在留邦人向け安全の手引き 在タジキスタン日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


在留邦人向け「安全の手引き」

平成24年2月
在タジキスタン日本国大使館

Ⅰ はじめに

今日、海外居住邦人は110万人以上(海外在留邦人数調査統計(外務省)(平成2年10月1日現在))、渡航者は年間1、600万人以上(出入国管理統計平成2年中(入国管理局))に昇っています。また、渡航先や渡航形態の選択肢も広がり、般に危険とされる国や地域にも、多くの邦人が足を運ぶようになってきました。こした事情に伴い、海外で様々な事件・事故に巻き込まれる方々も少なくありませんそのため我が国の大使館や総領事館などの在外公館では、最優先任務としてそのよな邦人の保護や援護に当たっています。しかし、トラブルに遭遇しないためには、人一人が海外での危険に対する認識を強く持つことが大切です。

在タジキスタン日本国大使館では、皆様が抱えている問題について様々なご相談受け、その解決に向けてできるだけの努力をしていますが、残念ながら当地の事情ら、皆様が日本におけるものと同様の救済を期待することが出来ないのが現状です。そこで、当館では邦人が当地において安全で快適に暮らせるようこの「安全の手き」を作成しました。皆様の安全対策にお役立ていただければ幸いです。

Ⅱ 事件に巻き込まれないために

1.防犯の基本的な心構え
(1)「自分の身は自分で守る」

日本国内では比較的治安事情が良く生活環境も恵まれていますが、当地の場合頼るべき治安機関が日本と同じと見ることはできず、何よりも自分と家族の安全自分達で守るとの心構えが極めて大切です。

(2)「予防こそが最良の危機管理」

「予防」こそが最良の危機管理であることとして、住居の安全・防犯対策は勿のこと、日頃の生活で特に注意を要する点について、家族、友人等と意見交換をうなど、ネットワークを活用して防犯意識を高めることが大切です。

(3)「安全のための三原則」

「安全のための三原則」とは、「目立たない」、「行動のパターン化を避ける」、「心を怠らない」です。日本での行動形態、生活様式をそのまま海外に持ち込むと本人の意識と関わりなく目立ってしまい、自ら危険を招く結果となってしまいますしたがって、「郷に入っては郷に従え」の精神で当地にとけ込むことが大切ですまた、当地の生活に慣れてくると、ついついこの三原則を忘れがちになり、思ぬ被害に遭うことも予想されますので、家族、友人等で気がついたことがあれば直ぐに注意喚起できるネットワーク作りが大切です。

2.犯罪発生状況
犯罪発生状況
犯罪認知件数 殺人
(含未遂)
強盗 窃盗 窃盗(うち侵入盗)
2011 16,864 150 84 3,669 614
2010 12,562 143 58 3,558 659
2009 12,408 131 56 3,459 568
2008 11,658 118 49 3,230 480
2007 12,115 154 66 3,731 922
「タジキスタン社会経済情報」による。

2011年の犯罪全般の受理件数は、前年比+4,302件です。地域別では、首ドゥシャンベ市での4,595件(前年比+935件)、南部ハトロン州で3,751(同+282件)にのぼります。増加の原因として、長期の景気低迷及び貧富格差拡大が一因と指摘されています。その他、近年、ドゥシャンベ市内中心部において爆破テロ事件が発生していますので十分な注意が必要です。

3.防犯のための具体的注意事項
(1)住居防犯対策

住居面の安全確保は最優先課題です。当地は未だ内戦時代の影響により、市内心部を除き夜間の人通りは極めて少なく、また街灯もほとんど完備されていないとから、住居の設定に際しては、夜間に車、人通りの少ない地域は避けることが切です。できれば警備員等が常駐する住居を選定することをお勧めします。

一般的には、独立家屋よりも集合住宅の方が警備・安全面からの対策を確保しいと言われています。なぜならば、集合住宅(3階以上)は侵入の対象となりにく、警備対策も出入口部分に重点を置くことができるからです。また万が一侵入れた場合も、隣人の援助が比較的得られやすいという利点があります。

