在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。

シンガポールには、約2万6千人の日本人が在留し、毎年50万人以上の日本人観光客が来訪しています。
一般的にシンガポールは「安全な国」と言われています。初めての海外生活をシンガポールでスタートさせた方の中には、生活の不便さをあまり感じず、周りに日本人も多いことから、ここが外国であることを忘れてしまう方がいるかもしれません。もっと厳しい治安、生活条件の国から当地に来られた方の中には、今までの緊張が解け、安堵の気持ちを持つ方もいるでしょう。
確かに、他の国と比較すればシンガポールの治安は保たれていると言えますが、生活する上で気をつけなければならない事項はたくさんあります。また、もしあなたが何らかの犯罪の被害者或いは交通事故の加害者になってしまった場合、異なる言語、生活習慣、法律、司法手続きなどに戸惑い、シンガポールもやはり外国であることを実感せざるを得ないでしょう。さらに、テロ事件に関しても、シンガポールで起こらないという保証はまったくありません。
当大使館では、シンガポールに在留する日本人の方一人ひとりが、当地の治安状況や防犯上留意すべきポイントを理解し、御家族全員で話し合い、平素から有効な防犯対策を講じていただくための一助として、この「安全の手引き」を作成しました。
皆様が楽しく充実したシンガポール生活を送られる上で何らかの参考になれば幸いです。
2012年4月
在シンガポール日本国大使館
「シンガポールは安全だから、日本にいたときのように行動しても大丈夫だろう。」 という考えは危険です。シンガポールもやはり外国であり、日本での常識が当地では通用しないことがあります。
日本では、多額の現金を家に置いたり、現金で高価な買い物をしたりすることが、いまだによく行われています。このように、多額の現金を持ち歩き、周囲に対する警戒心の乏しい日本人は、外国の犯罪者の目には「カモ」として映ります。日本人であるというだけで犯罪者に狙われる危険性があることを知っておく必要があります。
海外で日本人が生活する上での3つの原則は、「目立たない」「用心を怠らない」「行動をパターン化しない」です。これから説明する様々な防犯上の留意事項もこれらが前提条件となります。
自分と家族の安全は、まずは自分達自身で守るとの心構えを家族全員で持つことが何より大切です。犯罪を予防するためにも、また、犯罪の被害を受けた場合に適切に対処するためにも、この考え方が基本となります。
同僚や友人が犯罪の被害者になったと聞いたとき、「それでも、自分は大丈夫。」と思う方もいると思います。また、車の運転に自信のある方であれば、交通事故は無縁なものと思われている方もいらっしゃると思います。しかし、車を運転すれば必ず事故が起こります。また、犯罪者は時も人も選びません。「次は自分かも知れない。」と考え、警戒心を怠らないことが大切です。
過去10年間の犯罪認知件数の状況を見てみますと、2002年から2005年までは増加する傾向にありましたが、2006年以降ほぼ横ばいとなっています。その一方、人口は増加し続けていますので、人口10万人当たりでの犯罪発生件数(これを「犯罪発生率」といいます。)は減少傾向にあり、2011中の犯罪発生率は606件と、前年よりも47件(7.1%)減少しています。なお、この606件という数値は、他の国と比較してもかなりいい部類に入ります(日本における2009年の刑法犯の発生率は約1,882件となっています(法務省「平成22年版 犯罪白書」))。
統計基準も違うので、単純な比較はできませんが、それでもシンガポールの治安は引き続き良好な状態を維持していると言えるでしょう。
【図過去10年の犯罪認知件数及び犯罪発生率の推移】
シンガポール警察が発表した統計資料によれば、2011年中の犯罪認知件数は31,404件と、前年に比べ1,748件(5.2%)減少しました。犯罪類型別に見た場合、強盗、家宅侵入、窃盗などの類型で件数は減少していますが、商業犯罪、落書きや不法侵入、秩序を乱す行為の件数は増加しています。
