在留邦人向け安全の手引き 在南アフリカ共和国日本国大使館

在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。


在留邦人安全対策マニュアル

2012年1月
在南アフリカ共和国
日本国大使館
日本人会安全対策委員会

第1部 序言

目次
  1. 事態の想定
  2. 基本的留意事項
  3. 情報の共有化
  4. 緊急連絡先の確保
  5. 参考
1.序
○一般犯罪

南アフリカ共和国(以下南アという)は、1994年の全民族参加による総選挙で新政府が誕生してから15年以上が経過した現在でも政治、経済、社会、治安等の各分野において数多くの課題を抱えています。とりわけ治安問題に関しては、ヨハネスブルグは、世界的でも最も治安の悪い犯罪都市の一つとされ、最新の2011年9月発表の犯罪統計によると、殺人事件が15,940件(1日当たり43.6件)、殺人未遂事件が15,493件(1日当たり42.4件)、武武装強盗事件が101,463件(1日当たり277.9件)、強盗事件54,883件が(1日当たり150.3件)、強姦を含む性犯罪事件が66,196件(1日当たり181.3件)発生しています。前年度に比較すると、殺人事件が約5%減、殺人未遂事件が約11%減、武装強盗事件が約11%減、強盗事件が約5%減、強姦を含む性犯罪事件が約3%減となっていますが、いずれも発生件数は非常に高い水準であり、南アの人口が約5,000万人であることを鑑みれば、我が国とは到底比較になりません。

○国際テロ

南アの既存テロ組織の動向については、2001年にはケープタウンにおいてイスラム過激派組織パガドによる連続爆破事件が発生していますが、その後パガドの主要メンバーが検挙され、同組織は現在治安当局の厳しい監視下に置かれています。

2002年には、白人極右組織ボアマグによる連続爆破事件が発生しましたが、これらは当国黒人居住区を狙った犯行であり、ボアマグの主要メンバーは逮捕され、現在裁判係争中であり、同組織の活動は現時点でほとんど見られない状況です。

2004年4月には、不審な行動をとっていたテロリスト容疑者が南アで逮捕され、その後国外退去処分となる事件が発生しました。また同年7月、パキスタン・グジャラードで警察部隊と外国人テロリスト・グループによる15時間に及ぶ銃撃戦が発生しましたが、逮捕されたテロリスト・グループの中にヨハネスブルク居住の30歳の医師及びプレトリア居住の20歳のイスラム宗教学校の南ア人2人が含まれていたことが報じられました。

2005年7月に発生したロンドン爆破テロ事件の容疑者が、ザンビアで逮捕されましたが、同容疑者が事件前に南アに滞在し、実行犯と連絡をとっていた事実が報じられています。さらに2006年2月には、南ア、ケニア及びエジプト各警察が連携して、エジプトで爆弾テロを計画していた容疑者がケニアで逮捕される事件が発生しております。

昨年は、アフリカ大陸で初のサッカーW杯が開催されましたが、期間中、テロが絡む大きな混乱もなく幕を閉じました。しかしながら、アル・カイーダ等イスラム過激派が南アに潜伏しているとの見方もあり、米国や日本の在外公館等に対するテロの可能性は排除できない情勢にあるため、南アの在留邦人も、テロの被害に巻き込まれる可能性は完全に否定することはできません。

この「在留邦人安全対策マニュアル」は、このような治安及び国際テロ情勢の中で、日常生活における安全確保のための具体的方策の一例を示すとともに、国際テロ、政治不安に伴う暴動等の緊急事態発生時における対応要領等について現時点で想定できる対策事項をとりまとめたものです。防犯対策、緊急事態対策及びテロ対策のご参考にしていただければ幸いです。

2.事態の想定

現在のところ、南アの治安情勢は、日本人を直接の対象とした政治目的のテロ、誘拐、暴力事件の可能性が喫緊のものであるという状況ではありません。しかし、失業、貧困に端を発した大規模デモは、突発的に発生し、長期化するのが南アの場合は通例で、その都度警察と衝突し、騒擾状態になることが恒常化しています。

他方、一般犯罪情勢については、本書第二部で後述するとおり深刻な情勢であり、この国の犯罪者にとって、危機体験の少ない私達日本人は格好のターゲットになると言って過言ではありません。したがって、在留邦人の皆様におかれましては、南アの日常生活を営む上で、安全を確保するための不断の努力が不可欠であります。
以上に鑑み、本書においては、(1)防犯対策(強盗、強姦、窃盗、誘拐等一般犯罪への対処)、(2)緊急事態への対処(政治的暴動等への対処)、(3)テロ対策の三部構成になっております。

3.基本的留意事項

本マニュアルの対象は犯罪、政治情勢及びテロであります。対象は千変万化するものですので、マニュアルどおりに手だてをすれば安全か、大丈夫かという性質のものではありません。したがって以下の事項について留意してください。

  • 情報は常にリニューアル(最新情報)、リフレッシュ(正確)、リマインド(共有)するよう心掛ける。
  • 最悪の事態を想定して対策を練ることが危機管理である。
  • 安全対策は実践してこそ価値がある。
4.情報の共有化

安全対策を講じるための基礎となる治安情報は、できるだけ最新のものを多数把握し、より正確なものである必要があります。かかる情報を集約し、共有していくことが最も効果的です。

  • 治安、政治的動向及びテロ情勢につき、邦人の安全に関わるような情報を入手したときは、直ちに大使館または日本人会安全対策委員会(日本人会事務局)までご連絡をお願いします。情報の重要性について判断がつかない場合や断片的情報しか得られなかった場合でもご連絡願います。
  • 不幸にして被害に遭った場合には、できる限り、大使館に事件概要を報告し、以後在留邦人等が同種事件の被害者となることを少しでも未然に防止できるよう、ご協力をお願いします。
5.緊急連絡先の確保

各人が緊急連絡先リストを整備すると共に、電話機の前に置く、常に携帯する等により、非常の際に迅速に行動が取れるように心掛けてください。

主要な緊急連絡先については、以下のとおりです。

  • 警察 10111(全国共通)
  • 救急 10177(携帯電話112)
  • 消防 10177(ケープタウンは107、携帯電話112)
  • 日本大使館 012-452-1500(時間外共通)
  • 在ケープタウン駐在官事務所 021-425-1695
  • 各地の警察署、病院については、本書末尾の資料参照
6.参考

大使館には次の資料があります。資料部数は極めて限られていますが、資料をお貸しすることはできますので、大使館領事部までご連絡ください。

  • 海外赴任者のための安全対策小読本
  • 海外における脅迫事件対策Q&A
  • 海外における誘拐対策Q&A
  • 海外安全虎の巻
  • 海外で困ったら、大使館・総領事館のできること
  • 海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策Q&A
  • 海外へ進出する日本人・企業のためのCBRNテロ対策Q&A
  • 海外旅行のテロ・誘拐対策

