在留邦人向け安全の手引き 在スペイン日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


(※)
在外公館別マニュアル集スペインは全3ページあります。
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安全の手引き
~備えあれば憂いなし~

2012年2月27日
在スペイン日本国大使館

Ⅰ.はじめに

我が国の国際化の進展に伴い、海外で暮らす日本人の数は年々増加し、それとともに海外で事件、事故に巻き込まれる事例が増えていることは皆様ご承知のとおりです。

スペインにおいても2011年には520件の邦人被害が報告されています。しかし、これらの邦人被害はスリや置き引きが大半を占め、日頃から注意して対策を講じていれば予防できると思われます。

また、スペインでは2004年3月11日、欧州最大の爆弾テロとなったイスラム過激派組織によるマドリード連続列車爆破テロ事件が発生し、191人が死亡、1,824人が負傷しました。更に、2006年12月30日には、マドリード・バラハス空港駐車場において、ETAによる大規模な自動車爆弾テロが発生し、外国人22が死亡しています。今後も、このようなテロ事件が皆様の身近で発生しないとは必ずしも言い切れません。

こうした状況下では、強盗や窃盗などの一般犯罪に対する安全対策はさることながら、テロ事件に対する安全意識を持つことも重要です。海外において犯罪の被害に遭わないためには、皆様一人一人が日頃から安全意識をもって行動されることが必要となります。

そこで、スペイン在住の方々や旅行される皆様方の防犯のご参考になればと思い、「防犯の手引き」及び「緊急事態対処マニュアル:大規模テロ(爆弾テロ)に備えた日本人心得」から成るこの「安全の手引き」を作成しました。この手引きの内容は決して目新しいものではなく、スペインに長く滞在されている方々には当然のことも多いと思いますが、もう一度お読みいただき、皆様の安全で快適なスペイン生活の一助になれば幸いです。

Ⅱ.防犯の手引き

1.基本的心構え

スペインは、「太陽の国」、「情熱の国」と言われるように、明るく楽しむことが好きな国民性に加え、極めて親日的な国です。しかし、治安面は最近増えてきている不法移民問題を始め、多種多様な犯罪が発生していることも事実です。そういった犯罪に皆様が巻き込まれないために最も重要なことは、事件、事故に巻き込まれる前に、正しく当地スペインの実態を認識し、危険な場所へは立ち入らない等、安全、防犯意識を充分に持つことです。

(1)安全のための基本理解

日本人は、海外での安全意識が欠如しており、無警戒、無防備、無認識であると指摘されます。海外での安全の基本は、「不断の警戒」「目立たない」「行動を予知されない」の三原則です。

(2)安全に関する情報の収集

安全情報の収集は楽しい海外生活を送るためには欠かせません。日頃から新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネット等のニュースや大使館、マドリード日本人会、水曜会(スペイン日系進出企業団体)等を通して、安全情報の収集をお勧めします。

なお、在スペイン日本国大使館では、随時、ホームページに安全情報を掲載・更新しており、また、ご希望の方々に安全に関する情報等を電子メールにて送信するサービスを実施しております。本サービスをご希望の方は、ご氏名及び登録希望メールアドレスを領事部代表メールアドレス(consulado@md.mofa.go.jp)宛にお送りください。

(3)緊急時の連絡先の把握

万一の事件、事故に備えての警察、消防、病院、大使館或いは所属会社・団体関係者、信頼できる近隣者等の連絡先は常に整理し、在留邦人相互間の連絡体制も併せて確立することをお勧めします。

2.一般治安情勢
(1)一般犯罪状況

スペイン内務省発表の2010年一般犯罪統計によれば、主要犯罪件数は、170万0,696件(前年比-34,679件)となっています。その内、身体犯(殺人、過失致死、傷害、逮捕監禁、脅迫、強要及び性犯罪)は、13万2,642件(前年比-2,980件)、財産犯(窃盗、強盗、恐喝、詐欺及び器物損壊)は、83万2,233件(前年比-20,099件)、軽微な傷害は、9万4,778件(前年比-899件)、軽微な窃盗(400ユーロ未満の窃盗)は、64万1,043件(前年比-10,711件)です。最も被害に遭う可能性が高い窃盗犯罪(スリ、置き引き、ひったくり)は注意を要します。また、スペインでは不法移民による犯罪が多く、社会問題になっています。