特に注意する必要がある事項として、シンガポール警察は以下の3点を挙げています。
① オンライン等で購入した物品が配達されない。
② 偽造品や値段とは程遠い価値しかないような物品を騙されて購入する。
③ 偽装誘拐詐欺、宝くじ詐欺、オンライン上で知り合った異性がでっち上げた話でお金を騙し取られる。
確かにシンガポールの治安は良好な状況が保たれていると言えますが、このことは決してシンガポールでは犯罪被害に遭わないということではありません。シンガポール警察が展開している犯罪防止キャンペーンの一つに、「Low Crime Doesn't Mean No Crime.」というスローガンがあるように、誰もが被害者になってしまう危険性があります。被害を未然に防止するためにも、日頃からニュースを見たり、大使館や地元警察のウェブサイトをチェックするなどして、十分な対策と心構えをしておくことが大切です。
シンガポールの治安当局は、2001年12月以降、イスラム過激派ジェマア・イスラミア (JI)のメンバーを大量に検挙しました。捜査の結果、これらのメンバーがシンガポール国内の米国大使館等の米国関連施設、チャンギ空港、ジュロン石油化学基地等をテロ攻撃対象として調査偵察していた事実が明らかとなりました。
JIは、オサマ・ビン・ラディン(2011年5月に死亡)率いるアル・カーイダとも関連があると言われるイスラム過激派組織で、死者200人以上を出した2002年10月のバリ島連続爆弾テロ事件を始めとして、インドネシアやフィリピンで発生した爆弾テロ事件に関係していると言われています。 2009年9月には、主要幹部であったヌルディン・トップが、2010年3月には、ドゥルマティンがインドネシア警察によってそれぞれ射殺され、その他のメンバーも周辺国で相次いで逮捕・殺害されるなど、組織は大きなダメージを受けています。しかし、爆弾製造等のテロ遂行能力を有するメンバーが依然として逃走中です。加えて、2010年2月にはインドネシア・アチェ州で武装グループの軍事訓練キャンプがインドネシア当局によって摘発され、その後、関係者の潜伏先からシンガポール中心部の地図が発見されました。今のところ、シンガポールにおいてテロ攻撃が行われるという具体的な情報はありませんが、上記のような情勢を受け、シンガポール政府は引き続き国民に注意を呼び掛けるとともに、テロ対策に力を注いでいます。
爆弾テロなど不測の事態に巻き込まれることのないよう、テロの標的となる可能性がある施設等にはなるべく近づかないようにし、欧米人を始めとする外国人が多く集まる場所(例えばディスコ、ナイトクラブ、バー)に立ち入る際には安全に十分注意を払うように心掛けて下さい。また、外務省の「渡航情報」や大使館のウェブサイト(http://www.sg.emb-japan.go.jp/index-j.html
)等を通じてテロ情勢に関する最新の情報を入手するよう努めて下さい。

シンガポール政府の内務省が、国内の治安全般の責任を有しており、下部組織として警察、中央麻薬局、民間防衛庁(消防・救急等)、入国管理庁、国内治安局、監獄局等があります。警察(Singapore Police Force)が一般の犯罪捜査、防犯活動、交通取締りなどを、中央麻薬局(Central Narcotic Bureau)が麻薬の取締りを担当しています。
国内を6つに分けて、それぞれの地域警察本部があります。
規模は、日本の大きな警察署程度で、犯罪が発生した場合に捜査を行う刑事課や警備活動等を担当する作戦課等があります。同本部では、交通事故や犯罪被害の届け出の受理も行って
います。


当地では日本の交番制度を研究し、当地に適用させた「Neighborhood Police Centre (NPC)」・ 「Neighborhood Police Post (NPP)」という制度が定着し、地域の治安の維持に大きな役割を果たしています。
6の地域警察本部の下にそれぞれ複数のNPCが設置され、各NPCは担当地区の治安を維持する責任を一次的に有しています。そして、NPCの下にNPPが設置され、原則として1名の警察官が配置されています。