第2部 防犯対策マニュアル

目次
  1. 南アフリカ共和国の治安情勢
  2. 犯罪被害を防ぐ基本的心構え
  3. 具体的な防犯対策
  4. 犯罪に巻き込まれた場合の措置
  5. 資料編
1.南アフリカ共和国の治安情勢
(1)南アの治安情勢
(イ)最新の主要犯罪統計
前述のとおり、ヨハネスブルグは世界的に見ても最も治安の悪い犯罪都市の一つとなっていますが、プレトリア、ケープタウン、ダーバン等の大都市部も情況は同じで、ハウテン州(ヨハネスブルグ、プレトリアが所在)、西ケープ州(ケープタウンが所在)、クワズル・ナタール州(ダーバンが所在)の3州では、南ア全体比で、殺人事件の59.1%、住居侵入強盗事件の73.5%、性的犯罪の56.4%とそれぞれ高い割合で発生しています。
また、在留邦人は、この3州内におよそ9割が居住しているため、非常に被害に遭いやすい環境内での生活を強いられていると言えます。
さらに、国内に違法銃器が氾濫しているため(判明している数だけでも、2007年3月からの3年間で7,374丁の銃器が警察・軍関係施設、許可を受けている一般家庭から盗難又は紛失している)、ひったくり、スリ、恐喝等の比較的軽微な犯行目的であっても、銃器を所持している者の犯行が目立ち、人命を軽視した犯罪が多く発生しています。
近年の南ア国内における犯罪発生件数は次頁からのとおりです。
南アフリカ共和国犯罪発生件数《2007年4月~2011年3月》(単位:件)
罪名 2007年4月~2008年3月 2008年4月~2009年3月 2009年4月~2010年3月 2010年4月~2011年3月 増減(増減率) 一日当たりの発生件数
殺人 18,487 18,148 16,834 15,940 -894(-5.31%) 43.6
殺人未遂 18,795 18,298 17,410 15,493 -1917(-11.01%) 42.4
重大な傷害 210,104 203,777 205,293 198,602 -6691(-3.25%) 544.1
暴行 198,049 192,838 197,284 185,891 -11393(-5.77%) 509.2
強盗 64,985 59,232 57,537 54,883 -2651(-4.6%) 150.3
武装強盗 118,312 121,392 113,755 101,463 -12292(-10.8%) 277.9
車両強盗 14,201 14,915 13,902 10,627 -3275(-23.55%) 29.1
大型車両強盗 1,245 1,437 1,412 999 -413(-29.24%) 2.7
侵入強盗(住宅) 14,481 18,438 18,786 16,889 -1897(-10.09%) 46.2
侵入強盗(会社) 9,862 13,920 14,534 14,667 133(0.91%) 40.1
放火 7,396 6,846 6,701 6,533 -168(-2.5%) 17.8
器物破損 136,968 134,261 132,134 125,327 -6807(-5.15%) 343.3
侵入窃盗(住宅) 237,853 246,616 256,577 247,630 -8947(-3.48%) 678.4
侵入窃盗(会社等) 62,995 70,009 71,773 69,082 -2691(-3.74%) 189.2
自動車及びバイク盗 80,226 75,968 71,776 64,504 -7272(-10.13%) 176.7
車上狙い 111,661 109,548 120,862 123,091 2229(1.84%) 337.2
家畜盗 28,778 30,043 32,380 30,144 -2236(-6.9%) 82.5
銃器等不法所持 13,476 14,045 14,542 14,472 -70(-0.48%) 39.6
薬物関連犯罪 109,134 117,172 134,840 150,673 15833(11.74%) 412.8
飲酒・薬物運転 48,405 56,165 62,939 66,697 3758(5.97%) 182.7
その他の窃盗 395,296 394,124 367,442 368,095 653(0.17%) 1008.4
詐欺 65,286 77,474 84,842 88,388 3546(4.17%) 242.1
万引き 66,992 80,773 88,634 78,383 -10251(-11.56%) 214.7
過失致死 13,184 12,571 12,272 11,974 -298(-2.42%) 32.8
誘拐 2,323 2,535 2,889 3,604 715(24.74%) 9.8
児童虐待 4,106 4,034 4,014 3,473 -541(-13.47%) 9.5
暴動に伴う犯罪 895 1,500 1,323 1,226 -97(-7.33%) 3.3
傷害 33,064 30,355 32,356 33,308 952(2.94%) 91.2
強姦を含む性犯罪 63,818 70,514 68,332 66,196 -2136(-3.12%) 181.3
身体に対する犯罪(単位:件)
罪名 2007年4月~2008年3月 2008年4月~2009年3月 2009年4月~2010年3月 2010年4月~2011年3月
殺人 18,487 18,148 16,834 15,940
強姦を含む性犯罪 63,818 70,514 68,332 66,196
殺人未遂 18,795 19,298 17,410 15,493
重大な傷害 210,104 203,777 205,293 198,602
暴行 198,049 192,838 197,284 185,891
武装強盗 118,312 121,392 113,755 101,463
強盗 64,985 59,232 57,537 54,883

犯罪発生比較(人に対する犯罪)のグラフ

所有物に対する犯罪(単位:件)
罪名 2007年4月~2008年3月 2008年4月~2009年3月 2009年4月~2010年3月 2010年4月~2011年3月
侵入窃盗(事業所等) 62,995 70,009 71,773 69,082
侵入窃盗(一般住宅) 237,853 246,616 256,577 247,630
自動車・バイク盗 80,226 75,968 71,776 64,504
車上狙い 111,661 109,548 120,862 123,091
家畜盗難 28,778 30,043 32,380 30,144
車両強盗 14,201 14,915 13,902 10,627
大型車強盗 1,245 1,437 1,412 999
侵入強盗(事業所等) 9,862 13,920 14,534 14,667
侵入強盗(一般住宅) 14,481 18,438 18,786 16,889
銃器不法所持 13,476 14,045 14,542 14,472
薬物関連犯罪 104,689 117,172 134,840 150,673

犯罪発生比較(所有物に対する犯罪)のグラフ

(ロ)新聞報道、当国警察コメント等から見られる当国の犯罪傾向、犯行手口の特徴として次のような点が挙げられます。

《犯罪の特徴》
凶悪犯罪の多発
敢えて犯す必要もないのにいとも簡単に人を殺傷してしまう事件がよく目に付きます。生命や性の尊厳といったものが犯罪者の間においては大変軽視されています。
銃器使用犯罪の常態化
当国は、合法的銃器及び違法銃器が社会に蔓延し、安易に使用・発砲されます。空き巣及び忍び込み等の窃盗犯罪であっても、被害者に抵抗されたり、被害者に顔を見られたりしたことを理由に、銃器が容易に使用される可能性がありますので、万が一犯罪被害に遭遇した場合は、無抵抗を貫くことが極めて重要です。
組織犯罪の多発
犯罪シンジケートによるカージャック事件、現金輸送襲撃事件及び空港から追尾強盗事件はもちろんのこと、路上強盗、住居侵入強盗、ATM機の親切盗に至るまで、犯行は組織的かつグループで敢行されることが大きな特徴のひとつです。
異常性犯罪の多発
強姦事件等の性犯罪については、発生件数そのものが多いことは前述のとおりですが、問題は性犯罪の被害者の低・高年齢化が著しいことです。新聞紙上では3歳の幼女から、90歳代の女性までがレイプ被害者として報道されるケースが散見されます。
犯罪の広域化
道路交通網のインフラ面が整備されていることもあり、犯罪者はターゲットを求めて南ア中を移動し、犯行後はさらに他の場所へ逃走するなど、犯罪が広域化することが容易で、警察力の低下と相まって防犯対策及び事件検挙を遅らせる要因となっています。
ホワイト・クライムの増加
従来の古典的な犯罪(強盗や窃盗等)から、インターネットを使用したいわゆるサイバー犯罪(詐欺等)が増加しています。南ア警察もこの種の犯罪の摘発に力を入れ始めています。

新聞報道や当国警察コメントでは、近年の犯罪統計をそれぞれ比較すると、徐々に治安が良くなりつつあるかのような書きぶりが目立ちますが、それでも未だ凶悪犯罪が多発している国であることには変わりはありません。特に、邦人が被害に遭いやすいと思われる侵入強盗事件、侵入窃盗事件、武装強盗事件等は2007年の統計と比較してもほぼ横ばいか増加している傾向にあり、予断を許さない情況が続いています。

(2)日本人の強盗被害状況

(イ)日本人が南ア国内において、殺人事件の被害に遭った事例は1995年以降ありません。しかし、強盗の被害者となった事件は報告されているだけでも2008年1月から2011年12月末までの4年間で23件発生しており、手口としては、は、けん銃使用が6件、刃物使用が3件、首締め強盗が6件等が報告されています。緊縛強盗も2件含まれており、一歩間違えば死亡事件に発展する可能性も十分あったと考えられます。

(ロ)窃盗事件は同4年間で76件発生しており、手口としては、置引きの30件が最も多く、次いで車上狙い15件、スリ7件、スマッシュアンドグラブ4件等となっています。また、夜間の忍び込みを含む住居侵入窃盗事件も10件発生しており、強盗事件等に発展する虞も考えられました。