集合住宅での防犯対策としては、表出入口の錠を複数設置し、窓等には侵入防用の鉄格子等を設置することをお勧めします。

一方、独立家屋を選ぶ場合は、隣家等からの侵入が困難な強固な塀付きの物件望まれます。更に、警備員の常駐や堅牢な施錠設備、カメラ付インターホーン、用鉄格子、非常サイレンなどが設置されていればより安心です。

(2)強盗、窃盗等の防犯対策

統計によると、邦人が巻き込まれたトラブルの約6割は窃盗、強盗、詐欺などす。これらの犯罪は、対応如何によっては命にかかわる凶悪犯罪に発展しかねなことから特に注意が必要です。以下、事例別に注意事項をご案内します。

  • けん銃、ナイフ等を所持した強盗に遭遇した場合は、抵抗することなく従意志(両手を挙げる等)を示した上で、求めに応じ金品を提供することが大です。自分の生命、身体の安全を第一に考えて下さい。
  • バザール、駅周辺、観光地等の大勢の人の集まる場所では、スリ、ひったり、置き引きなどの発生率が高くなります。犯罪者は「ターゲット」の隙をっています。周囲に自分のことをじっと見ている人がいないかどうか気をつて下さい。
  • ズボンの後ろポケットやバックのサイドポケットに貴重品を保管しないよに注意して下さい。また、人混みの中で体を押されたり触られた場合には、ぐに所持品を確認する癖をつけて下さい。
  • ホテル、空港、レストラン等では、チェックインや食事中など、注意が散になった状態が狙われています。カバンなどは単に近くに置くだけではなく常に自分の体に密着させるようにして下さい。
  • ひったくり対策としては、荷物は車道側には持たず、体の前に持つことが切です。市バス、乗り合いバスに乗車するときには、乗降口の近くはなるべ避けて下さい。
  • 車上狙い対策としては、車内に貴重品を置かないことです。どうしてもカンなどを置く場合は、駐車場所へ着く前に予めトランク内へ置いて下さい。から離れる時になってカバンをトランクに移したのでは、犯人にそれを教えしまうことになるからです。
  • ホテルの部屋では、必ずチェーンロックを掛け、ノックされたらチェーン付けたまま応対して下さい。ホテルの従業員風や修理工風に見えても、予定れていない場合は、全てフロントに確認するように心がけて下さい。
  • 当地は未だ内戦の影響により、夜間の人通りは比較的少なく、また街灯も十分なことから、夜間の外出はなるべく避けて下さい。どうしても夜間の外が必要な場合は、乗り物を利用するか、複数で外出するように心がけて下さいまた、地域によっては夜間、どう猛な野犬がうろつくこともありますので十注意して下さい。
(3)その他日常生活での注意事項
  • 旅券などの身分証明書は常に携帯するように注意して下さい。
  • 撮影制限区域(軍事施設、空港では禁止です。)では、誤解を招くような行をとらないように注意して下さい。
  • 宗教(当地ではイスラム教スンニ派の信者が大半)、習慣にはなるべく従ううに心がけ、無用なトラブルを招かないように注意して下さい。
4.交通事情と事故対策

当地の道路の整備状況は、いまだにマンホールの蓋が外れていたり、凹凸があるどかなり遅れています。したがって、自ら車を運転する場合には、路面の状況に十注意して突然ハンドルをとられることも想定し注意を怠らないで下さい。特に信号のランプが消えているところも多いので、交差点を通過する場合は、他の車にも特注意して下さい。また、横断歩道以外の道路横断者も多いことから、常に歩行者のきにも十分な注意が必要です。近年、地方を結ぶ幹線道路における交通死亡事故が加しています。これはスピードの出し過ぎと交差点における安全確認の欠如がそのとんどの原因となっていますので、地方へお出かけの際には、スピードの出し過ぎ注意するとともに、特に交差点での他車の動きに十分注意するように心がけて下さい

当然のことながら、当地においても飲酒運転は厳禁です。

5.テロ・誘拐対策

タジキスタンにおいては、1998年7月に秋野元国連タジキスタン監視団(UMOT)政務官が殉職して以来、邦人をターゲットとしたテロ・誘拐事件は発生しいません。しかしながら、イラク・アフガニスタン情勢を受けて、邦人を対象としたロ・誘拐の危険度は年々高まって来ていると言えます。イラクで発生したイスラム激派グループによる邦人誘拐・殺人事件のような悲惨な結果を二度と招かないためも、日頃から予防策を講じておくことが必要です。