NPCは24時間オープンですが、NPPは正午から夜10時までの時間帯しか開いていません。
NPCでは、事件事故発生時の初動措置、相談受理、防犯指導、交通事故や犯罪被害の届出の受理等を行っています。NPCの所在地は、右上写真のように、付近の道路に標識等で表示されています。
警察官は、法で定めた一定の条件の下においては、裁判所の令状なくして、人の身体、着衣、携行品を強制的に検査し、人の住居に立入り、また一時的に人の身体を拘束して必要な検査を行うことができるなど、日本に比べて強い権限が認められています。警察官を含む公務員の汚職に対する政府の姿勢は厳しく、2012年1月には、汚職防止法違反の容疑で、行政庁のトップが拘束されてます。ただし、汚職取締り専門の機関が目を光らせ、一般的に、金銭の授受などの汚職は少ないと言えます。
また、警察の捜査機関等の体制と能力はきちんと整備されており、当地の司法裁判制度も公正で信頼がおけると見ていいでしょう。
シンガポール政府は、麻薬関連犯罪に対し、死刑を含め厳しく処罰するという方針をとっています。
なお、2011年9月、中央麻薬局は公表していた2008年から2010年までの薬物乱用逮捕者数に誤りがあったことを発表しました。実際の逮捕者数及び2011年の逮捕者数(3,265人)を反映させたグラフは下のとおりとなります。単純比較はできませんが、ここ数年の逮捕者数を人口比でみた場合、我が国と比較してもかなり大きな数字となっております。2011年中、薬物別の検挙状況では、ヘロインが一番多く、1,899名(58.2%)となっており、2007年以降、増加の一途をたどっています。また、乱用者を年齢別で見ると、40代以上が最も多いですが、20歳未満の初犯者が前年の155人から225人に大きく増えています。
シンガポールにおいては、15グラム以上のヘロイン、30グラム以上のモルヒネ、250グラム以上の覚せい剤、500グラム以上の大麻等の所持・密売・密輸に対しては死刑が科せられるほか、微量の所持や使用についても厳しく罰せられます。なお、麻薬を所持している場合は「疑わしきは罰せず」の例外として、所持人自身が自らの潔白を証明できない限り有罪と認定されてしまいます。
また、シンガポール政府はいったん判決が確定した場合、外国政府や関係者からの減刑要請があっても、これを受け入れないとの方針を貫いています。2007年1月26日、シンガポール政府は、2004年11月にチャンギ空港にて大量のヘロインを所持し、死刑判決が確定していたナイジェリア人について、ナイジェリアの大統領が発出した減刑要請の書簡を公表しました。その上で、麻薬犯罪に対する厳しい立場を堅持する必要から減刑には応じないことを発表し、同日、そのナイジェリア人に対し死刑を執行しました。2005年末にも、麻薬密輸に関与したオーストラリア人の死刑を執行しています。興味本位で麻薬に手を出したり、知らないうちに麻薬の運び屋に仕立てられるようなことにならないよう十分に注意してください。

【図 過去10年の薬物乱用逮捕者数の推移】
銃器の取締りも大変厳しく、強盗等の一定の犯罪でけん銃を発砲した場合は自動的に死刑が適用されます。
このような銃器に対する政府の厳しい対応もあり、銃器を使用した殺人事件や強盗事件が当地で発生することはほとんどありません。
他方、シンガポールの周辺地域では、銃器を使用した殺人や強盗の発生がまれではなく、そのような地域に出張や旅行をする際は十分な警戒が必要です。
凶器を使用した傷害、恐喝、集団暴行、器物損壊、密入国等、国家の治安上の脅威と認識する特定の罪を犯した者に対し、懲役刑と併せてむち打ちの刑が処せられることがあります(50歳以上の高齢者と女性は免除)。
また、国家の治安対策上必要と認められた場合は、一定の手続きを経て、組織犯罪構成員や麻薬の常習密売人等を、司法裁判制度の枠外で一定の期間監獄に収監する、又は当局による監視下に置くことも法律により認められています。
シンガポールでは、法律上「少年」又は「未成年」として様々な配慮や保護を受けることができる年齢は15歳までで、16歳以上の年齢に達すると(若干の配慮や例外はあるものの)、罪を犯せばほぼ大人と同様に扱われ、犯した罪によっては、新聞に実名や顔写真を公表され、監獄への収監やむち打ちの刑に処せられる場合もあります。