(ハ)日本人の強盗被害事例

《事例1》
午前8時15分頃、被害者が国際空港から自宅に車で帰ったところを自宅前で待ちかまえていた4人組の武装強盗に襲われ、旅行用カバン、パスポート、腕時計、鍵一式等を奪われた。
《事例2》
午後1時15分頃、被害者が自宅にいたところ、雇用していた警備員が2名の武装強盗にけん銃で制圧された状態で現れた後、緊縛されて暴行を受け、自宅内を物色されて現金、パソコン、携帯電話、カメラ、指輪等が奪われた。
《事例3》
深夜午前1時30分頃、ケープタウン市内からシーポイントに帰るため、ミニバスに乗ろうとしたところ、ドライバーと客を装った2人組に、首にナイフを突き付けられ、現金、書籍及びギターを強奪された。
《事例4》
午前3時頃、自宅で被害者が就寝中、バーグラー・バーを破壊して侵入してきた数人組の男に頭に袋を被せられ、殺すと脅迫された後、体を縄で縛られた。さらに、金庫の暗証番号を言うように強要され、現金等が盗まれた。
《事例5》
午後7時30分過ぎ、被害者が在宅中、工事作業員風の黒人2人組が外周塀を乗り越えて敷地内に侵入されてけん銃を突きつけられる等し、現金、宝石、パソコン等を強奪された。
《事例6》
午後12時頃、被害者がヨハネスブルグ駅直近の路上を歩行中、背後から突然何者かに首を絞められた後引き倒され、腹に巻いていたマネーベルト内の財布、パスポート等が強奪された。被害者は数分間意識を失っていた。
《事例7》
午前11時30分頃、被害者がプレトリア中心地区を歩いていたところ、突然3人組の男に取り囲まれて胸ぐらを掴まれ、犯人の所持していたナイフで肩から提げていたポーチ(現金等在中)の紐を切られ強奪された。
2.犯罪被害を防ぐ基本的心構え
(1)一般的心構え
(イ)治安情報の入手
防犯対策を講じるためには、日本とは大きく異なる南アの社会・治安の実態と問題点を知ることが重要です。旅行及び赴任前に、可能な限りの政治、経済、社会情勢などの基礎的な情報を集め、到着後も現地の新聞、テレビ等の報道に関心を持ち、情報交換を積極的に行い、治安関係情報を入手することが大切です。
(ロ)日本人が如何なる存在かを理解する。
また、海外生活に慣れることによって忘れがちになりますが、日本人が犯罪者の目にどのように映っているか正しくに理解することが重要です。即ち、犯罪者にとって日本人は「多額の現金を持っている」、「警戒心に欠ける」、「おとなしく、反撃しない」等と思われており、強盗や恐喝をはじめ、空港・ホテル内での置き引き等のターゲットとなっています。従って南ア入国後は、治安の良い日本国内での生活感覚を拭い去り、「自分の安全は自分自身で守る」という意識を強く持つことが大切です。
(ハ)防犯対策には労力、コストを惜しまないこと。
安全性の高い家は家賃も高く、その選定に時間と労力を要します。治安の悪い土地で生活する上で、その労を惜しんではいけません。また、警備員の雇用や警備機器の設置、防犯灯を常時点灯、不在時の自宅の電灯を点灯するための電気代等安全確保にはコストもかかります。「安全のための必要経費」と割り切り、防犯対策を講じ、犯罪の被害者となる可能性をできるだけ少なくすることが重要です。
(ニ)生命の安全が第一
実際に危険な場面に直面した場合、例えば武装強盗にけん銃やナイフを突きつけられて金品を強要されたような場合には、金を出し渋ったり、抵抗することは極めて危険です。
このような場合は、自分の生命と身体の安全を第一に考えて下さい。
(ホ)銃社会であることの再認識
南アは銃社会であり、合法的銃器及び違法銃器が氾濫しています。犯罪者は、銃器を所持していると考えた方が、防犯対策上有益です。万一犯罪被害に遭遇した場合は、無抵抗を貫き、生命の安全のみを考えましょう。
また、ショッピングモール等で買い物中に破裂音等を聞いた場合は、「何の音?」と確かめる前に姿勢を低くしてください。路上においても同じことです。「車のバックファイアー?」と考える前に姿勢を低くして、被弾を避けるようお願いします。
(ヘ)行政(能力)の違いを自覚
日本で110番に通報した場合、数分でパトカーや交番等の警察官が駆けつけてくれますが、残念ながら南アでは、人員、装備の不足等から、よほどの幸運でない限りこのような対応は期待できません。できるだけアームド・リスポンス・システムの警備会社と契約し、住居や会社等の安全確保に努めて下さい。
(2)安全対策上の基本的心構え(まとめ)
  • 安全に関する情報のネットワークを構築し、アンテナを張っておく。
  • 日本の価値観、常識は捨て去り、異国であることを自覚。
  • 行動三原則「目立たない」「パターン化を避ける」「用心を怠らない」の厳守
  • 自分と家族の安全は自分たち自身で守る。
  • 安全確保が生活の基盤。
  • 安全には相応のコストを惜しまない。
  • 生命の安全が第一。
  • 他人の親切は疑ってかかる。
  • 厳然たる銃社会、犯人の銃は本物。引き金を引くことに躊躇なし。
3.具体的な防犯対策
(1)住居選定の留意事項
(イ)住宅選択
住宅を選ぶ時には:
安全確保を最重点とし、他人に任せず、自分で物件(立地条件、家屋の形態《集合住宅か独立家屋か》、防犯上の問題点)を調査し、安易に妥協しない。
現地の在留邦人や大使館の助言を受ける(候補地域の安全性、防犯上の留意点等)
住居から勤務先までの通勤経路はもちろん、警察署、病院、学校、スーパーマーケット等の位置、それらまでの経路等を考慮に入れておく。
信頼できる不動産会社を利用する。
ルートの選定には:
危険地域を通らなくても通勤・通学できる経路を確保できること。
自宅から毎日通う場所(勤務先、学校等)への安全な経路を2本以上確保できること。
利用ルートは二車線以上の夜間照明設備のある道が望ましい。
利用ルートに避難場所(警察署等)を確保できるようにしておく。
地域の選択には:
住宅周辺の治安情勢を調査してあるか。
地域住民の安全に関する関心度、相互協力が可能か、防火・防犯に気を遣っているか。
警察、消防、医療・救急機関等が短時間で利用できるか。
近所に空き家、空き地、茂み等、賊が隠れられる場所がないか。
犯罪組織、反政府組織が活動している地域では、近くに攻撃対象となる施設がないか。
(ロ)家屋の形態の違いによるメリット、デメリット
住宅を選定する際に、独立家屋にするか、セキュリティ・コンプレックスにするか、家賃との兼ね合いもありますが、いずれの家屋形態にもメリット、デメリットがありますので、個々の具体的な物件についてその安全性を検討することとなります。
形態 メリット デメリット
独立家屋
  • 納得の行く防犯体制が構築できる。
  • 同一敷地内に他の住人が居住せず、知らない使用人等の出入りもない。
  • 家賃が割高である。
  • 一から防犯体制を検討する必要がある。
  • 警備にかかる費用は全額自己負担となる。
集合住宅
  • エレクトリックフェンス、リモートゲート等、外周の防犯設備が最初から整っていることが多い。
  • 警備員の配置がある所ではその雇用代金を他の住人とシェアできる。
  • 家屋自体の防犯設備が脆弱なことが多く、防犯設備の後付にコストがかかる。
  • 同一敷地内に他の住人の使用人、ワーカー等自己の管理の下にない他人が入る。
  • 敷地内の安全は、ゲート警備の警備員の質に大きく左右される。
(ハ)セキュリティ・ブロック化の是非
最近、既成の住宅地区画をブームやゲート等で区切り、一つの区画をセキュリティ・ブロック化する傾向があります。これは、セキュリティ・コンプレックスのように、最初から設計・計画されたものではありませんので、同ブロック外周(一次防衛線:後述)の構造が各家屋ごとまちまちであり、見かけ上、道路がブームやゲートで仕切られているとしても、安全なエリアが形成されたことにはなりません。よって、セキュリティ・ブロック化されていたとしても各自宅毎に防犯効果のある第一次防衛戦設置する必要があります。
また、万が一の時、アームド・リスポンスの警備員や警察、消防、救急等のエマージェンシー・サービスの車両が入れなかったりすることが予想されますので、当該地区内の住居を検討される場合は、次のことに留意してください。
  • ブロック外周(第一次防衛線)に沿う各住居の外壁の防犯性は十分か。
  • ブロック内に侵入できる路地や犬走り等はないか。
  • ブーム又はゲートには24時間体制の警備員の配置があるか、なければ、緊急時のエマージェンシー・サービスの立ち入りはどのような方法を取るのか。
(2)住居に必要な防犯設備~三つの防衛線