(2)麻薬事犯取締状況

スペインはアフリカ、中南米から欧州に入る各種麻薬の重要な入口となっており、密売組織が暗躍しています。またスペイン国内における麻薬乱用も大きな社会問題となっています。スペインでの麻薬密輸、密売の罪は重いので、見知らぬ人から「荷物を預かってもらいたい」「手数料を払うので、荷物を運んでもらいたい」などと頼まれても絶対に引き受けてはいけません。日本人の気の良さに付け込んだ甘言に乗ってしまうと知らない間に「麻薬の運び屋」に仕立てられ、麻薬取引の共犯者となりますので、そのような場合は無視することが最良の策です。

(3)スペインの警察制度

スペインで生活している方の安全確保、事件、事故発生に際しての第一次的責任はスペイン政府が負っています。日本人が事件、事故に巻き込まれた場合には、大使館は邦人保護の観点から必要な援護措置を講じますが、捜査、処理は全てスペインの主権の下に、スペイン政府の責任において処理されます。したがって、日本の治安当局の捜査手法、処理方法とは同一であるとは限りません。スペインの警察制度は、日本の制度とは異っており、4つの警察組織が存在し、それぞれ管轄地域と職務権限を異にしています。

(イ)国家警察総局(Dirección General de Policía)
「091」のマーク入りパトカーに乗り、夏季には白色の上着の制服を着た警察官を街中でよく見かけると思いますが、彼らが国家警察総局の警察官です。
文民の性格を有する警察官で、内務大臣の指揮の下、県都及び、市中心部の治安維持を担当しています。一般的警察業務を担当する他、身分証明書、パスポートの発給、外国人の出入国、在留管理、賭博、薬物犯罪の捜査等を固有の担当としています。
(ロ)治安警備総局(Dirección General de la Guardia Civil)
緑色の制服、パトカーで街頭治安警戒を行っています。軍隊の性格を有する武装警察官です。国家警察総局とは担当地域を異にし、郡部、都市間幹線道路、組織的には最も日本の警察と似ており、領海を管轄しています。一般的警察業務は同一ですが、他に武器、爆発物の規制、密輸、国税法違反の取締り、幹線道路における交通取締り、輸送警戒、重要施設の警戒、自然環境保護等を固有の担当としています。
(ハ)市警察(Servicio de la Policía Municipal)
地方公共団体がその行政区域内の治安責任を果たすために独自に設置した機関です。職務は交通警察分野と市民安全対策を担当(白黒の市松模様の制服着用)する他、管内の公共事業機関、公共建造物、施設の警戒、犯罪多発地域の巡回、及び行政命令、条例の執行等を担当しています。
(ニ)自治州警察(Policías Autónomas)
自治州(バスク地方、カタルーニャ地方、ナバラ地方)が独自に持つ警察機関です。
3.テロ情勢

スペインでは、テロ組織ETA(バスク祖国と自由)及びアル・カーイダと関連するイスラム過激派のテロが最大の脅威です。

(1)イスラム過激派

スペインを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織によるテロの脅威にさらされています。2004年のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010年10月には米国国務省が、欧州におけるテロ攻撃の可能性について渡航警報を発出し、同年12月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自爆テロに関連するとみられる爆発事件が発生する等、欧州に対するテロ脅威は引き続き存在しています。

2011年中、当国の治安当局は、アル・カーイダと関係があるグループメンバーの逮捕、アジトの捜索等徹底した取締りを実施しています。

(2)ETA

2011年中、当国の治安当局は、以下のとおりフランス治安当局と連携してフランス国内でETAメンバーの逮捕、アジトの捜索等徹底した取締りを実施して大きな打撃を与えたと見られます。また、2011年10月20日、ETAは武装活動を完全に停止するとの宣言を行いました。しかしながら、ETAは未だにテロを実行する能力を維持していると見られることから楽観視は出来ません。一般市民がテロ被害に遭遇する可能性は否定できず、十分な注意が必要です。通常、ETAはテロを実行する場合、事前(30分から1時間ほど前)に予告することが多いので、周辺の状況に常に注意を払い、治安当局から避難等の指示があった場合は、指示に従うようにして下さい。

4.邦人被害状況

2011年における在スペイン日本国大使館及び在バルセロナ総領事館が把握している邦人被害件数は520件であり、前年の509件と比べ若干増加しています。また、邦人旅行者の増加に伴い、被害件数は中長期的にも依然増加傾向にあります。