中学、高校の年齢の少年が万引きをした場合でも、店側に発見され警察に通報されれば、まず間違いなく逮捕されます。ただし、逮捕後そのまま拘束されて起訴されるか、保釈されて不拘束で取調べを受けるかはそれぞれのケースで異なります。
大使館発行の「シンガポール特有の生活関連主要法律案内」でご紹介しているとおり、ゴミのポイ捨て禁止、販売目的のチューインガムの国内持込み禁止などシンガポール特有の禁止行為が数多く存在しています。「郷に入りては郷に従え」ということわざが示すように、この土地で暮らしていく以上、シンガポールでの生活のルールを知っておく必要があります。また、シンガポールでは、一般的に日本で科される刑罰に比べて重い刑罰が規定されていることも忘れてはなりません。
人通りの多いデパートやショッピングセンター、動物園等の観光地で、日本人観光客や在留邦人を狙ったスリの被害が発生しています。それらの多くは、複数の外国人グループによる巧妙な手口で行われており、被害が後を絶ちません。
ひったくりは、高齢者、妊婦、大荷物を抱えている人など、犯人にとって狙いやすい人が狙われるケースが目立ちます。
ホテルやレストランで、日本人観光客だけでなく在留邦人も、ほんのわずかな隙を狙われて置き引きの被害にあっています。犯行は巧妙な形で行われるようで、例えば、隣に座った知人に荷物の番を頼んで席を離れたところ、席に戻ると荷物が消えていたというケースもあります。
ショッピングセンターや自宅の駐車場に駐車していたところ、車の窓ガラスが割られたり、ドアやトランクルームがこじ開けられたりした上で、中に置いていた金品を盗まれる被害が発生しています。
また、ERP用のキャッシュカードが盗まれるケースも急増しています。
携帯電話やインターネットを使った詐欺事件は日本国内でも問題になっていますが、当地も例外ではありません。日本では、そのような手口に踊らされるようなことはなくても、慣れない異国の地では、言葉や文化の違い等から、騙されてしまう可能性も高くなります。
当地では性犯罪の発生率は日本以上となっており、女性、子供は十分な注意が必要です。最近では、若年者に対する性犯罪被害が増加傾向にあり、警察が注意するよう呼びかけています。
犯人は、顔見知りのケースが多く、知人、使用人、出入り業者といえども、油断は禁物です。
留守中の住居に侵入して金品を盗む空き巣が依然として多発しています。
海外旅行等長期に留守をしていた間の被害に限らず、ほんの数時間だけ不在にしていた間でも被害が発生しており、手口もピッキングから扉のこじ開け、蝶番をはずすものまで様々です。また、犯人が、留守宅と思いこみ侵入したところ、屋内に居た家人とはち合わせとなり、居直り強盗に発展する可能性もあります。後述の「その他防犯上の留意事項」を参考に、扉の補強等住宅の安全対策を講じることが望まれます。
典型的なケースとして、侵入強盗とエレベーター内・路上での強盗があります。
侵入強盗は、鍵のかかっていないドアから侵入したり、セールスマンを装って住居内に侵入し、強盗を行う手口です。また、アパートや雑居ビル、人の出入りが少なくなった時間帯のデパートのエレベーター内でも被害が発生しています。
まずは見知らぬ人に対して警戒するようにしてください。もし不幸にして被害にあった場合には、無理に抵抗せず、相手の人相や着衣を覚えた上で警察に被害を届け出てください。
2010年10月、市街地で在留邦人が殺害される事件が発生しました。日本と比べ発生件数は少ないものの、シンガポールでも殺人事件は発生しています。
犯人と被害者が顔見知りでない、いわゆる無差別殺人のケースはあまり見られませんが、2010年中には、不良少年グループ間の争いが殺人事件に発展した例があり、被害に巻き込まれないようにするためにも、トラブルが発生している現場に遭遇した際には、いち早くその場から離れることが大切です。また、日本でもそうですが、酒場や娯楽施設が軒を並べる歓楽街は、他の地域に比べて窃盗や暴行事件の発生頻度が高い傾向にあるとみられることから、必要以上の長居は禁物です。
