在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。
2012年2月27日
在スペイン日本国大使館
我が国の国際化の進展に伴い、海外で暮らす日本人の数は年々増加し、それとともに海外で事件、事故に巻き込まれる事例が増えていることは皆様ご承知のとおりです。
スペインにおいても2011年には520件の邦人被害が報告されています。しかし、これらの邦人被害はスリや置き引きが大半を占め、日頃から注意して対策を講じていれば予防できると思われます。
また、スペインでは2004年3月11日、欧州最大の爆弾テロとなったイスラム過激派組織によるマドリード連続列車爆破テロ事件が発生し、191人が死亡、1,824人が負傷しました。更に、2006年12月30日には、マドリード・バラハス空港駐車場において、ETAによる大規模な自動車爆弾テロが発生し、外国人22が死亡しています。今後も、このようなテロ事件が皆様の身近で発生しないとは必ずしも言い切れません。
こうした状況下では、強盗や窃盗などの一般犯罪に対する安全対策はさることながら、テロ事件に対する安全意識を持つことも重要です。海外において犯罪の被害に遭わないためには、皆様一人一人が日頃から安全意識をもって行動されることが必要となります。
そこで、スペイン在住の方々や旅行される皆様方の防犯のご参考になればと思い、「防犯の手引き」及び「緊急事態対処マニュアル:大規模テロ(爆弾テロ)に備えた日本人心得」から成るこの「安全の手引き」を作成しました。この手引きの内容は決して目新しいものではなく、スペインに長く滞在されている方々には当然のことも多いと思いますが、もう一度お読みいただき、皆様の安全で快適なスペイン生活の一助になれば幸いです。
スペインは、「太陽の国」、「情熱の国」と言われるように、明るく楽しむことが好きな国民性に加え、極めて親日的な国です。しかし、治安面は最近増えてきている不法移民問題を始め、多種多様な犯罪が発生していることも事実です。そういった犯罪に皆様が巻き込まれないために最も重要なことは、事件、事故に巻き込まれる前に、正しく当地スペインの実態を認識し、危険な場所へは立ち入らない等、安全、防犯意識を充分に持つことです。
日本人は、海外での安全意識が欠如しており、無警戒、無防備、無認識であると指摘されます。海外での安全の基本は、「不断の警戒」「目立たない」「行動を予知されない」の三原則です。
安全情報の収集は楽しい海外生活を送るためには欠かせません。日頃から新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネット等のニュースや大使館、マドリード日本人会、水曜会(スペイン日系進出企業団体)等を通して、安全情報の収集をお勧めします。
なお、在スペイン日本国大使館では、随時、ホームページに安全情報を掲載・更新しており、また、ご希望の方々に安全に関する情報等を電子メールにて送信するサービスを実施しております。本サービスをご希望の方は、ご氏名及び登録希望メールアドレスを領事部代表メールアドレス(consulado@md.mofa.go.jp)宛にお送りください。
万一の事件、事故に備えての警察、消防、病院、大使館或いは所属会社・団体関係者、信頼できる近隣者等の連絡先は常に整理し、在留邦人相互間の連絡体制も併せて確立することをお勧めします。
スペイン内務省発表の2010年一般犯罪統計によれば、主要犯罪件数は、170万0,696件(前年比-34,679件)となっています。その内、身体犯(殺人、過失致死、傷害、逮捕監禁、脅迫、強要及び性犯罪)は、13万2,642件(前年比-2,980件)、財産犯(窃盗、強盗、恐喝、詐欺及び器物損壊)は、83万2,233件(前年比-20,099件)、軽微な傷害は、9万4,778件(前年比-899件)、軽微な窃盗(400ユーロ未満の窃盗)は、64万1,043件(前年比-10,711件)です。最も被害に遭う可能性が高い窃盗犯罪(スリ、置き引き、ひったくり)は注意を要します。また、スペインでは不法移民による犯罪が多く、社会問題になっています。