犯罪の内訳は、スリ及び置き引きによる被害が圧倒的に多く、全体の約76%を占めています。また、バルセロナ及びマドリードにおいて偽警官による事件が計35件(うち、在バルセロナ総領事館管轄で29件)発生しており、十分な注意が必要です。近年、特に被害の増加が顕著である犯罪はスリ及び置き引きです。

また、一時期、「スペイン=危険」というイメージをもたらした首絞め強盗ですが、2011年においては計5件(マドリード:3件、バルセロナ:2件)と、発生件数が非常に多かった2000年の353件と比べ、大幅に減少しています。これは、スペイン政府が、近年、日本人観光客の被害者を減らすために積極的に取り組んだ結果とも言えます。

当館におきましては、首絞め強盗が発生する度に発生状況等を警察に通報し、これに対し警察では、首絞め強盗が多発している場所の警備やパトロールを強化し、警察当局自らが作成した日本語の安全パンフレットを主要なホテルや駅、バスターミナルに置いて注意喚起を行っています。この他、マドリード市では夏のバカンスシーズンや年末年始には、外国人観光客のための移動交番を設置しています。また、外務省ホームページによって注意喚起し、あるいは日本の旅行業界や旅行出版会社のご理解・ご協力を得て、旅行ガイドブックには、スペインでの犯罪予防のためにかなりのページを割いて頂いております。

このように凶悪な犯罪は減少傾向にありますが、未だ年間500件以上の邦人被害が確認されています。中には被害者の不注意に起因すると思われる被害も多く見受けられます。被害に遭ってはせっかくの旅行が台無しになってしまいます。隙があれば襲われる可能性が高くなるという心構えを常に持ち、服装に気をつけ、人通りの少ない道を避け、団体行動を心掛けるようお願いいたします。特に被害の多い置き引きやスリへの対策としては、常に自分の荷物に注意を払うよう心掛けるとともに、自分の周囲で気を引くようなこと(前を歩いている人が小銭を落とす、突然話かけられる等)が起きた場合、まず持ち物をしっかりと確認することが肝要です。

また、具体的な邦人被害例につきましては、毎月、在スペイン日本国大使館ホームページ「治安情報」の中の「邦人被害例」に掲載していますので、ご参照ください。

2011年における事件別邦人被害件数(スペイン全土)
スリ:225件、置き引き:172件、ニセ警官:35件、ひったくり:20件、車上狙い・パンク盗:19件、首絞め強盗:5件、その他(侵入盗、詐欺等)44件、計:520件
2000年以降の被害件数の推移(括弧内は首絞め強盗の被害件数)
2011年:520件(5件)
2010年:509件(14件)
2009年:457件(6件)
2008年:461件(10件)
2007年:545件(21件)
2006年:416件(31件)
2005年:392件(49件)
2004年:397件(67件)
2003年:429年(112件)
2002年:465件(149件)
2001年:587件(290件)
2000年:652件(353件)
(1)被害発生場所
(イ)マドリード
地下鉄車内及び駅構内(特に空港と市内を結ぶ8番線(ピンク色の路線))、スペイン広場、マヨール広場、プエルタ・デル・ソル、王宮、サンティアゴ・ベルナベウ・サッカー場付近、プラド美術館周辺、レイナ・ソフィア美術館周辺、グラン・ビア通り付近、空港、駅、バスターミナル、ホテル内ロビー及びレストラン等観光客の多く集まる場所において、スリや置き引きが多発しています。
また、グラン・ビア通りなどの大通りやラストロ(蚤の市)から一本外れた人通りの少ない道において、首絞め強盗やひったくりが発生しています。
昨今、ファーストフード店、洋服店、百貨店等、店内での接到事件が多発していますので、屋内であっても十分な注意が必要です。
また、市内各所の路上において私服警官を装った偽警官による詐欺事件の発生も確認されています。
(ロ)バルセロナ
サンツ駅及びカタルーニャ駅などの地下鉄駅構内及び車内、北バスターミナル、ランブラス通り、カタルーニャ広場周辺、プラット空港、ホテルロビー、サグラダファミリアやグエル公園等の観光地、カテドラルを中心としたゴシック地区、カンプ・ノウ・スタジアム周辺、モンジェイックの丘等外国人旅行者が多く集まる場所で被害(主にスリ及び置き引き)が多発しています。また、市内各所(前記観光地等の他、グエル別邸、ディアゴナル通り周辺、グエル公園、サン・パウ病院、フランサ駅等)において私服警官を装った偽警官による詐欺事件が発生しています。
(ハ)コルドバ
花の小道、メスキータ付近、ユダヤ人街等の観光地においてスリや置き引きが発生しています。
(ニ)グラナダ
サンニコラス教会付近、アルバイシン地区においてひったくりや首絞め強盗が発生しています。
(ホ)グラン・カナリア島
ラスパルマス港周辺全地域、サンタ・カタリーナ公園周辺、フェルナンド・グアナルテメ周辺、シウダ・アルタ周辺の商店街地域(ラス・チュンベーラス地区、チャマン地区、ヒナマル地区)、サラテ地区、フェリア・デル・アトランティコ地区、島南部観光地(プラジャ・デル・イングレス)。
(ヘ)テネリフェ島
レイナ・ソフィア国際空港、ラス・アメリカス海岸周辺、ラス・テレシータス海岸、テイデ国立公園。
(2)被害発生時間帯