シンガポール人や居住外国人を対象として、子供をかどわかして連れ去る、又は身代金目的で大人を強制的に拉致するといった誘拐は、当地でもごく稀にですが発生することがあります。
他の東南アジア諸国では、日本人が狙われる事例も決して珍しいことではなく、当地でも十分な注意と予防の心構えが必要です。一般的に誘拐は、誘拐する者(裕福と見られている家族の一員又は資金のある企業の社員等)の選定→下調べ(一定の期間にわたる尾行や監視等の手段で行動の特徴や警備の状況を下見)→実行、というような段階で実行されます。
誘拐を防ぐには、自らの身は自ら守るという意識を持ち、誘拐の危険度に応じた対策(通勤時の安全対策、住居の警備強化、日常行動上の注意等の総合的な対策)をとることが重要です。
当地で住居地を選択するにあたっては、不動産会社、会社、知人等から、周辺の環境や犯罪発生状況といった防犯上のアドバイスを参考とすることが望ましいでしょう。
物件選定に関しては、次のチェックポイントを参考にし、必要に応じて室内の防犯対策の強化(例えば、鉄製グリルを窓に付ける、錠前を強固なものに取り替えたり、2重、3重にする等)を検討します。
また、当地は高層物件も多く、幼少の子供にとっては危険な構造をもつ物件も少なくありません。万が一の事故を防ぐためにも、物件選びの際には、子供の視点に立った見方も大切です。


住宅部分は万が一の事態の際には、最後の砦となる重要な場所です。
入居に際しては、細かくチェックを行い、防犯対策上不足と感じたところは、不動産会社や家主と相談し、対策を施すことが望まれます。
以下の防犯に対する心構え等が、やがて、習慣となって身に付いてくる事が大切です。
現金や装飾品を室内に放置する等、使用人に隙(犯罪を誘発する環境)を見せない。
2011年中の交通事故による死亡者数は197名で、前年より増加しました。
主な事故原因は、スピードの出し過ぎ、信号無視、飲酒運転、歩行者の信号無視横断などが挙げられます。シンガポールは、道路もよく整備されており、左側通行などの交通ルールや交通標識等も日本と共通のものが多いため、一方通行道路が多いことなどに慣れれば違和感なく運転できるようになると思います。ドライバーの運転技術やマナー、交通法規の遵守度も、東南アジアの他の国と比べると低くはないようです。
ただし、車道の幅が広くスピードを出す傾向にある、車間距離を詰めて走る、合図を出さずに頻繁に進路変更する、歩行者が道路を平気で横断するなどの問題もあり、交通事故の防止には十分な注意が必要です。
また、日本と違って車の運転手が歩行者を優先することがあまりなく、日本と同じ感覚で道路を横断すると思わぬ事故に遭うことになります。また、法律で横断が禁じられている場所もあることから、歩行者の方は不便であっても横断歩道や信号機のある交差点を渡るようにして下さい。
交通事故を起こさない、また交通事故に巻き込まれないためにも、次に注意事項を列記しました。
(2) 黄色直線ライン(2本線)
(3) 黄色ジグザグライン(1本線)
右写真のような交通標識のある場所は横断禁止です。規制範囲については、矢印で指示されております。回り道となっても、直近の横断歩道を横断してください。
右写真のようなバスレーンについては、基本的に、バスの運行時間帯は、車両の通行及び駐車(極めて短時間の停車を含む)が禁止されています。
右写真のような黄色で描かれたバツ印が四角で囲まれたゾーンについては、基本的に、滞留禁止ゾーンになっております。しかし、状況により滞留が許される場合もありますので、詳細は解説書等をご確認下さい。
飲酒運転は、判断力や注意力、運動能力を低下させ、大事故につながる危険な行為で、シンガポールでも大きな社会問題となっています。
飲酒運転で有罪が確定すれば、最低1年間は運転を禁止されることに加え、
が科せられることになります。飲酒運転で交通事故を起こした場合にはさらに罰則が重くなる上、被害者への慰謝料の支払いで莫大な借金を背負う恐れや、刑務所に入ることで職を失う危険性もあります。
飲酒運転は絶対にしないでください!