なお、爆破テロも首都ドゥシャンベ市内中心部をはじめ各地で発生している他、(2007年3件、2008年2件、2009年3件、2010年4件、2011年1件)一昨年8月には同市所在の刑務所において武装勢力の襲撃による25名の凶悪犯の獄、地方においては反政府武装勢力による政府軍に対する襲撃によって多数の死者出した事件も発生していますので、以下の点に特に注意することが必要です。

  • 外務省海外安全ホームページ「危険度情報」を活用して、渡航計画、移動画等を策定して下さい。ゴルノ・バダフャン自治州のアフガニスタン国境付への渡航は、目的の如何を問わず見合わせて下さい。また、その他の地域のち、首都ドゥシャンベ市及びホジェンド市以外の地域については渡航の緊急性重要性を考慮した上での慎重な判断と行動が必要となります。
  • 目立たない服装に心がけ、自分の行動や移動計画をできるだけ公表しないうに注意して下さい。
  • 日々の出勤、外出の際には道順をパターン化しないように意識的に変えてさい。
  • 万一の場合を想定し、日頃から警察、救急、大使館等への緊急用電話番号持歩くように心がけて下さい。
  • 当館では、邦人の皆様に対して情勢や安全情報を随時提供していますのでこれを参考に行動して下さい。また、万一の場合を想定し、例え在留期間がヶ月未満であっても在留届を提出するようにお願いいたします。

Ⅲ 緊急事態対処マニュアル

緊急事態には、平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理に巻き込まれるとのないよう注意して下さい。そのため大使館からの連絡やテレビ、ラジオ等を通た正しい情報を入手するように努めて下さい。また、大使館との連絡を密にして下い。

1.平素の心構え
(1)連絡体制の整備

ア 在留邦人の方は当館への在留届の提出を励行して下さい。また、住所の変更帰国の際にもその旨を当館まで連絡して下さい。

イ 緊急事態はいつ起こるかわかりません。緊急事態発生に備え、家族間、企業での緊急連絡方法を予め決めておいて下さい。また、お互いの所在を普段からかるようにしておいて下さい。

ウ 緊急事態発生の際には、当大使館より連絡網を通じて情報を提供すると共に要な指示を行いますが、電話回線等が使用できなくなる場合には、NHK海外送により必要な連絡を行うことがありますので短波ラジオ等(電池の準備もおれなく)を備えておいて下さい。

エ 緊急事態の際の連絡手段として、携帯電話や無線機の所有をお勧めします。

(2)緊急備蓄品の確保

緊急事態の発生に備え、10日分程度の食料、飲料水及び燃料等並びに必要な薬品を準備しておいてくだいさい。

2.緊急時の行動

緊急事態の発生の可能性が高まった場合には、当大使館内(場合によってはホテ等適当な場所)に緊急対策本部を設置し、緊急事態に対応すると共に、皆様からの会に応ずる窓口を設けます。同対策本部を設置した場合には、在留邦人の皆様に緊連絡網を通じてご連絡しますので、各種ご照会等がある場合には同窓口宛てにお願します。また、同対策本部より邦人の皆様に対して、以下の情報を逐次ご連絡しまので、ご参考の上、必要な準備を行って下さい。

(1)渡航情報

(2)治安情勢(危険地域等)

(3)当国政府の措置(外出禁止令、戒厳令等)

(4)通信回線、交通事情等 

(5)注意事項(自宅等待機、緊急一時避難先、国外退避勧告等の指示)

3.緊急事態に備えてのチェックリスト

緊急事態が発生し、在留邦人の皆様の生命、身体及び財産に危険が及ぶおそれがる場合には、①自宅、勤務先、ホテル等での待機②一時避難場所への緊急避難③国退避と3段構えで対応したいと考えていますので、その節はご協力のほどよろしく願いします。また、緊急避難に備えて次の準備を行って下さい。

(1)旅券の確認

(2)国外退避先国の査証取得(緊急時には当大使館が支援)

(3)航空券の手配(緊急時には当館が支援)

(4)必要な現金及び貴重品等の準備

(5)不要財産の処分等と身辺整理

(6)移動手段の確保(自動車の整備、点検等)