夜間の他、12時から18時までの時間帯に被害が多く発生しています。これは、この時間帯がスペインの昼食時にあたり、人通りが比較的少なくなるためと考えられます。なお、同時間帯における犯罪被害は237件、全体の約45%となっています。

(3)年代・性別

20代から30代の被害者が最も多く、全体の約57%を占めています。性別では、男性の被害者が女性の被害者に比べ若干多いものの、大きな差は見られません。

5.主要な犯罪
(1)スリ

駅のエスカレーター、地下鉄やバス内、観光名所、路上などにおいて、小銭等をばら撒き、又は話しかけたりして、歩行者の注意をそらし、ショルダーバッグやバッグ等から財布を抜き取る(グループが取り囲んで犯行に及ぶケースもある)。また、地下鉄車内等で、腕にかけた上着等で鞄を覆って犯行に及ぶケースも多く確認されている。

対策:外出の際は、パスポートや多額の現金、カード類、航空券等の貴重品は極力持ち歩かないよう心掛ける。

なお、やむを得ず持ち歩く場合には、貴重品等を一か所にまとめず、小分けして分散して身に着けるなどの注意が必要です。

周囲で注意を引くこと(前を歩いている人が小銭を落とす、突然話しかけられる等)が発生した場合は、まず、自分の手荷物に注意を払い、周囲に不振人物がいないか確認してください。

目隠しスリ
犯人は、地下鉄などで新聞を読みながら近づき、その新聞で被害者のカバンやポケットを隠しながら財布などを盗む。
対策:不審人物が接近して来る場合には、直ちにその場を離れることを心掛ける。また、人込みですれ違う場合には、荷物に注意を払うよう心掛ける。
エスカレータースリ
エスカレーター及び階段において、歩行者の前後を犯人が2~3人で取り囲み、前方の人物が、物を突然落として、落とした物を探し始める。歩行者が探すことを手伝っている隙に、他の仲間が、歩行者のカバンやポケットから財布などを盗む。
対策:犯人に取り囲まれそうになったら、直ちにその場を離れるようにする。犯人が物を落とした場合でも、手伝うことをせずに見過ごすよう心掛ける。
ケチャップスリ
犯人がケチャップやマスタード等を意図的に歩行者の衣服に付けて、歩行者が指摘されるなどして気付き、自身で衣服の汚れを拭き取ろうとする際、犯人は拭き取る手伝いをすると見せかけて、歩行者のカバンやポケットから財布を盗む。
対策:衣服に汚れなどが付着していることを指摘されても、その場で衣服を脱いで汚れを拭き取ることをせず、また、親切に拭き取る手伝いをする人物がいても応じないことが肝要。
物売りスリ
歩行者に花束や絵はがきを売りつける素振りで身体に押しつけている隙に、犯人はカバンやポケットから財布を盗む。
対策:商品を売りつけるような物売りに遭遇した場合には、直ちにその場を離れることを心掛ける。
切り裂きスリ
カッターなどでバッグを切り裂いて、財布などを盗むもの。地下鉄車内で発生。
対策:カバンなどは肩に掛けずに抱えるように持ち、また、周囲の人物には接触しないよう心掛ける。
(2)置き引き

犯人は地下鉄駅構内、レストラン、ファーストフード店、ホテルのロビーやレストラン、空港、バスターミナル等において、小銭等を故意に落としたり、落とし物を拾うなどして話しかけ、被害者の注意をそらして、足下や隣の座席に置いてあるバッグ等を盗む。

対策:ビュッフェ形式の食事の際には、常に荷物を身に着けることを心掛ける。また、荷物を足下に置いたり、椅子に置く場合であっても、常に荷物に注意を払うよう心掛ける。特に自分の周りで気を引くようなことが起きたら、まず持ち物をしっかりと確認する。