住居や勤務先事務所等の防犯対策を考えるに当たって、敷地外周から主寝室に至るまでを三段階に分けたそれぞれの「防衛線」と設定して、それぞれに対する防犯対策を検討すると「漏れ」や「手落ち」が少なくなります。

住居等の防犯対策を検討するに当たっては、「安全な住居こそ生活の基盤」、「安全は金で買う」が大前提となります。

各防衛線の位置付け及びその防犯対策は次の通りです。なお、資料2の防衛線概略図をご参照ください。

(イ)第一次防衛線
敷地外周の防衛線です。独立家屋の場合は敷地境界線(塀、門等)、集合住宅の場合は、これらを含めて共通の出入口(ロビー玄関等)まで含みます。

《対策》
形態 場所 対策
独立家屋 外塀
  • 高さと堅牢性を十分に確保する。
  • 外塀から直接住居の2階や屋根に忍び込めない構造とする。
  • 外周に照明を設置する。
  • 塀の上に侵入防止設備(エレクトリックフェンス、忍び返し、鉄条網)を設置したり、侵入警戒装置(赤外線ビーム)を設置する。
  • テレビ監視装置等を設置する。
  • 外部から敷地内部への視界を遮断しないような構造がベター。
門扉
  • 外塀の高さと堅牢性に見合った物とする。
  • ゲートはリモートによる自動開閉ができるものとする。
  • 来訪者の確認手段(インターホン、監視カメラ等)を確保する。
  • 周辺に照明を設備する。
  • 立木、植栽等、賊が身を隠せる場所をなくす。
  • 門扉内部から外の安全を確認できるようにする。
駐車場
  • 住宅敷地内に設置する。
  • リモコンにより扉が自動開閉できること。
  • 駐車場から直接住居内へ通じる扉があり、外へでなくとも住居内へはいることができる。
  • 駐車場内で賊が身を隠せる場所をなくす。
  • 駐車場内に照明を設備する。
  • 庭と建物外周に照明を設備する。
  • 敷地内で賊が身を隠せる場所を少なくする。
  • 植栽等は十分に手入れし、常に除草を心がける。
  • 2階や屋根に上がる際の手助けとなるような物(梯子、脚立等)を 放置しない。
  • 常に環境整備に心がけ、不審物件等が置かれればすぐに分かるよう にしておく。
フラット・タウンハウス等 出入口
  • 建物(敷地)内部へ非居住者が勝手に出入りできない構造とする。
  • 全ての出入口は管理人、警備員等によりコントロールされている。
  • 全ての出入口は堅牢なものとし、確実な錠前を設置する。
  • 周辺で賊が身を隠せる場所をなくす。
  • 出入口周辺に照明を設置する。
  • 来訪者を容易に確認できるようにする。(インターホン、監視テレビ等)
駐車場
  • 敷地内(外塀の内側)に設置されていること。
  • 24時間体制で管理人又は警備員により管理されていること。
  • 周辺で賊が身を隠せる場所をなくす。
  • 十分な照明が設備されていること。
コンプレックス 外塀
  • 少なくともエレクトリックフェンスの設備があること。
  • 侵入警戒装置が設備されていること。
  • 十分な照明があること。
門扉
  • リモート式でゲートが自動開閉できること。
  • 非住居者が簡単に出入りできない構造であること。
  • 24時間の警備員が配置されアクセスコントロールを行っていること。
  • 警備員の敷地内パトロールがある所が望ましい。

(ロ)第二次防衛線
内周の防衛線です。独立家屋のある場合は家屋の外周(壁、扉、窓等)、集合住宅の場合は占有する住宅部分の外周です。

《対策》独立家屋、集合住宅共通
場所 対策
入口扉(玄関)
  • バーグラーバー(鉄格子枠。以下同じ)を備える。
  • 扉及び扉枠は頑丈な材質、構造とする。
  • 二つ以上の錠前とドアチェーンを付ける。
  • ドアスコープ、インターホン、監視テレビ等訪問者を確認できる手段があること。
  • 周辺に照明を設備する。
  • アラーム、センサー等侵入警戒装置を備える。
その他出入口
  • バーグラーバーを備える。
  • 扉と扉枠は頑丈な材質、構造とする。
  • アラーム、センサー等侵入警戒装置を備える。
  • パニックボタンが近くにあること。
  • 全ての窓にバーグラーバーを取り付ける。
  • バーグラーバーは十分な強度を持ち、かつ、窓ガラスの内側に取り付けるのがベター。
  • 窓と窓枠は頑丈かつ安全(ロックは確実)な材質、構造とする。
  • 天窓、トイレ、浴室の小窓にもバーグラーバーを取り付ける。
  • アラーム、センサー等侵入警戒装置を備える。
  • 緊急脱出のため、一部の窓の補強設備は内側から開閉できるものと する。
建物
  • 建物全体として侵入できない構造(屋根、床下)であること。
  • アラーム、センサー等の侵入警戒装置、及び警報装置を備える。
  • 警報装置は警察又は警備会社に直結したものとし、緊急事態の際には警察又は警備員が短時間で駆けつける体制、システムとすること。

(ハ)第三次防衛線
第二次防衛線内に設ける特別避難区域(通常主寝室等)です。「最後の砦」となるもので、警察や警備員が駆けつけて来るまでの避難場所となりますので、外部との通信手段(電話や無線機)は必ず備えておき、緊急避難口を設けておくようにして下さい。

《対策》独立家屋、集合住宅共通
  • 特別避難区域への入口は、鉄扉、鉄格子扉等、頑丈な扉を備え付け、施錠が可能なものとする。扉の場合はドアスコープを取り付けておく。
  • 全ての窓にバーグラーバーを付け、壁、天井、床等を十分な強度とする。
  • 電話を備える。
  • 電話線切断に備えて携帯電話や無線機を設置する。
  • 緊急時に必要なもの、貴重品を保管する場所を設置する。
  • 警察や警備会社へ通報できるパニックボタンを備えておく。
  • 強力な懐中電灯を備えておく。
  • 緊急脱出のため、一部窓の補強設備は内側から開閉できるものとする。
(3)住居の安全対策

(イ)アラーム・モニター契約は最低条件
深刻な治安状況と期待できない行政から、万一の場合に警備員が駆けつけてくるアラーム・モニタリング・サービスを受けることは、私達が生活する上での必須条件です。

  • 警備会社は定評ある会社を利用する。
  • 年に何度かはアラームをテストしてみて、機器の整備状況、警備員が現場に到着するまでのリスポンス・タイム等をチェックする。不備な点は申し入れをし、改善されなければ警備会社を変更する。

(ロ)警備員雇用の検討
悪質な警備会社も多いため、警備員を配置することは「諸刃の剣」的な一面はあ
りますが、定評ある警備会社の警備員を夜間の12時間又は24時間配置させることによって、自宅ゲート前におけるカージャック防止等には効果があります。