スペインはアフリカ、中南米から欧州に入る各種麻薬の重要な入口となっており、密売組織が暗躍しています。またスペイン国内における麻薬乱用も大きな社会問題となっています。スペインでの麻薬密輸、密売の罪は重いので、見知らぬ人から「荷物を預かってもらいたい」「手数料を払うので、荷物を運んでもらいたい」などと頼まれても絶対に引き受けてはいけません。日本人の気の良さに付け込んだ甘言に乗ってしまうと知らない間に「麻薬の運び屋」に仕立てられ、麻薬取引の共犯者となりますので、そのような場合は無視することが最良の策です。
スペインで生活している方の安全確保、事件、事故発生に際しての第一次的責任はスペイン政府が負っています。日本人が事件、事故に巻き込まれた場合には、大使館は邦人保護の観点から必要な援護措置を講じますが、捜査、処理は全てスペインの主権の下に、スペイン政府の責任において処理されます。したがって、日本の治安当局の捜査手法、処理方法とは同一であるとは限りません。スペインの警察制度は、日本の制度とは異っており、4つの警察組織が存在し、それぞれ管轄地域と職務権限を異にしています。
スペインでは、テロ組織ETA(バスク祖国と自由)及びアル・カーイダと関連するイスラム過激派のテロが最大の脅威です。
スペインを含む欧州は、引き続き国際的なイスラム過激派組織によるテロの脅威にさらされています。2004年のマドリードにおける同時多発列車爆破テロ事件や、2005年のロンドン地下鉄等における連続爆弾テロ事件以降、各種の治安対策が積極的に講じられてきているものの、2010年10月には米国国務省が、欧州におけるテロ攻撃の可能性について渡航警報を発出し、同年12月にスウェーデンの首都ストックホルムにおいて実際に自爆テロに関連するとみられる爆発事件が発生する等、欧州に対するテロ脅威は引き続き存在しています。
2011年中、当国の治安当局は、アル・カーイダと関係があるグループメンバーの逮捕、アジトの捜索等徹底した取締りを実施しています。
2011年中、当国の治安当局は、以下のとおりフランス治安当局と連携してフランス国内でETAメンバーの逮捕、アジトの捜索等徹底した取締りを実施して大きな打撃を与えたと見られます。また、2011年10月20日、ETAは武装活動を完全に停止するとの宣言を行いました。しかしながら、ETAは未だにテロを実行する能力を維持していると見られることから楽観視は出来ません。一般市民がテロ被害に遭遇する可能性は否定できず、十分な注意が必要です。通常、ETAはテロを実行する場合、事前(30分から1時間ほど前)に予告することが多いので、周辺の状況に常に注意を払い、治安当局から避難等の指示があった場合は、指示に従うようにして下さい。
2011年における在スペイン日本国大使館及び在バルセロナ総領事館が把握している邦人被害件数は520件であり、前年の509件と比べ若干増加しています。また、邦人旅行者の増加に伴い、被害件数は中長期的にも依然増加傾向にあります。
犯罪の内訳は、スリ及び置き引きによる被害が圧倒的に多く、全体の約76%を占めています。また、バルセロナ及びマドリードにおいて偽警官による事件が計35件(うち、在バルセロナ総領事館管轄で29件)発生しており、十分な注意が必要です。近年、特に被害の増加が顕著である犯罪はスリ及び置き引きです。
また、一時期、「スペイン=危険」というイメージをもたらした首絞め強盗ですが、2011年においては計5件(マドリード:3件、バルセロナ:2件)と、発生件数が非常に多かった2000年の353件と比べ、大幅に減少しています。これは、スペイン政府が、近年、日本人観光客の被害者を減らすために積極的に取り組んだ結果とも言えます。
当館におきましては、首絞め強盗が発生する度に発生状況等を警察に通報し、これに対し警察では、首絞め強盗が多発している場所の警備やパトロールを強化し、警察当局自らが作成した日本語の安全パンフレットを主要なホテルや駅、バスターミナルに置いて注意喚起を行っています。この他、マドリード市では夏のバカンスシーズンや年末年始には、外国人観光客のための移動交番を設置しています。また、外務省ホームページによって注意喚起し、あるいは日本の旅行業界や旅行出版会社のご理解・ご協力を得て、旅行ガイドブックには、スペインでの犯罪予防のためにかなりのページを割いて頂いております。
