在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
平成23年4月1日
在スイス日本国大使館
海外における安全確保は、実際に生活されている方々自身の日頃の注意、努力による他ありません(自助努力による安全確保の原則)。
それでは、日頃どのような注意、努力を行えば、安全を確保できるのでしょうか。それには、まず、①「海外で生活する上での心構えをしっかり持つこと」が大切だと思います。そして、②「安全に関する情報を集め、それに基づき行動すること」。最後に、③「緊急時のための連絡先を確認し、連絡手段を確保しておくこと」。
以上が、安全確保のための重要なポイントです。
この手引きは、スイスで新たな生活を始める方を主な対象として、当地に滞在される方の安全対策のために、上記ポイントにそって作成しました。この資料が、安全で快適な生活を送るための参考となれば幸いです。
海外生活における安全対策の基本的心構えとして次のことが挙げられます。
(治安の良い国で育った我々にとって、)この心構えは、極めて重要です。
予防こそが最高かつ最重要の危機管理であることを肝に命じましょう。予防のために必要な努力と経費は、惜しんではいけません。
「備えあれば憂いなし」です。
「目立たない」・「行動を予知されない」・「用心を怠らない」
住宅は生活の基盤です。その安全を確保することは、安全対策の中でも最優先事項です。
いざという時に助けが得られ、自然と情報も入ってきます。
環境、習慣等の違いから長期の緊張を余儀なくされる場合が多いので、精神面、肉体面の自己管理が重要です。
スイスは、連邦、州及び市にそれぞれ警察組織があります。一般法の違反の大多数を州警察及び市警察が取り扱っています。州警察及び市警察は、州内に各々の管轄を定めていますが、共同して取締り等を行うことがあります。警察1人あたりの住民数は、チューリッヒ州では、2,100人、ベルン州では、2,500人となっています。東京都の291人と比較して警察官の人員が少ない傾向にあります。
2010年連邦警察犯罪報告書によるとスイスの刑法犯認知件数は、527,897件で前年比5%減少しました。このうちの約35%が「空き巣、スリ」等の窃盗犯が占めます。「安全な国」とのイメージが強いスイスですが、単位人口(1,000人)あたりの刑法犯認知件数に換算すると、スイスは、67.8件で日本(12.43件)の約5.5倍の犯罪発生率となります。
都市別の単位人口(1,000人)あたりの犯罪発生件数は、ベルン市が149.2件、バーゼル市が105.4件、チューリッヒ市が138.5件と都市部における犯罪が多い傾向にあります。
ひったくりや置引き等は、空港、駅、ホテル等で相変わらず日常的に発生しています。手荷物を座席に置いたままで、トイレに立つなど用事を足している間に置引きにあう例がほぼ毎日のように発生しています。ある程度用心している人でも、一瞬の隙きをつかれたり、注意を他にそらされた間にバッグ等を盗まれています。
ひったくりや置引きは、2~3人のグループで行われるケースが増えています。彼らの手口は、おおよそ次の3段階で構成されるものです。①最初に1人目が対象者(被害者)の気をそらすために、対象者の行く手を邪魔します。通常「Blockerブロック係」と呼ばれる人です。②次に2人目が対象者のカバンの中から財布を抜き取ります。通常「Zieher抜き取り係」と呼ばれる人です。その時、③その犯行を他人の目から上手に隠してしまうのが3人目の「Abdecker目隠し係」です。
次にこの手口を応用した様々な具体的犯行の手口について紹介します。
ブロック係は、人々がトラムや電車に乗る際、旅行バッグ等重量物の運搬を手伝うと申し出、最初に乗り込み、入り口付近で停滞することにより、人々の乗車を遅らせます。同時に抜き取り係が、乗車のため並んでいる対象者が入り口付近に気を取られている隙に、財布やカバンを盗んでいく手口です。これは実際に邦人が被害に遭っています。
エスカレーターのような人混みにいる時、犯人が故意に体を押しつけたり、ぶつかってきたりします。それに気を取られている隙に、共犯者がカバンや財布をスッていく手口です。
混雑したプラットホームなどで犯人が人を押しのけて不自然に対象者の側に寄って来ます。対象者が不快に思い背を向けたところ、ゆうゆうとカバンから物を盗んでいく手口です。