(3)ひったくり

犯人は裏通りや物陰を利用して待ち伏せし、通りかかった人のショルダーバッグなどを奪い取る。前方の路上で待機する仲間とバイクで逃走することもある。

対策:道を歩くときは車道側を避け、荷物は車道側の手に持たず、しっかりと身体の前方におく。

(4)首絞め強盗

犯人は人通りの少ない路上や、オスタル(安価で宿泊できるホテル)の入口において、背後から突然首を絞めて、被害者が気絶している隙に、所持品を盗む。薬品のような物を嗅がせ、昏睡状態に陥っている間に犯行に及ぶ例もある。

対策:被害は、特に土日及び祝日の14時~16時の昼食時間帯に多発している。昼食時間帯に人通りの少ない道を歩く際は、常に周囲に注意を払って行動し、不審者の存在を確認した場合には、直ちに、近くの商店などに避難して、回避に努めるよう心掛ける。

(5)睡眠薬強盗

見知らぬ男が親しげに近寄ってきて、被害者に「昼食を一緒にしよう」と持ちかけ、睡眠薬入りの食べ物(パンや鶏肉など)を提供し、被害者が気絶している間に所持品を盗む。

対策:見知らぬ人物から勧められた食べ物、飲み物は、絶対に口にしないようにする。

(6)偽警官

警察を名乗る私服の男数人が、警察手帳らしき物を見せて信用させた上で、所持品検査と偽り、財布などを取り上げ、財布からお金やクレジットカードを抜き取る。
(これまでに確認されている事例では、全て偽私服警官によるもので、偽制服警官によるものは報告されていません。)

対策:最寄りの警察署等に行き、制服警察官の立会いを求める。また、クレジットカードの暗証番号を尋ねられても、絶対に教えないことが大切(以下、「偽警官の主な特徴」を参照)。

なお、ブランド店が並ぶマドリード市内のセラーノ通りでは、詐欺事件の防犯の観点から、また、空港や駅では密入国者摘発等のため私服警官が巡回しています。これらの場所では、日本人旅行者が私服警官を偽警官と思いこみ、公務執行妨害の容疑で一時拘束されるケースも起きていますので、職務質問をされた場合には、偽警官か否かを見分けることも重要です(偽警官と思しき人物の特徴や、その車両ナンバーをメモするなどして、直ちに警察に通報されることも良いでしょう)。

<偽警官の主な特徴>
  • 警察手帳らしき偽物の手帳やバッジを一瞬しか見せない。
  • 財布の提示を要求する(※警察官からパスポートの提示を求められることはありますが、財布の提示を求められることはありません)。
  • インド系、東欧系或いはパキスタン系と思しき人物で、スペイン語が流暢ではなく、英語で話し掛けてくる場合もある。
(7)宝くじ当選を装う詐欺事件

スペインを始め、ヨーロッパ等から「貴殿は(架空の)主催の宝くじに当選しました。賞金を受け取るためには○○○宛に保証金、手数料として所定の前金を支払う必要があります。」旨の内容が、手紙、FAX、電子メールなどで送付され、受領者がその指示通りの金額を送金しても、賞金に関する連絡が無く、そこで騙されたことに気づくというもの。

対策:本人が応募もしていないのに宝くじの当選通知が来るということ自体不自然であり、上記連絡があっても、詐欺の可能性を考慮し、安易に信用して送金しないよう心掛ける。