このように凶悪な犯罪は減少傾向にありますが、未だ年間500件以上の邦人被害が確認されています。中には被害者の不注意に起因すると思われる被害も多く見受けられます。被害に遭ってはせっかくの旅行が台無しになってしまいます。隙があれば襲われる可能性が高くなるという心構えを常に持ち、服装に気をつけ、人通りの少ない道を避け、団体行動を心掛けるようお願いいたします。特に被害の多い置き引きやスリへの対策としては、常に自分の荷物に注意を払うよう心掛けるとともに、自分の周囲で気を引くようなこと(前を歩いている人が小銭を落とす、突然話かけられる等)が起きた場合、まず持ち物をしっかりと確認することが肝要です。
また、具体的な邦人被害例につきましては、毎月、在スペイン日本国大使館ホームページ「治安情報」の中の「邦人被害例」に掲載していますので、ご参照ください。
夜間の他、12時から18時までの時間帯に被害が多く発生しています。これは、この時間帯がスペインの昼食時にあたり、人通りが比較的少なくなるためと考えられます。なお、同時間帯における犯罪被害は237件、全体の約45%となっています。
20代から30代の被害者が最も多く、全体の約57%を占めています。性別では、男性の被害者が女性の被害者に比べ若干多いものの、大きな差は見られません。
駅のエスカレーター、地下鉄やバス内、観光名所、路上などにおいて、小銭等をばら撒き、又は話しかけたりして、歩行者の注意をそらし、ショルダーバッグやバッグ等から財布を抜き取る(グループが取り囲んで犯行に及ぶケースもある)。また、地下鉄車内等で、腕にかけた上着等で鞄を覆って犯行に及ぶケースも多く確認されている。
対策:外出の際は、パスポートや多額の現金、カード類、航空券等の貴重品は極力持ち歩かないよう心掛ける。
なお、やむを得ず持ち歩く場合には、貴重品等を一か所にまとめず、小分けして分散して身に着けるなどの注意が必要です。
周囲で注意を引くこと(前を歩いている人が小銭を落とす、突然話しかけられる等)が発生した場合は、まず、自分の手荷物に注意を払い、周囲に不振人物がいないか確認してください。
犯人は地下鉄駅構内、レストラン、ファーストフード店、ホテルのロビーやレストラン、空港、バスターミナル等において、小銭等を故意に落としたり、落とし物を拾うなどして話しかけ、被害者の注意をそらして、足下や隣の座席に置いてあるバッグ等を盗む。
対策:ビュッフェ形式の食事の際には、常に荷物を身に着けることを心掛ける。また、荷物を足下に置いたり、椅子に置く場合であっても、常に荷物に注意を払うよう心掛ける。特に自分の周りで気を引くようなことが起きたら、まず持ち物をしっかりと確認する。
犯人は裏通りや物陰を利用して待ち伏せし、通りかかった人のショルダーバッグなどを奪い取る。前方の路上で待機する仲間とバイクで逃走することもある。
対策:道を歩くときは車道側を避け、荷物は車道側の手に持たず、しっかりと身体の前方におく。
犯人は人通りの少ない路上や、オスタル(安価で宿泊できるホテル)の入口において、背後から突然首を絞めて、被害者が気絶している隙に、所持品を盗む。薬品のような物を嗅がせ、昏睡状態に陥っている間に犯行に及ぶ例もある。
対策:被害は、特に土日及び祝日の14時~16時の昼食時間帯に多発している。昼食時間帯に人通りの少ない道を歩く際は、常に周囲に注意を払って行動し、不審者の存在を確認した場合には、直ちに、近くの商店などに避難して、回避に努めるよう心掛ける。
見知らぬ男が親しげに近寄ってきて、被害者に「昼食を一緒にしよう」と持ちかけ、睡眠薬入りの食べ物(パンや鶏肉など)を提供し、被害者が気絶している間に所持品を盗む。
対策:見知らぬ人物から勧められた食べ物、飲み物は、絶対に口にしないようにする。
警察を名乗る私服の男数人が、警察手帳らしき物を見せて信用させた上で、所持品検査と偽り、財布などを取り上げ、財布からお金やクレジットカードを抜き取る。
(これまでに確認されている事例では、全て偽私服警官によるもので、偽制服警官によるものは報告されていません。)
対策:最寄りの警察署等に行き、制服警察官の立会いを求める。また、クレジットカードの暗証番号を尋ねられても、絶対に教えないことが大切(以下、「偽警官の主な特徴」を参照)。
なお、ブランド店が並ぶマドリード市内のセラーノ通りでは、詐欺事件の防犯の観点から、また、空港や駅では密入国者摘発等のため私服警官が巡回しています。これらの場所では、日本人旅行者が私服警官を偽警官と思いこみ、公務執行妨害の容疑で一時拘束されるケースも起きていますので、職務質問をされた場合には、偽警官か否かを見分けることも重要です(偽警官と思しき人物の特徴や、その車両ナンバーをメモするなどして、直ちに警察に通報されることも良いでしょう)。