  • 信頼のおける警備会社を利用する。
  • 帰宅前には警備員に知らせ、ゲート前の警戒に当たらせる。
  • 警備員と言えども過信せず、家屋内には入れない、不在等の予定をあまり早く伝えたりしない。
  • 常に警備員の行動をチェックし、問題があれば警備会社に申し入れ、改善されなければ警備会社を変更する。

(ハ)鍵の管理は厳重に
どれほど塀、門扉を頑丈にしても、鍵の管理が不適切だと簡単に鍵を悪用されることになります。鍵の管理は重要です。

  • 入居時、または、紛失時にはできるだけ鍵を取り替えること。
  • 鍵は家族の決まった人だけが持ち、使用人等には持たせないこと。

(ニ)使用人(警備員)選びは慎重に
使用人(警備員を含む。以下、使用人等と言う。)が手引きしたと見られる凶悪事件が相当数あります。当初は家人を信用させておいてから手引きをすることが多いので、使用人は慎重に選び、雇用後も普段の行動を監視するようにしてください。

  • 基本的に性悪説に立って対処する(使用人等を信用しない。)。
  • 身元の確実な者を選び、身分証明書のコピーを必ず取っておく。
  • 防犯意識・感覚に対する教育を反復的、継続的に続けること(特に来訪者に対する警戒要領は徹底しておく必要がある)。
  • 使用人等の友人、知人の来訪(屋内に入れることは原則禁止)、不審な行動には特に注意すること。
  • 使用人等を解雇した後は、特に逆恨みに注意すること。

(ホ)警備員を過信しない
どんな優秀そうに見える警備員でもいざと言うときに役に立つとは限りません。強盗に対して「見て見ぬ振りをした」、「一目散に逃げた」等という話は日常的によくあるとのことですので、警備員を過信せず、防犯上のポイントは常に自分でチェックすることを心がけてください。

  • 警備員を過信しないこと。
  • 信用できる、定評ある警備会社を利用すること。
  • 警備員が怠慢な場合は躊躇無く警備会社等に申し入れること。
  • 家屋内に入れたり、旅行等で不在にする等の予定を必要以上に早伝えたりしないこと。

(ヘ)来訪者への対応は慎重に
犯罪者はあらゆる手段を駆使して反撃の少ない女性・子供だけの在宅時を狙って敷地内、屋内に侵入しようとします。日本人は何事にも警戒するということに不慣れで、はっきりと断るといったことが不得意です。何となく来訪者を屋内に入れてしまうというケースもありますので、日頃から警戒心を養っておいてください。

  • ドアを開ける前に身元、用件、不審物件の所持等を十分に確認すること。
  • 付近に不審者はいないかを確認すること。
  • 知人であっても見知らぬ同伴者がいる場合は注意すること。
  • 配達人の場合、ドアの下から書類をもらいサインをして返し、荷物は配達人が立ち去ったのを確認してからドアを開け、屋内に運び入れること。
  • 頼みもしない工事人、点検人等の場合には、ドア越しに用件、事務所の電話番号、依頼人等を聞き、所要の確認をした上で屋内に入れること。
  • 使用人にも以上のことを徹底させること。

(ト)留守時の対策は綿密に
休暇、旅行等で長期不在にするときは、犯罪者にとっては最も事件を起しやすい時であり、泥棒というものは日頃からこの種の情報等を収集しているものです。留守時には留守であることを悟らせないこと、悟らせるのを遅らせることに配慮してください。

  • 侵入警戒装置、アラームは必ずセットしておくこと。
  • 警備会社に特別パトロールを依頼する。
  • 知人に定期的な点検、立ち寄り等を依頼する。
  • 夜間、照明を自動点灯させる等の最低限の措置を取ること。
  • 貴重品は分散を図ること。また、勤務先の金庫等より安全な場所に保管する。

(チ)外出、帰宅時も要注意
外出、帰宅時は、心の隙をつかれ、また、各防衛線が開かれるため、犯罪被害が多く発生する瞬間です。さらに、自動車による帰宅は、カージャックに遭遇する危険性の一番高い瞬間となっています。全神経を集中して周囲の警戒に当てるようにしてください。

  • 外出、帰宅の際は、不審者が付近に潜んでいないか、不審な車両が駐車していないか、周囲をよく確かめた上で扉やゲートの開閉をしてください。ゲート通過後は、後続車両が入らないように、ゲートを直ちに閉めてください。
  • 特に車両で帰宅した際は、不審な尾行のないことを必ず確かめ、もし尾行があると思われる場合は、直接家には戻らずに、一旦最寄りの警察署へ立ち寄る等、安全を確認してください。
  • 玄関先や庭等に不審物件がないかどうか確認してください。

(リ)常に防犯チェックを
警報機器等の物的手段、警備員等の人的手段を駆使しても、これらの平素の活用が形式に流れ、緊張感が薄れて実際に機能しないということが往々にしてあります。警報機器をセットし忘れた夜に限って泥棒に入られたという例も報告されています。

  • 塀や建物の外周に水道メーター、ブレーカー・ボックス、空調室外機、樹木等、賊の足場に利用される危険性のあるものはないか。
  • 門扉は常に内側から施錠されているか。
  • 外出の際、戸締まりやアラームのセットを厳守しているか。
  • 各種防犯設備に異常、故障はないか。
  • アラーム等防犯設備を、より高度なものに改善する余地はないか。
  • 家族はパニックボタンやアラーム機器の操作要領を熟知しているか。
  • 家の中や周囲を窺っている不審者(車)はいないか。
  • 使用人等を通じて電話番号、家人の予定等の情報が外部に漏れていないか。
(4)外出時の安全対策

犯罪者からは日本人は「金を持っている外国人」と映っており、狙いやすい対象であるとされています。さらに、ナイフや銃器が氾濫し、それらを「脅す」ためでなく、相手を殺傷するために持っていますので、対応を誤れば命を奪われてしまうという治安状況を肝に銘じておいてください。

また、金品を狙う財産犯だけでなく、婦女子を対象とした性犯罪も異常に多発しており、女性の人格、尊厳を傷つけられるだけでなく、AIDS感染という致命的な被害を被るおそれもあります。

外出される時は、常にこれら危険と隣り合わせにあることを忘れないようにしてください。

  • 危険だと言われている場所には絶対に近づかないこと。
  • 夜間の外出は必要最小限に止めること。
  • 昼夜を問わず、一人歩きは絶対にしないこと。
  • 人通りの少ない道、暗がりは通らないこと。
  • 外出時は、派手(華美)な服装や露出部分の多い刺激的な服装は避けること。
  • 貴重品や多額の現金を持ち歩かないこと。
  • ハンドバック、ショルダーバック等はしっかりと抱えるように持つこと。また、車道側に持たないこと。
  • 物売り、たかり、話しかけてくる見ず知らずの者には特に注意すること。
  • 携帯電話をかけながら歩かないこと。
(5)自動車利用時の安全対策

当地では、日本と異なり、気軽に利用できる電車やバス、タクシー等の公共交通機関が未発達であり、治安上問題があるため、自家用車の所持が不可欠となっています。しかし、他のアフリカ諸国と比べても道路環境は良く、マナーも比較的良い反面、年間の交通事故死亡者数が約12,000人程にのぼる等、一般犯罪被害と同様に、身を守る上で十分な対策が必要となります。