観光客になりすました犯人が、道路上で道順について、あるいは電車内において電車の接続などについて突然質問してきます。そして注意を引いている隙に、共犯者が財布やカバンを盗んでいく手口です。これは邦人がローザンヌ駅そしてベルン旧市街地で被害に遭っています。
見知らぬ人が突然両替を頼んできて、小銭を数えている隙に、紙幣を抜き取ってしまう手口です。
対象者の洋服を故意にケチャップ、マスタード、アイスなどで汚します。口上手に許しを請い対象者がそれに対応している隙に、共犯者がバッグから物を抜き取ったり、足下のカバンを盗んだりしていく手口です。
電車のボックス席に予めかかっている他人のコートの上に自分のコートを掛け、その後、自分のコートをとるふりをして、他人のポケットなどから金目の物を盗む手口です。
停車中の電車に犯人が乗り込み、車内を歩き回り対象を探します。その際、共犯者も同様に移動し、車内の犯人が恰好の対象を発見すると共犯者が外から対象者が座っている窓ガラスをノックします。対象者がそちらに気をとられている隙に犯人が対象者の荷物を盗んで降りてしまう手口です。
犯人がレストランに入りターゲットの背中合わせに席を取り、ジャケットを背もたれに掛けます。そして、自分のジャケットに手をやるように見せかけて、対象者のジャケットに金目の物がないか探る手口です。
電車の車内において、わざとターゲットの周辺でコインをばらまき、対象者が拾うのを手伝っている隙に「抜き取り係」が、網棚においてあるカバン等を盗んでいく手口です。
この他にも、偽警官による所持品検査で財布を出し所持金の半分程度を盗まれるケースも散見されています。
考えられる予防策としては、次のことが挙げられます。
(イ)多額の現金を持ち歩く場合には、複数の財布に分けて別々に保管し、財布とパスポート、免許証、在留資格証明等の身分事項証明を同一バック等に入れて持ち歩かない。
スリ等にあった場合に、全ての財産を失わないための予防措置です。また身分事項証明は再発給に時間がかかるため、財布とは別々に管理しましょう。
(ロ)スーツケース持参で電車を利用する際には要注意!
旅行者がスリ、置き引きの被害に遭遇しやすいのは、多額の現金を保持している可能性が高いためです。在留邦人の皆様も居住地以外へ旅行される際には、通常より多額の現金を携行すると思われますので、貴重品を体から離さないように注意しましょう。
(ハ)観光地や人混みにおいて、邦人は常に狙われていると意識する。
(ニ)小さいお子様をお持ちのご家族は、子供に気を取られている隙に注意する。
(ホ)目立たない服装をし、観光客と思わせない。
(イ)すぐに最寄りの警察に行き、紛失証明書を発給してもらう。
(各種紛失物の再発給に必ず必要になります。)
(ロ)旅券を盗まれていた場合には、大使館や領事館に連絡する。
(ハ)カード会社、銀行等に連絡し、クレジットカードや銀行カード等のブロックをする。
などが考えられます。
スイスに滞在する以上は、スイスの法律、制度、習慣等に従うことは当然です。権利の保護も勿論スイス当局によりなされます。事件、事故が起こった場合、大使館は邦人保護の観点から必要な援助措置をとりますが、その処理は、捜査等含めて当然スイス当局が行います。ですので、事件の当事者自身が、スイスの関係者、関係当局と連絡、依頼、交渉等を行い、解決を図ることとなります(これは、日本で事件、事故に遭った場合と同じです)。
そこで、普段より、隣人、コミュニティ、在留邦人等と付き合い、良好な関係を築き上げ、様々な人や組織との間でネットワークを作ることをお勧めします。ネットワークができれば、いざというときに助けを得られますし、自然と様々な情報が入ってきます。現地コミュニティ、隣人などの「口コミ」情報には、極めて重要な要素を含んでいることがあります。
このためには、スイス各地に点在する日本人会、同好会に加入してみては如何でしょうか。既にスイスの社会風土に慣れ親しんだ方も多数在籍しておられますので、その方々の助言を受けながら、スイスの社会風土に馴染んでいくことも一つの手段だと思われます。
運転マナーは、日本より交通規則を遵守し、歩行者も交通規則を遵守していますが、①通行規則が、日本と左右逆であること。②信号無視、速度違反に厳しいこと、③特にベルンにおいて歩行者は、車が止まることを当然視して道路を横断することに留意する必要があります。