(8)その他
物乞い盗
数人の子供が物乞いする振りをして近づいてきて被害者の注意をそらし、テーブルの上の携帯電話や椅子の背もたれにかけたカバンなどを盗む。
対策:物乞いを相手にせずに、直ちに放置してある所持品を持つことを心掛ける。
車の窓ふき盗
信号で止まった車の窓を拭いてチップを要求し、運転者の気をそらしている隙に、ドアを開けて車内に放置してある物を盗む。又は運転者が窓を開けた際に車内の物を盗む。
対策:「窓拭きの必要はない」ことを示し、相手にしないようにする(窓やドアを開けないようにする)。
パンク盗
高速道路などで、タイヤがパンクしていることを指摘し、車両を停止させる。タイヤの確認や、修理をしている隙に、車内の物や、車両自体を盗む。
対策:「タイヤがパンクしている」と指摘されても、その場で停止して確認や修理を行うことをせず、取り敢えず安全な場所まで走行させる。確認や修理のために車外に出る時には、必ずドアロックをするよう心掛ける。
6.交通事情と自動車運転上の注意
(1)一般的な交通事情
(イ)車の通行
右側通行です。
(ロ)道路事情
朝、晩の通勤時間帯及び昼食時間帯は渋滞します。
(ハ)運転マナー
一般的に運転マナーが悪く、速度超過、信号無視(特に、赤になったのに渡りきろうとする)、無理な車線変更や強引な割り込み、違法駐車、車間距離の欠如等が多く見られます。
(ニ)歩行者
信号の青色点滅は横断禁止です。
(ホ)マドリード市内の主な交通機関
バス、タクシー、地下鉄等の公共交通手段が利用できます。
(ヘ)生活習慣としては車優先か人優先か
人優先ですが、事故に遭わないよう、周囲には十分注意を払ってください。
(2)車を運転する場合の注意事項
(イ)道路走行中の注意事項
信号機の設置場所は日本と異なり、交差点の手前に設置されているので、注意が必要です。また、バス専用レーンを横断する場合、走行中のバスが優先となりますので、しっかりと確認する必要があります。
(ロ)道路標識
日本とほぼ同じです(制限速度もキロ表示)。
(ハ)道路の舗装
良く整備されています。しかし、道路工事が市内・市外の至る所で行われており、交通渋滞の原因となっています。
(ニ)ガソリン事情
特に問題はなく、ガソリンスタンドも利用しやすくなっています。ただし、セルフサービス店では、初めての場合、給油方法等分かり難いことがあります。
また、ガソリンスタンドに併設されている店で買い物中に車中に置いた鞄等を盗まれる事例が確認されていますので注意が必要です。
(ホ)シートベルトの着用
後部座席を含め着用が義務づけられており、違反者は処罰されます。
(ヘ)規制事項
運転中は、携帯電話等の通信機器類の使用が禁止されています。また、ヘッドホンやイヤホン等運転に必要な注意力に支障をきたす可能性がある機器の使用も禁止されています。
(ト)自動車に備えておくもの
三角停止表示板、予備電球、安全チョッキ、自動車所有関係書類や自動車保険書等。
(3)交通事故について
(イ)交通事故
増加(特に若年者の死亡事故)の傾向にあります。
(ロ)交通事故の原因
運転に起因するもの、道路等の設備に起因するもの、車に起因するものが挙げられますが、そのほとんどが交通法規無視や運転技術の未熟によるものです。また、事故の数パーセントは車の欠陥が原因とされており、注意が必要です。死亡事故については、スピード超過及び飲酒運転が2大事故原因となっています。
(ハ)交通事故の補償金
様々なケースがあり一概に断定できませんが、以前と比較し最近では保険金がかなり支払われているようです。
(ニ)交通事故を起こしたら
人身事故の場合は「警察への通報」「負傷者の病院搬送」「相互の事故保険の確認」が必要です。物損のみの場合、警察への連絡はまれで、ほとんどが保険会社を通じ処理しているのが実状のようです。
(ホ)事故に対する罰則
日本とほぼ同じと言えます。
7.誘拐対策

スペインではこれまで邦人を巻き込んだ誘拐事件は起こっていませんが、この種の犯罪はどのような形で襲ってくるかわかりません。そのための日常における防止策としての心がけは次のとおりです。

(1)出勤、帰宅、外出の際、自宅周辺の様子が普段と違うかどうか注意する習慣をつける。

(2)判で押したような出勤、帰宅、外出は犯人に絶好の襲撃機会を与えることになるので、出来る限り時間帯や道順などのパターンを変える。

(3)万一誘拐された場合は犯人に抵抗しない。誘拐犯がむやみに殺傷等をせず、目的(例えば身代金を得る等)達成後には無事解放されることを信じ、落ち着いて体力を維持しつつ、救出を待つという心構えが必要。

8.緊急連絡先

<救急全般> 112(警察、消防、救急すべての共通番号、救急車手配等必要に応じた部署へ電話が繋がる仕組みとなっているので非常に有効。)

<国家警察> 091

<市警察> 092

<治安警察> 062

<消防> 080

<救急> 061

<被害届> 902-102-112(日本語対応可。ただし、人員が限られているため、応対まで多少時間がかかることがあります。)

9.在スペイン日本国公館
(1)在スペイン日本国大使館(Embajada del Japón)