当地では、1998年3月から外国の運転免許証を当地の運転免許証に切り替える際に、交通警察の実施する交通法規等の学科試験(英語)に合格することが新たな条件となりました。これは、外国人に当地の交通法規等をよく理解してもらうことによって、交通事故を減少させようという理由から導入された制度です。
交通事故の当事者となった場合、加害者、被害者双方にとり、心身ともに大変な痛手を被ることになります。
加害者となった場合には、刑事責任(監獄での服役、罰金)、行政責任(運転免許証の停止、取消し)、民事責任(被害者への賠償)といった三つの責任が科せられます。交通事故を起こさないよう、平素から注意するとともに、やむなく交通事故の当事者となった場合は、あわてず冷静に対処することが必要です。
一次的な対処方法は、事故の態様や負傷者の有無等により異なりますが、一般的に次のようなことに留意する必要があります。

ア. 被害者の救護
イ. 警察、救急への連絡
ウ. 交通の確保と現場の状況の保存
エ. 双方の運転者の人定事項、車両番号、連絡先の確認、記録
オ. 目撃者、現場に居合わせた人、車両の記録
カ. 保険会社への連絡・相談、所属する会社等への連絡
物損事故のように怪我人がなく、軽微な事故の場合は、特別な場合を除き警察に届け出る必要はありませんが、所定のSAS (Singapore Accident Statement)を事故現場で当事者双方が作成し、24時間以内に保険会社、IDAC (Independent Damage Assessment Centre)、整備工場のいずれかに提出するとともに、加入している保険会社等に連絡し、その都度アドバイスを受けて相手側と交渉等を進めていくことになります。
日本で被害を受けた場合は、周りの知人等に相談もできますし、なにより日本語で細かい意思の疎通ができますが、海外では、言葉の問題、法制度の違い、社会習慣の違いから、日本の数倍の努力、忍耐が必要になります。
自分の身は自分で守るという気持を持つことがまずは大切ですが、自分で対処できないことは知人や会社の助けを遠慮なく求めるべきでしょう。当地の弁護士事務所に相談するのも一つの方法ですし、大使館も必要なアドバイスをするなどの援助を行っています。
パスポート、身分証明書、クレジットカード等各種カードの番号、貴重品等の特徴や製造番号等についてメモを作成し、別に保管しておきます。
最寄りのNPC等の緊急連絡先の名称、所在地を地図で見て、自宅からの行き方を確認しておきます。また、電話番号は代表電話だけでなく、夜間休日用の電話も調べておきます。
例えば、目の前に地図を広げ、想定する緊急事態別に、いつ、どこで、どういう事態が起きたら、自分と家族は何をするかについて家族で話し合い、頭の中で整理しておくイメージトレーニングを行うことも有益です。
緊急事態が起こったときに最低限必要な言葉(たとえば、英語で「強盗が家に入りました。住所は・・。」など)を身につけておきます。小さな子供には、「助けて。」「名前は・・。」「お父さんの名前は・・。」など簡単な英語と自宅の電話番号を日頃から覚えさせておくことも大切です。
被害の態様や程度により、被害にあった後の対処方法は様々ですし、実際は事態に応じて臨機応変に対処することになりますが、ここでは一般的に重要と思われることを挙げておきます。
あわててパニックになることなく、落ち着いて行動することが何よりも大切です。
被害の箇所、被害品、程度を確認します。
警察に被害を届け出る際は文書を作成することになります(通常は捜査官が事情を聴取して、調書を作成し、読み聞かせの後に間違いがなければそれにサインをします。)。その際、被害届の受理書(ポリスレポート)を受領してください。パスポートの再発行や保険請求等の際に必要となります。
海外で一番頼りになるのは家族、親しい知人、自分や家人が所属する会社です。自分一人で悩まずに誰かに相談することで知恵と勇気も湧きます。
盗難に遭った物によって、クレジットカードの無効手続、パスポートの再発行等、所定の手続きを行うため、できるだけ速やかに関係機関に連絡する必要があります。
一般的に、犯罪の被害にあった場合、捜査を行う権限は当地の治安当局にあります。したがって、現地警察に被害を届け出ない限り、警察は被害の発生を認知することができず、必要な捜査を開始することもできません。
大使館は、邦人の被害について連絡があれば必要な援助を行いますが、大使館だけに連絡していただいても、シンガポール警察がその犯罪被害を認知したことにはならないので注意して下さい。シンガポール警察庁(Singapore Police Force)のホームページには各NPCの所在地が掲載されておりますので、最寄りのNPCを常日頃から確認しておいて下さい。

