な場合は直接皆様のご自宅あるいは携帯電話へご連絡します。電話利用が不可能になった場合は、携帯型の無線機を皆様に貸与し、通信を確保します。
     外務省からは、緊急時に短波ラジオ放送により各種情報の提供も行いますので、短波ラジオの準備を願います。なお、緊急時の短波放送は、NHKラジオ日本の日本語放送開始10分前及び同放送終了直後に、当該放送の周波数にて行います。
     日本語放送の周波数は領事部にパンフレットがありますのでご確認ください。
    (ロ) 公共放送機関からの情報収集
     緊急事態発生の際には、現地、海外報道、衛星放送テレビ等から幅広く情報収集を行うよう各自で心掛けてください。

    (3) 大使館への通報等
     自主的に国外に脱出する場合、または次のような情報を把握された場合は、直接在イエメン日本国大使館へご連絡ください。
    居住地付近での混乱、危険の発生など、危険地域に関する情報
    特に自分や家族の生命、身体、財産に対する危害に関する情報

    (4) 国外への退避
    (イ) 自主退避
     各自または派遣先の会社等の判断により自主的に当国から退避する場合には、その旨事前に当館にご一報いただくとともに、大使館への連絡が困難である場合には、退避後速やかに退避先の我が国在外公館、または日本の外務省海外邦人安全課等へ通報するようお願いいたします。
    (ロ) 当館から「退避勧告」があった場合
     一般商業便が運行している間にできるだけ早く国外へ退避してください。
     この場合、便名、同行者名等を必ず大使館へ通報願います。
    (ハ) 一般商業便の運航が無くなった場合
     臨時便の利用、あるいはチャーター便(ドバイまで$35,000:イエメニア航空72人乗り)の手配等により退避してください。状況によっては、陸路あるいは海上ルートを利用して脱出する事態も予想されます。いずれの場合も大使館と連絡を密に取り、冷静に行動してください。
    (ニ) 当館から退避または国外退避のための集結を勧告された場合
     大使館から指定された緊急時避難先に速やかに集合してください。その際、同避難先で暫くの間待機していただく場合も予想されますので、緊急携行品(上記III.1.(2)参照)を持参してください。
     他方、緊急時には自分及び家族の生命、身体の安全を第一に考え、その他の携行荷物は必要最小限にしてください。また、状況によっては、当館にて同避難先への交通手段を手配します。

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IV おわりに

在イエメン日本国大使館では、イエメンに滞在する皆様の安全の確保のため、常に情報の収集と緊急事態に備えての準備を行っています。本手引きは、イエメンに在留する邦人の皆様や短期滞在を目的としてイエメンを訪れる方々が、安全に生活あるいは滞在するために必要な心構えや注意事項を取りまとめたものです。今後とも皆様からのご意見・ご指摘を頂きながら、本手引きを更に充実させていきたいと考えています。

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