住所:Calle Serrano,109, 28006 Madrid
電話:91-590-7600(代表)
91-590-7614(領事部直通)

窓口・電話受付時間:

  • 通常期間
    窓口時間(月曜)~(金曜) 9時30分~13時45分、14時45分~17時30分
    電話受付時間(月曜)~(金曜) 9時30分~13時45分、14時45分~16時30分
  • 7~8月
    窓口時間(月曜)~(金曜) 8時30分~15時30分
    電話受付時間(月曜)~(金曜) 9時00分~14時30分
(2)在バルセロナ日本国総領事館(Consulado General del Japón)

住所:Avda. Diagonal,640, Edificio Caja Madrid 2a planta D,
08017 Barcelona

電話:93-280-3433(代表)
93-204-5439(領事部直通)

窓口・電話受付時間:

  • 通常期間
    窓口時間(月曜)~(金曜) 9時00分~13時00分、15時00分~16時00分
    電話受付時間(月曜)~(金曜) 9時00分~13時30分、15時00分~17時30分
  • 夏期期間(夏期期間は、例年6月23日~8月31日)
    窓口時間(月曜)~(金曜) 8時30分~13時30分
    電話受付時間(月曜)~(金曜) 8時00分~15時00分
(3)在ラスパルマス出張駐在官事務所(Consulado del Japón)

住所:Calle Santiago Rusinol, 12
35005 Las Palmas de Gran Canaria

電話:928-244012(代表)

窓口・電話受付時間:

  • 通常期間:(月曜)~(金曜) 9時00分~12時00分、14時00分~16時00分
  • 7~8月:(月曜)~(金曜) 9時00分~15時00分

※なお、各館とも上記開館時間以外及び日曜祝日は閉館していますが、日本人に関する人身事故等緊急の場合には対応しています。

10.緊急時の言葉

「泥棒」ラドロン(Ladrón)

「助けて」ソコーロ(Socorro)

「警察」ポリシア(Policía)

「救急車」アンブランシア(Ambulancia)

「病気」エンフェルモ(Enfermo)

「火事だ」フエゴ(Fuego)

「日本大使館」エンバハーダ・デル・パポン(Embajada del Japón)

「日本総領事館」コンスラード・ヘネラル・デル・パポン
(Consulado General del Japón)

「出張駐在官事務所」コンスラード・デル・ハポン(Consulado del Japón)

「日本大使館の住所(Calle Serrano 109)」
カジェ・セラーノ・シエント・ヌエベ

Ⅲ.緊急事態対処マニュアル:大規模テロ(爆弾テロ)に備えた日本人心得

1.平素の心得と準備

緊急事態が「いつ、どこで、どのように」発生するのか予測は困難です。日頃からの準備が非常に大切です。

(1)情報の収集、現状の把握

常に最新の治安情報入手に努めましょう。

新聞、テレビ、ラジオ、インターネットの報道の他、外務省の海外安全ホームページにおいても以下の情報を入手することができます。

また、外務省では、NHK海外放送(ラジオ日本)を通じ、現地情勢、退避方法等について情報提供を行うことがありますので、短波放送が受信可能なラジオ(電池使用)を備えておくことをお勧めします。ラジオ日本はヨーロッパ向けに日本語放送しており、放送時間により異なりますので、次のラジオ日本のホームページをご参照ください。

【海外危険情報】
外国において治安が極度に悪化したり、緊急事態発生のおそれが高まった場合、外務省ではその国や地域の治安情勢などを4段階に区分して発出します。危険度により「十分注意してください」、「渡航の是非を検討してください」、「渡航の延期をお勧めします」、「待避を勧告します。渡航は延期してください」に分かれています。
【スポット情報】
日本人の安全に関わる重要な事案が生じた場合、あるいは生じる可能性がある場合に速報的に出される情報です。その内容はテロや紛争に関する情報やスト、国際会議開催等渡航・滞在の安全対策やトラブル回避の観点から、知っておく必要があると思われる事案について、個々に情報提供するものです。
【安全対策基礎データ】
渡航、滞在に当たって、防犯やトラブル回避の観点から知っておきたい情報、具体的には、治安情勢、犯罪発生状況、多発している一般犯罪の手口や防犯対策、日本人が巻き込まれた事件等が掲載されています。
【テロ概要】
テロ組織ごとにテロ事件の発生状況及び日本人・日本権益に対する脅威について掲載されています。
(2)連絡体制の確保
【在留届の提出励行】
緊急事態発生が発生した際、大使館が在留邦人の皆さまの安否確認や事件事故等に遭われた際に支援を行うための連絡は、「在留届」に記載された連絡先を利用し行われます。渡航先で3か月以上滞在予定の方は、在留届の提出を励行して下さい。また、転居、帰国、家族の異動等で届け出事項に変更が生じた場合も、忘れずに変更のご連絡をお願いします。
【家族間、企業内の連絡】
家族間、企業内での緊急連絡方法について、予め決めておく必要があります。また、常時お互いに連絡が取れるよう所在を明確にするようにして下さい(旅行等で不在となる場合、その旨周知していください)。
【電話回線不通時の備え】
予め家族や会社関係者等との合流場所を決めておきましょう。
2.緊急時の行動
(1)心構え