なお、緊急避難時の携帯荷物は最小限にするよう心がけて下さい。

4.緊急避難
(1)一時避難

邦人に危険が及ぶおそれがある場合には、皆様に対して下記一時避難場所への合をお願いすると共に、移動手段(基本的には自力移動)の方法を提供致します何卒ご協力のほどよろしくお願いします。

一時避難場所:在タジキスタン日本国大使館
所在地:80A KHABIBULO NAZAROV ST.,DUSHANBE,REPUBLIC OF TAJIKISTAN
電話:37-221-3970/221-3724/227-5436/227-5446
FAX:44-600-5478

在タジキスタン日本国大使館野地図

なお、暴徒に囲まれ自力脱出が不可能な場合や移動途中に道路閉鎖等により物理的移動が不可能となった場合には、無理することなく大使館宛に連絡の上、自宅等で待機して下さい。治安機関に協力を依頼する他、可能であれば当館職員が救出向かいます。

(2)国外退避
ア 空路の場合
緊急事態が発生し、国外退避が望ましいと判断される場合、市内の治安状況踏まえつつ在留邦人の皆様に対し、ドゥシャンベ空港へ自力で移動し定期航空にて国外へ退避するよう勧告します。また、民間航空機の運航、予約状況、航券の入手方法、空港までの安全な移動手段、経路等の情報については、緊急連網等を通じて皆様に予めご連絡します。なお、空港への自力移動が困難な場合は、当大使館で移動手段(借り上げ車や当大使館保有の防弾車等)を確保します。
イ 陸路の場合
民間航空機の運航が停止された場合には、陸路により国外退避を実施しますこの場合は、在留邦人の皆様に対して、一時避難場所である当大使館まで自力集合するようにご案内します。また、当大使館への自力移動が困難な場合には当館で移動手段(借り上げ車や当大使館保有の防弾車等)を確保し、当大使館での移送を支援します。なお、移動経路、移動時間、交通状況等については、急連絡網等を通じて皆様に予めご連絡します。集合後、移動手段として借り上たマイクロバス等に分乗し移動を開始しますが、移動区間に治安上の問題が予される場合には、治安当局に対し当該邦人の安全確保を依頼します。
なお、車両退避ルートとしては
  • 北方ルート(バルゾフ渓谷、アイニー峠を通過してブストン国境よりウズキスタンへ出国)約200㎞・所要約6時間。 但し、夏期間(6月~10月)み通行可。
  • 南方ルート(サリオシヨ国境よりウズベキスタンへ出国)約80㎞・所要約時間。年中通行可。
を予定しています。
5.緊急連絡先

(1)在タジキスタン日本国大使館
80A KHABIBULO NAZAROV ST.,DUSHANBE,REPUBLIC OF TAJIKISTAN
電話:37-221-3970/221-3724/227-5436/227-5446
夜間・休日:907-724-822 林(領事担当)

(2)消防:01

(3)警察:02

(4)救急:03

(5)空港:221-1966/229-8206/229-8233

(6)鉄道:227-7179

(7)プロスペクト病院:224-3092

Ⅳ おわりに

タジキスタン周辺諸国においては、キルギスにおいて2005年3月キルギス議選挙における「不正選挙」を発端として民衆革命(チューリップ革命)が起こった他ウズベキスタンでは、同年5月にアンディジャン市において、武装勢力による刑務襲撃事件を契機とした大々的な市街戦が発生しています。こうした一連の事態は、ソ連崩壊後の「独裁・汚職・民の困窮」が招いた結果であると報じられていますがタジキスタンも旧ソ連からの独立国であり、両国同様の問題を抱えています。したって、いつ何時、内乱、クーデーター、暴動等が発生しないとも限りません。

このような緊急事態発生の際には、当大使館としても全力でその対応に当たりまが、何よりも各自が責任をもって自己の安全対策に万全を期するよう努力すること大切です。

本手引きでは、一般防犯対策を含め、緊急事態発生時に在留邦人の方が迅速、的に対応できるよう必要な諸点をまとめてみました。在留邦人の皆様が本手引きを参に、安全で実り多きタジキスタン生活を送られるよう期待しています。

ページの先頭へ戻る

<< 安全の手引き INDEX