(イ)交通事故防止

制限速度の遵守
当地の道路交通法では、基本的に制限速度は街中で60キロ、高速道路では120キロとなっています。しかし、実際には高速道路では130~140キロの高速で車は流れており、ひとたび事故が起きれば死亡事故に直結する高速運転が行われています。整備不良車の車も多く、制動灯、方向指示器等を点灯させない運転手も目立ちますので、車間距離を広くとり、制限速度を遵守した運転が必要です。
酒酔い・酒気帯び運転は違法
南アの交通事故原因の主な理由の一つには、酒気帯び運転が挙げられます。国家警察も、交通死亡者数の増加に歯止めをかけるための対応に昨年から本腰を入れ始め、各所で検問を強化しています。酒気帯びの度合いによっては逮捕事案に発展するため、日本国内と同様、酒気を帯びての運転は避けて下さい。
自家用車の定期的な点検
日本と異なり、当地には車検制度がありません。基本的に自分の車は自分で点検することが必要です。タイヤの減り具合やキズ、エンジンオイル、ブレーキの調子等、異常を感じたらサービスへ出すように心掛けて下さい。夜中に治安の悪い地域で車が止まってしまったら、それこそ犯罪被害に遭うおそれもあります。
  • 運転免許証、身分証明書は必ず携行し、交通関係法規を遵守すること。
  • 故障に備え、Automoble Association (AA)に加入するのが望ましい。
  • 保険に加入しておくこと。
  • 自動車の登録番号、形式、車体番号等を控えておくこと。
  • 万一車を盗まれたら、直ちに登録番号、形式、塗色、場所等を警察に通報する。

(ロ)交通事故に遭遇した場合
交通事故は誰も起こそうとして起こすものではありません。起こってしまったものは仕方がないと割り切って、落ち着いて処理にあたることが肝要です。

  • 直ぐに自動車を安全な場所に停車させ、負傷者の救護措置(救急車の要請)、警察への通報を行うこと。
  • 車が周囲に見あたらないのに路上に人が倒れている場合は、その場は立ち去り、最寄りの警察署又は10111に事件を通報すること。

《治安が悪い地区での交通事故の場合》
交通事故を起こした場合、通常、直ぐに自動車を停車させ、負傷者の救護措置、警察への通報を行いますが、ヨハネスブルグのダウンタウン、低所得者居住地域周辺等治安が悪い場所では、車から降りたところで運転者がリンチや強盗に会うことがありますので、そういった虞のある場合は次の措置を取ってください。

  • 群衆に囲まれて生命の危険を感じた場合は速やかに現場を離脱してください。事故で車が動かない時は、周辺をよく観察の上、通行車両等に協力を求めること。
  • まず、最寄りの警察署で事故の申告と必要な措置の依頼、或いは、公衆電話、携帯電話で警察、救急へ連絡すること。

(ハ)自動車犯罪

カージャック
最近、カージャック事件が多発しています。しかも、犯罪シンジケートが暗躍しており、従来以上に組織的、巧妙かつ短時間に犯行が行われています。特にハウテン州ではカージャックが頻発しており、一般道のみならず通勤時間帯の渋滞した高速道路でも発生しています。また、カージャック犯人のほぼ100%が拳銃を所持していると考え、万一襲われた時には、自分と乗員の命だけを守ることを考えてください。
スマッシュ・アンド・グラブ
信号待ちや渋滞で停車中の車の窓ガラスを割り、座席等に置いてある荷物をひったくる"Smash and Grab"という窃盗も頻発しています。この手口の犯罪の多発地点は通行しないことはもちろんですが、夜間の交差点では、なるべく止まらないような工夫した運転も必要です。(赤信号無視という意味ではなく、赤信号にかからないような速度調整という意味)
偽・汚職警察官の検問
夜間、警察車両のように青い灯火を点滅させて停車を求めた後にカージャックをするといった「ブルーライトギャング」や、交通違反で止めた違反者に罰金の代わりに「袖の下」を要求する偽・汚職警察官など、制服と言っても直ちに信用してはいけません。
数年前には、偽兵士による検問も見受けられたようです。
《走行中の防犯対策》
  • ドアは必ずロックする、窓ガラスは閉める(信号待ちの時でも)。
  • 交通量が比較的多い、明るい道を選ぶ。
  • 前後、左右に不審な車がいないか周囲を警戒すること。
  • 信号停車中は前車との間隔を広めに開けておき、直ぐに発進して左右に逃げられるようにしておくこと。
  • 夜間、特に女性一人のドライブは避ける。
  • ヒッチハイカー(たとえ子供を抱いた女性であっても)には係わらない。
  • 駐車は素早く発進できるよう出船の形で。
  • 車内での仮眠、読書、携帯電話の注視を避ける。
  • 助手席や後部座席等、車内の見える所に物は置かない。
  • 絶えず不審な車の尾行がないか背後に気を付ける。特に、ショッピングモール等から自宅に帰る場合、後続車が付いていれば一旦自宅を通り過ぎて、後続車がいなくなったのを確認してから自宅に戻る。
  • 夜間は、前方の信号が赤であれば、十分手前から信号が青に変わるよう速度調節して、赤信号による停車を避けるような運転を心掛ける。
  • 身に覚えのない停車命令を受けた場合は、携帯電話等で警察に事情を話すか、最寄りの警察まで行ってから相手の話を聞くようにする。
  • 検問は、窓ガラスを全開にすることなく、免許証等の出し入れできる最小限とし、検問の目的、相手の氏名、所属等を質問するようにする。
《自動車の防犯設備》
  • 日頃から点検整備に努め、故障して立ち往生することのないようにすること。
  • 燃料は常にタンクの半分以上を心がけること。
  • 信頼のある車種を選ぶこと。
  • 高品質のアラーム・システムを装備すること。
  • サテライト・トラッキング・システムを取り付けるとなお良い。
  • セキュリティ・フィルムを貼付する。(車内の透視防止効果の他、ガラスの飛散防止効果を高めることができる。)
4.犯罪に巻き込まれた場合の措置
(1)車の運転中に武装犯に襲われた場合
  • 突然動いたり、抵抗したり、反論したりしない。
  • 不用意な発言はしない。
  • 相手の目を見つめない(挑発行為と見なされる。)。
  • エンジンのスイッチはかけたままにしておく。
  • 車の外に出て、手に何も持っていないことを示し、言われたとおりに行動する。
(2)歩行中に武装犯に襲われた場合
  • 相手の要求に応じる。
  • 常にある程度の現金は持ち歩くこと。
  • 財布等を要求された際は、不用意にポケット等に手を入れないで、必ずゆっくりと財布のあるポケットの場所等を指さしてから、財布を取り出すこと。
(3)住居への不法侵入
  • 基本的には特別避難区域(第三次防衛線内・主寝室)へ逃げ込み、携帯電話又はパニックボタンを押すことにより警備会社・警察へ通報し、その到着を待つ。
  • 家の中には常にいくらかの現金を常備しておき、一部は第二次防衛線内にも、犯人にわかりやすい場所に置いておく。
  • 第三次防衛線内への避難が間に合わなかった時又は避難できなかった時は、無抵抗を貫くのがベター。

第3部 在留邦人用緊急事態対処マニュアル

目次
  1. 指揮
  2. 組織
    • (1) 対策本部の組織
    • (2) 各班の編成及び任務
  3. 対策本部の編成
    • (1) 対策本部の集結
    • (2) 各班員の編成
    • (3) 連絡体制の確保
    • (4) 緊急事態の緊急度区分
    • (5) 事前備蓄
  4. 連絡体制
    • (1) 緊急連絡体制
    • (2) 緊急FM放送体制
  5. 緊急事態の緊急度区分
    • (1) 第1次緊急事態
    • (2) 第2次緊急事態
    • (3) 第3次緊急事態
  6. 備蓄の準備

本マニュアルは、南アにおける、騒乱、暴動、クーデター等の重大事態が発生する場合に備えて、緊急事態発生の兆候が見られた場合直ちに初動体制に入ることができるよう、予め対策本部の組織、対処要領等を策定しておくもので、その目的、任務は当国在留邦人の身体の安全を可能な限り確保しようとするものです。