2011年3月、日本は未曾有の大災害に見舞われました。緊急事態発生時にどう対応すべきか、また、普段からどのような心構えでいるべきか、様々な議論がなされています。地震もなく、気候も比較的落ち着いているシンガポールは、自然災害とは無縁と思われがちですが、2010年、2011年にはオーチャードエリアを中心に浸水被害が確認されたほか、2011年の年末には都市の大動脈である大量高速運搬システム(MRT)で送電事故が発生し、会社帰りの多くの利用客の足に影響を及ぼしました。いくつかの駅では、周辺の道路にまで利用客が溢れかえり混乱するなど、突発事案に対して脆弱な面も確認されております。
大規模災害など緊急事態発生の際には、大使館では皆様の安全を確保するために全力で対応にあたります。一方、そのような状況下では各自が自己や家族の安全対策に万全を期するよう、普段から関連する情報の入手に努めたり、何かあった際の対応要領を確認し合うことが大切です。ここでは、緊急事態発生時に在留邦人の方々が的確、迅速に対応できるよう以下の通り、平素の心構え・準備、緊急時の行動等について必要な諸点をまとめてみました。
在留邦人の皆様は以下の項目を参考にして頂き、緊急時には落ち着いて対応するよう心掛けて下さい。
(1) 在留邦人の方は「在留届」を必ず提出して下さい。また、記載事項に変更が生じた際又は帰国される際には「帰国届・住所等変更届」を届け出て下さい。日本大使館ウェブサイトからアクセスして届け出る事も可能です。(在シンガポール日本国大使館→領事情報→各種申請書等ダウンロード→在留届
(2) 緊急事態はいつ起きるかわかりません。緊急事態発生に備え、家族間、企業内で緊急連絡方法等について予め決めておいて下さい。また、平素より各自の所在を明確にするようにして下さい。緊急事態発生の際には、大使館からの情報や国内、海外報道及び衛星放送テレビ等を視聴するなど各自情報収集に心掛けて下さい。
平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理に巻き込まれることのないよう注意して下さい。
(3) 緊急事態発生の際には、大使館よりシンガポール日本人会、シンガポール日本商工会議所などの連絡網を通じて情報を提供するほか、一人でも多くの方々に必要な連絡を行うために、当地のFM放送局(96.3)やNHK海外放送等を利用して情報提供を行います。邦人の皆様は、緊急事態に備えて、短波やFM放送が受信可能なラジオ(電池の準備もお忘れなく)を準備しておいて下さい。また、大使館のホームページでの情報提供や電子メールによる情報の配信も行いますので、ご自宅のパソコンに大使館のウェブサイトのアドレス(http://www.sg.emb-japan.go.jp/
)を登録していただくとともに、在留届提出時には電子メールのアドレス記入もお願い致します。

(4) 所在確認は行方不明者の救出等を進める上で重要な作業です。緊急事態が発生した際、状況によっては該当する地域の在留邦人の方々の所在を個別に確認する必要がありますが、その作業は膨大なものとなりえます。大使館等からの連絡を待つだけではなく、積極的に大使館や勤務先等に自ら安否を連絡するようにして下さい。
(5) シンガポールは、東南アジア地域の中では体感治安も比較的良好であり、また、日本での生活とほぼ変わりなく過ごせるため、外国で生活しているということをつい忘れがちになります。しかし、我々を取り巻く国際テロ情勢は厳しさを増しております。突発的な豪雨に伴う浸水被害や交通麻痺による混乱に巻き込まれた際に、どのように対応するか、皆様一人一人の普段の心掛けが試されます。ここでは、そうした突発事案や緊急事態に直面した場合にどう対応すべきか、皆様と一緒に考えていきたいと思います。
熱帯モンスーン気候に属するシンガポールは年中高温多湿です。雨期と乾季に分かれ、一般的に毎年10月から3月は雨が多くなる傾向にあります。しかし、最近では、乾季であっても突発的な豪雨、いわゆるゲリラ豪雨がみられることが多くなりました。このゲリラ豪雨は、短時間であればそれほど問題にはなりませんが、長時間降り続くと、シンガポールの至るところに浸水被害をもたらします。また、雨は落雷を伴うことが多く、その頻度は日本と比較して多く感じられます。ここでは、そうした浸水被害や雷から如何にして身や財産を守るべきか、考えてみたいと思います。

豪雨に伴う浸水については、シンガポール公益事業庁(PUB)がウェブサイト上で、潜在的に浸水する危険のある場所や浸水が頻繁に確認される場所を公開(Flood Prone Areas and Hotspots)しています。2010年や2011年の豪雨では、市中を流れる用水路周辺や町中の地下商業施設やホテルの地下駐車場が浸水被害に遭い、大きな経済的損失を出しました。シンガポールの気候は変わりやすく、建物に入る前には快晴だったにもかかわらず、出てくると豪雨だったといった経験を皆様もお持ちだと思います。また、浸水はひどい交通渋滞を誘発することも多々あります。外出する時は、PUBウェブサイトを参考にしつつ、使用する交通機関を検討し、また、建物の中にいる際には、建物管理者のアナウンスに注意し、特に、地下にいる時など、僅かな浸水であっても確認したらすぐに地上階に上がるようにしてください。