スペインを始め、ヨーロッパ等から「貴殿は(架空の)主催の宝くじに当選しました。賞金を受け取るためには○○○宛に保証金、手数料として所定の前金を支払う必要があります。」旨の内容が、手紙、FAX、電子メールなどで送付され、受領者がその指示通りの金額を送金しても、賞金に関する連絡が無く、そこで騙されたことに気づくというもの。
対策:本人が応募もしていないのに宝くじの当選通知が来るということ自体不自然であり、上記連絡があっても、詐欺の可能性を考慮し、安易に信用して送金しないよう心掛ける。
スペインではこれまで邦人を巻き込んだ誘拐事件は起こっていませんが、この種の犯罪はどのような形で襲ってくるかわかりません。そのための日常における防止策としての心がけは次のとおりです。
(1)出勤、帰宅、外出の際、自宅周辺の様子が普段と違うかどうか注意する習慣をつける。
(2)判で押したような出勤、帰宅、外出は犯人に絶好の襲撃機会を与えることになるので、出来る限り時間帯や道順などのパターンを変える。
(3)万一誘拐された場合は犯人に抵抗しない。誘拐犯がむやみに殺傷等をせず、目的(例えば身代金を得る等)達成後には無事解放されることを信じ、落ち着いて体力を維持しつつ、救出を待つという心構えが必要。
<救急全般> 112(警察、消防、救急すべての共通番号、救急車手配等必要に応じた部署へ電話が繋がる仕組みとなっているので非常に有効。)
<国家警察> 091
<市警察> 092
<治安警察> 062
<消防> 080
<救急> 061
<被害届> 902-102-112(日本語対応可。ただし、人員が限られているため、応対まで多少時間がかかることがあります。)
住所:Calle Serrano,109, 28006 Madrid
電話:91-590-7600(代表)
91-590-7614(領事部直通)
窓口・電話受付時間:
住所:Avda. Diagonal,640, Edificio Caja Madrid 2a planta D,
08017 Barcelona
電話:93-280-3433(代表)
93-204-5439(領事部直通)
窓口・電話受付時間:
住所:Calle Santiago Rusinol, 12
35005 Las Palmas de Gran Canaria
電話:928-244012(代表)
窓口・電話受付時間:
※なお、各館とも上記開館時間以外及び日曜祝日は閉館していますが、日本人に関する人身事故等緊急の場合には対応しています。
「泥棒」ラドロン(Ladrón)
「助けて」ソコーロ(Socorro)
「警察」ポリシア(Policía)
「救急車」アンブランシア(Ambulancia)
「病気」エンフェルモ(Enfermo)
「火事だ」フエゴ(Fuego)
「日本大使館」エンバハーダ・デル・パポン(Embajada del Japón)
「日本総領事館」コンスラード・ヘネラル・デル・パポン
(Consulado General del Japón)
「出張駐在官事務所」コンスラード・デル・ハポン(Consulado del Japón)
「日本大使館の住所(Calle Serrano 109)」
カジェ・セラーノ・シエント・ヌエベ
緊急事態が「いつ、どこで、どのように」発生するのか予測は困難です。日頃からの準備が非常に大切です。
常に最新の治安情報入手に努めましょう。
新聞、テレビ、ラジオ、インターネットの報道の他、外務省の海外安全ホームページにおいても以下の情報を入手することができます。
また、外務省では、NHK海外放送(ラジオ日本)を通じ、現地情勢、退避方法等について情報提供を行うことがありますので、短波放送が受信可能なラジオ(電池使用)を備えておくことをお勧めします。ラジオ日本はヨーロッパ向けに日本語放送しており、放送時間により異なりますので、次のラジオ日本のホームページをご参照ください。
緊急事態が発生し、または発生する恐れがある場合には、大使館は情報収集、情勢判断および安全対策の策定を行い、随時、情報提供を行います。平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理行動に巻き込まれることのないよう注意し行動して下さい。