1.指揮
(1)本部長

対策本部の本部長は大使(または臨時代理大使)とし、緊急事態対策に関する指揮をとる。

(2)副本部長

副本部長は本部長の指揮を受け、対策本部の任務を遂行する。

副本部長は大使館公使と南ア日本人会会長の2名をもって充てる。

2.組織
(1)対策本部の組織

大使館員及び日本人会安全対策委員会委員をもって対策本部を組織する。対策本部は大使館内に置くとともに、その分室をヨハネスブルグ日本人学校内に置く。

対策本部には、総務、通信、情報渉外、警備、邦人連絡、補給輸送及び医療の各班を設置する。

(2)各班の編成及び任務
各班の編成及び任務
編成 任務
総務 大使館:公使 総括及び人員の配置に関すること及びプレス対応
日本人会:会長
通信 大使館:通信班員1名 対策本部~同分室、大使館~外務省大使館~ケープ事務所・近隣公館間等の通信業務に関すること
日本人会:担当委員1名
情報渉外 大使館:総務班員1名政務班員2名 各種情報の収集、分析、評価及び報告に関すること
日本人会:担当委員2名
警備 大使館:警備対策官、経済班員2名、警備班員1名 日本人学校を含む在留邦人の保護、及び大使館並びに大使公邸の警備に関すること
日本人会:担当委員1名
邦人連絡 大使館:領事班員1名、広報班員1名、経済班員1名 在留邦人への連絡に関すること
日本人会:担当委員2名
補給輸送 大使館:官房班員3名、経済班員2名 食糧等生活物資の補給、管理、及び輸送手段に関すること
日本人会:担当委員2名
医療 大使館:医務官、政務班員1名 在留邦人の負傷者の応急手当てに関すること
日本人会:担当委員2名
3.対策本部の編成
(1)対策本部の集結

本部長は、緊急事態が発生した場合、若しくはその発生が予想される場合、大使館(又は大使公邸)に対策本部を、日本人学校に対策本部分室を設置する。また、大使館ケープタウン事務所及びダーバン・トヨタ事務所に連絡室を設置する。

(2)対策本部は、必要に応じ、在留邦人の中から適任者をもって各班員に充てることができる。また、大使館(及び必要に応じ、主要日系企業)は、緊急事態における現地職員の動員体制を整備しておく。
(3)連絡体制の確保
(イ)日本外務省、ケープタウン事務所、近隣公館との連絡
常時オープンの専用回線を確保するように努めるとともに、専用回線不通の場合に備えて有事無線、インマルサットを整備する。
(ロ)対策本部と在留邦人との連絡
電話及び無線により、また緊急FM放送により連絡体制を整備する。
(4)緊急事態の緊急度区分

緊急度区分と行動基準を別に定める。

(5)事前備蓄

事前備蓄の標準を別に定める。

4.連絡体制
(1)緊急連絡体制
全国
大使館から在留邦人への連絡網を次のとおり整備する。
(図)大使館から在留邦人への連絡網
ヨハネスブルグ
南ア日本人会は、大使館と日本人会会員との間に緊急連絡網を整備し、定期的(毎年)に改訂する。また、電話連絡が不能となった場合に備えて、大使館は日本人学校との間で無線連絡網を整備する。
(図)無線連絡網
ケープタウン
大使館とケープタウン事務所との間にトラッキングシステムの超短波無線による通信を確保する。ケープタウン事務所はケープタウン在住の邦人との間に緊急連絡網を整備し、定期的に改訂する。
ダーバン
ダーバン会はダーバン在住の在留邦人との間に電話緊急連絡網を整備し、定期的に改訂する。
その他地域
大使館は南ア各地の在留邦人(大使館に在留届が提出されている邦人のみが把握可能)との間に電話緊急連絡網を整備し、定期的(毎年)に改訂する。また、大使館が兼轄するスワジランド、ナミビア、レソト在住の邦人との間にも連絡網を整備し、定期的に改訂する。
(2)緊急FM放送体制

緊急事態の際、大使館からプレトリア、ヨハネスブルグ在住の邦人向けに情報を提供するためのFM放送であり、家庭のラジオやカーラジオで容易に受信することができる。

ただし、この放送は緊急事態専用であり、当国の電波法がクリアされたものではないので、他言は差し控えること。使用周波数は次のとおり。

  • プレトリア~89.50Mz、ヨハネスブルグ~88.70Mzを使用予定
  • ケープタウン~97.00Mz97.20Mz97.40Mzのいずれかを使用予定
(3)ラジオ日本の短波放送を聴くことにより、事態の把握に努める。

ラジオ日本の感度は周波数、季節、時間帯により相当異なるが、外部アンテナを使用することにより比較的容易に聴くことができる。

なお、「NHK WORLD」のホームページで、短波放送の聴き方、番組表、kHzなどが説明されています。なお、放送周波数は、季節に、時間帯により変わる。

5.緊急事態の緊急度区分

緊急事態とは、暴動、クーデター、武力紛争等により治安状況が著しく悪化したと判断される事態、または現地の警察・軍による治安の維持が不可能になった事態を言う。

(1)第1次緊急事態

事態が局部的であり事態の悪化が予想されるものの、自宅待機には危険がない状態

《行動基準》
対策本部
  • 緊急電話連絡、無線連絡により、日本人学校への日本人会関係者の集合
  • ケープタウン及びダーバン連絡室の設置
  • 無線連絡網の確認
  • FM放送の準備
  • 可能な限り短期旅行者の安否の確認
  • 本省への確認
  • 南ア政府(警察、大統領府、外務省、内務省、軍等)、他公館からの情報収集
対策本部別室(ケープ、ダーバン)
  • 無線連絡網の確認
  • 緊急連絡網により在留邦人の安否の確認と対策本部への結果報告
  • 可能な限り短期旅行者の安否の確認と対策本部への結果報告
  • 現地警察、現地関係者からの情報収集
在留邦人
  • 自宅待機を原則、企業の判断により支店長宅へ集合
  • 自宅周辺の状況が急速に悪化している場合は、比較的安全な所へ早急に避難(緊急連絡網のグループリーダー企業に連絡)
  • 安否の報告(緊急連絡網末端から順次中枢へ報告)
  • 車で避難する場合は可能な限り食料品及び飲料水を携行
  • 早期に出国する場合に備え、持ち出し荷物の確認(空路出国時は、機内携帯荷物1個程度とならざるを得ない場合があるので、旅券、現金等最小限とする。)
  • 可能な限り事前にオープンの航空券を購入
  • 旅券と渡航先ビザの確認(欧州やアジア諸国のほとんどはビザ不要)
  • 米ドルの現金(家族当たり最低1000ドル程)を家庭に保管
  • 早期に出国する者は、対策本部または同別室に連絡の上出国
  • テレビ・ラジオでの情報収集
  • 慎重に行動し、軽率な行動や言動は厳に慎む。
(2)第2次緊急事態

事態が悪化して、地域的または全国的に危険が拡大し、自宅待機に危険が伴う状態

《行動基準》
対策本部
  • 比較的安全な集合場所の確保(公邸、大使館、日本人学校)
  • 緊急FM放送の開始
  • 在留邦人への集合の勧奨についての決定、連絡
  • 集合場所への集合手段、方法等の検討
  • 食料品、飲料水、衣料等の確保
  • 南アからの引き揚げ勧奨の発出
  • 航空機出国者に対する航空便等の確保の便宜
  • 空路、陸路、その他の出国ルートの確保
  • その他、第1次緊急事態と同じ
対策本部別室(ケープ、ダーバン)
  • 比較的安全な集合場所の確保(ケープタウンは在ケープタウン駐在官事務所、ダーバンについてはトヨタダーバン事務所を指定するが、現地の状況を見つつ判断)
  • 在留邦人への集合の勧奨についての決定、連絡
  • 集合場所への集合手段、方法等の検討
  • 集合場所安全強化措置の実施
  • 食料品、飲料水、衣料等の確保
  • 極力早期に航空機による出国の勧奨、出国者に対する航空便等の確保の便宜
  • ヨハネスブルグにどうしても在留せざるを得ない者については、第3次緊急事態を待たずして、大使館・公邸への避難を検討
  • その他、第1次緊急事態と同じ
在留邦人
  • 連絡を受け、毛布、食料品、飲料水等を持って集合場所に移動]
  • 出国ルートの検討
  • 海路または陸路出国の場合はできるだけ邦人複数名で出国し、出国後速やかに出国先の日本大使館に届ける。(陸路出国は、ボツワナ等への出国が考えられるが、国境近辺に居住している者を除いては諸般の困難が予想されるので、対策本部の指示に従う。)
(3)第3次緊急事態