次に雷です。雷は一般的に雨を伴うことが多いですが、当地の雷は突然落ちてくる傾向が強く、外出時には特段の注意が必要です。ゴルフ場でゴルフをプレイしていた方が落雷で命を落とすといったニュースもみられます。落雷時、建物内にいる時と建物外にいる時の諸注意を挙げてみます。

大規模な停電の発生は、近年、ほとんどみられませんが、備えあれば憂いなしです。普段から、停電の際に必要な懐中電灯、ラジオ、予備電池を準備し、すぐに取り出せるところに保管しておきましょう。特に停電時に最新情報を得るためには、ラジオが最も有効な手段となります。もし、停電のため、お住まいの建物のエレベータ内に閉じ込められた場合は、慌てず、また、扉を無理に開けようとせず、エレベータ備え付けの非常用ボタンを押し、助けが到着するのを待ちましょう。また、エレベータ内に閉じ込められた人を認めた場合は、Essential Maintenance Service Unit(1800-354-3333)に連絡するようにしてください。但し、人命に危険が迫っている時は、警察(999)や民間防衛庁(995)に直ちに連絡してください。
シンガポールには、緊急事態等の発生を国民に知らせるための「公共警報システム」が整備されております。
警報は、脅威が差し迫った時、脅威が回避された時、ラジオを通じて重大な発表がなされる時の3パターン存在し、 毎年2回(2月15日のTotal Defense Day、9月15日のCivil Defense Day)、ラジオを通じて重大な発表がなされる時の警報音が午後0時5分に鳴り響きます。この警報音は訓練のために流されるものですが、FMラジオを付けてメッセージを確認してみるとシステムの仕組みについての理解が深まると思います。

また、脅威が差し迫っていることを知らせる警報音を聞いた場合、最寄りのパブリック・シェルターに退避しましょう。パブリック・シェルターは主に、大量高速運搬システム(MRT)の地下駅や学校、コミュニティ・センターに設置されています。右写真のマークが目印となりますので、お住まいの近くのシェルターを一度確認してみてください。
シンガポールにおける緊急事態対応については、シンガポール民間防衛庁(Singapore Civil Defense Force)のホームページに「Emergency Handbook 2010 Edition」が掲載されておりますので参考にしてください。
ア. 日本の110番に相当する緊急通報電話は「999」、日本の119番に相当する緊急通報電話は「995」となります。その他一般の連絡、相談については、最寄りの地域警察本部またはNPP(日本の交番のような施設)等の所在地、連絡先については、電話帳等でお調べの上、連絡先リストとして整理しておくとよいでしょう。
イ. 在シンガポール日本国大使館 (Embassy of Japan in Singapore)
16 Nassim Road, Singapore 258390
代表 6235-8855 (24時間)
ウ. シンガポール日本人会
The Japanese Association, Singapore
120 Adam Road, Singapore 289899
代表 6468-0066
エ. シンガポール日本商工会議所
Japanese Chamber of Commerce &Industry, Singapore
10 Shenton Way, # 12 - 04 MAS Building, Singapore 079117
代表 6221-0541
オ. 外務省(東京)
シンガポール警察を含むシンガポールの政府機関は、ウェブサイト上で情報を積極的に公開しています。
また、日本国外務省や当大使館でも、ウェブサイトを通じて海外に在留する日本人やシンガポールに居住している皆様に様々な情報発信を行っています。アクセス先は次のとおりです。
旅行前には外務省が発出している渡航情報を確認してから出かけるようにしてください。
渡航情報は、渡航・滞在にあたって特に注意が必要な場合に発出される情報で、複数の国や地域にまたがる広い範囲に関する「広域情報」と個々の国・地域に関する「国・地域別情報」とがあり、そのうちの「国・地域別情報」の中には、最新の現地治安情勢と安全対策の目安を示す「危険情報」と、限定された期間、場所、事項について安全対策の観点から速報的に発出される「スポット情報」があります。
なお、「危険情報」では、安全対策の目安として以下の文章が冒頭に示された上で、それぞれの渡航・滞在目的に合わせた安全対策を検討できるよう、本文の中で、きめ細かな情報を提供します。
シンガポールに居住する日本人に向けた日本語FM放送(96.3)が土日を除いた午前6時50分から午前8時50分の時間帯に放送されています。当大使館からの連絡も随時放送されている他、緊急事態が発生した際には、当大使館から在留日本人への連絡用放送としても利用されます。
NHK国際放送の最新の周波数表等は、NHKのウェブサイトから入手できます。