また、信号のないロータリー式交差点では、側面衝突事故が多く注意が必要です。
車を運転する場合の注意事項(日本との相違点)は、次のような事項が挙げられます。
(イ)交通規則を遵守するため、交差点での黄色信号時に急停車することがあるので、車間距離を十分とる。
(ロ)ロータリー進入時、自転車も走行していることを忘れない。
(ハ)信号機の無い横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる場合には、一時停止をしなければならない(通報により違反者は処罰されます。)。
(ニ)後部座席のシートベルトの着用も義務づけられている。
(ホ)自転車は、車道上の自転車通行帯を走行しなければならないが、方向変換時または、走行車線によっては、道路中央を走行する場合がある。
(ヘ)優先権の表示のない交差点(スイスでは、左回り)では、原則として相手を左に見る車が優先権を有す。但し、ロータリー方式の交差点では、ロータリー内の車に優先権がある。
(イ)停止表示機(三角形)を設置し、非常点滅等を点滅させる。
(ロ)負傷者を救助し、警察を呼ぶ。
(ハ)事故証明を取得するとともに、車の保険会社に連絡する。
(4)車に備えておくと便利なもの
(イ)チョーク、カメラ(証拠を残すため)
(ロ)懐中電灯(電池切れに注意)
(ハ)簡易医療キット、毛布(負傷者の保護及び防寒)
(ニ)電話(連絡通報に非常に便利)
(イ)2010年中、スイスにおいてテロ事件は、発生しませんでした。
(ロ)しかしながら、動物実験及び遺伝子組み換えに反対する一部の環境保護団体の抗議活動が、過激化の傾向を示しています。2010年4月、イタリアの過激な環境保護団体「IL SILVESTRE」がチューリッヒ州リュシュリコンに所在するIBMヨーロッパのバイオ・テクノロジー研究所を標的としたテロを計画し(未遂)、同団体のイタリア人活動家2名、スイス人活動家1名が拘束されています。同団体は、スイス-イタリア国境地帯を活動拠点としているとされます。シェンゲン協定加盟の後、スイスでは周辺国との人の往来がさらに自由となりました。また、多くの移民と外国人が居留するため、人的つながりを通して、今後、他国のテロ組織が、スイス国内の支援組織と連携してテロ活動を行う可能性を否定できません。
(ハ)また、スイス国内に居住するサラフィスト(Salafist)は、欧州各国、特に独国内のサラフィスト・グループと接触を維持し、物資供給や宣伝活動のみならず、潜在的に連携し行動している可能性も指摘されています。
(ニ)スイスは、テロ対策に関連する各種国際条約を締結するとともに、マネー・ロンダリングに関する刑罰を強化し、また、テロ組織に関連した司法共助等の国際協力を行うなど、テロ対策の強化に努めています。
2009年にスイス国内において発生した誘拐、拘束、連れ去り事件は合計353件で、このうち深刻な事案は4件です。
現在までのところ、スイスにおいては、日本人・日本権益を標的としたテロや誘拐の脅威度は低いとみられます。しかし、近年では、欧州を含む世界各地に国際テロ活動が拡大していることや、アル・カーイダ関係者によるとみられる声明において日本がテロの標的として名指しされていることを念頭に置くと、日本人がスイスにおいてテロや不測の事態に遭遇する可能性は排除できませんので、十分な注意が必要です。
ベルン 電話:(031) 311 2211
チューリッヒ 電話:(044) 269 6969
バーゼル 電話:(061) 261 1515
ベルン大学付属インゼル病院 電話:(031) 632 2111
チューリッヒ大学病院 電話:(044) 255 1111
バーゼル大学病院 電話:(061) 265 2525
Engestrasse, 52 3012 Bern
代表電話 (031) 300 2222
(注) 夜間及び休館日においては、代表電話番号に電話をして頂くと、緊急電話対応オペレータに接続されます。
80-82 rue de Lausanne 1202, Geneve
電話 (022) 716 9900
Utoquai, 55 8008 Zurich
電話 (044) 269 4046