事態の収拾がつかず、国内残留に危険が伴う状態

《行動基準》
対策本部
  • 各国大使館の動向の把握
  • 当国からの引き揚げ勧告の発出
  • 国外脱出方法の決定
    航空機の場合
    • フライト状況の把握
    • 本邦からの特別機派遣の可能性の確認
    • 各国緊急特別機派遣の可能性及び搭乗の可能性の確認
    • 空港までの安全ルート及び車両の確保
    • JHB国際空港以外の空港は次の通り(定期便無し)
      LANCERIA AIRPORT
      011-659-2750
      ヨハネスブルグ北西約20キロ。ボーイング727,737の発着可
      ・GRANDCENTRAL
      011-805-8166
      ヨハネスブルグとプレトリアの間、小型機のみ。
      Waterkro of Military Airbase 012-672-4911
      プレトリア南約10キロ
      ジャンボ機等大型機の発着可
    海路の場合
    • 近隣諸国の港までの定期便及び臨時便の運行状況の確認
    • 港及び港までの道路の安全性の確認
    陸路の場合
    • 近隣諸国の安全状況把握
    • 脱出ルートの安全性確認
    • 車両積載品確認(無線機、飲料水、食料品、毛布、衣類等)
    • コンボイの編成
  • 国外脱出の方法の確認
  • 在留邦人の確認
  • 本省への最後通告
対策本部別室(ケープ、ダーバン)
  • ヨハネスブルグでどうしても在留せざるを得ない者については、大使館・大使公邸へ避難する。その場合、コンボイを組んで可能な限り警察又は軍のエスコート下で移動する。
  • 国外脱出方法の検討
    航空機の場合
    • フライト状況の把握
    海路の場合
    • 近隣諸国の港までの定期便及び臨時便の運行状況の確認
    • 港及び港までの道路の安全性の確認
    陸路の場合
    • 近隣諸国の安全状況把握
    • 脱出ルートの安全性確認
    • 車両積載品確認(無線機、飲料水、食料品、毛布、衣類等)
    • コンボイの編成
  • 国外脱出の方法の確認
  • 在留邦人の確認
在留邦人
  • 対策本部との緊密な連絡の確保
  • 残留は本人の判断と責任において行うものとするが、極力避ける。
6.備蓄の標準

事前備蓄は、次のモデルを参考にして整備する。また、集合場所等への車両移動の際は、できる限りこれらの備蓄を持参するように努める。

事前備蓄
備蓄品 各家庭 各事務所
食料品 10日分 (非常食)人数×10日分
飲料水 10日分 (非常食)人数×10日分
医療品 適宜
燃料 携帯燃料(ブライ用のプロパン、ブタンガス等)、なべ、ヤカン車のガソリンは満タンを心かける(少なくとも半分以上)
無線機等 無線機または上記4の無線通信、放送を聞くことの可能なラジオ
その他 懐中電灯、ローソク、毛布、寝袋、洗面用具等

第4部 テロ対策マニュアル

目次
  1. 情勢
    • (1) 南アにおけるテロ情勢
    • (2) 南アにおける各組織の活動状況
  2. 一般的な心構え
  3. 具体的な対応策
    • (1) 脅迫事件
    • (2) 誘拐事件
    • (3) 爆弾テロ
1.情勢
(1)南アにおけるテロ情勢

2001年9月の米国同時多発テロ事件、米国がテロとの戦いにおいて最優先課題の一つとしてきたオサマ・ビンラディンの殺害以降、各国政府がテロ対策を強化しているにもかかわらず、イスラム過激派が世界各地でテロを敢行するなど、その脅威は依然とて高い状況にあります。

南アでは、殺人や強盗等の凶悪事件をはじめ、窃盗や置き引き等の一般犯罪発生率は高いものの、日本人・日本権益を対象とするテロ組織等は現在までのところ確認はされていませんが、米国関連施設も多く存在する当国においては、いつ、いかなる形でテロ事案が勃発し、それに巻き込まれるかは予想がつかない情況にあります。

(2)南アにおける各組織の活動状況

以下に掲げる組織の存在が確認もしくは指摘されています。

(イ)パガド(PAGAD:People Against Gangsterism and Drugs)
同国には120万とも150万とも言われているイスラム教徒がおり、西ケープ州を中心にイスラム教徒の自警団から発展した組織=パガドが存在します。当初は自警団の性格を有していましたが、イスラム過激派「キブラ(Qibla)」の加担後は同国におけるイスラム国家建設の兵站組織の一端を担っていると見られており、「G-FORCE」と呼ばれる軍事組織がパイプ爆弾を自ら製造・使用するなどして、2000年にはパガドに関連付けられる11件の無差別爆弾テロが発生し31名が重軽傷を負った他、パガド裁判の証人殺人事件が1件発生しました。
また、2008年9月にはパガドの指導者が刑務所から出所し、地方都市に支部を開設した他、2009年8月には不法集会で関係者が58名逮捕されるなどしたことから、当局は厳しい監視を続けています。
(ロ)アル・シャバーブ(Al-Shabaab)
当局は公には否定しているものの、同国には、ソマリアに拠点を置くイスラム系組織アル・シャバーブが西ケープ州に関連施設を有し、同施設がアル・カイーダ等テロリストの隠れ蓑又は、資金調達、資金洗浄、テロ計画策定の場所となっているとの指摘がなされています。
2.一般的な心構え

(1)テロ事件や不測の事態に巻き込まれることのないよう、最新の関連情報の入手に努める。

(2)テロの標的となる可能性のある施設等危険な場所には、できる限り近づかない。

(3)やむを得ず大勢の人が集まる場所へ行く場合は、周囲の状況に注意を払い、十分に警戒する。

3.具体的な対応策
(1)脅迫事件
(イ)電話による脅迫
  • 冷静に落ち着いて行動する。
  • 電話の録音。
  • メモを取る(脅迫の内容、犯人の声の特徴、話し方、言葉遣い等)。
  • 相手を刺激しない程度に電話を長引かせ、可能な限りより多くの情報を引き出す。
(ロ)要求を伴わない脅迫(爆破予告)
  • 安全な場所に避難する。
  • 警察に対し爆発物の捜索を依頼する。
  • 警備を強化する。
  • 明らかに悪戯と判断される場合を除き、本当であると見なして対処する。
(2)誘拐事件
(イ)通勤時における予防対策
  • 日ごろから誘拐の手口に応じた対策を企業単位で考えておく。
  • 誘拐の前兆を捉える。(不審な電話、メイドの失踪、人や車の尾行・監視など)。
  • 行動や服装等が目立たないようにする。
  • 尾行や監視に気付いたら、出勤退勤時間・コースの変更、ボディーガードの配置等の警備を強化する。
(ロ)誘拐事件に遭遇したら
  • 直ちに大使館に連絡、相談する。
  • 情報の管理に気を付ける。
(ハ)犯人との接触交渉
  • 犯人からの電話を録音する。できる限り犯人側に喋らせ、犯人の声の特徴等可能な限り情報を収集する。
  • 人質の個人情報の提供を求め、真に人質を取っている犯人かどうかを常に確認する。
  • 人質との会話、生存の具体的証拠の提供を求め、人質の生存、健康状態を常に確認する。
(3)爆弾テロ

(イ)爆弾テロの多くは、事件の反響を組織の宣伝効果に利用する傾向があり、個人宅よりも企業が狙われることが多い。

(ロ)爆発物の置き去りの発見を容易にするために、事務所周辺の環境整備を行う。

(ハ)車両爆弾の被害を最小限にするためには、駐車場を社員用と外来者用とに区別し、建物から離して設ける。

(ニ)窓ガラスに飛散防止フィルムを貼付する。

(ホ)不審物には近寄らず、警察に通報する。

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