緊急事態が発生し、または発生する恐れがある場合には、大使館は情報収集、情勢判断および安全対策の策定を行い、随時、情報提供を行います。平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理行動に巻き込まれることのないよう注意し行動して下さい。

(2)初動
【安否の連絡】
先ず安否の連絡が重要です。直ちに家族や会社などに連絡してください。それほど自分には影響がない場合も、本邦家族などへ連絡しましょう。
【安全の確保】
外出時に緊急事態が起こったら、危険な場所から直ちに離れ、安全な場所に移動してください。自宅や職場、ホテルなどの屋内にいる場合には、先ず自分の存在を大使館に報せてください。安全が確認されるまでは、不用意に移動しないでください。
【情勢の把握】
緊急事態発生の際には、現地・海外報道、衛星放送テレビなどのメディアによる情報収集を各自心がけて下さい。スペイン政府機関や大使館のほか、日本の外務省からも情報を得られます。緊急時には誤った情報や噂が流れやすくなりますので、落ち着いて正しい現状把握に努めて下さい。
  • 外務省領事局海外邦人安全課 03-3580-3311 (内線)5139
  • 外務省海外安全相談センター 03-3580-3311 (内線)2902
  • 外務省海外安全ホームページ http://www.anzen.mofa.go.jp
(3)在スペイン日本国大使館への通報等
【情報の共有】
重要と思われる情報を独自に得た場合、大使館に通報して下さい。他の在留邦人の役に立つ情報となります。
【被害の報告】
自分や家族または他の邦人の生命・身体に被害が及ぶかその恐れがある場合は、迅速かつ具体的にその状況を大使館に報告して下さい。
【相互の協力】
緊急事態発生の際には、お互いに助け合うことが必要になります。大使館からも在留邦人の方々に種々の助力をお願いすることもありますので、ご協力をお願いします。

緊急事態に備えてのチェックリスト

  • パスポート、身分証明書
    パスポートまたは身分証明書は、緊急時では必ず携行すべき重要書類です。
    パスポートの残存有効期間は6ヶ月以上であることが望ましく、最終ページの「所持人記載欄」は漏れなく記載し、下段の血液型も記入しておく。
  • 現金、クレジットカード、預金通帳、有価証券
  • 自動車の整備等
    • 自動車は常時整備しておき、ガソリンはいつも十分入れておく。
    • 車内には、懐中電灯、地図、ティッシュペーパー等を備えておく。
    • 自動車を持たない人は、近くに住む自動車を持つ人と平素から連絡をとり、必要な場合に同乗できるよう相談しておくこと。
  • 携行品の準備
    避難場所へ移動する事態に備え、上記に加えて次の携行品を直ぐに持ち出せるよう準備しておくこと。
    • 衣類・着替え(長袖、長ズボンが賢明。行動に便利で、華美なものは控え、吸湿性、耐寒・耐暑性に富む素材が望ましい)
    • 履き物(行動に便利で底の厚い頑丈な革靴)
    • 洗面用具(タオル、歯磨き、石鹸等)
    • 非常用食糧等
      自宅待機に備え、米、ミネラルウォーター、粉ミルクなどの食糧を備蓄し、自宅から他の場所へ避難する際は、その中からインスタント食品、缶詰類、粉ミルク、飲料水(水筒)を携行すること。
    • 医薬品等(常時服用している薬剤のほか、最低限の救急薬品)
    • ラジオ(NHK海外放送=ラジオ・ジャパン、BBCやVOAなどの短波放送を受信できる電池仕様のもの)
    • その他
      懐中電灯、ライター、ろうそく、ナイフ・フォーク、缶切り、栓抜き、紙・プラスティックの食器、簡単な炊事用具、固形燃料など

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